スーパーヒーローVS悪の帝国
一時期流行った国産オリジナルカードゲームの一つ。
化夢宇留仁は藤原カムイ氏のイラストに惹かれて購入した。



こういう縦長のボックスに入った国産カードゲームが流行った時期があった。
化夢宇留仁はあまり買わなかったのだが、そのテーマとイラストに惹かれて購入したのがこれ。

国産カードゲームの特徴として多く当てはまるのが、簡単かつどこかで見たことのあるシステムで、更にどこかで見たようなキャラクターや世界観を再現したものである。
要するに独自のシステムを開発するわけでなく、同じようなシステムでフレーバーだけ変えたゲームを大量 に生産していたのである。
こういうところは日本人として情けなくなってくるのだが、実際アメリカやイギリスと比べてシステムにオリジナリティを感じるゲームは少ない。
しかもユーザーフレンドリーすぎて、手応えが無いものが多い。つまり簡単すぎて世界や雰囲気の再現と言う点でも物足りないものが多いのだ。
そうした中にあって、この「スーパーヒーローVS悪の帝国」は・・・・・・・・・
まさにそんなゲームである(汗)。

システムはいわゆるミル・ボーン型。
ミル・ボーン型とは、その名のとおりミル・ボーンというゲームで(多分)最初に使われたシステムで、各プレイヤーがポイントになるカードを出していって、その合計が設定された条件に達すると勝利すると言うもの。
ミル・ボーンはカーレースのゲームで、お互い妨害カードを出したりしつつ、自分のポイントカード(走行距離)を延ばして、ゴールにたどり着く(ゴールまでの距離分ポイントカードを出す。)ことで勝利となる。
このシステムはシンプルながら応用が利いて、相手への妨害などで色々な状況も再現できるので、多数の模倣ゲームを生んだ。
上記国産カードゲームでもこのシステムを模倣したものは多く、この「スーパーヒーローVS悪の帝国」では、プレイヤーそれぞれが悪の組織の首領となり、悪事を積み重ねることで少しずつ世界征服に近づいてゆくように加工されている。
相手への妨害は正義のヒーローを送り込むことでなされる(情報をリークするのだ)。
また自分の計画(ポイントカード)を守るために戦闘員を配置したり、また小細工をして自分のところに向けられたヒーローを、他の悪の組織に向かわせたりすることが出来る。

実は以上でこのゲームの解説はほとんど終わりなのだが、これだけではあんまりなので、もう一つのカードゲームの魅力、カード自体について紹介する。

まずは勝利に必要なポイントになる「世界征服への一歩」カード。
カード毎に様々な悪事が書かれており、左上にはその悪事によってどれだけ世界征服に近づけるかが書かれている。
注目すべきはその悪事への評価のされ方であろう。
このゲームではポイントが100に達した時点で世界征服は成功したことになり、そのプレイヤーの勝利となる。
「南極 気温上昇による世界洪水計画」のポイントは5である。
対して「幼稚園バス乗っ取り戦闘員増員計画」では20ものポイントが加算される。
つまりこのゲームにおいて、重要なのは悪の組織らしさであって、ほんとうに世界を征服できそうな計画は逆に評価が低くなっているのだ。
この辺は妙なセンスが光っていて面白い。

「ヒーロー」は、他のプレイヤーに送り込むことによって、その悪事を打ち砕き、世界征服を防ぐカードである。
このカードに限らないのだが、その内容はどこかで見たようなものばかりで、結構パロディが効いていて面 白い。

「戦闘員」は、ヒーローに対して世界征服に繋がる悪事の成功のために働く皆さんである。
ヒーローと戦闘員が遭遇すると、その戦闘力を比較して大きい方が勝ち、戦闘員が負けるとその戦闘員が守っていたプレイヤーの悪事は失敗したことになり、さらにそのままにしておくと次々に悪事が失敗したものとして、それまで貯めてきた「世界征服への一歩」カードが1枚ずつ破棄されていってしまうのだ。

「強化」カードは、ヒーローや戦闘員に3枚までつけることが出来、能力を高めることが出来る。
これもパロディが効いていてにやりとさせてくれるものばかりで、しかも中にはヒーローやヒロイン、または戦闘員専用などつけられるカードが限定されているところもそれっぽい。

全体的によくまとまったゲームなのだが、なにしろシンプルすぎて物足りない。
なんだかヒーローもののパロディを考えただけで力尽きてしまった感がある。
化夢宇留仁はオリジナルのルールなんかを付け加えたりしてしばらく遊んでいたが、やはり物足りなさは否めず、触らなくなってしまった。
やはりカードゲームの肝はそのシステムにある。