QUIRKS
クァークス
―エコロジー(生態系)―


見ての通 り、無茶苦茶なゲームである(笑)。
それなりにでっかい箱に入っているので、ボードゲームのように思うが、実はカードゲームである。
テーマは生態系。
プレイヤーは神、または創造主らしき立場となる。
それぞれ植物界、草食動物界、肉食動物界の生物を創造し、最終的には3つの生態系全てで、自分の創造した生物が上位 種族となれば勝ちである。

なんだかこう書くとお堅い科学テーマのゲームのように思うかもしれないが、ボックス・アートを見直せばその考えは吹き飛んでしまうだろう。
このゲームの売りは、なんと言ってもゲーム過程で創造される各種生物の ミョーチキリンさにあるのだ。

このゲームでは、生物を3枚のカードで表す。
動物は頭部と胴体と尾。
植物は先端と幹と根。
このカードに色々な能力や、どういう環境に適応しやすく、またどういう環境に弱いかといったデータが記されているのだが、それだけではすまないのだ。
カードには更に、その能力を発揮する部位のイラストと、アルファベットが描かれている。
つまりカードを組み合わせることで、その生物の姿まで確認でき、アルファベットの組み合わせで、なんと名前まで決定されてしまうのだ。

とりあえず無作為に、それぞれの生態系の生物を作ってみた。

まず肉食動物。
名前は・・・トブストゥフ(笑)!?
鋭い歯で獲物を噛み砕き、その身体には殻があり、沢山の足がついている。また持久力に優れ、しばらくは何も食べないでも生きていける・・・。
なかなか物騒なやつである。
しかし何よりいやなのは、あの身体のバランスだろう。
こいつがかさかさと近寄ってきたら、どんなに気色悪いことか・・・(汗)。

次に草食動物。
名前は、スニンガート?
鋭敏で突き出た鼻を持ち、地中に埋まっている食べ物も見つけられる。
身体はチキン質で、羽がある。
そして・・・・知性を持っている・・・(大汗)。
最悪な感じ(笑)。
カードをよく見ると、E=MC2乗とか書いてある。
こいつは地表すれすれを羽ばたきながら、長い鼻で土を穿り返して餌を探しつつ、相対性理論に思いを馳せるのか・・・たまらんやつである(笑)。

最後に植物。
名前はフラクトング。
豊かな果実を実らせ、さぼてんのような保水能力を持ち、根は長く、地中深くまで伸ばされる・・・。
これは意外に普通っぽいやつだ。
ただし生存能力は高い。
乾燥地でも生存しそうだし、果実があるから動物がそれを運び、分布も広くなる。

・・・という風な感じで、他のプレイヤーが作った生物の能力を推測するのも、このゲームの面 白さである。

カードの前後、または上についている動物と植物のシルエットのマークは、食物連鎖を表している。
同列の種族(上位、または下位)同士で、このシルエットの色が合っていると、片方が片方の主食とみなされ、その分勢力にマイナスポイントが科されるのだ。
例えば上記の肉食獣「トブストゥフ」は、草食動物「スニンガート」を主食にしていない。
つまり「スニンガート」には天敵がいないと判断される。
また「スニンガート」と植物「フラクトング」に記されているシルエットは同じ赤色なので、「スニンガート」は「フラクトング」を主食にしている。
こうなると「フラクトング」にとっては脅威である。ただし何しろ果実を実らせる植物であるから、食べられたからといって、被害だけとは限らないが(笑)。

下図を見て欲しい。
中央に広げられているのが、気候トラックである。
左から海、森、平地、砂漠、ジャングルを表している。
少し見にくいが、トラックの真中、黄色いスペースの丸いマスの上に、「C」と書かれたマーカーが載っている(赤い矢印の先)。
これが少しずつ右へ移動することで、現在の世界の主な環境を表しているのだ。
マーカーは右端まで進むと、また左端から移動を開始する。
プレイヤーはこの気候の変化を先読みして、優れた生物を作り出してゆくわけだ。
気候トラック上に置かれているのは、特徴カードの山である。プレイヤーはここからカードを引いて、新たな生物の創造に用いるのだ。

気候トラック下には、左から植物、草食動物、肉食動物が置かれているが、これには一定の法則がある。
まず3枚そろって、完全な形で置かれている生物は、その時点での上位種族である。プレイヤーは自分の創造物が全ての種族で上位 種族になるべく努力するのだ。
その下、または横にあるパーツ構成が1枚足りない生物が、下位種族である。
現状では上位種族にかなわないが、その地位を狙える段階にある、力を持った種族なのだ。
またカードが置かれていないだけで、生物は多種多様な種類が存在する。彼らが下位 種族に取って代わる可能性もあるわけだ。
ちなみに生物カードの上に置かれている色のついたバーは、その生物がどのプレイヤーに属しているのかを表すと同時に、その生物の環境適応能力を他のプレイヤーから隠す役割を持っている。

左に離して置かれているのは、適合数値表である。
それぞれの特徴カードには、アルファベットと数字が記されている。これが他の生物と生態系の覇権をかけて戦う時のデータなのである。
ただしそのまま読んでも意味をなさない。生物創造の時点では、他のプレイヤーのみならず、創造主さえもその生物の本当の実力は分からないのだ。
いざ戦いとなったら(戦いといってもこの場合は何10〜100年とかかる気の長いものである筈だが)、そのアルファベットと数値を、適合数値表に照らし合わし、 あたかも計算尺のようにホルダーをずらして、その生物のその時の環境での生存力が導き出されるのだ。
この戦いで負けた種族は絶滅種となり、もはやゲームに登場することは無い。
生態系をかけた戦いは、やり直しの効かないシビアなものなのだ。

考えてみると、見た目の割に高尚なテーマを扱っているゲーム・・・のような気もする。
ふと上位種族を見てみれば、こんな生物が我が物顔で地上や海を闊歩しているのかと想像してしまい、思わず笑ってしまうのだが(笑)。

気楽さ 4
言語依存 1
ソロプレイのしやすさ 3
化夢宇留仁の好き度 5