蒸気の時代 「蒸気の時代」では、プレイヤーは鉄道会社の経営者となり、線路をひいて商品を運んで儲けを出し、最終的に最も収入と路線長が長いプレイヤーの勝利となる。 |
ゲーム開始状態。 各プレイヤーはスタート時点で株式を2発行している。 1株につき5$手にはいるので、最初の所持金は10$である。 各所にある色の付いたキューブは商品。 これを同色の都市に運ぶことで収入を得られる。ただし一度収入を得るとそれは累積してゆくので、キューブは単純に商品と考えるよりも、メーカーや農地との契約、または人口と考えた方がいい。 ゲームターンはいくつかのフェイズに分かれている。 最初は株式発行フェイズ。上記の株を好きなだけ発行できる。 しかし株は前述の通り借金であり、毎ターン1株あたり1$の配当金を支払わなければならない上に、ゲーム終了時には1株あたり3ポイントも勝利ポイントを引かれてしまう。しかし株を発行しないと一文無しで経営不可能と、いきなり厳しいジレンマに放り込まれるのだ。 |
2フェイズにはそのターンのアクション選択順を決める競りが行われる。 画像の一番下の列が順番を表している。 この競りには勿論借金である資金が使用され、降りる時もさっさと降りないとお金を支払わされるという厳しいルール。 しかしそれでも次のアクション選択は非常に重要なので、なんとか1番を取りたいところ。 ちなみに画像の左上は点数を表すコマで、その下が現在の株の発行数、その下がエンジンパワーを表している。 |
3フェイズにはアクションを選択する。 画像の商品表の下に7つ並んでいるのがアクションで、勿論早い者勝ちである。 「優先輸送」「優先施設」は、続く各フェイズに競りで決めた順番を無視して最初に各アクションを行える。 「エンジニア」は輸送フェイズに通常1ターンに3枚しか配置できない線路タイルを4枚配置できるようになる。 「機関車」は直ちにエンジンパワーを1上げることができる。 それによって輸送できる区間が増えるのだが、維持費として毎ターンの支払いも増えることになる。 「都市化」はボード上の白丸(町)を都市に成長させることができる。 新都市には専用のタイルが用意されており、これも早い者勝ちで、欲しい色の都市があるなら早めに選択する必要がある。 「商品補充」は、商品表の空きマスに商品を追加することができる。 画像では空きマスは無いが、ゲームが進むに連れてここから商品がボードに補充されて減ってゆくのだ。 「パス」は次の順番決めの競りの時に、1度だけ降りずにパスができる。 通常は1度降りてしまうと一番最後の順番になってしまうのだが、最高額を見極めてからの選択が可能になるのだ。 |
4フェイズは施設フェイズ。 5フェイズは商品輸送フェイズで、都市から都市へ商品を運び、収入を得る。 6フェイズはお待ちかねの収入フェイズ。 7フェイズは支払いフェイズ。 |
8フェイズ 収入減少フェイズ。 直前に書いた希望を粉砕するようなフェイズ(笑) 線路などの備品は劣化してゆくので維持管理費がかかり、収入の数値に応じて収入が減少してしまう。 画像の外周のボックスの色が収入減少レベルを示しており、例えば収入が24あれば、隣に書いてある-4の通り、収入が4減少してしまうのだ。 |
9フェイズは商品補充。 10フェイズは終了フェイズで、ターンマーカーを1進める。 というわけで実に厳しいバランスの経済ゲームとなっている。 |
2ターン目の様子の例。 上記の通り赤が2区間確保し、しっかりエンジンパワーも2に上げている。 エンジンパワーを上げると支出が大きくなってきついのだが、後々のことを考えるとやはり有利だと思う。 青は他のプレイヤーの間を縫うように路線をつないでいる。 これは商品の取り合いになるのでリスクがあるが、他のプレイヤーの路線を利用して遠くの荷物を運ぶこともできたりというメリットもある。 紫は他のプレイヤーと絡むのを嫌ってボード右端に独自路線を形成。早速「都市化」で青の都市を配置している。 |
各路線が入り交じってなんだかよく分からないことに(汗) 紫は北に路線を延ばすのは成功したが、西への出口を青に手をつけられてしまい、焦る。 1つの都市に線路をつなげられるのは、6線路まで。つまり1ヘックスサイドにつき1本なのだが、青とつながっている都市の残りのヘックスサイドはあと1つしか無いのだ。 このゲームはやってみると分かるが、とにかくマップが狭い。 その分路線に必要なスペースの取り合いが激しいわけ。 4人でもきゅうきゅうだが、更にこのゲームは6人までプレイできるのだから恐ろしい(汗)。 |
勝利はやはり赤。黒は収入と株式発行の合計数では紫と同じだったのだが、線路数で差がついて2位。 |
日本語版の本作には、おまけで2つの追加マップがついている。 その1つが画像の「セントルシア島」 2人用のマップで、本来のルールと根本的に違うのが、荷物がマップ上の街と山以外のヘックスにあらかじめ配置され、その後の補充は一切無いと言うこと。 計画的な開発と、もう1人のプレイヤーへの牽制が必要になる。 |
もう1つが1人用シナリオマップ「バルバドス島」 EFGHの都市タイルと紫の荷物は使用せず、補充量も少ない。 マップにはやたらに黄色の都市が。 アクションは「エンジニア」「機関車」「都市化」「商品補充」の4種類しか選べず、しかも選ぶのに使ったコマは置いたままになり、4種類全部選び終わってやっと取り除かれる。 これで10ターン後に発行した株を全て買い戻し、お金が残っていれば勝利。 ゲーム毎のランダム要素は配置される荷物とその補充時のサイコロのみだが、これがなかなか大きい。 この時は偏った色の配置になり、比較的容易になっていたと思う。 6〜7ターンくらいまでギリギリ赤字にならないという状況だったが、その後なんとか軌道に乗り、最後の商品補充もなんとか成功し、10ターン終了時の株式発行数は6。 最後の所持金から6株分の金額30を引いた残りは・・・・ 29! なんとか勝利。そしてなかなか悪くない結果だと思う。 運の要素もあるが、やはりじっくり考えて進めるのが楽しい。 |
「蒸気の時代」はとても面白い。 たまにこういうボリュームのあるゲームをプレイすると、実に大きな満足感を感じることが出来る上、 特にこのゲームはテイストにどこかウォーゲームの香りがあり、その辺も影響しているのだと思う。 ところで、このゲームの日本語版の取説に大誤訳がある。 それは商品補充のところで「最初に、左側の表の商品を使用します。それがなくなったら、右側の表の商品を利用します。」とはっきり書かれている。 結果右側の黒に白抜きの数字のついた都市には商品がほとんど補充されず、おかしいとは思っていたのだ。 そこに「すごろくや」で本ゲームにゲームバランスに影響する重大な誤訳があるとの情報を見つけ、やはりこれのことかとどこがそうなのかを探した結果、バネスト版の取説を読んでみたらこう書いてあった。 「アクション表示カードは2つのパートに分かれています。左側が西側セクション、右側が東側セクションになっています。各セクション毎に商品の追加を処理していきます。最初に西側の処理を行い、その後に東側の処理を行います。」 やはりここが間違いだったのだ(汗)。 アークライトのホームページでは6月25日になってようやくエラッタが公開されたが、こんな重大な間違いは流石に発売前に気付いてほしいぞ。 ちうわけで問題もあったが、やはりとてつもなく面白いゲームなので、年3〜4回くらいはプレイしたいと思っている。 気楽さ 3 20120813 |