チャイナ



 古代中国。
広大な中国を支配するには、各地に邸宅を建てて足がかりとし、公使を送り込むことで発言力を増してゆかなければならない。
しかし他の陣営も同じことを考えているのである。

 今のところシャハトの作品の中では一番気に入っている陣取りゲーム。
しかしやっぱりシャハトらしく、配置のルールが摩訶不思議な感じ。



 ゲームボード。
ボードはリバーシブルになっており、片方は2〜4人用、もう片方は4〜5人用となっている。
これは2〜4人用の面だが、見た目はどちらもほとんど変わらない。
 道の途中にちょこちょこ描いてある家の絵のところに、邸宅を配置する。
各地域の丸で囲った竜の絵のところには公使を配置する。
それらの配置具合で勝利ポイントが入ったり入らなかったりする。
ボード上から左に伸びているのは万里の長城風得点表示欄(笑)。

 プレイヤーには手札が3枚配られ、場にはカードが4枚公開される。
手番には手札を自由に使ってコマを配置した後、場札か山札から手札が3枚になるように補充する。


 カードの例。
出したカードの色の地域にコマを配置することができる。
また2枚同じ色のカードをそろえれば、任意の色のカードとして使用できる。


 赤のプレイヤーが、緑のカードを出して、邸宅を1つ配置。
こんな感じ。

 このゲームの特徴の1つが、実に摩訶不思議な配置ルールである。
いくつかの条件がある。
 まず1ラウンドに配置できるのは、1つのエリアのみ。
画像の例では、Hanエリアに配置したからには、このラウンドには他のエリアには配置できない。
 同じ場所にはプレイヤーに関わらずコマを1つしか配置できない。
ここまでは分かりやすい。
 もう1つ。
まだ1つもコマが配置されていないエリアにコマを配置する場合は、1つしか配置できない。
カードの内容によっては、同時に2つまでのコマを配置できるのだが、そのエリアにまだ誰も配置していなければ、とにかく1つしか配置できないのだ。
 1エリア内の邸宅配置マスが全て埋まったら、その時点でゲームが中断され、そのエリアの勝利ポイントが計算される。
勝利ポイントの計算法については後述する。


 キノコのような形の公使に関しては、また異なるルールがある。
公使は邸宅と違い、竜のマークのマスにプレイヤーに関わらず複数配置することができる。
しかし1エリアにおける公使の数は、そのエリアの同色の邸宅の最大数以下に限られるのだ。
 画像は赤が黄色のカードを2枚出して、邸宅を1つと公使を1つ配置したところ。
赤も緑も邸宅の数は1つなので、現在このエリアに置ける公使は1つ。
更に邸宅を増やさない限りはこれ以上公使を置くことはできないのだ。

 こっちの例では、Hanには赤の邸宅が2個、黄色の邸宅が1個置かれている。
結果同色の邸宅が最大2個置かれているので、Hanには公使を2コマで置くことができる。ただしこっちはプレイヤー全員の合計数を指すので、画像の状態ですでに定員である。

 1つのエリアの邸宅配置場所が全て埋まると、ゲームは一端中断されてそのエリアの点数計算となる。
画像では5つの場所全てが埋まったので、点数計算をしなければならない。
 このゲームのもう1つの特徴が、なんとも悩ましい点数計算ルールである。
そのエリアに一番多く邸宅を置いているプレイヤーには、そのエリアの邸宅配置場所の数と同じだけの点数が入る。
画像の例では、場所は5つなので、最も多く邸宅を置いている緑が5点を得る。
2番目に多く邸宅を置いているプレイヤーには、1番多く置いているプレイヤーの邸宅の数だけ得点できる。
画像の例では緑が2個置いているので2点である。
画像では赤、青、黄の3人とも1個ずつ置いているが、3人とも2位として1位のコマの数だけ点数がもらえる。
またもし3位の人がいたとしたら、2位のコマの数だけ得点できるのだが、上記のような状況でも、人数分のスキップ無しで3位の点数を得る。
要するに勝利ポイントをもらえないのは、そのエリアにコマを置いていない人だけなのだ。
邸宅は例え1位になれなくとも、1エリアに最低1つは置くべし、である。

 計算結果は盤の上から左に続く万里の長城型得点表示ボードで表される。
緑が1位で飛び出しているが、他の色も2点得点しているのが分かると思う。
 計算が終わると、黒くて丸いマーカーをそのエリアに置いて、計算が終わっていることを示す。
これがないとたまに計算したのかどうか分からなくなるのだ(笑)。


 そんなこんなでゲームが進み、山札が2回無くなるか、コマを置く場所が無くなったらゲーム終了である。
ゲーム終了時には、未計算のエリアの邸宅の点数計算と、公使の点数計算、そして道の点数計算が行われる。
それらの合計が最も高かったプレイヤーの勝利である。

 公使の得点計算は、盤上に記された数字の順番に行われる。
それを明確にするために、皇帝コマを数字の上に置いて計算の進行具合を示すようになっている。
 公使は隣国と同盟関係を築くことによって得点する。
画像では1の国境の点数計算を行っている。
Yanエリアには黄色の公使が1個。国境を挟んでいる黄色のエリアには、赤と緑の公使が1個ずつ置かれている。
この場合、どちらのエリアにも公使を置いている色は無いので、得点は全員0である。

 こちらの例では、WeiエリアとChinエリアの得点計算を行っている。
青の公使がどちらのエリアにも存在している。
しかしこの場合でも得点は0である。
それぞれのエリアの最大公使数という条件を満たしていないと、得点できないのだ。

 こちらはChinとShuエリアの計算を行っている。
この場合は両エリアに赤と青が1つずつ公使を置いている。
1つとは言えそれを上回る数の公使を置いている他の色はいないため、どちらも最大公使数の条件を満たしている。
 公使が両エリアで最大数条件を満たした場合、両エリアの色に関わらない公使の合計数が得点出来る。
画像では赤も青も4点ずつ得点するわけである。
 この計算法により、邸宅は1エリアにとにかく1つは置くべきだったが、公使は置くからには最大数を目指し、更に隣接したエリアに集中して配置するべきということが分かる。
最大数を取れないのであれば、置くだけ無駄と言うことである。


 そして道の得点計算がある。
最低4個の邸宅を道で連結させると、連結させた邸宅1個につき1点になるのだ。
実に微妙な配置ルールとその点数計算と比べると、あまりにもストレートでシンプルで逆にびっくりしてしまうが、実はこれも大きな得点源となる可能性がある。
他と比べると邪魔されずにコツコツと得点を重ねられる可能性が高いので、もしかしたら得点の効率は一番いいのかもしれない。
 ちなみに画像では道の得点は発生していない(汗)。


 ちうわけでなんとも変わった雰囲気のゲームである。
それはシャハトの特徴とも言えるが、ゲームシステムがなにかをシミュレートしている気配が全然無い(汗)。
この点では有名なクニツィアを上回る唯一の存在かも知れない(笑)。
しかしだからこそ、シャハトにしか作れないゲームを作っているし、独特の面白さを創り出しているとも言える。
そんな中でこの「チャイナ」は、まだしも最も設定とシステムが(雰囲気的に)合致しており、シャハト初心者向けのよくまとまったゲームだと思う。
そう言う化夢宇留仁は最初に書いたが、今のところ彼の作品の中では一番好きなゲームである(笑)。

気楽さ 4
言語依存 0
ソロプレイのしやすさ 4
 カードプレイがあるので完全にソロプレイ向きとは言えないのだが、ヘンテコな配置ルールの妙もあって結構楽しめる。
化夢宇留仁の好き度 5

20100514