プエルトリコ

 名作と名高い本作は、19世紀のプエルトリコ開発をテーマに、まさにリソースマネジメントの完成系と言える部分と、アクション選択による駆け引きという2大柱でまとめられたゲームである。



 ゲーム開始直後の様子。
スタートプレイヤー以外は、各自畑を1種開拓された状態でスタートする。


その少し後。
本来お金を置く場所であるバンクに、生産品コマを置いている。
コマが足りないと生産できないことがあるので、目立つところに置いておきたかったのだ。
 このゲームで勝利するためには、ゲーム終了時の勝利点が一番多くなる必要がある。
勝利点を稼ぐには大きく2つの方法があって、1つは建物を建てることである。
建物には固有の勝利点が設定されており、中には特殊能力によって更に勝利点を増やすことができるものもある。
 もう1つの方法は、生産物を輸出することである。
輸出した生産物1つにつき、勝利点1点になる(更にボーナスがつく場合もある)。
 建物を建てるためにはお金が必要であり、生産物を輸出するためには勿論生産物が必要である。

 お金を得るためにも大きく2つの方法がある。
1つは生産物を売却すること。
 生産物の売却は1手番に1個だけ行え、画面左上の3色のコマが置かれたボードで行われる。
しかし売却するには様々な制限があり、基本的にすでに売却ボードに置かれている生産物は売ることができない。
 もう1つは後述するアクションの選択によってお金を手に入れる方法である。
また特定の建物の特殊能力によってお金を得ることもできる。

 生産物を作るには、結構な手間が掛かる。
画面手前の緑のエリアに配置されているのが畑(プランテーション)である。
まずは畑がないと始まらない。
 そして画面中央にある横長のタイルが建物で、それぞれサトウキビ加工工場と、インディゴ加工工場である。
つまり畑だけではなくて、収穫物を加工する工場も用意しなければならないのだ。
ただしトウモロコシ畑のみは例外で、工場は必要なく、畑さえあれば生産物を作ることが出来る。
 更に、タイルに乗っている茶色の円盤は労働者である。
畑であれ工場であれ建物であれ、全ての施設は労働者を配置して初めて機能するのだ。
ちなみに労働者は売却ボードの下の船に乗って、次々にプエルトリコに到着する。


 このゲームのもう1つのキモが、後に「サンファン」や「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」、更には「アド・アストラ」などに引き継がれるアクション選択システムである。
 画像がアクションカードで、毎ラウンドこの中からアクションを選ぶことになる。
 まずそのラウンドのスタートプレイヤーが選択する。
そしてそのアクションをプレイ。その後他のプレイヤーもそのアクションをプレイする。
ただしアクションを選んだプレイヤーには特典がある。
 次にスタートプレイヤーの左隣のプレイヤーが、残りのアクションカードからアクションを選ぶ。
そうして全員がアクションを選んで全員がそのアクションを行う。
その結果、プレイヤーの人数分のアクションカードが選択されることになる。
次のラウンドには、前回選択されなかったアクションカードの上には1ダブロン硬貨が置かれ、選択したら手に入れることができるようになる。
 アクションは左から「開拓者」
これを選ぶとプランテーションを開拓できる。
「建築家」では建物を建て、「市長」は労働者を配置、「監督」で生産物を生産し、「船長」で生産物を輸出、「商人」で生産物を売却できる。
「金鉱堀」はプレイヤー4人以上の時のみ使用するアクションで、1ダブロン手に入れることができる。
これらのアクションの選択が非常に重要で、ゲームの勝敗を大きく左右するのだ。


 この時のゲームでは、中盤でみんなが資金繰りに苦労していた。
というのも最初期に売却ボードに配置されたトウモロコシ、サトウキビ、インディゴが一切動かず、生産物を売却できなかったのだ。
売却時、すでに売却ボードに置かれている生産物は売ることができず、プレイヤーの誰も上記3種以外の作物を生産できなかったのだ(笑)。
その上売却ボード上の生産物はボードが一杯にならないといつまでも廃棄されないので、まさに膠着状態。
 縛りの厳しいゲームで、自分の行動が他のプレイヤーの得になるケースも多いので、こういうことが起きる。
ここは我慢のしどころである。


 このゲームの終了条件はいくつかあるが、その内の1つが用意された勝利ポイントチップの枯渇である。
つまり誰かの決断でゲームが終了することがあるわけで、その時は勝っているのか、そうでなければ逆転の目があるのか、慎重に判断する必要がある。


 この時はぎりぎりで化夢宇留仁の勝利となった。
建物は最下位だし、まさに輸出による勝利点先行だけでなんとか逃げ切った(笑)
それにしても見事に全員得点が僅差だったのが、流石に名作と言われるバランス設計である。

 この時ひさ〜〜〜しぶりに勝ったと分かった瞬間「勝った!」と声を上げてしまった。
それだけ夢中になっていたということだと思うし、それまでの経過を勝利に向けて集中できていたということである。
やはりこのゲームはただ者ではない。
結構複雑なルールではあるのだが、非常にシステマティックに仕上がっていて、それをすぐに理解できてスムーズにゲームが進むのも素晴らしい。
死ぬまでに1度はプレイすべきゲームである。

気楽さ 3
言語依存 3
 タイルに説明文があるが、最近は日本語化タイルをつけて販売してくれている。
ソロプレイのしやすさ 4
 特に問題はないが、プレイヤー間の駆け引き要素が強いので、対戦したい。
化夢宇留仁の好き度 5

20120923