スカラベロード



 クニツィア作の、2人用トレーディングカードゲーム風カードゲーム。
プレイヤーはアンカー家かテメット家の2大勢力のどちらかとなって、エジプトの覇権を争う。
 6箇所の要素にカードを配置してゆき、それぞれの強弱を比べて勝敗を競うシステムで、パッと見「バトルライン」とか「ロストシティ」のようだが、プレイ感は全然異なる。
 中央には各要素とは別に神様を置くスペースがあり、神様は強力だが、片方の勢力が配置すると、もう片方の勢力の神様は姿を消す。
つまり相手の神様を撃退するには、こっちも神様を出すしかないのだ。
 上級ゲームでは3回戦となり、途中からデッキの一部を中立カードと入れ替えて対戦する。



 ゲームの様子。
赤のテメット家が中央に神様を配置している。
左右のカード配置エリアは、それぞれ中央から「武力」「宗教」「経済」と決まっており、それぞれの要素に対応したカードしか配置できない。
また1ラウンドは4つのフェイズに分かれており、これまた対応したカードしか配置できない。
上記の条件を満たしつつカードを配置し、左右の配置エリアでそれぞれ2つ以上相手の勢力を上回り、ピラミッドを獲得。それが1ラウンド続けば勝利となる。
画像では青のアンカー家が勝利条件を満たしているので、赤のテメット家の手番終了時にも状況が変わらなければアンカー家の勝利となる。
 カードのドローには大きな制限があり、1ラウンドなにもしないことを選んで初めて手札が6枚になるまでドロー出来る。
このドロータイミングをつかむのが最初は難しく、慣れていないとあっという間になにもできなくなって敗北と言うことに。
また自分の山札が無くなっても敗北なので、更にドローをするべきか悩まされる。


 アンカー家のカードの例。
左上のマークがカードのタイプを表しており、人2人のマークは「寵臣」、仮面は「リーダー」、ピラミッドは「建物」、天秤は「運命」である。
 その下の白抜きの数字はカードの強さであり、その下の黄色枠の中の数字はそのカードを出せるフェイズを示している。
例えば左上の「川の商人」カードはフェイズ0のカードで、フェイズ0に何枚でも出すことができる。
フェイズ1と2のカードは、どれか1枚しか出すことができない。
 フェイズを表す数字の下のマークが、どのエリアに配置できるかを示しており、赤い剣が「武力」、青いアンクが「宗教」、緑の珠が「経済」である。
複数のマークがあるカードは、その中のどのエリアにも配置できる。
右下のエリア表示の無いカードは「運命」カードで、プレイした瞬間に効果を発揮して廃棄される。要するにアクションカードである。


 テメット家のカードの例。
アンカー家と比べると、攻撃力には乏しいが、強力な「建物」が存在する。
「建物」を配置する時には、カードの上にスカラベカウンターを乗せる。
スカラベカウンターは呪いを表し、アクションを1回消費することで取り除ける。
スカラベカウンターが乗っているカードはなんの効力も発揮できないので、早急に取り除く必要がある。



 ここまでのシステムでもゲームとして機能するが、そこに大きな変化を加えるのが神様カードである。
両プレイヤー合わせて1枚の神様カードしか使えず、新たな神様がプレイされたらそれまで出ていたカードは廃棄される。
しかし逆に言えば神様は神様によってしか対抗できない究極の力でもある。
 神様の中でも特に凶悪なのがテメット家の「エンフー」で、この神様が場に出ている限り、相手プレイヤーの手札が強制的に2枚廃棄されてしまう。
元々手札制限が厳しいゲームなのに、更に2枚も廃棄されてはたまったものではなく、まさにゲームを左右するビッグイベントである。
 ちなみに右の2枚の神様は交換用カードで、上級ルールで使用する交換用デッキに含まれている。


 プレイ感は複雑で微妙になった「バベル」という感じ?
自分の手番に相手を圧倒するのが重要なのは「バベル」と同じだが、それも残りデッキ枚数や神様の残りなど、様々な状況を把握していないとあっという間に逆転されることになる。
てな感じでいろいろな要素があって実に面白いのだが、とにかくとっつきが悪く、数回繰り返してやってみないと面白さまでたどり着きにくいのが残念なところ。
特にドロータイミングを掴むのは上記の通り難しく、慣れていないとあっという間に敗北する。
逆にその辺を掴み出すと、様々な要素が絡み合う複雑な戦術を楽しむことができる。
化夢宇留仁的にはとても気に入っているゲームなので、ぜひ好敵手を見つけたい。
 ちなみに画像のカードは日本語化シールを貼ってあるので、元のデザインはもう少しマシである(笑)。

気楽さ 4
言語依存 4
 日本語化は必須。
ソロプレイのしやすさ 4

 ソロプレイも結構面白い。
化夢宇留仁の好き度 5

20120430