戦闘メカ ザブングル
ブルーゲイル

BLUE GALE



 ツクダホビーから発売されていた、TVアニメの「戦闘メカザブングル」をテーマにしたシミュレーションウォーゲームの2作目で、ウォーカーマシンやランドシップを1機1ユニットで表している。
ツクダホビーのことだからいわゆる戦闘級かと思えば、それほど細かい描写があるわけでもない。

 確かネットオークションで買ったんじゃなかったかな?
化夢宇留仁は昔このゲームの続編の「ウォーカーギャリア」というゲームを持っていたので、続編があるのだからと落札したのだと思う。
あとで調べてみたら、ウォーカーギャリアはすでに紛失(多分捨てられた/笑)していたのだが。

 コンポーネントは素晴らしく、上から見たランドシップのユニットはかっこいいし、様々な色のついたウォーカーマシンのユニットは原作の乱戦の雰囲気が伝わっていい感じである。
マップも荒野である原作の雰囲気をよく伝えている。
しかし実は大いに問題のあるゲームである。

 まず上記の通り細かいスケールのゲームなのだが、ルールが非常に簡単で、パイロットのルールも無い。
この時点で原作の内容を考えると、首をひねらざるをえない。
ウォーカーマシンの性能差はガンダムとザクの比ではない。
なにしろ一部の主人公メカ以外はほとんどが単なる作業用のマシンで、そもそも相手になるわけがないのだ。
そうにも関わらず原作でのウォーカーマシンの活躍が面白くなっていたのは、あくまでキャラクターと細かい描写のためであり、極端に抽象化されて数値化されたウォーカーマシンの性能だけでは、その世界観を全然再現できないのだ。
だいたいあの世界にはシビアなルール自体がそぐわない。
せめてパイロットルールは欲しかった。ウォーゲームというものはよけいな要素を削り取って作ってゆくものだが、これでは明らかに必要な部分を削ってしまっている。
案の定続編の「ウォーカーギャリア」にはパイロットルールが追加されていた(笑)。

 他にも多数の問題がある。
簡単なルールで多数のユニットを扱えるというのが売りだと思うのだが、その割に記録用紙を利用し、ウォーカーマシンやランドシップのダメージを記入しなければならない。
そして記録用紙に記入する割に、ダメージは単に数値を減らしてゆくだけで、ダメージマーカーを使えばすむ程度である。
 攻撃手段は射撃のみ。
原作であれだけバリエーション豊かな格闘戦を見せているというのに。
命中判定には記録用紙に記載されている表を参照する必要があり、これももっと簡略化出来るところだ。
命中したらダメージを決定するが、方法は各機体固定の火力から、被弾したユニットの装甲値を引いた残りを適用するというもので、なにしろどちらの数値も固定なので、火力の弱い機体は装甲のほどこされた機体には絶対にダメージを与えられない。
このルールで登場する機体の半数以上を占める作業用のウォーカーマシンは、主役級のマシンには一切ダメージを与えられなくなっている。
ZOCという概念も無ければ、ウォーカーマシンは射線を遮ることもないので、どれだけマップ上にひしめいていようが、状況によってはまったく存在の意味がなくなるのだ。
パイロットルールに続いて、ここも簡略化する部分では無いのは明かである。
原作では乗っているパイロット次第で、作業用のマシンでも滅茶苦茶な活躍(例えて言うなら未来少年コナンのような)をしていたというのに。

 更にシークエンスにも疑問を感じる。
基本的に交互に移動するオーソドックスなものなのだが、攻撃は敵味方が同時に行うようになっている。勿論同時と言っても、まずその前に移動した軍が射撃し、次に防御側が射撃。ダメージの適用だけ同時に行うというものなのだが、ランドシップは1回の射撃に設定されている発射回数全てを用いることが出来る。
発射回数は多い船だと8もあるのだ。
つまり1ターンに、自分の手番と相手の手番合わせて16回も射撃できることになる。
そして射界は全周に設定されており、1つの目標に集中してもよいし、全て異なる目標を狙ってもよい。
異なる目標を選んだ場合はそれぞれの距離と機体タイプを表で参照して命中に必要な数値を得る。
ちなみに射程はユニットに書かれている数値の何倍までは近距離、何倍までは中距離という感じで3段階あり、いちいち掛け算をしなければならない。
判定がその調子で、シナリオによってはマップ上にユニットがごちゃごちゃとうろついているのだ。
このシークエンスは簡略化して、普通に移動後に射撃だけでよかったのではなかろうか(笑)?
同時進行性を表したいというのは分かる。
しかし各ユニットの射程は火力の倍数で決定されるので、弱いユニットは隙を見て接近して攻撃しようにも、必ず同時に反撃されるので余計に勝つ見込みが無くなっている。
おまけにマップは広大で、しかも射線を遮る障害物も少ない。そして設定されている初期配置はほとんどがマップの両端である。弱いユニットはいい的である。
いったい同時進行性が、ここまで手間をかけ、バランスを崩してまで必要だと判断した理由はなんなのだろうか。

 移動ルールにも問題がある。
ランドシップは2ヘックスにまたがる長方形のユニットになっており、旋回する場合は前後のどちらを動かしてもよいということになっている。
そして旋回に必要な移動力は、180度で2。120度で1。60度(1ヘックスサイド)ではなんと0である。
まず前部を軸に後部を動かして、左に60度旋回する。 次に前部を動かして右に60度旋回する。これで右サイドスリップの完成である。しかし移動力はまったく消費していないので、その気になればこれを無限に続けられるのだ。
先を急ぐなら、まず目的地に船腹を向けるのがセオリーである(笑)。
これがいくら非常識だとは言っても、ルールブックの指示に従っただけである。
 常識で考えて60度旋回は逆方向と続けて行ってはならないということにしても、まだ問題が残る。
移動力を消費しない60度旋回を、移動の最後に行うとなにが必要になるのか。
次のターンに更に同じ方向に60度旋回すれば、本来1移動力必要な120度旋回が0移動力でできてしまうのだ。
これを防ぐためには前回の終了時にどのような移動を行ったか、記憶しておく必要があるのだ。
ちょっとやってられない(汗)。

 というわけでルールが簡単な初心者向けのゲームとしては無意味に手間がかかりすぎるし、キャラクターゲームとしてはシステムがその再現を放棄しているとしか思えない。
そして単なるウォーゲームとして考えても、あまりにもバランスが悪いという困ったゲームである。
だがけなしてばかりなのもなんなので、もう少しマシになるように追加ルールを考えてみた。

●●追加ルール●●

●1●
パイロットの設定

 やはりザブングル世界を表現するにはパイロットのルールは必要である。
しかしとにかく簡単にしたいので、パイロットの能力は数字1つで表すことにする。

ジロン 3   ラグ 3   エルチ 3   テインプ 3
ダイク 2 ブルメ 2 チル 4 コトセット 1
ファットマン 5 ホーラ 1 ゲラバ 2 ギャブレット 1
カタカム 1 トロン 1 アーサー 1 一般人 0

ちなみにこの数値はパイロットの操縦能力を表すものではない。
そのパイロットのマンガレベルとでも言うべき数値で、危機的状況をマンガっぽく回避する能力である。
したがって射撃するときには一切影響しない。原作では基本的にバリバリ撃ちまくるという描写しか無かったので、これで充分だろう(笑)。
数値は適当に決めた。

●2●
移動

 ランドシップは旋回時には後部を動かす。
各ランドシップの移動終了時に60度旋回を行う場合には、1移動力を必要とする。

●3●
命中判定

 ウォーカーマシンに射撃が命中したら、1D6を振る。
出た目が被弾した機体のパイロットのマンガレベル以下ならば、「おっとっと!」とか言って、妙な動きで回避したものとみなす(笑)。
 手間を増やしてもいいのならば、マンガレベル以下が出たら更に1D6を振って以下の表を参照する。

1D6 結果
1 「わわわわわ!」脚をバタバタさせた。
装甲を貫通していればダメージ1/2(切り上げ)。
2 「うおっ」頭をすくめたがかすった。
装甲を貫通していれば1ダメージ。
3 「ひゃあっ」バレリーナのように回転した。
装甲を貫通していれば1ダメージ。
4 「どわあっ」ジャンプしてかわした。
5 「あらよっと!」脚を開いてかわした。
6 「はっ」逆立ちをしてかわした。

●4●
被害判定

 ウォーカーマシンからの射撃が命中し、マンガレベルでの回避も発生しなかったら、通常にダメージを出す以外に1D6を振り、1が出たら関節やコックピットなどに命中したとして、追加で1ダメージを与える。このダメージは火力が装甲を貫通できていなくても無条件で与えられる。
 この判定もウォーカーマシン、ランドシップそれぞれに描写が付け加えられる表を作ってもいいだろう。
 手間を減らしたいのであれば、この判定は射撃は命中したが装甲で阻まれた時だけ行うということにしてもいい。
それだと単なる火力の弱いユニットの救済策という感じが強くなるが。

 以上。
被害の追加判定で、弱小ユニットにも存在意味が出来た。
他にも色々付け加えたいルールがあるが、これだけでも随分ザブングルらしくなると思う。
 しかし今こうして追加ルールまで作った化夢宇留仁だが、このゲームはすでにオークションに出品していたりするのだった(汗)。
こんなゲームを持っていた」終了(笑)。

・・・と、思ったら出てきた(汗)20091230