エポックウォーゲームエレクトロニクス2
EWE バルジ大作戦



 エポックがレック・カンパニーのデザインで硬派でなかなかよくできたウォーゲームを発売し、好評を得たと思ったら、突如として同じエポックから発売されたEWEシリーズ。
どうやらウォーゲームが商売になると見るや、子供にも買わせようとして別部署が発売したらしい。
まあありがちな話だが、エポックのすごいところはこんな場合いかにも子供だましになりそうなところを、子供は子供で、大人は大人でも楽しめるそれなりに充実した内容のものを作ってくるところである。

 EWEシリーズは金属製のマップに磁石入りのユニットを使い、袖が当たってユニットが吹っ飛ばされて子供が喧嘩を始めるのを防いだ上で(笑)、地味になりそうな戦闘結果表を、ピコピコ鳴って赤く光る電子装置(要するに電子サイコロである)という子供心を刺激するアイテムに変貌させている。
企画段階から論理的に煮詰めていって形作られたのは間違いない。
 また子供向けとなるとキャラクターに頼りそうなところを、あくまでウォーゲームらしいテーマばかり選んでいるのも興味深い。
まあ版権取得とかにかかる予算削減を兼ねているのは間違いないが、せめて子供に受けるように架空のSFっぽい設定を用意したりしそうなところを、まさにウォーゲームの王道「バルジ大作戦」とくるのはほんとにすごい。 ある意味バカ(笑)。
これは化夢宇留仁の見るところ、最初から息の長いシリーズとして、定番商品にまで持ってゆこうという心意気の現れだと思う。
金を出す親にもアピールとか、色々な要素はあると思うが、少なくともばーっと売って決算に間に合わせて終わり!という考え方ではないのは確かであろう。
かっこいいぞエポック(笑)!
 ちなみに本シリーズは化夢宇留仁の知る限り10作以上出ていて、テーマは全て一応史実の存在する戦いだった。
中でも「決戦関ヶ原」が名作との噂である。

 さて「バルジ大作戦」だが、マップはアルデンヌの森から出た辺りのベルギー部分が中心。
ルールは実にシンプルな作戦級で、マストアタックのスタック無し。
初期配置はジークフリート線を境に自由配置になっているのだが、ゲームに慣れない内は箱の裏にある配置例通りにせよと書かれてている。
上の画像がその配置状態だが、基本的に史実にそったもののようである。
この辺もとにかくこの配置にしろという風にせず、凝りたい人はどうぞという姿勢が心地よい。
では配置を史実に近づければゲーム展開も史実に近くなるかというと・・・流石にそうでもない(笑)。
 このゲームの最大の特徴は、そのオーバーキルな戦闘結果表である。
なにしろ戦力比が2:1までしか無く、その2:1では半分の確率で敵を殲滅できてしまうのだ。わざわざ包囲する必要もない。
ちなみに1:1でも1/6の確率でそれぞれのユニットが全滅してしまうし、1:1と2:1の間でも弱い方が1/3、強い方も1/6で全滅する(笑)。
なにしろ次々と吹き飛んでゆくので、戦線など維持できるはずもない。
化夢宇留仁はひさしぶりにやってみた時に、それを忘れていて普通のゲームと同じように防御していたら、あやうく連合軍が全滅しそうになった(笑)。
結果とにかく2:1の戦力比を作って攻撃し合うという派手な展開になる。
これは展開を派手にして子供を飽きさせないようにという配慮であろうが、少しやりすぎの感は否めない。
まあ手軽に楽しむという点ではそこそこよくできたゲームだと思う。

 右はドイツ軍歩兵ユニットを1個紛失していたので、プリントアウトして予備ゴマに貼り付けるためのスキャン画像(笑)。