オーラバトラー



 サンライズのロボットアニメを題材にした、今は亡きツクダホビーの戦闘級ウォーゲーム。
 シリーズは色々出ていたが、本作は行動プロット方式を採用した最初の作品と言うことで大いに意義がある。

 それにしても・・・・パッケージかっこよすぎる。
いつも最高のパッケージアートを描かれる高荷画伯だが、特に本作は気合いが入っているように見える。
おそらくオーラバトラーという、ロボットのような生物のような、はたまた甲冑のようなモチーフに興が乗ったのではなかろうか。



 そしてボードの美しさも注目に値する。
こちらはおそらくツクダホビーの全ゲームの中でもベスト5に入ると思う。
それというのもオーラバトラーでは空中での移動に限られ、視線を遮る物もないのでこのような鳥瞰図が実現できたのだ。


 ユニットの方も凝っている。
画像は主役メカであるダンバインに関するユニット。
ちゃんとテレビ通りに色違いが用意されているのがにくい。
この辺はツクダホビーのお家芸とも言える。
またウォーゲーム第1作の「ジャブロー戦役」の影響も残っており、武器やパイロットもいちいちユニット化されているのが嬉しいような微妙なような(笑)。


 システムは冒頭でも書いたが、行動プロット方式である。
毎イニングの開始時、各プレイヤーは自分の担当するオーラバトラーの基本行動と、攻撃する場合はその方法を記録し、一斉に公開して同時に実行する。
 画像が記録用紙の一部。
一番左に書き込まれているのはこのゲームの目玉の1つでもあるオーラ力である。
毎イニングの始めに、各プレイヤーは各パイロット毎にサイコロを振って、そのイニングに使用できるオーラ力を決定するのだ。
オーラバトラーはオーラ力で動いているという設定なので、この結果によって恐るべきパワーを発揮したり、場合によっては動かなくなってしまったりするわけ。
これは原作の再現という意味でも、ゲーム性という意味でも、面白いシステムだと思う。
 次に書かれている漢字1文字がそのイニングの基本行動の省略形。
「高」なら高速移動で、「剣」なら剣による攻撃または防御、「突」なら突撃。「回」なら回避行動と言った感じで、それぞれ移動力や攻撃の可否、そして回避の確率などが変化する。
 次のアルファベットと数字の混じった欄は移動計画。
Rは右旋回、Lは左旋回、Bは後進、数字はその数だけ前進といった感じである。
 その右は攻撃内容で、主に剣を使ったアクションが記録される。
「中 突 銅」であれば、中段に構えて突きで胴体を狙うという意味。
 その右はメモやらなんやらで、直接ゲームには関係ないが、パイロットの台詞とか、それっぽいことを書いて楽しむことができる(笑)。



 このゲームをデザインするに当たって、デザイナーの岡田厚利氏は神経質と言えるほど、剣での戦闘の再現にこだわっている。
と言うのも行動プロット方式の場合、実戦と違って相手の動きを見ながら移動の選択が行えないので、片方が逃げると決めれば接近戦を行うのは困難を極める。しかしあれだけテレビで剣を交えているのだからと、なんとかそれを再現しようと苦心しているのだ。
その結果が射撃武器の射程を短くし、威力も小さめに。発射も2イニングに1回とし、オーラバトラーの移動力も小さくなった。
それだけ規制されればもちろん戦闘のメインは剣を使ったものとなる。
それはいいのだが、化夢宇留仁的にはその犠牲としてオーラバトラーの軽やかな動きやオープニングでも披露しているランチャーの連射などが再現できなくなっているのはどうかと思う。
また後のゲームで解決はされるが、部位毎の耐久力をゼロにしてゆくダメージシステムは明らかにテレビの描写とは相容れない。特に空を飛んでいる本作では、相手の脚に命中した時点でほとんどハズレと等しい結果になるのが切ない。
 しかしそれらをさておいても、このゲームは当時の環境からすれば、まさにニーズにピッタリ符合した内容で、大いに盛り上がる最高に面白いゲームの1つだったのは間違いない。
今になって問題点を論じるのはフェアとは言えないだろう。
それもふまえた上で、化夢宇留仁はこのゲームは今だからできるリファインルールを作ろうとも思っている。
オーラバトラーの移動力を増し、射撃ももっと強力な扱いにする。
剣での戦闘は難しくなると思うが、その分1撃のダメージを大きくし、ハイリスクハイリターンな攻撃に位置づけたい。
完成したらここに追記したいと思う。

気楽さ 3
言語依存 3
 長い文章があるわけではないが、いくつかの表は参照しなければならない。
ソロプレイのしやすさ 1
 行動プロット方式はソロプレイを完全に否定したシステムである。
それでもやろうと思えばできるのだが(笑)。
ジャバスクリプトによる自動プロットシステムも構想中。
化夢宇留仁の好き度 4

20100514

 上で予告したオリジナルシステムが一応完成。またジャバスクリプトではなく、エクセル書類で自動プロットシステムも作成した。
ボードゲーム天国トップページからダウンロードできるので、お暇な方は試してみよう!

20111105追記