エジツィア



 ナイル川に沿って船を並べ、ピラミッドやらオベリスクやらを建設するゲーム。
労働力の確保や、その食料の調達、スフィンクスの謎かけなど、様々な要素が詰め込まれている。



 3人プレイのゲーム開始直後の様子。
 プレイヤーの主な目的は、ピラミッドをはじめとした建造物の建築によって勝利ポイントを稼ぐことである。
その為には労働者が必要だが、労働者を維持するには食料が必要で、食料を確保するには畑が必要。そして畑を維持するには水が必要なのだ(笑)。
また労働者だけでは建築物はできない。勿論資材(この場合は石材)が必要なのだ。そして石材を手に入れるには、勿論石切場を確保しなければならない(笑)。
とまあこんな感じで色々な要素がある。
しかしその辺はメインではなかったりする。
このゲームのメインは、ナイル川に沿って行われるワーカープレイスメントである。
ボードを斜めに横切っているのがナイル川で、その脇にカードが配置され、その上または建設現場にコマを置いてゆく。
一ひねりしてあるのが、コマを置く時に川の流れに逆らってはいけないというルール。
いったんコマを置いてしまうと、その上流には置けないのだ。
なので普通のワーカープレイスメントと同じく他のプレイヤーがコマを置いたマスにはコマが置けないのに加えて、いったん川を下ってしまえば上の要素は選べない。結果欲しいカードや特典でも、それよりも欲しいものが下流にあると、それらが上流に置き去りになってしまうケースが発生する。
なかなかのジレンマである。
 選ぶ要素も様々で、食料や石材を確保したりできるカードを取るか、労働力を上げたり出来る特典マスを選ぶか、またはそれらを駆使して建築を行うかと、悩む要素が満載である。
その分ゲームラウンドはたったの5ラウンドと、重すぎることにならないよう配慮はされているが、それでもプレイ中は実に濃厚な時間となる。



 建築現場は3つあり、ピラミッドと神殿、オベリスクと墓、そしてスフィンクスの3箇所なのだが、実はスフィンクスはすでに完成していて、ここだけは建築現場ではない。
スフィンクスのマスにコマを置くと、スフィンクスからお題がもらえ、ゲーム終了時にそのお題をクリアしていると高得点をもらえるのだ。
スフィンクスの得点は強力で、ここを取らずに勝利するのは非常に困難である。
 各プレイヤーの手前にあるのがステータスボードで、労働者と資材の数が示されている。仕方なく労働者のレベルを上げてゆくが、石切場のカードの確保にも失敗し、建築にもイマイチ結果を出せない状態が続く。
労働者が増えればそれを維持するために必要な食料も増えるので、注意する必要がある。


 ゲーム中盤の建築現場の様子。
各プレイヤーが資材を配置して、建築を進めているのが分かる。
 緑はピラミッドの建築に力を入れており、段毎のボーナスも首尾良く獲得している。
 赤はオベリスクに力を入れているが、ここは大したボーナスもなく、厳しい。
 青は全然建築していないように見えるが、実はカードの助けもあっていいスフィンクスカードを獲得しまくっている。
スフィンクスのお題には、誰が作ったかに関わらず、これこれの建物がある程度のレベルに達していたら勝利ポイントを獲得というような内容が多く、人の努力で得点できるのだ。オベリスクなどそのいい的である(汗)。
だいたい普通の建築だと、労働者1ポイント、石材1ポイントを消費してやっと建築1レベルを成し、それに対して1勝利ポイントがもらえるのだが、スフィンクスカードは同じ消費で5〜10ポイントになる可能性があるのだからスフィンクスが得に決まっている(条件を満たさなければ0点なのだが、やはり割のいい賭けである)。



 1〜2ラウンドで使用するカード。
カードのデザインはそのゲームの面白さに大きく影響すると思うが、このゲームのそれは合格点。雰囲気があって視認性もいい。

 このカードの中に、ゲームバランス的な問題点を確認した。
スフィンクスが絡んだカード2種の内容がどうもおかしい。
1〜2ラウンド目で手に入る可能性のあるカードに、使用条件「常時」で「スフィンクスカードを2枚手に入れる」というものがある。
「常時」とは毎ラウンド効果を発揮するということで、そのまま適用して1ラウンド目で手に入れると、ゲーム終了時にはただでスフィンクスカードを8枚追加できるのだ。
どうやってもそのプレイヤーが勝つに決まっている。
 またもう1枚のカードは最終5ラウンド目で手に入るもので、「任意」で「スフィンクスカードを2枚ただでひける」というもの。
こちらはカードを引く枚数は増えるが、手元に残せるのは通常通り1枚のみである。「任意」とは好きなタイミングで使用し、使用したら捨て札にするカードである。
ゲームバランスから考えれば、このカード2枚は内容が逆になっていると考えるべきだろう。5ラウンド目で「常時」は意味がないが(汗)。
そうでなければ、せめて最初のカードはスフィンクスの現場を押さえた時のみ使用でき、取得できる枚数は変わらないとするべきだろう。
それかそもそも件のカードはぬいてしまうか。

 他にも天候の影響など、説明しきれていない部分も多いが、なにしろ要素の多いゲームなのだ。
したがってゲーマーズゲームということになると思うが、ルールはシミュレーション要素に基づいたものがほとんどなので覚えやすく、一度始めてしまえば誰でも問題なくプレイはできると思う。
雰囲気の良さ、システムの面白さ、どちらも高いレベルでまとまった好ゲームなので、上記のカードのバランスの悪さだけは非常に残念なところ。
しかしそれを含めても何度もプレイしたくなる魅力を持ったゲームだと思う。

気楽さ 2
言語依存 4
 カードにテキストがある。
ソロプレイのしやすさ 3
 ワーカープレイスメントはソロプレイに問題はないものの、ゲームの根本を体験するのは難しい。
化夢宇留仁の好き度 4

 説明書を見ながらプレイするのが煩わしかったので、カードの日本語化シールを作成した。
どれがどのシールか分かりにくいと思うが、背景もそれなりになじむように作ってあるので、よければ使ってみてほしい。

カード日本語化シールPDF

20110507