ヘビーメタル



 当時富野のロボットアニメを片っ端からウォーゲーム化していたツクダホビーの戦闘級ウォーゲームシリーズの1つ。
本作では「重戦機エルガイム」の前半の戦いを再現している。
 相変わらずの行動プロット式のシステムだが、流石にシリーズを重ねているだけあって、本作である程度の完成点に達したのではないかと思う。



 マップはハードマップ4枚と豪華で、並べると普通のコタツには収まりきらないサイズ。
美しいとは言い難いが、平地と森というTVに則しつつ射撃戦に特化したシステムにマッチしたマップと言える。
また「オーラバトラー」「ウィングキャリバー」と比べるとヘックスが小さく、それだけでも射撃の長射程化と移動力の増加が伺える。


 ユニットもヘックスが小さくなった分、小さくなっている。
武器やパイロットもユニット化されているのは相変わらず。
そしてテレビの配色を再現したカラフルなデザインも。

 ゲームの手順は「オーラバトラー」と酷似している。
最初に行うオーラ力の判定が、余剰エネルギー生産に変わっただけである。
大きく変わったのは地上戦であること。各ユニットの機動力が上がったこと、射撃の射程が長くなったこと、である。
地上戦になって機動力も上がったことで、遮蔽物の影から敵の背後に回り込んだりという戦術が活かせるようになり、射程がのびたことでリアルな戦いが表現でき、また接近戦を行おうと思えば射線をかいくぐらなければならない駆け引きも生まれた。
射撃に関しては更に同時に複数の射撃が行える機体も登場し、描写力も向上した。

 総合的に見れば、一定の完成度に達した感のある本ゲームだが、もう一つ地味な印象はぬぐえない。それは題材になっている作品自体が今ひとつパッとしないというのも大きいが、ゲーム的には被害判定方式が原因だと思う。
被害判定は「オーラバトラー」と変わらず、命中部位判定の後、装甲と威力を比べてダメージを出し、それが耐久力を越えればその部位が破壊されるというもの。
敵の放ったパワーランチャーのエネルギーを吸収するという特殊なルールはあるものの、大きくゲームに影響するほどではない。
また舞台が地上になったのと、TC面積(余剰エネルギーの生産に影響する)が脚は大きく設定されているので、脚への命中も意味が出て「オーラバトラー」よりはずいぶんマシにはなっているのだが、やはりザコがなかなかやられてくれないじれったさはテレビの印象と違いすぎる。
これを解決するには、更にあとのシリーズを待たなければならない。

気楽さ 3
言語依存 3
ソロプレイのしやすさ 2
 なせばなる(笑)。
化夢宇留仁の好き度 4

20100606