サンクトペテルブルグ

 一見ボードゲームのようだが、それなしではゲームが成り立たないわけではなく、要するにカードゲームである。
プレイヤーはサンクトペテルブルグの陰の実力者となり、職人を働かせて金を作り、その金で公共の建物を建てたり貴族を引き込んだりして、権力(勝利ポイント)をのばしてゆく。
 お金と勝利ポイントは毎ラウンド計算して追加され、ゲーム終了時には協力を得ている貴族の種類の多さに応じて勝利ポイントが入る。
ポイントはゲーム中のお金と勝利ポイントのどちらをとるかのジレンマで、早く多くの勝利ポイントを生み出す建物や貴族をそろえたいが、それらは高額で、買ってしまうとしばらく身動きがとれなくなってしまう。
ほしいカードを一時的に確保できる手札も、たった3枚までしか持てない上に、ゲーム終了時まで残ってしまうとマイナスポイントになってしまう。
色々なジレンマがちまちまと(笑)楽しめるゲームである。


 3人プレイのゲーム開始時の状態。
緑のカードが職人、青が建物、オレンジが貴族、3色混ざっているのがバージョンアップカード。
バージョンアップはすでに公開しているカードに差額を払って取り替えることで初めて公開できる。
 職人、建物、貴族、バージョンアップはそれぞれのフェイズがあり、どのフェイズでもプレイヤーができることは変わらないが、職人フェイズには職人カードがめくられ。フェイズ終了時には職人カードの点数のみ計算するというシステム。
 通常はカードをめくるときには場のカードが8枚になるようにするが、3人プレイの場合は最初は6枚の職人カードがめくられる。
最初のフェイズで持っている職人の数に差が出ると、それがそのまま収入の差になってしまうので、プレイヤー人数で割り切れる数に調整しているのだ。
とにかく金が無いとなにもできないゲームなのである(笑)。
ちなみに2人から4人までプレイ可能である。


 これが職人カード。
左上の数字が購入コストで、左下のコインが職人フェイズ終了時に獲得できるお金である。
右上にマークがあるが、これはバージョンアップ時に対応するカードを確認するために用いられる。
毛皮職人はいきなり船大工にはなれないのだ。
ただし一番右のおっさんだけはどんな職人にもバージョンアップできる。
このお方こそピョートル大帝であり、そのお力添えをいただけるのはなんとも光栄なことなのだが・・・・基本的にコストが高すぎて見向きをされないカードである(笑)


 こちらは建物。
建物は主に勝利点を獲得できるカードで、建物フェイズ終了時に公開している建物の合計勝利点を獲得する。
しかし中には特殊なものもあって、例えば下列の左から2番目のカードは、本来3枚の手札を4枚にできる。
お金はないけどとにかく人に取られたくないカードがある場合は手札として確保するわけだが、それが4枚までできるとなれば心強い。
もちろんゲーム終了時に未公開のままで終わってしまい、ペナルティを喰らう可能性も高まるのだが。
 その横の望遠鏡は、最強の建物と言われるカードで、建物フェイズ終了時に勝利点を獲得する代わりに好きな山札から1枚めくって獲得することができる(お金は必要)というもので、もしお金が無ければ手札にするか、捨て札にすることも出来る。
 このように強力な建物だが、買う時には注意が必要である。
有用な建物は建物フェイズ開始直後に売れてゆくが、その後に貴族フェイズとバージョンアップフェイズが控えており、貴族を買っていなければ、基本的には次の職人フェイズ終了時まで収入タイミングがない。
つまり建物で散在してしまうと、その後のフェイズでなにもできなくなってしまう可能性があるのだ。

 貴族さんたち。
貴族は主に収入につながるが、職人と比べるとコストパフォーマンスが悪い。
しかしゲーム終了時に貴族の保有数に応じて大きなボーナスが入るので、無理をしてでも手に入れておきたいカードである。
しかしその中でも最もコストの高い右下のカードは、あまりにも強力たため、ゲーム序盤で手に入れれば勝利間違いなしと言われている(汗)
 ちなみに化夢宇留仁の参加するゲームでは、貴族は左上からキリスト、ハゲ、パンチ、金髪、ヒゲ、バッハ、おばさんと呼ばれている(笑)


 バージョンアップカードの一部。
バージョンアップカードは、すでに持っているカードとの差額を支払って元のカードを廃棄することで公開できるカードだが、建物は建物。貴族は貴族。そして職人はその職種が合致していないと公開できない。
条件が厳しい分強力なカードが多いのと、貴族はバージョンアップでしか手に入らない者がたくさんいるので、勝敗に大きく左右する。


 ゲームが終了した状態。
各プレイヤーが職人、建物、貴族を公開しているのが分かると思う。
あとは最後の貴族ボーナスを計算するだけである。
この時の結果は、ボードの周りの得点表示で最下位だった黄色(手前のプレイヤーで、貴族を7種類公開している)が最後の貴族ボーナスでトップの青と並び、最終的には所持金の差で勝利した。
貴族ボーナスはほんとに大きい。
しかし勝ち筋がいろいろあるのがこのゲームの売りでもあり、最初に高い建物を買って勝利ポイントの積み重ねで突き放すとか、戦い方を考えるのも楽しい。
 化夢宇留仁は買ってからさんざんソロプレイをやって(笑)、先日友人と初めて対人プレイ(その様子が上の写真)。
やっぱり対人プレイの方が面白い。当然だが(笑)。
しかしソロプレイでも展開の変化に幅があるので十分に楽しめ、寂しい化夢宇留仁にもありがたいゲームである(笑)。

 このゲーム、ドイツゲームには珍しくテストプレイが足りなかったのか、それとも確信犯か、少々バランスを欠いている感のある強いカードや使えないカードが存在する。
化夢宇留仁はそれはそれで好きなのだが、拡張セットでそのへんのカードの差し替えが行えるようになっている。

気楽さ 4
言語依存 1
 基本的にゲーム中は一切文章を読む必要は無いのだが、カードの効果を表したアイコンの意味を覚えていない内はやっぱり説明書を見る必要がある。
たくさんはないので、すぐ覚えるが。
ソロプレイのしやすさ 4
 ソロプレイに不都合なシステムは一切無いが、手札の中身を忘れがち。
化夢宇留仁の好き度 5
 現在所有ゲームが600個あまり(汗)になっている化夢宇留仁だが、今でもちょくちょくプレイするし、ベスト10に入るお気に入りゲームである。

20091025
※20120503追記