貿易品の価格決定についての提案 トラベラーにおける貿易品の価格決定はかなり大雑把です。クラシックトラベラー(CT)の「貿易および投機表」 はまだ良かったのですが、上級ルールになると基本一律1排水素トン4000Crで、運賃が1トン1000Cr。平均の 運賃率25%は暴利に近いと思うのですが、どうでしょうか。また、TLが高くなるのとともに貿易品の価格が高くな るルールも問題と思います。「ナイトフォール」では、天然資源に関してのTL価格修正は無視するルールが掲載 されていましたが、その他には、技術の進歩に伴う製造工程の省力化などで、低TLよりも安く生産できるもの (農産物、金属製品等)もあると思われます。よって、ここではそれらに関するハウスルールをいくつか提案した いと思います。 1.仕入れ価格のテクノロジーレベルの価格修正 貿易品の仕入れ価格算定に際しては、トラベラー基本ルールでは、TLは単純にx100されて、基本価格に加 算されていました。しかし、本ルールでは、 (10-TL) x 100 を基本価格に加算することを提案します。 例1) 貿易上の分類と宇宙港の修正を適用した後の価格が3000Crの、TL15の世界で生産された製品の基 本価格は、(10-TL) x 100は-500で、2500Crとなります。 例2) 貿易上の分類と宇宙港の修正を適用した後の価格が5000Crの、TL6の世界で生産された製品の基本 価格は、 (10-TL) x 100が400なので、5400Crとなります。 ただ、このルールは全ての品目に適用する必要はないでしょう。技術の上昇により洗練されて価格が高くなる ものもあると思われるのです。工業製品はTLx100の通常ルールで、加工品は本ルールを適用するのがちょう ど良いかもしれません。また、価格修正の算出に関しては、「大量生産」が始まるTL5を基準として、 (5-TL) x 100 としても良いかもしれません。 2. CT「貿易および投機表」の取引単位の変更 トラベラーのルールにおける貿易品の価格、1トン4000Crは、簡略ではありますが、リアリティに欠け、また、 投機貿易の利益が小さくなるという欠点も持っています。そこでCTの「貿易および投機表」を尊重し、かつ、現 在(21世紀初頭)の実際の取引価格(この場合1ドル=1Cr 100円=1Crとして計算)を元に、「貿易および投機表」 に掲載されている一部品目の取引単位の変更を提案したいと思います。では、「貿易および投機表」をご用意く ださい。 1)出目21から24の、鉄鋼(500Cr)、銅(2000Cr)、アルミニウム(1000Cr)、錫(9000Cr)は、基本価格はそのま まとしますが、取引は質量1t(1Gじゃない世界では重さが変わりますから)単位で計算します。この表の基本価 格は、銅を除き、現在の地球における1tあたりのドル価格と似たような数値になっています(ちなみに、銅は 4000ドルほどです)。 よって、これらの品目の基本単位は容積としてはかなり小さくなり、一排水素トン(13.5kl)単位で購入すると、 相当な金額になります。比重を計算しても良いですが、特に鉄鋼の場合、L字型鋼や穴開き鉄板の形になって いることが多いので、必ずしも容積どおりの重さにはならないでしょう。1kl=1tとして大雑把に計算しても良いと 思いますが、参考までに、それぞれの大雑把な比重を下にあげておきます。 鉄鋼=7.85 1kl=7.85t 1排水素トン=105.975t (平均的な鉄鋼です。鉄ではないのでご注意) 銅=8.9 1kl=8.9t 1排水素トン=120.15t (青銅や真鍮はまた比重が違います) アルミニウム=2.7 1kl=2.7t 1排水素トン=36.45t 錫=7.31 1kl=7.31t 1排水素トン=98.685t (白色スズです。非金属様の灰色スズの比重は5.8くらいです) 2)出目32から35の穀物(300Cr)、肉(1500Cr)、香辛料(6000Cr)、果物(1000Cr)は、基本価格はそのままに、 取引単位は1klとします。従って、1排水素トンあたりの基本価格は、 穀物=4050Cr(4000Crとしてしまってよいでしょう) 肉=20250Cr 香辛料=81000Cr 果物=13500Cr 3)出目25 銀(70000Cr) 基本取引単位は200kgとします。ハード・タイムズの「正貨表」の 銀貨10Cr/30gを参 考にしました。このまま適用すると70000Crは210kgですが、コインなのでいろいろと混ぜ物がしてあるのでしょ う。ちなみに銀の比重は10.5。もう一つちなみに、銀と金の価格の比率は、金本位制度で貨幣価値としての場 合、近世以降は、銀:金=1:10-15程度、投機品としては1:60くらいです(参考:コインの散歩道 http://www1.u- netsurf.ne.jp/~sirakawa/) その他品目の取引単位も、いろいろと考えられると思います。13.5klあたりの価格を求めた場合は、パッケー ジやコンテナの分量と言うことで、1000Cr未満の単位は切り捨てても良いかもしれません。 3. CT「貿易および投機表」の価格変動 先ず、「貿易および投機表」の基本価格を4000Crで割って、比率を求めます。例えば、銅なら0.5、スズなら2. 25、出目66の宇宙服ならx100です。上記ハウスルール2を併用してもかまわないでしょう。計算は面倒ですけ ど。 そして、4000Crを基準にトラベラーのルール、もしくは上記のハウスルール1を使って基本価格を求め、最初 に算出した比率を掛け合わせて、貿易品の仕入れ価格を求めます。 例) 宇宙港タイプA TL15 高人口 工業世界で生産された宇宙服 「貿易および投機表」の宇宙服の基本価格 400,000Cr 400,000/4000=100 基本価格は、4000Crから宇宙港タイプ=A 高人口 工業世界の価格修正で-3000、TL15の修正で基 本価格は 2500Cr。この2500Crに上で求めた比率100をかけて、宇宙服の価格は2500x100=250,000Cr となります。 4. 貿易品の売却価格 トラベラーのルールでは、貿易品の売却価格の基本は最初から1排水素トン5000Crとなっています。しか し、これは同じ世界における仕入れ価格との整合性を欠くと思います。よって、以下のように変更を提案しま す。 貿易品の売却価格は、 宇宙港による修正だけは無視して、貿易品の仕入れと同様に、4000Crを基本として売却価格を求めます。 宇宙港タイプの修正を加えると、宇宙港のレベルが低いと異様に価格が高くなり、同様にAタイプ宇宙港だと、 世界によってはとても安くなるからです。 例)宇宙港タイプに関わらず 高人口 工業 TL14の世界での基本売却価格は、 4000Crから、高人口(-1000Cr)、工業による修正(-1000Cr)、TL14による修正(+1400Cr)を加減して、 3400Cr、となります。この数値に、仕入れ世界/市場世界の修正、およびTLの差による修正を加えて、売却 価格とします。 例)上であげた世界に、農業世界 TL15の世界から貿易品を持ち込んだ場合 基本価格3400Cr に、農業世界の製品を高人口、工業世界で売却する修正(+2000Cr)、テクノロジーレベ ルによる差の修正(15-14+10)/10=1.1をかけて、 (3400+2000)x1.1 = 5940Cr となります。 5. 補助金 トラベラーの貿易ルールでは、宇宙港タイプの世界では、出だしから貿易品の価格が高くなります。これで は、その世界の輸出は振るわず、経済は発展しません。そのため、適当な行為判定により、現地政府の貿易 補助金として、宇宙港修正をゼロにしても良いと思われます。 後書き これらのハウスルールは併用しても良いでしょう。その場合、計算が煩雑になり、ますます所帯じみたプレイ になると思いますが、まあ、ソレも良いのではないでしょうか。また、物によっては排水素トンあたりの運賃率が 安くなるので、船を持っていなくても、貿易してお金をためることが出来るようになると思います。実を言えば、経 済学的には、船(この場合、我がテラの海を行く船です)のオーナーが貿易品を買い取るという形式の交易は非 常に原始的であり、ローマ時代から既に、船の持ち主=運搬業者、貿易品の売買=商社という分業が出来上が っていたようです。 |