生物調査船
パンドラ号の遭難
THE WRECK OF THE B.S.M. PANDORA


 タクテクスの付録ゲーム。元はSPIのゲームであるが、輸入されていた形跡はない。
S&T誌の付録ゲームだったのかな???

 生物調査船パンドラ号は12の星系を巡って様々な生物を捕獲したが、ある惑星で事故にあって遭難してしまう。
生き残った乗組員は、なんとかパンドラ号の機能を回復させようとするが、船内には捕獲ポッドから解き放たれた様々な生物が闊歩していた・・・。
 というわけで、1〜5人のプレイヤーが生き残った乗組員となって船内(時には船外も)をうろつき回るゲームである。

 マップはスタートレックの船内表示画面みたいな雰囲気で、完全に図として表現され、その横には本当にゲームで使用する図表類が並んでいる。
しかしなかかなセンスのあるいい感じのマップだと思う。
 ユニットには各種標本生物やロボット、工具のシルエットが描かれていて、これも楽しい。
惜しむらくはプレイヤーの操る乗組員ユニットが文字だけなところである。
なんでそうしたのだろうか。

 ゲーム内容だが、まず船内の各ポッドを裏返しにして配置する。なぜか乗組員はどこがどういうポッドなのか忘れてしまっているのだ(笑)。
 また登場する標本生物と船内のいたるところに転がっているロボットや装備は、一緒にして袋などに入れておく。
乗組員が確認した区画にそれらが存在すると分かったら、そこからランダムに取りだして配置するわけである。
 この辺はルールブックを読んでいる時点でわくわくしてくる。
やはり進む先になにが待っているのか分からないという感覚は、子供心を刺激する。

 乗組員は最高5人登場し、それぞれ役職と名前が決まっているが、それ以上の特別ルールはない。ここはもっと色々なルールを付け加えて、アステロイドのようにしても面白いだろう。
 プレイヤーは乗組員の誰かとなり、船内を巡ってメインシステムを復旧させれば勝利となる。
したがってプレイヤー同士は協力しあう関係である。
勝利に貢献したポイントで順位が決まるとは言え、この辺はマルチプレイヤーズゲームとしては物足りないとも言えるが、設定が設定だから仕方がないだろう。

 ゲームが始まると、各乗組員は船内をうろつき、各種施設がどこにあるのかを確認し、壊れていれば修理を試みることが出来る。修理は素手では難しいが、修理対象に合ったキットを手に入れていれば比較的簡単に修理可能である。
逆に下手に道具無しで修理したらかえって壊してしまう場合もある。
 標本生物や壊れて凶暴化したロボットとの戦闘に突入することもある。
この辺の周囲の反応は完全に自動化されており、プレイヤーは各自ソロプレイをやっているような感じである。
しかし少しずつ船内の様子が分かってゆく様子は結構楽しめる。

 そんな感じで進んでゆくわけだが、色々問題も存在している。
まずはルールブックの出来が悪い。
項目の並び方も悪いし、意味も分かりにくい。更にゲーム内で発生する様々な状況に対して、まったく説明されていないことも多い。
これはゲームの出来うんぬん以前の問題だが、なんとなく説明していないところは勝手にルールを作って遊ぶのが当然のような雰囲気が漂っているのは、多分古いゲームだからだろう。

 余計なところが煩雑なのも少々問題に感じた。ランダムに頼りすぎているきらいがあるのだ。
各施設がどんな機能を持っているかは最初に説明したようにユニットを裏返して配置することで、ランダムで決定される。
どこにどんな生物や道具があるのかもランダムで決定される。
発見された施設や道具、ロボットなどは、ランダムで壊れているかどうかが決定される。
乗組員の各能力もランダムで決定する。
各種標本生物の能力もランダムで決定する。
 最後の二つはどう考えても余計である。
ランダムが面白いのは確定要素と比較した場合であって、ランダムとランダムが出会っても、ゲームとしての面白さにはつながらない。
このままでは負けたら運が悪かったと思うし、勝っても運がよかったとしか思えないのだ。
乗組員と標本生物は数値を固定にして、その代わり色々ルールを付け加えて特徴を描写すれば、ある程度プレイヤーの戦術も生かせて、成功したときの満足感も得られるようになると思う。

 化夢宇留仁はソロプレイで2回プレイしたが、あっけなく殺されてしまった。
殺されたこと自体はいいのだが、そこにカタルシスが無かったのが残念でならない。
デペロップにもう少し時間をかけて欲しかった。それが感想である。