メキシカ

 クラマー&キースリング作の、「ティカル」に始まる仮面シリーズの1つで、古代アステカ人の巨大都市建設をテーマにした、陣取りゲームの傑作である。

 プレイヤーは川を配置、移動、建物の建設などを行い、指定された面積のエリアを多数所有することを目指す。


 3人プレイ時のゲーム開始直後の様子。
右下にあるのはエリアマーカーで、全15枚の内、8枚が並べられる。
残りの7枚は後半戦で使用する。
 プレイヤーは1ラウンドに6アクションが与えられ、それを消費して様々なアクションを行う。
アクション内容は以下の通り。
●移動(1マス1アクション)
●川の配置(1タイル1アクション)
●橋の配置(1アクション)
●建物の建設(建物の段数分のアクション)
●任意の位置に移動(5アクション)
●アクションマーカーの購入(1アクション、最大2マーカーまで)
アクションを消費しない行動としては、「エリアの形成」「エリアの完成」がある。

 エリアの形成は、川の配置によって行われ、通常ゲーム中に意識されることはない。
例えば左図のように、川で囲まれたエリアを形成する行為そのものを指すのだ。
左図では面積13のエリアが形成されている。
川の配置は自分のコマの位置に関わらず行うことが出来る。


 「エリアの完成」は、自分のコマがそのエリア内にいて、形成されたエリアの面積と等しいエリアマーカーが存在する場合のみ行える。
左図の場合、ちょうど13のエリアマーカー(右下)があるので、上の白コマは「エリアの完成」を行える。
 「エリアの完成」を行うと、そのエリアマーカーをエリア内に配置し、黄色の数字の得点が入る。例の場合は7点が白のプレイヤーに入ることになる。


 左図ではオレンジが8、茶色が12の面積のエリアを完成させ、それぞれ4、6点を得ている。
 またエリア内に建物が建てられている。
建物は前半戦では、各プレイヤーに、1段3個、2段3個、3段2個、4段1個が与えられる。
建物は直接得点になるわけではないが、ゲーム中2回の決算時に、そのエリアの所有権を左右し、決算得点に大きく影響する。
具体的にはそのエリアの最大階数の者には中央の青い数字、2番手には黄色、3番手には下の白い数字の得点が与えられるのだ。
したがってエリアのトップ階数を目指すのは勿論だが、トップが無理でも建物を少しは配置しておいた方が得点につながるということになる(4人プレイの場合は建物を配置していても得点にならない場合もある)。
ちなみに階数が同点だった場合は、同等の得点が与えられるが、その次の順位は飛ばされることになる。

 1アクションを使用して、橋を配置することもできる。
橋は陸と陸をつなぐ形で川の上であればどこにでも配置できる。
橋タイルが足らなくなったら、すでに配置されている橋を動かして再配置する。
橋があれば川を渡ることができるのは勿論だが、もう一つ重要な移動手段の基点にもなる。


 それが船での移動で、橋から川でつながっている隣の橋までを、1アクションで移動できるのだ。
図では船での移動を利用して、7マス離れたところに3アクションで到達している。
複数の橋を経由することも出来る。

 ただし移動について気をつけなければならないルールがある。
他のコマ、建物、エリアマーカーのあるマスには入れないのだ。
これによって建物やマーカーの配置、それに自分のコマの位置によって他のプレイヤーの移動を大きく制限することができる。
ちなみに船での移動の時のみ、他のコマがいる橋も通過点として利用できる。
また5アクション使用することで、ゲーム盤上の任意の位置に移動することも出来る。


 1アクションを消費することで、1ラウンドに最大2まで、アクションマーカーを購入することもできる。
これは次以降のラウンドで追加のアクションとして使用できるというもので、いざというときに頼りになる。 



 前半戦が終了した様子。
前半戦は全てのエリアマーカーがボード上に配置され、更にプレイヤーの誰かが建物を全て配置したラウンドを最後までプレイして終了する。
前半戦が終了したら、建物の段数による各エリアの所有権によって得点計算し、後半戦が始まる。
ボーナス得点として、前半戦が終了した時点でコマがスタートエリアに戻っていれば、追加で5点を得ることができる。
 後半戦では新たに7枚のエリアマーカーが準備され、更に各プレイヤーに建物が1段3個、2段2個、3段2個、4段2個が与えられ、前半戦と同じようにゲームを進めてゆく。



 後半戦が終わった状態。
空っぽだったボード上に塔が立ち並んでいる様は壮観である。
後半戦が終わったら、前半戦と同じように得点計算を行う。
ただし後半戦の決算時のみ、完成されていないエリアでも点数計算が発生し、段数トップにはそのマス分、2位にはその半分(切り上げ)、3位には更にその半分の得点が与えられる。
したがって完成されないエリアへの建物の建設も重要になる。
最終的に得点マーカーが一番進んでいる者の勝ちである。


  クラマー&キースリングの陣取りゲームは、「ゲームのためのルール」がうるさくて、覚えにくく、化夢宇留仁には合わないものが多いのだが、本作は実にすっきりとまとめられていて、ルールも覚えやすい。
ただしなにをどうすれば有利なのかは実に分かりにくく、特に初めての人がゲーム開始時には、だだっぴろいゲーム盤上でなにをしたらいいのか途方に暮れるのは確実(笑)
しかしやはり完成度の高さはピカイチで、見た目も楽しくプレイ時間も短めなので、何度でも遊びたくなる面白さがある。

気楽さ 3
 大げさなコンポーネントに少し圧倒される。始めてみればサクサク進んで気楽なのだが。
言語依存 0
ソロプレイのしやすさ 4
 システム的には全く問題ないのだが、相手の動きによっての影響が大きい。
化夢宇留仁の好き度 4

20110718