ティターンズ



 ツクダホビーのサンライズロボットアニメを題材にした戦闘級ウォーゲームシリーズ。
「機動戦士Zガンダム」の物語前半の宇宙空間の戦闘を扱っている。
 今までと違い、シリーズ第1作目が宇宙を舞台にしている。
これは元がそうなのだから当然だが、その後地上戦をやったかと思うと、また宇宙に戻るという変則パターンなのだった。

 同じ宇宙を舞台にしているだけあって、一見「エルガイム マーク2」と大して違わないシステムに見える。しかし実は色々と進歩している。
 まずは各モビルスーツの性能を記した「データカード」の存在。
これは「エルガイムマーク2」のところでも書いたが、大きくプレイアビリティを向上する。
これのおかげでもっと手順がシンプルなエルガイムシリーズよりも、むしろプレイアビリティは高いと言える。
 ゲームシステムでは、まず敵の「確認」システム。
これによって敵を「確認」しないと視線が通っていても攻撃できないということになった。一度確認してしまえば、次イニングからは「追跡」判定となって、簡単に敵を見失うことはない。
このルールで各機体のセンサーの優劣やパイロットの能力が大きく影響することになった。
 次に「運動」システムの導入。
これは1イニングに行える行動を6つに分けたもので、それの選び方で、1発必中や乱射、回避しつつの攻撃、など、バリエーション豊かな行動を行える。
面白いシステムだが、完全に機能していたかというと、少し疑問も残る。
例えばこのシステムのおかげで、マシンガンタイプの武器の1ラウンドの発射回数が最大6発に限定された。
シミュレーション性という観点から言えば、ヘンテコなルールである。
ゲーム的にも、実は大してバリエーションがあるわけではないので、いくつかのパターンに分けてしまってもよかったように思う。
またパイロットの能力も「確認」「命中」「回避」に分配するのだが、これは「運動」システムとダブっている感がある。
まとめちゃってもよかったかも。
 「推進剤」の存在。
エルガイムシリーズでも部位によってのバーニア出力は設定されており、その部位が破壊されればそれだけ加速力が減ずるなどの影響があった。
今度は各スラスターごとに「推進剤」の量まで設定されたのだ。
もちろんこれが無くなればそのスラスターは使えない。
これによって機種毎に長期戦向きの機体だったり、短期戦向きながら高機動力を持った機体と言った表現が可能になった。
 「命中」に対する「回避」判定。
今までのゲームでは攻撃が「命中」すればそれで終わりだった。「命中」判定の中に、回避に関する修正値も加えられていたのだ。
それが2つに分けられ、「命中」は命中に関してのみ、「回避」は回避に関してのみの修正値を加え、それぞれのプレイヤーがサイコロを振るようになった。
これはゲーム的には大成功で、今までは指をくわえて見ているしか無かった標的側のプレイヤーも参加できるようになった。
再現性という点でも、パイロットの能力の表現では射撃を命中させるところよりも、回避している描写の方が圧倒的に多かったので、正しいシステムだと言える。
 「命中箇所」判定
今まで「頭部」「胴体」「左腕」「右脚」など、命中部位までの判定だったのが、「頭部」であれば更に「モノアイ」「動力パイプ」「頭部」など、細分化された「命中箇所」判定を行うことになった。
もちろんビジュアル的な効果は満点で、具体性が増して面白くなった。
さらには破壊された箇所によって、機体の性能に影響が出る様もうまく表現できた。
 「DCP」
ダメージコントロールポイントの略で、それぞれの命中箇所に応じた誘爆率を表している。
攻撃が装甲を貫通すれば、2D6を振って、その箇所のDCP以下であれば問答無用でその機体は爆発してしまうのだ。
今まで待ちに待っていたシステムである。
これによってテレビと同じく、ザコ敵が次々に爆発してゆく様子も再現できるようになった。

 というわけで大幅にパワーアップした本作だが、少々問題もある。
まずは手順が大幅に増えたこと。慣れれば全然大したことは無いのだが、初めてこの手のゲームをプレイするという人には高い壁になったように思う。
 そしてコンポーネントの貧弱さ。
今までのシリーズと違い、武器などはユニット化されなくなった。
これは全然問題ないのだが、加えてテレビの序盤に登場する機体しか収録されていないので、ユニットシート1枚に収まってしまったのだ。
マップも宇宙空間で味気ないし、データカードがあるとは言え、またこの問題に関しては後のシリーズで解決されてゆくが、やはりこのゲーム単体で考えると寂しい。

気楽さ 4
言語依存 3
ソロプレイのしやすさ 2

 それでもやってしまうのだ(笑)
化夢宇留仁の好き度 4

20100606