ドミニオン:海辺



 ドミニオンの拡張第2段。
今作は完全な拡張セットであり、「ドミニオン」か「ドミニオン:陰謀」がないと遊べない。
「財宝」「勝利点」「呪い」カードが無いのだ。
その代わり王国カードが27種類と、いくつかの補助アイテムがセットされている。

 今回の特徴は「2ラウンド以上にわたる効果」である。
とりあえず海辺のカードのみをランダムで選んでプレイしてみた。
まずは順にカードを紹介してみる。



  「海賊船」 は超強力なアタック&アクションカードである。
効果は2種類あり、1つは他のプレイヤーの山札から2枚を公開させ、そこに財宝があれば1枚を廃棄でき、そうすると専用の海賊船ボードに「財宝トークン」を1個置くことができる。アタック扱い。
もう1つの効果は、海賊船ボードに乗っている「財宝トークン」の数だけ買い物に使用するお金を+できるというもの。

 海賊船ボードに「財宝トークン」が1個乗った状態。
隣は「島ボード」。もう一つ「原住民の島」ボードもある。
 「海賊船」はまさに攻撃と利益を兼ね備えた強力なカードである。
前半は他のプレイヤーの財宝を減らしつつパワーをためて、後半はたまったパワーで「属州」を買いまくるということが容易くできてしまうのだ。
ゲーム開始時からアクションカードは「海賊船」のみ購入し続けても大いに脅威になるだろう。

 「航海士」
お金+2と、自分の山札の上から5枚のカードを見て、全て捨て札にするか好きな順番に並べ替えて山札の上に戻すかを選択できる。
 しょぼい手札を回避できるのは嬉しいが、並べ替えはほとんど意味がない。
しょぼい手札も5枚全部いらないとは限らないので、あまり使い勝手のいいカードとは言えないだろう。

 「島」
アクション&勝利点カード。
ゲーム終了時に2点になるのと、アクションではこのカードともう1枚手札からカードを選び、その2枚を「島ボード」に配置できる。
配置されたカードはゲーム終了時まで置き去りになる。

 島ボードにカードを配置した様子。
実に地味な効果だが、結構強いカードだと思う。
まずは「破壊工作員」などのアタックから完全に防御できるということ。それに手札の圧縮にも役立つ。
なんとなくバカンスな気分が味わえるのもいい(笑)。


 「真珠採り」
+1カードを引く、+1アクション、さらに山札の1番下のカードを見て、山札の上に置くか捨て札にするかを選択できる。
 とりあえず山札の1番下のカードを1枚見たからと言って、大した効果があるわけではない。例え金貨を山札の上に置けたとしても、他の4枚がどうしようもなければ意味がないのだ。
とりあえず+1カードと+1アクションがあるので、存在に困ると言うことがないのが取り得(笑)。


 「宝の地図」
非常にギャンブル性の高いカードである。
このカードと、そしてもう1枚同じカードを手札から出して廃棄すれば、金貨4枚になるのだ。
それ以外の効果は全くないので、手札に1枚だけ入っていても単純に邪魔になるだけである。
3枚以上買っても余ってしまうので、2枚だけ買ってそれが手札にそろって登場するのを待つことになる。
それが序盤であれば大きな戦力となるが、長引くと余計なカードを抱えている分後手を引くことになる。
選択肢を増やすという意味ではいいカードだと思う。

 「灯台」
「海辺」のメインである複数ラウンドに効果を表すカードの1つ。
最初に出した時点では+1アクションと、+1お金。
更にすぐには捨て札にならず、次のラウンドでも+1お金を生み出す。
さらにこのカードが配置されている間は、他プレイヤーのアタックカードの効果を受けない。
 地味ではあるが実に強力なカードで、+1アクションがあるので邪魔にもならず、2ラウンドにわたって効果を発揮する+1お金は確実なメリットになる。
これで「+1カードを引く」があればこのカードだけで勝負できるのだが、流石にそれでは強すぎるか。


 「船着場」
2ラウンドにわたって「+2カードを引く」と「+1カードを購入」の効果を発揮する。
文字通りの効果で、もちろん強力。
特に2ラウンド目にはアクションを消費しないので「+1アクション」もついているのと同等の内容だと言える。

 他にも複数ラウンドにわたって効果を発揮するカードはいろいろあるが、今回のランダム選択では以上の2枚しか選ばれなかった。他のカードの効果を知りたければ、実物を買うか「ドミニオンへの招待」でも読んでください(笑)。


 「宝物庫」
「+1カードを引く」「+1アクション」「+1お金」
さらに手番終了時に勝利点カードを購入していなければ、このカードを山札の上に戻すことができる。
 これまた強力なカードで、要するに「勝利点カード」を購入するまで繰り返して使用できるのだ。
しかし効果が「+1お金」なので、「属州」を購入するにはそこそこの枚数を必要とする。
他のカードとの組み合わせによって最大の効果を発揮するカードだと言える。
ひたすら「宝物庫」ばかり買って「+1カードを引く」と「+1アクション」に頼って「属州」を購入できるまでお金をためるのも男のロマンだが(笑)。


 「幽霊船」
アタックカード。
「+2カードを引く」に加え、手札を4枚以上持っている他のプレイヤーは、全員手札が3枚になるまで、カードを自分の山札の上に置く。
 一見して「民兵」と似ているが、実はもっと嫌らしい攻撃になっている。
カードを捨てるのではなく山札に戻すというのがミソで、いらないカードの処理ができるわけではないのだ。

 「抑留」
「+2お金」に加え、このカードを廃棄し、「抑留トークン」をサプライのいずれかのカードの上に1つ置く。
「抑留トークン」が置かれたカードを購入する場合は、トークン1つにつき1枚の「呪い」を受け取らなければならない。


 「抑留トークン」を置いた様子。この場合「海賊船」を購入するともれなく「呪い」2枚がついてくる。
このように他のプレイヤーに買われたくないカードを、買わせなくするとまではいかないまでも、確実な嫌がらせをすることができる。
一度置かれたトークンは無くならないので、特に「海賊船」のように何枚も買った方が効果のあるカードに置くのがいい。
しかし自分の持ちカードとしては、「+2お金」としての効果しか無い上にそれでアクションが終了してしまうので、使い勝手がいいとは言い難い。
そして「抑留トークン」の効果は自分も例外ではないというのも痛い(笑)。

 まだ「海辺」のカードは17種類も残っているが、紹介はこんなところにしておいて、実際のゲームの様子を紹介して、雰囲気をつかんでもらおうと思う。ただしソロプレイだが。


 化夢宇留仁がドミニオンのソロプレイをする時は、必ず3人を想定し、最初の2人、AとBはそれぞれ異なる戦術をとり、3人目のCは効果的に買える限りは財宝か勝利点を買うというキャラクター設定でやっている。
これでCに勝たれると悔しい(笑)。
 ゲーム開始。
最初に「属州」にたどり着いたのはやはりプレイヤーCだった。
ずら〜〜〜っと財宝を並べて「属州」購入。
更にその後もCの猛攻は続き、続けざまに「属州」を購入してゆく。
その間AとBは「海賊船」を軸に、色々なアクションカードを購入していたのだが、その「海賊船」による安い財宝カードの廃棄もCのカード圧縮につながってしまった。


 Aの反撃開始。
ゲーム中盤に入って、「宝の地図」が炸裂して金貨4枚をゲットした。
しかし少々出遅れた感は否めない。

 ゲーム後半に入ろうかというところで、「海賊船」を集中的に購入していたBがとうとう「財宝トークン」を+お金に使用。
「財宝トークン」はすでに5つもたまっており、手札に3以上のお金があって、「海賊船」カードがあれば「属州」を買える状態。
画像では手札のお金2と、「財宝トークン」の+5、さらに「灯台」の+1で合計8に達している。



 その後Cは手札に勝利点カードの割合が増えて失速し、Bが「属州」を買いまくって終了した。
結果 A31、B41、C24
 やはり「海賊船」が強力すぎる。このカードがあるドミニオンと、無いドミニオンは別なゲームと言えるだろう。
「抑留」など、「海賊船」を封じる手段がないか、探してみるのも面白そうである。

 てなわけで色々な意味で派手になった「海辺」
変わった要素が多くて楽しい。
しかし「陰謀」に比べると、必須のセットとまではいかず、あくまでオプションという感じである。
そこがまた楽しいところでもあるのだが。

気楽さ 4
言語依存 4
 特殊な効果が増えた分テキストも増えている。日本語版なのでほとんど関係ないが。
ソロプレイのしやすさ 4
 相変わらずルール的には全然問題ないが、2ラウンドにわたる効果など、たまに少し混乱する。
化夢宇留仁の好き度 4

20100606

訂正。
 やはりこのセットは必携。遊びこむと様々な効果が他のカードと絡み合い、ゲームに大きな変化をもたらすので、飽きずに遊べる。

20120311