チケット・トゥ・ライド



 ドイツゲーム大賞を受賞した、21世紀のドイツゲームを代表する作品の1つ。
難解なゲームが多かった鉄道ゲームに、手軽なカード集めのシステムと、可愛い模型を配置することでビジュアル的にもファミリーにも受け入れられる突破口を作った。
「乗車券」というタイトルで日本語版も出ていたので、知名度もそこそこ高い。



 ゲームは1920年代のアメリカで、最も多くの路線に乗る競争という設定であり、鉄道会社経営とは関係ない。
基本的に誰かが乗った路線は、もう他の人は利用することができないので、いかに他のプレイヤーよりも速く乗りたい路線に乗るかが鍵となる。


 乗車券カードの一部。
別にこれがないと列車に乗れないわけではない。
これはボーナス得点のカードであり、列車に乗って描かれている2箇所の駅をつなぐと、書かれている数字分の勝利点が獲得できるのだ。
ただしゲーム終了時に達成できていないと、そのままマイナス得点になると言うリスクもある。


 列車カード。
このカードを区間のマス数分一度にプレイすれば、その区間の列車に乗ったことになり、列車コマを配置できる。


 例えば中央の黒の3マスの区間に乗ろうと思ったら、黒の列車カードが3毎必要になる。
ちなみに機関車はワイルドカードで、どの色の列車カードとしても使用できる。
 右のグレーの路線はどの色の列車カードでもOK。ただし同じ色のカードでないといけない。
 また路線が2重になっているところがあるが、そういう路線は4人か5人のプレイ時には2重に列車コマを配置できる。
3人までだったらどちらか1本しか使用できない。



 ゲーム開始時に乗車券カードが各自に3枚配られる。
その内1枚は受け取らずに返してもいい。
列車カードの最初の手札は4枚。
列車カードの山札からは上から5枚が公開される。
 手番には以下のどれかのアクションを行える。
1.列車カードを2枚引く。
公開されている5枚の中から選んでもいいし、山札からめくってもいい。
ただし公開されている機関車カードをとったら、その1枚で手番は終了する。
2.路線の確保。
列車カードを必要分プレイして、列車コマを配置する。
列車コマを配置した数に応じて、即座に得点が入る。
3.乗車券カードを引く。
乗車券カードを3枚まで引いて、2枚まで戻してもいい。
 これを繰り返してゲームが進んでゆく。



 以上実にシンプルなルールだが、ゲームは常時緊張感のあるものになる。
と言うのも、乗車券カードで高得点を獲得するには、どうしても乗らなければならない路線というのがいくつか発生する。
そこにさっさと配置したいのは山々なのだが、そうそう都合よく手札にカードがそろってはくれないし、他にも誰よりも速く配置したい路線はたくさんあるのだ。
なので他のプレイヤーの手番には、目的の路線に先に配置されないかとドキドキし、自分の手番には目的のカードをひくように祈るという感じで、のんびり構えている暇がないのだ。



 てな感じでドキドキできるゲームな上に、なんと言っても広大なアメリカを横断するような長距離路線を達成できた時の喜びはひとしおでロマンにあふれている。
旅情とまではいかないが、その辺のツボを抑えた作りはなるほどドイツゲーム大賞にふさわしいゲームと言える。
万人にお勧めできる傑作ゲームである。

気楽さ 4
 実に気軽なゲームだが、やたらにボードがでかいので、日本の住宅事情を考慮して4に(笑)
言語依存 2
 駅名(都市名)は英語。ちょっと判別しにくいが、ここを日本語にしてしまうと雰囲気半減なので、いかんともしがたい。
ソロプレイのしやすさ 3
化夢宇留仁の好き度 5

20120409