ロボット イン スペース 宇宙船とロボット。これは、20世紀から21世紀にかけての古典文学のテーマであり、この二つは対になって登場する ことが多々ありました。現在は、20世紀の文学者達が予言した宇宙船とロボットの時代ですが、宇宙船におけるロボッ トの活用はどんなもんでしょうか? 家庭や医療、様々な産業、警察や軍事の分野では、ロボットは役に立っています。 しかし、宇宙船内ではどうでしょうか? と言うことで、今回は宇宙船用ロボット特集です。 ナ○シルカ SURD T-24 シャトルパイロットロボット TL15 Cr2,308,350 重量=138.706kg 容積=96リットル 外枠型 知力=12 教育度=13(41) 敏捷度=9 筋力=46 燃料電池=60kwh 燃料= 10.8L 活動時間= 72時間 移動システム= 歩行 耐久値= 25/63 腕= 中量腕*2 頭部= 25% x1 通信機5000km 基本センサーパック 味覚センサー TL15ホロレコーダー 音声合成装置 高自律型 上級命令 CPU= 感情表現 大型救命艇-2 パイロット-2 エンジニアリング-4 通信-4 記憶装置= 宇宙船戦術-4 反重力工学-4 反重力機器-4 不穏当なコメントもあるので、一部伏字とさせていただきました。このロボットは、リジャイナ大学で設計された有名な SURD T-23Xシャトルパイロットロボット(101 Robots 68番参照)を原型に、テクノロジーレベルを一般的なものにダウン グレードして、先日発売された最新型宇宙ロボットです。いかにも○アシルカ的な、高価なロボットです。 さて、ここで設計者のダビッド・ハーシュ氏にインタビューしてみましょう。 記者:この種の宇宙船パイロットロボットの意義とは、どのようなものでしょうか? ハーシュ:パイロットロボット?そんなもんより、宇宙船のオートパイロット機能を拡張させた方が便利で、安上がりだと 思いますが。 記者:は…?でも、ロボットの雑誌なので、もう一言…。 ハーシュ:高いだけで、それほど役に立つとは思いませんね。「マシンフロンティア」という言葉がありますが、宇宙船は まさしく「マシンフロンティア」であり、ちょっとした不具合やミスが、致命的な事態を招きます。その上にロボットなどとい うマシンを使う?「屋上屋を架す」というヤツです。「恥の上塗り」かも知れません。 記者:はあ…。「恥の上塗り」は少し違うと思いますが…。 ハーシュ:伝達ミスは、事故原因としてはかなり多いです。故障箇所の申し送りが上手くいかなかったりするやつです。 人間と人間、それも同じ職場で長いこと一緒に働いた人々の間ですら、そういう事故が起きます。ロボット相手では、そ の頻度はもっと上昇するでしょうね。宇宙船の操縦は、他の種類のロボットがしている仕事とは性質が異なるのです。 まあ、宇宙船では、ロボットは「忙しい時のお手伝い」程度に考えておくべきであり、それ以上の役割を与えれば危険を 招くでしょう。そして、「お手伝い」には、これほど高価なロボットは必要ありません。無意味ですね。 ああ、ロボット雑誌なのにこんなコメントを載せて良いのでしょうか?しかしハーシュ技師は、航行日数5000日、ジャ ンプ回数500回を数えるベテラン宇宙船乗りであり、その言葉には重みがあります。ついでに、ナア○ルカからは、もう すぐ退社されるそうです。それから、原型となったT-23Xにも装備されていましたが、確かに味覚センサーだけは意味 不明です。 さて、宇宙船ロボットの利点ではありますが、 1.生命維持に関するコストが必要ない 2.長期的には人件費よりも安くつく場合がある。少なくとも、利益の配分は必要無い。 3.不眠不休で働く。 4.一台で多数の作業がこなせることがある 5.人間が楽を出来る 一方、欠点としては、 1.人間が楽をしてしまう。 2.給料も利益の配分の必要も無いが、利益を増すアイデアは絶対に出さない。 3.宇宙船の操縦以外にはてんで役に立たない。 4.宇宙船を操縦させても、緊急時の知恵は回らない。 5.維持費が問題。さらに、航行中に故障したらそれきりで、人手不足による遭難の恐れすらある。 と言った点が挙げられるでしょう。いずれも、宇宙船ロボットに限らず、ロボット全般について言うことが出来ますが。 DKロボテック社 宇宙船お手伝いロボット TL13 Cr1,013,338 重量=716.631kg 容積=350リットル 外枠型 知力=9 教育度=8(15) 敏捷度=7 筋力=70 燃料電池=150kwh 燃料= 86.4L 活動時間= 144時間 歩行 脚x2 ゼロG移動パック 耐久値= 105/175 腕= 軽量腕x8 軽量触手x4 触覚センサー プログラムインターフェース 動力インターフェース 頭脳インターフェース 基本センサーパック 音声合成装置 スポットライト 電子工具パック 機械工具パック 掃除道具パック 高自律型 上級命令 CPU= 感情表現 従者-1 パイロット-2 航法-2 エンジニアリング-2 通信-1 記憶装置= 管理-1 法律-1 エレクトロニクス-2 メカニクス-2 スチュワード-1 掃除-1 救助-1 DKロボテック社製の宇宙船ロボット。なんと言うか、擬似生物ロボットでなければ外見は無視と言う、DKロボテック社 の設計方針を具現化しています。四本の触手と、翼状の工具パックが、角ばったクトゥルフ(注:テラの文学作品に登場 する悪魔)に見えます。ネーミングにも投げやりさが感じられます。 しかし、宇宙船のことに関しては、接客から修理まで、「なんでも出来るし、なんでもします」というキャッチコピーが語 るとおりの高機能ぶりです。「救助-1」プログラムにより、初期消火までやってくれるのです。腕は胴体の前後に四本ず つあり、触手とあわせて、これで一度に多数の作業もこなせます。従者プログラムも搭載されているので、ハーシュ技 師が危惧するような、伝達不足に対する配慮もなされています。もっとも、このロボットと仲良くする気になるかどうかは 別問題ですが。 「正直、あまり売れていません。」という事ですが、高機能ゆえに、少数しかいないオーナー達の評判は最高です。な お、美少女型宇宙ロボットに関しては、「特注なら承ります」とのことです。 次に、「お手伝い」以上の宇宙船ロボットの運用上の実例を見てみましょう。 役に立った例 1.) ヴェネティアンIVの核事故 1109-112、100,000トンの大型貨物船「ヴェネティアンIV」で危機的な事態が発生しました。積荷の容積15,000トンのプ ルトニウムが臨界に達し、核反応が発生したのです。船内は放射能で満ち溢れ、放射線強度はどのような核中和装置 でも処理しきれませんでした。そのままでは惑星に墜落する危険がありましたが、とても人間が乗り込んで操縦するわ けには行きません。そこで宇宙船ロボットが活躍することとなり、移乗したロボット達は、放射能に負けず貨物船を安全 な位置まで移動させました。ロボットの活躍に免じて、愚かな積み付けの責任は追求しないでおきましょう。 2.)ロングリーチ計画 宇宙旅行の長年の課題とは、すなわちジャンプ6以上の達成ですが、様々な研究もぜんぜん上手く入っていないよう です。昨年、テラの名門カリフォルニア工科大学が、性懲りも無く、いえ、果敢にもこの問題に挑戦しました。 カリフォルニア大学は、複式ジャンプドライブによる相乗効果(J2ドライブ3つでジャンプ8、J3ドライブ2つでジャンプ9な ど)で、ジャンプ距離の延伸を狙いました。二つのジャンプドライブを搭載した宇宙船が使用されましたが、当然、人間 が操縦するには未知の危険が多すぎるため、宇宙船ロボットが活躍することになりました。 この方法は、ミスジャンプを制御する方法よりも現実的だそうですが、複数のジャンプドライブを同時に稼動させること で、ジャンプフィールドが干渉しあってジャンプしない、ねじれが生じて船体が裂ける等のトラブルばかりが生じました。 実際、実験に使用された宇宙船の全ては、火災、爆発、船体断裂その他、宇宙船にとっておおよそ考えられる限りの 災厄で失われています。しかし、実験の結果はともかく、ロボット達は宇宙船を完璧に操作し、かつ、致命的な事態が 生じても、自らの持ち場を守ったまま破壊されました。人間の宇宙船乗り以上の見上げたプロ意識と言えますが、 「単純な消火作業くらいはして欲しい。いや、せめて逃げて欲しい。予算は限られてるのだから。」 とは、関係者の言です。 役に立たなかった例 1)墜落事故 多くの宇宙船は、窓が無いかごく小さいため、目視で船外の様子を見ることは困難ですが、スクリーン等を通して一 応可能ではありますし、パイロット達は目視を好みます。一方ロボットは、宇宙船の運航状態をセンサー類でのみ確認 します。 現在係争中の問題なので宇宙船の名称は伏せますが、そのとある宇宙船は、惑星地表面からの離陸中、電子機器 に致命的な故障が生じました。宇宙船は墜落しつつありましたが、操縦席に座っていたロボットは何ら措置を講じませ んでした。電子機器の故障により、センサー類の表示に異常が無かったため、ロボットは宇宙船が正常に飛行してい ると判断していたのでした。人間が操縦していれば、窓の外の風景、もしくは「カン」で、異常に気がついたでしょう。 2)マヌケ これは、私の友人のベルターの話です。アステロイドベルトを探査中、彼は試掘ロボット(101ロボット No.54参照)に、 食事中の宇宙船の操縦を任せました。その後しばらくすると、宇宙船にゴツンゴツンという衝撃が連続して走りました。 友人はかなりのオオモノだったので、食事を続けました。そして、食事が終わって艦橋に戻ってみれば、なんと試掘ロボ ットは操縦していなかったのです。故障はしていませんでしたが、何らかの理由で、友人の指示を受け付けていなかっ たのでした。友人は、ロボットの返答を確認すべきだったのですが、これこそまさしく、ハーシュ氏が指摘した、人とロボ ットのコミュニケーション欠如です。でかいアステロイドに衝突しなかったのは、単なる幸運です。 もっとも、人間同士でも、前席が操縦を止めても、操縦を引き継がなかった教官の例もあります。飛行機が墜落し始 めたときも、お互いに相手が「曲芸飛行をしている」と思っていたのです。 限られた、しかも、筆者の恣意的に選んだ例ではありますが、役に立った例はかなり特殊であり、「お手伝い」をする にしてもかなり危険です。高価さに見合うメリットは本当にあるのでしょうか? ああ、でもロボット雑誌なのにこんなこと書いて良いのでしょうか? デレ・コンピュータ社 SSR-13ロボット TL13 Cr605,487.5 重量=275.544kg 容積=150リットル 球形 知力=9 教育度=3(8) 敏捷度=7 筋力=108 燃料電池=90kwh 燃料= 19.2L 活動時間= 48時間 歩行 脚x2 ゼロG移動パック 耐久値= 30/75 装甲=2メッシュ 腕= 軽量腕x4 中量腕x4 触覚センサー(高感度) プログラムインターフェース 動力インターフェース 基本センサーパック 音声合成装置 スポットライト 高自律型 上級命令 CPU= 感情表現 パイロット-2 エンジニアリング-2 記憶装置= 航法-1 通信-1 メーカーによると、432,112.5Crまで値段は下げられると言うことです。この辺りの、平凡なロボットのクラスがお手ごろ だと思われます。 では、宇宙でロボットを最も役立てた人物を紹介しましょう。「キャプテン・シャーロック」こと、伝説的宇宙海賊、ゲンゾ ー・モリタ氏(45)です。モリタ氏の数奇な冒険の半生に関しては、弊社近刊『孤高の獅子』および、『Object secure, now !』をお読みください。 1.宇宙船の拿捕 これこそ、ゲンゾー氏の基本的な手口です。宇宙船ロボット(SSR-13がお気に入りだそうです)を貨物として積み込み、 自分は船客として乗り込んで宇宙船をハイジャックする、もしくは、宇宙空間で普通に宇宙船を襲撃して、ロボットに拿 捕した宇宙船を回航させる手段で、ゲンゾー氏は10年間で200隻を越す宇宙船を捕獲しました。完成したばかりの最 新鋭軽巡洋艦を、一団のSSR-13ロボットとともに造船所のドックから奪取した「エリコン号事件」や、金塊輸送船の捕 獲などの大冒険もあります。これらをたった一人で、しかも、乗員、警官、軍人を問わず、誰にもスタンガンでビリビリ以 外の危害を加えることなくやり遂げました。ただし、宇宙船の複雑な操作に関しては、無線でロボットに指示しなければ ならないこともあったようです。 2.不時着 ゲンゾー氏が乗客として乗り込んでいた宇宙船が、大気圏に突入した時に致命的な故障が生じました。船主に同情し たゲンゾー氏は、乗客乗員とともに退去しつつ、ロボットに不時着操作を任せました。その結果、人命に何ら被害は無 かったのは勿論、宇宙船の損傷も修理可能な範囲に収まりました。その後、墜落を装ってピンチを逃れるため、この手 を何度も使ったとのことです。 3.人生 今号はロボットに否定的な記事になってしまったので、最後はゲンゾー氏のこのコメントで締めたいと思います。 ゲンゾー氏は今、海賊稼業から足を洗い、自身で発明したソーラーパネルで作動する原子分解機を使い、宇宙船の タンクから集めたヘリウムを水素に戻す事業に成功、偵察局の元職員の奥様とご結婚されて、悠々自適の生活です。 「私は、誰とも組まずにロボットだけを相棒に仕事をしてきました。ですから、その気になれば簡単に海賊から足を洗う ことが出来ましたし、昔のしがらみで厄介ごとを持ち込む連中も最初から居ないので、平和に暮らせるのです。その意 味で、ロボット達は私の人生を守ってくれたのです。」 ロボット短信 ・「萌え」ロボット事件 軍法会議へ (ディンガー発 ○月○日) ディンガー検察庁は、ディンガー駐留海兵隊スナイパー養成課程における、「萌え」ロボットに対する計22件の殺人未遂、および殺人未遂の教唆 により、佐官も含む教官6人を帝国軍当局に告発した。 軍当局は告発を受理して、6人を軍法会議にかける予定だが、有罪判決を受ければそれぞれ50年以上の懲役刑となるため、無罪判決もしくは有 罪判決後の特赦が予想される。 リックマン検事総長は、 「まあ、仕方が無いでしょう。軍隊には軍隊の仕事がありますから。問題のある訓練方法を改めてくれれば、それで良いのです。」 とコメントしている。 一方、訓練標的の「萌え」ロボット達の就役解除を見越し、「引き取りたい」という要望が軍当局に殺到していると言う。もっとも軍当局は、男性兵 士の「士気高揚」を理由に、雑役ロボットとして使用を続ける方針である。 広告
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