ネットオークションで買った。
それまでもうる星やつらのゲームはいくつか出ていたが、ほぼ完全にウォーゲームの形式なのはこれだけで、珍しい内容と言える。
勿論原作が珍しい内容だったのだが。
ディメンション・スタビライザーの故障で面堂邸に墜落したUFO。
乗っていたラムは記憶喪失になっており、それを好機ととらえた面堂はそのままラムを手中に収めようと画策。
あたるとラム親衛隊の4人組は面堂邸に突入。ラムの救出に向かった・・・。
ゲームはあたる側と面堂側に別れて行う。
あたる達は記憶喪失状態のラムに接近し、10ターン以内にラムの記憶が完全に戻った状態でスタックし、行動可能な面
堂側ユニットが同じヘックスにいなければ勝利となる。
面堂側は記憶喪失状態のラムをあたる達に会わせないようにし、出来ればあたる達全員を捕獲。またはあたる側の勝利条件を10ターン終了時まで妨害すれば勝利である。
普通に考えれば高校生5人がレオパルド2やゲパルト、そして航空機まで配備し、物量
でも遙かに勝っている面堂軍団を相手に出来るわけもないのだが、そこは「うる星やつら」。彼ら5人には煩悩という強い味方があるのだった。
面 堂側のユニットは敵の攻撃が命中すると裏返され、混乱状態となり行動不能となる。混乱状態に更に攻撃を受けると除去されてしまう。
あたる側ユニットには、各自に煩悩ポイントが設定されており、これがいわゆるヒットポイントのように作用するのだ。
ゲームマップの右にあるいくつかのピンク色のマーカーが置かれた縦に長く繋がったマスが煩悩ポイントを表している。
上の方に並んでいるのはメガネ、パーマ、カクガリ、チビのポイントで、2から5程度である。
それでも十分に強いのだが、あたるの煩悩たるや、そのず〜っと下に置かれたマーカーがそれで、なんと15である。
煩悩ポイントは攻撃やオーバーランを行った場合も1消費されるが、それにしても強力である。
その隣の縦のマスはラムの記憶回復状態を示している。
ゲーム開始当初は5で、以降毎イニング終了時にサイコロを1個振り、その時点での記憶数値以下であれば1減らすことが出来、0になれば完全回復する。
またこれにはあたるの位置が影響し、接近すればすれほど記憶が回復しやすくなっている。
システムを簡単に言うと、ZOC無しのメイアタック。 スタックも面
堂軍団の黒メガネ、レオパルド、ゲパルト以外は制限無し。
今までの説明だけで、ウォーゲームに詳しい人ならだいたいどんなゲームかは想像できると思う。
しかしこのゲームの場合は上記に加えて地形チェックとイベントチェックがあり、これがまた戦況に多大な影響を及ぼすのだ。
地形チェックは基本的にあたる側のユニットが移動を終了した時点で、各ユニット毎に判定する。
これは面堂邸の敷地内が、あたる達は知らないブービートラップだらけなのを表しており、鉄条網で行く手を阻まれるくらいはマシな方で、場合によっては地雷を踏んだり謎の大爆発でランダムな方向に1d6ヘックスも吹き飛ばされたりする。
イベントチェックは主に面堂に対して発生するのだが、あたる側も地形チェック時にイベントチェックを要求されることがあるので油断できない。
様々なイベントで最も恐ろしいのはなんと言っても錯乱坊の登場で、なんとイベントを引き当てたユニットを中心に6ヘックス以内のユニットは全てダメージを受け(面
堂側ユニットはこれだけで行動不能に)、更に引き当てたプレイヤーのその時点のイニングは、移動も戦闘も一切出来ずに終了してしまう。
他には総番が登場して大暴れしたり、黒子にあたるが導かれ、一時的にダミーユニットを得て位
置を不確定に出来たりと、いずれもゲームの勝敗に大きく影響する内容がそろっている。
これらのアクシデントはどれも細かい戦術や作戦は一瞬で灰燼に帰す威力であり、「うる星やつら」らしさを表現すると共に、他のウォーゲームと一線を画すポイントになっている。
ゲームバランス的にはなかなか悪くないようで、1回だけプレイした印象では五分五分といった感じである。
総じてなかなか出来のいいゲームと言えるが、一番の問題はイベントが強力すぎてプレイヤーの努力が空回りすることが多いというところだろうか。しかしこれは同時に「うる星やつら」らしさを表現できているともとれるので、一概に欠点とは言い切れない。
ただ1つだけ文句がある。
原作のテレビ放映であれだけ目立っていたメガネのパワードスーツに関するルールが全然無いのだ。
勿論あれは見た目だけのアイテムだから、防御力がどうこうという話ではないのだが、単にユニットとして登場するだけでもいいから姿を現して欲しかった。
とにかく変わったゲームである。
気楽さ 2
言語依存 4
ソロプレイのしやすさ 4
化夢宇留仁の好き度 4