◆ はじめに◆
ドラえもんはこの宇宙最強のスーパー・ウェポンではないか、という意見がそもそもの始まりであった。あらゆる攻撃をひらりマントではねかえし、人々の心を操り、地軸を揺るがし、天地を創造する。たしかにマンガの世界で探しても彼に勝るものはちょっと見つからない。みんなが納得しかけたとき、新たな意見が出された。 『 クトゥルフ神話の怪物ならどうだ?』 全宇宙を創造したアザトース、時空を統べるヨグ=ソトース、全てを見通すニャルラ=トテップ・・・・・・。みんなは黙り込み、ドラえもん達とクトゥルフの神々の戦いを想像し始めた。 「ウソ800」を 使ったらどうだ?ヨグ=ソトースは時空をつかさどるというが、じゃあタイムマシンはその力を借りているのでは?ニャルラ=トテップがドラえもんの製造を中止させたら?のび太は?しずかちゃんは?仲間達は再び力を合わせ、勇気を振り絞って向かって行くのか?想像の翼は大きくひろげられ大スペクタルが展開した・・・・・・。 かくして映画「ドラえもん/のび太とクトゥルフ神話」は、かたちになっていった。
◆ クトゥルフ神話とは?◆
この映画のタイトルにもなっているクトゥルフ神話とは、1920年代のアメリカでH.Pラブクラフトという怪奇作家を中心に書かれた数々の恐怖小説から生まれたものです。 この神話は他と違い出てくる神々のほとんどが醜い怪物で、その中の最高神と言われているアザトースにいたっては知能さえ持ち合わせていません。 そして、神々をあがめる立場?である人間はといえば、怪物である神々にとっては 弱々しいほとんどゴミのような存在なのです。この何の希望も感じられない所が雰囲気的にも、はたまたブラックユーモアとしても面白みにつながっているのです。 他にも、クトゥルフ神話に出てくる怪物達の個性は非常に面白い要素でしょう。太平洋に沈んでいる古代都市に眠るクトゥルフに始まり、前記の無知にしてすべての宇宙を創造したアザトース、呪われた血筋を続ける深きものどもなど。 特に今回の映画の中では神々の一人であるニャルラトテップが大きく扱われています。ニャルラトテップは、珍しく人間に近い知性を持った怪物で、策略が大好きな皮肉屋です。その能力は全知全能に迫るほどなのですが、その能力をもわざと正面には出さず、回りくどい裏工作を好みます。 このニャルラトテップ、この度はドラえもん世界を暗躍する訳ですが、もともとの怪奇小説とは違い、こちらは科学がもはや神の領域にも近付くほどのユートピア。一筋縄では行かないところをうまく見せたいものです。
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