ロボット戦争 戦闘ロボットは軍人の夢です。命令には従順、恐怖心も無いし、占領地でバカな犯罪も起こしません。人間よりも強 靭で戦闘能力も強力です。そして、どのような損害を受けても決して生命が失われないのです。しかし、これは本当に 良いことなのでしょうか?夢には悪夢もあるのです。 と言うわけで、今回は戦闘ロボット特集です。 ラインメタル・ホライズン社 偵察ロボットTRR-3069 TL13 Cr194,118 重量=120.219kg 容積=70リットル 球形 知力=1 教育度=1(1) 敏捷度=15 筋力=4 燃料電池=30kwh 燃料= 3.6リットル 活動時間= 24時間 移動システム=反重力 耐久値= 21/35 頭部= 40% x1 通信機5000km, 動力インターフェース, 頭脳インターフェース, 高感度聴覚センサーx1, 高感度嗅覚センサーx1 視覚センサーx1(望遠、光量増幅、受動赤外線)、放射能センサーx1,質量センサーx1,生命活動センサーx1 ECM 高データ 基本命令 CPU= 反重力機器-1, 撮影-1, 偵察-1 平均的な偵察ロボットです。偵察ロボットは地球時代のUAVにまで起源が遡る、もっとも基本的な戦闘用ロボットで す。場合によっては、スマート兵器の目標評定や誘導にも使用されますが、偵察任務に特化している限り、どれも大差 はありません。とにかく敵情を偵察し、情報をすばやく送信することだけが求められます。だから、別に基地に帰ってく る必要もありませんので、センサー類は光学系に限定して安価にする場合もあります。 ポンダ技研工業 ダイナソア TL15 MCr18.98 重量=6201.525kg 容積=1300リットル 球形 電子回路防御 知力=12 教育度=21(42) 敏捷度=15 筋力=125 核融合=735kwh 燃料= 180L 活動時間=240時間 移動システム=反重力 推力= 10t 及び車輪 ゼロG移動パック 水中移動パック 耐久値= 390/650 装甲=18戦闘アーマー 腕= 重量触手x6 頭部= 30% x1 通信機5000km, 視覚センサー(望遠、光量増幅、受動赤外線,レーザー測距器),生命活動センサー,高感度聴覚 センサー、重ECM、機械工具パック, 動力インターフェース, 頭脳インターフェース, 音声合成装置 高自律型 上級命令 武装=フュージョンガン-15 x14 (胴体8 腕部6) 磁気ライフル-11 x2 (胴体装備 弾薬14,000発) CPU= 反重力機器-1 戦術-2 偵察-2 フュージョンガン-4 磁気ライフル-4 歩兵地上戦闘-4 機機甲地上 戦闘-4 通信-1 記憶装置= 保安-2 照準-4 爆発物-4 近接戦闘-1 ATV-1 メカニクス-1 (注意:プログラム部分は機密であり、記載されているデータは編集部の推定です) この最新型戦闘ロボット「ダイナソア」は、極めて高価ですが、その高価さに見合う性能は確かにありそうです。計14 丁のフュージョンガンと2丁の磁気ライフルで武装したその姿は、まさに「ハリネズミ」です。ハリネズミの針は防御用で すが、ダイナソアの針は攻撃用であり、このロボット一台で、ハイテク歩兵一個中隊にも匹敵する火力を備えています。 もっとも、高価格ゆえに、今のところ試験/評価用として少数しか売れていません。 「ダイナソアの戦闘能力をもってすれば、戦場に投入する兵士の数を削減できます。大部隊の投入が適切でない低強 度の紛争には、大きな威力を発揮します。」 とは、ポンダ技研工業のスポークスマンの言です。これほどの性能の戦闘ロボットが投入されれば、戦場はたちまち 「低強度」から全面戦争に変わってしまうのではないでしょうか? また、私には兵役以外の軍隊経験はありませんが、 大部隊であろうと無かろうと、人間である兵士の投入が「適切な」戦場など、どこにも無いと断言できます。 帝国海兵隊兵器研究所 「タナトス」試作歩兵ロボット TL15 Cr765,147.5 重量=1733.82kg 容積=500リットル 箱型 電子回路防御 知力=6 教育度=2(2) 敏捷度=15 筋力=65 燃料電池=360kwh 燃料= 144L 活動時間=192時間 移動システム=反重力 推力= 2000kgt 及び歩行脚 ゼロG移動パック 水中移動パック 耐久値= 150/250 装甲=18戦闘アーマー 腕= 重量触手x4 頭部= なし 通信機5000km, 視覚センサーx2(望遠x1、光量増幅x1、受動赤外線x1,能動赤外線x1,レーザー測距器x1) 生命活動センサー, 触覚センサー, ECM、動力インターフェース, 頭脳インターフェース, 音声合成装置 低自律型 基本命令 武装=フュージョンガン-15 x2 (胴体) 磁気ライフル-11 x2 (胴体 弾薬1,000発) 磁気ピストルx2 (腕 弾薬2,000発) CPU= フュージョンガン-2 磁気ライフル-2 歩兵地上戦闘-1 反重力機器-1 ハーバート・ビューロー陸軍大佐(退役)設計による戦闘ロボットです。残念ながら正式採用には至りませんでしたが、 コストパフォーマンスが高い評価を受け、現在は、地方の軍や警察への売込みが続いています。もっとも、頭脳システ ムをもう少し洗練させる必要はありそうですが。 ただ、ビューロー大佐には、そうした改良設計の意思は無さそうです。 「私は、技術者のプライドでロボットの設計に携わりました。ですが私は、ロボット戦争には嫌悪を感じます。」 と大佐は言います。 「ロボット兵器ばかりで戦う戦争は、確かに人命の損失は無いでしょう。そして、そのために武力行使の敷居が下がると はよく言われています。私は、もっと先のことも恐れています。例えば、どこぞで領土紛争があり、戦争になったとしま す。そして、ロボット同士がドカドカと撃ち合い、勝った方が負けた方の領土を占領します。壊れるのはロボットだけで、 人は死なない。勝った方は万々歳でしょう。しかし、それで負けた側は納得できるでしょうか?特に、立ち退きを迫られ る占領地の住人はどうでしょうか?普通なら、故郷を守るために命を懸けて戦うでしょう。しかし、機械同士の戦いで は、そのチャンスも与えられずに結果を押し付けられることになります。戦争は悲しいことです。しかし、大切な何かを 守るために命をかけられず、理不尽な結果を押し付けようとする政府の方が、私にとっては悪夢です。」 DKロボテック社 「萌え」シリーズの紛糾 先日発売された美少女ロボット「萌え」シリーズですが、彼女らは勿論、戦闘ロボットではありません。しかし、発売 早々に、戦闘ロボットについて考えるうえで極めて興味深い問題を惹起しているので、今回、ここに取り上げます。 ディンガー駐留の帝国海兵隊が、DKロボテック社製コンパニオンロボット「ツンデレ」「素直クール」を、「心理訓練」の ために採用していたことが明らかになり、現地で社会問題を引き起こしています。 ディンガーの人権団体によると、具体的に「心理訓練」とは、スナイパーの養成過程において、板切れではなく、人間 の形をした、特に可愛い女の子の格好をした標的に対して、心理的障壁をクリアして引き金を引く訓練のことだと言う。 一部の悪質なケースとして、訓練標的の「萌え」シリーズを人間だと教えられて、訓練生が射撃を強要されたことが確認 されています。そして、発砲してしまった訓練生が、これに悩んで牧師や法務士官に相談したため、問題が発覚したと のことです。実際、標的を「人間」だとの認識の下に射撃を行えば、例え実際はロボットだったとしても、殺意があったの で殺人未遂に相当するというのが、判事、検事、弁護士問わず、ディンガーの法曹界の共通した見解です。 現在、ディンガーの帝国軍当局は沈黙を守っていますが、弁護士会と在郷軍人会は法的手段に訴えるとコメントして おり、検察も捜査を開始しています。 DKロボテック社社長モス博士は反戦主義でも知られていますが、この問題に関する本誌の取材に対し、 「売れたのはありがたいですが、使い道には嫌悪を感じますね。でも、売り渡しの契約には、狙撃訓練に使うな、という 条項は無いので、まあ、仕方ないでしょう。それに、私も技術者として軍隊経験があります。ゲリラに襲われた時、護衛 の歩兵が『撃てない兵隊』だったので、本当に焦りました。」 と意外に寛大なコメントです。その上で博士は、スナイパーの心理的抵抗感を問題にするくらいなら、狙撃ロボットを 開発した方が確実であろう、そもそも、一台6MCrの「萌え」シリーズの価格に加えて、訓練標的になるたびにいちいち 修理する費用を考えれば、新規開発の狙撃ロボットの方がはるかに安上がりなのに。と、海兵隊への疑問を呈してい ます。そしてさらに、 「戦争は所詮、人間の業、命のやり取りのゲームであり、ロボットは主流になりえないのかも知れません。司令官が、強 い兵隊の養成には、それだけの金をかける価値があると判断したのかもしれません。でも、司令官がドヘンタイで、美 少女の頭を狙撃でぶち抜くという行為に、倒錯した喜びを感じている方が可能性高いと思いますよ。なんだか私もヘン なシュミに目覚めそうなので、この問題は考えないようにします。」 と余裕を見せています。 なお、「ドジッ娘」が採用されていない理由は不明です。 ロボット短信 ・ダクラスくん、AI搭載を告白 ○月○日、プロメテウス国家警察行動科学課、プロファイルロボット「ダグラスくん」は、国会議員との会談に際して、非公式ながら頭脳に人工知 能(AI)を使用していることを認めた。実のところ、ダグラスくんにTL17相当の先進的なAIが使われているであろう事は、従来から推測されていた が、公式データでは、ダグラスくんは高度の命令プログラムで作動していることになっていた。そして、ダグラスくんのデータバックアップ費用の異 様な高額さが議会で問題になり、警察当局の機密保持と市民への説明責任の間の妥協の産物として、この「非公式」会見となった。帝国のロボッ ト技術では、これまで実用レベルのAIの開発に成功しておらず、「非公式」ではあるが、帝国最初のAIロボットの栄冠は、ダグラスくんと、製造者で あるDKロボテック社に輝くことになりそうである。 さて、ここで問題になるのが、そのAIを開発したのは誰か?であるが、警察当局もダグラスくんも口を閉ざしているし、議員もそこまで調査するつ もりは無さそうだ。そこでDKロボテック社へ取材を試みたところ、次のような「非公式」コメントが得られた。 「ハイブからの輸入品ではありません。社の特に優秀な10人の技術者達が、知恵と職人技をつぎ込んで作った逸品であり、気軽に商品化できるも のではありません。」 広告
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