銀河帝国の崩壊
アーサー・C・クラーク著/井上勇訳

 過去のビジョンから現在に引き戻された少年アルビンは、これまでにも増してダイアスパーから出て外の世界を探検したいという思いを感じていた。
しかし彼の周りの人々は外の世界が存在しているのを知ってはいるが全く興味を示さず、それどころか外の世界を考えるだけで恐怖を感じていた。
アルビンが知る限り唯一外の世界を見ることができる、ダイアスパーの頂上近くの通風孔からは、限られた視界内いっぱいに砂漠が広がっていたが、ある日アルビンは通風口の外にも足場がある可能性を思いつく。
果たしてそこにはダイアスパーの外壁に沿った階段があり、アルビンはそのまま外の世界へ出ていけると思ったのだが、たどり着いたのは行き止まりと、遥かな過去に残されたメッセージだった・・・。

 クラーク大先生の超初期長編で、後の名作「都市と星」のベースにもなったらしい。
流石に初期の作品だけあって色々と粗削りで、クラークの味でもある余裕たっぷりの演出技法もまだ感じないが、流石に只者ではないのは読み始めてすぐに感じた。
同じようなことを考えたとしても、クラークレベルになると常人とはスケールが違うのだ。
なにしろ冒頭少年アルビンが観ているビジョンは、「ビジョン内の現在から5億年前」に襲いかかった侵略者たちが再び来襲した様子だが、そのビジョン自体が最も古いレコードで内容は「数億年前」の出来事なのだが、そのビジョンの舞台だった都市である巨大な塔ダイアスパーに現在アルビンは住んでおり、ダイアスパーに住んでいる人たちは不死なのだが、「少年」アルビンは最年少かつダイアスパーで最後に生まれた子供で、年齢7000歳(汗)
主人公の年齢ランキングではおそらくトップ10内に入るだろうし、「少年」の年齢ランキングではトップ3くらいには入るのではなかろうか(笑)
 物語は遺されたメッセージの「記録保管人によろしく伝えてくれ」に従ってアルビンが現在の記録保管人ロアデンと出会うことで、過去に仕掛けられた謎を解き明かすミステリーとして展開しはじめる。
ここがなかなか雰囲気があって面白いが、読者的にはまだタイトルの「銀河帝国」のぎの字も出てこないので目的地も定まらない迷路を歩いているような気分である。
と言うか「銀河帝国」が言及されるのはほとんど終わり近くなのだ(笑)
しかしとうとう出口を発見してからは怒涛の展開となり、蘇った超高速交通システムや、太古の要塞と奇妙なロボット、そして砂漠から現れる○○○と、まさに見せ場の連続。
ちょっと「第9地区」を思い出すようなところも。
ラストは真相があまりにも一方的に語られるのでちょっとどうかと思わないでもなかったが、このへんはまだクラークの技術が自らの想像力に追いついていなかったのだろう。
このことからもやっぱりクラークはその想像力が骨子なんだなあと思わされた。
 ちうかまた表紙のシーンが無かった気がするぞ(笑)

20240503(mixi日記より)
20240503


レンズマン・シリーズ4
レンズの子供たち
E・E・スミス著/小隅黎訳/創元SF文庫

を読んだ。バイトのOKさんに借りて。5月17日。
 ボスコーンとの死闘から20年。キムには長男と2組の双子の娘の総勢5人の子供ができていた。
そしてその5人ともがアリシアの導師が待ち望んでいた究極の存在である第3段階レンズマンだった。
彼らはとうとうエッドール人の存在を知り、最終決着へと向けてアリシアで最後の修行を積む。
一方第2段階レンズマンであるナドレックは、この20年というものしつこく自分への暗殺計画を繰り返してきたのが、オンローの生き残りであるカンドロンだと突き詰め、逆に罠にかけて始末した。
またキムは銀河中で起こっている奇妙な暴動や誘拐に、滅んだはずのボスコーンが関わっていると気づき、ウォーゼルやトレゴンシーも含めて総力を挙げて真相究明に掛かっていた。更にそこにはボスコーンに所属するブラック・レンズマンの影が。
やがては全員の行動は集約され、ただの1点、エッドール人の撃滅へと向かう。
しかしアリシア人にも手を出せないエッドール人の力はただ事ではなかった・・・・・。

 とにかく大風呂敷を広げまくったレンズマンシリーズも、時系列的にはこれが最終話である。
それまで広げに広げた風呂敷の更に上を行くのは可能なのかと心配だったが、その辺は「ドク」スミスにぬかりなく、精神力の究極の完成点として第3段階レンズマンを描くことで斜め上に走り抜けた。
なにしろ娘達ときたら、正式には単なるレンズマンでさえないのに、自分の意志で一瞬にしてレンズさえも作り出してしまうのだから恐れ入る。
そうだとしたら精神力のみで、今までのような超大風呂敷超大規模宇宙戦は無いのかと言えば、もちろんそこも手抜かり無く、とうとう惑星を超空間から超光速で・・・と、相変わらずとんでもない問答無用兵器が登場する。
なにしろ著者いわく、その兵器の引き起こした結果は「描写不可能を三乗したほど」なのだ(笑)
 ちうわけで名作レンズマンの時系列的最後のエピソードを飾るにふさわしい内容で面白かった。
それにしてもシリーズを通してこんなに過激な物語だったとは(笑)

2014.6.1

20141018(mixi日記より)
20240504


ドラゴン・レンズマン
デイヴィッド・カイル著/小隅黎訳/創元SF文庫

を読んだ。バイトのOKさんに借りて。2014年5月頃。
 人工小惑星ポクで起こったコンピュータの叛乱の調査のために現れたのは、ヴァランシア人のレンズマン、ウォーゼルだった。
結局人工知能は宇宙の彼方に旅立ってしまい、謎のままになってしまうのだが。
その後アイヒ人のあろうことか霊魂(!?)との戦いが繰り広げられ、話はスーパーナチュラルな展開に・・・(汗)

 本家のシリーズに入れてもいいとスミス大先生がおっしゃったらしいが、失礼ながら少々ボケていたのか、人間関係に気をつかったのかのどちらかだろう。
最初にウォーゼルの異様に人間の科学者が圧倒されるところなどはいい感じだったのだが、後半のスーパーナチュラル展開においてはいいところが1つもない。
ちうかSFじゃない(汗)
アリシア人の権威も大失墜。
化夢宇留仁的にはやはり、本来のシリーズとは全く関わりのないものとさせていただく。

2014.10.11

20141018(mixi日記より)
20240505


リゲルのレンズマン
デイヴィッド・カイル著/小隅黎訳/創元SF文庫

を読んだ。バイトのOKさんに借りて。2014年5月頃。
 謎の無人ドローンが各所で目撃されていた。どうやら銀河パトロール隊の情報収集を行っているらしい。
銀河パトロール員であるテルス人のクラウドは、そのドローンの捕獲に成功。そのドローンはボスコーンのものではないらしい。
 一方グレー・レンズマンであり第2段階レンズマンでもあるトレゴンシーの暗殺未遂事件が発生。
トレゴンシーは暗殺は成功したと見せかけ、調査に乗り出す。
 更に他方では、壊滅したはずのボスコーンの大艦隊が姿を見せていた・・・。

 謎が謎を呼ぶ展開だが、とりあえずレンズマン・ナドレックの性格が聖典と全然違うのが納得できない。
「ドラゴン・レンズマン」ほどではないにしろ、やはりスーパーナチュラルな展開も我慢がならない。
なんだかもうダメダメ。
「ドラゴン・レンズマン」よりはマシ。
以上。

2014.10.11

20141018(mixi日記より)
20240506


サムライ・レンズマン
古橋秀之著/徳間デュアル文庫

を読んだ。バイトのOKさんに借りて。2014年5月2日。
 正義のパトロール隊レンズマンの中に、風変わりな男がいた。
通称サムライ・レンズマン、シン・クザク。
彼は盲目だったが、超感覚と体術と刀のみで他を圧倒する戦闘力を身につけていた。
トレゴンシーの推薦でグレー・レンズマンとなったクザクは、カロニア人と地球人のハーフのデイルズがボスコーンの手となって暗躍しているのを突き止め、対峙するが、デイルズは恐るべき銃の使い手であり、狂人でもあった。
宇宙工夫の一家と他のレンズマンとの交流も交え、様々な事件を経て、クザクとデイルズの一騎打ちが始まる・・・

 和製レンズマン。今風アニメっぽいイラストに、「ドラゴン〜」「リゲルの〜」のこともあって心配だったが杞憂だった。
実に面白くできている。
レンズマンシリーズ聖典の設定も巧みに使用しており、そこはそうじゃない!と思わされるところもほとんど無い。
これはぜひ続編を期待したい。

2014.10.18

20141018(mixi日記より)
20240507


宇宙船ピュルスの人々
K・H・シェール著/松谷健二訳/創元推理文庫

を読んだ。5月29日。
 西暦2815年。地球連合は植民地の連合体である自由植民者同盟との30年にわたる戦争に一区切りをつけ、その間に全力を傾けて育成されてきた軍人達のほとんどは一瞬にして失業者となりはてた。
退役地球連合宇宙軍コマンド大佐のライオネル・"タイガー"・ファティナーは、投資していた中立国の惑星からの取り立てによってインフレに関わらない一財産を得、軍の払い下げの貨物船を買い取った。
その船ピュルス号は、貨物船とは名ばかりの小型の船に戦艦並みのエンジンを取り付けた怪物で、本来は敵地の中央に超光速ワープで突入して大爆発を起こす爆弾船だった。
かつてのクルーを集めたファティナーは自由貿易を開始し、新たな人生を謳歌するはずだったが、強力すぎるエンジンの負荷は想像を超え、ピュルス号は未知の宇宙に実体化。そこでファティナーは探し続けていた人類発祥ではない真の高度な知性を持った異星人と遭遇する。
そもそもファティナーは人類が真の協調を達成するには一丸となって立ち向かわなければならない敵が必要だと考えており、彼はこの機会を最大のチャンスと捉えた。
 遭遇した異星人達は2大勢力に別れて闘争を繰り返していた。
片や超能力を発達させたミュータント。もう片方は科学文明を究極まで推し進めた大勢力だった。
ミュータント側に捕らわれた一行は、太古の移民船の生き残りのふりをして敵対勢力に潜入し、ミュータントの計画を実行することになる。
しかしミュータントの計画のために犠牲者が出ており、ピュルスの人々は彼らに荷担する気は無かった。
かと言って敵対勢力は強力すぎ、彼らに地球の場所を知らせるのは地球文明の終末を意味する。
ファティナーは一計を案じ・・・・。

 レンズマンと同じように、スペースオペラとハードSFの境に位置するような作品。
描写はリアリティーがあり、ハードボイルドな雰囲気。そこに古いSFらしい大風呂敷に理想のイメージが詰め込まれ、うまくまとまっている。
ただしセンス・オブ・ワンダーとはまた違う方向で、どちらかと言えば未来社会の展望や歴史絵巻的な要素がメイン。
 化夢宇留仁的には結構面白く読めた。
もう少し集まってきたキャラクター達の活躍シーンも見たかったが、あくまで物語がメインなので仕方がないか。

20140601

20141018(mixi日記より)
20240508


ガレージキット誕生物語
小田雅弘著/トイズプレス

を読んだ。バイトのOKさんに借りて。2014年5月12日。
 ガレージキット界の第一人者の1人である著者が、その誕生と遍歴、様々な関係者との出会いなどを描く。海洋堂の代表取締役である宮脇修一との対談も収録。

 化夢宇留仁はプラモデルは中学生の頃にガンプラにはまっていた程度で、ガレージキットは作ったこともない。しかしなんとなく分かっているような気がしていたのだが、この本を読んでみたら全然なにも知らないということがよく分かった(笑)
巻頭カラーの歴代名作キットの紹介の時点で、感心するやら驚かされるやら(笑)
できあがったパーツに、わざわざランナーをつけていたガレージキットがあったって面白すぎでは(笑)?
またマニアックなホビーの黎明期に共通する、わずかに存在する同好の士との遭遇の様子など、特にインターネットも無かった時代のそれは感動的でさえある。
どんなものでも黎明期の様子には熱意と向上心、それに多数の挫折(笑)がうずまいていて面白いが、この本もそういう意味では誰でも楽しめる1冊だと思う。

20141027(mixi日記より)
20240510


キャプテン・フューチャー全集11
鉄の神経お許しを 他全短編

エドモンド・ハミルトン著/野田昌宏他訳

を読んだ。昨日。
キャプテン・フューチャーの帰還
 1年後には帰ると言い残してアンドロメダ星雲に旅立ったフューチャーメンたちだったが3年経っても帰らず、政府は彼らの死亡を認定し、月の基地も接収されることが決定された。
納得できないジョオンだったが、エズラに説得され、とりあえず公開されたら危険なものだけでも基地から持ち出すことに。
苦労して基地に侵入した2人だったが、なんとそこには・・・。

 短編全部に言えることだが、心理描写が細やかになっていて雰囲気がぜんぜん違う。
脳内で形作られるイメージも、これまでがアメコミっぽかったのが、実写の海外ドラマみたいになった(笑)
それがこの題材に合っているかどうかはさておき(汗)、化夢宇留仁的には読みやすくなった。
で、内容だが、実は帰っていたフューチャーはあまりにも危険なものをアンドロメダ星雲から持ち帰っており、それを使った実験を行おうとしているのだが・・・フューチャーがすっかりマッドサイエンティストになっている(汗)
と言うのも「それ」から人類発祥の秘密を知ろうとしているわけなのだが、「それ」はほんとにあまりにも危険で、銀河系の人類文明を滅ぼしかねない代物なのだ。
昔のフューチャーだったらすぐに破棄していたはずなのに、今回は銀河系まで持ち帰った挙げ句にそれを目覚めさせるなど、これまでにフューチャーが戦ってきた敵とやってることが同じである(汗)
しかも更にうっかりミス(汗)
初っ端からなんだかやばい雰囲気(汗)

太陽の子供たち
 太陽の衛生であるヴァルカンで行方不明になっているフィリップ・カーリンを捜索するフューチャーメンたち。
原住民はカーリンが「光の道」を通って行ってしまったと言う。
フューチャーはカーリンを探すために自分も「光の道」に入る決断をする。

 「太陽の子」というアイデアはまあまあ面白い。
ちうか「太陽の衛生」ってなんやねん(笑)?

衛星タイタンの<歌い鳥>
 救援要請を受けてタイタンの蘚苔類の密林で依頼者であるケオガを待つフューチャーメン。
ケオガはもう来ないかと思われた頃に姿を現したが、4人の眼の前で小型の矢で頭を撃たれてしまう。
ケオガの友人であるハーカーは、これでタイタンを救う方法は無くなったと嘆くが、サイモンにはアイデアがあった。

 人間に戻ったサイモンの身体と感覚への感動がきめ細かに描かれていてなかなかいい感じ。

鉄の神経お許しを
 テレビの影響で自分が神経症になっていると思い込んだグラッグ。
地球の精神分析医を尋ねると、1人になった方がいいと言われ、それを聞いたフューチャーはグラッグを1人で冥王星の第4衛星ディスで発生している事件の調査に向かわせた。
果たしてディスでは巨大な採掘ロボットたちが仕事をサボってうろついていた。
グラッグは無人のはずのそこで人間の科学者と出会い・・・。

 コメディ編。
グラッグが「知能があるようなふりをするんだ」と言われてぶち切れるのが愉快(笑)
また巨大な採掘ロボットたちを見上げるグラッグという風景が、描写も相まって実写のかっこいいイメージが想起されていい感じ。

忘れじの月
 エズラ・ガーニーが行方不明になったエウロパへ向かう一行。
果たしてそこでは老人たちが過去の世界に生きることができる機械に囚われていた。
その機械は自分の過去のみならず、自分の祖先の記憶までもを体験できるのだ・・・。

 トータルリコール風味。
相変わらずフューチャーの人類創世の秘密への異常な執着が怖い(笑)

もう地球人では……
 宇宙空間を漂っていた凍った男ジョン・カーリーはコメットに拾われ、蘇生された。
カーリーは初の木星への有人飛行のメンバーだったが、隕石との衝突で宇宙船は失われていた。
なんとかカーリーの居場所を見つけたやろうとするフューチャーだったが・・・。

 「3001年終局への旅」みたいなシチュエーションで、こっちの方が未来世界への拒否反応が強い。
 またこの話ではフューチャーが鉱山会社を裏で牛耳るルーサーという男と対決するという要素もあるが、このルーサーというやつが全然キャプテン・フューチャーの敵らしくないやつで、全然証拠を掴ませない。
結局フューチャーのとった手段がこれまた全然キャプテン・フューチャーらしからぬなかなか汚いやり口で、なんとも微妙な感じ。

<物質生成の場>の秘密
 フューチャーたちの留守の間に月の基地に侵入した賊は、「物質生成の場」への航路地図を複製して持ち去った。
それに気づいたフューチャーは急いであとを追うが・・・。

 「輝く星々のかなたへ!」の続編的な内容。
やっぱりフューチャーのマッドサイエンティスト感が・・・(笑)

 この先はキャプテン・フューチャー誌に掲載されたコラムが続く。
ほとんどはキャラクターや設定の紹介なのだが、中にはいくつかショートショートレベルの小説もあったので、それを抜粋して記す。

8 キャプテン・フューチャーの少年時代
 14歳のカーティス・ニュートンはこっそりと1人で月面上へ出た。
しかしそこで出会ったのは、地球人の海賊たちだった・・・。

 初めて自分以外の人間に出会ったカーティスだが、その顛末は悲惨の一言。
よくこれで地球人を滅ぼす悪の魔王に育たなかったな・・・(笑)

9 カーティス・ニュートンはいかにしてキャプテン・フューチャーになったか
 初めて月を出て太陽系全域の旅をしていたカーティスは、しばらく冥王星の原住民といっしょに過ごし、彼らが地球人との交易に向かうのにも同行したが、そこで彼が見たものは悪逆な地球人による原住民に対する不公正な取引だった・・・。

 よくこれで・・・(笑)

10 キャプテン・フューチャー、カメレオンを追跡する
 神出鬼没で血を流さずに積荷を奪うカメレオンと呼ばれる海賊が出没し、それをどうしても捕まえられない惑星警察機構がキャプテン・フューチャーに泣きついた。
フューチャーはいつものように囮作戦でカメレオンをおびき出すが・・・。

 おしゃれなミステリーシリーズの1編みたいな好編。
しかし最後のフューチャーが、さも自分の手柄のような余裕をかましているのが気になった。
あの「事故」が無かったらお手上げだったくせに(笑)

11 <宇宙の女王>号の人騒がせな事件
 キャプテン・フューチャーの偽物現る!

 大元の長編シリーズに非常に近い雰囲気と内容で、膨らませて長編にしてもよかったのではと思った。

12 グラッグの誕生
 誕生したばかりのグラッグは従順なだけの役立たずだったが、ロジャー・ニュートンのアイデアでグラッグの脳を改造し・・・。

 脳の改造の方法が意味不明すぎて全然納得いかない(笑)

13 キャプテン・フューチャーのもっとも不思議な冒険
 銀河中心部近辺から地球への帰路の途中、燃料である銅が残り少なくなったコメットは放浪惑星を発見して着陸する。
しかしそこは思ったものがたちまち現物として現れる奇妙すぎる世界だった・・・。

 スタートレックの「おかしなおかしな遊園惑星」に似た内容で、雰囲気も近い。
逆に言うとキャプテン・フューチャーらしくない(笑)

14 サイモン・ライトの変身
 ロジャーのアイデアでサイモンが「生きている脳」になる過程・・・なのだが「3 <生きている脳>」ではそれをサイモンがロジャーに提案したと書かれている。
そのくらいのことは覚えておけよ(笑)
 またサイモン視点でニュートン夫婦が殺される様子も出てくる。
そう言えばこれまで各長編で語られていたその事件の様子に、サイモンが登場していた記憶がない(汗)

15 驚くべき創造物オットー
 オットー誕生の様子。
オットーの脳はグラッグのそれとは根本的に異なる構造になっているようだが、その製造過程の説明も成長過程も全く意味がわからない(笑)

16 オットー、マスコットを見つける
 オットーがオーグを手に入れ、グラッグのイイクにけしかけるが・・・。

化夢宇留仁はそもそもこの2匹のペットが好きではない(笑)

17 グラッグのペット、月犬
 グラッグがイイクを手に入れ、手懐ける過程。

 上に同じ(笑)
それとなんでイイクはいつまでも小さいままなのかの説明が無いのが気になる。

 後は解説と著作リストである。
どうやらハミルトンはパクリ魔らしい(笑)

 ちうわけで少なくともハミルトンが書いたキャプテン・フューチャーものはこれで一通り読んだことになる。
全体的になかなか面白かったが、やはりもっと早く、小学生とか中学生の頃に読んでいたら何倍も楽しく読めただろうという気がする。
化夢宇留仁がそういうことを思うのは珍しいのだが。

20240511(mixi日記より)
20240511


クール・ワールド
ラルフ・バクシ監督

を観た。2014年3月16日。
 高校の頃、テレビでやってた映画予告編集の予告を観て、なかなかクールなデザインの画面と、なによりキム・ベイシンガーのアニメキャラがそれまで観たアニメキャラの中ではダントツで色っぽかったので印象に残っていたのだが、その本編をようやく観たわけ。
実に30年近い視聴計画(笑)
 この世界とは違う次元に存在するクールワールド。この世界に導かれた者は、死後アニメキャラとなってクールワールドに復活する。
暴力と混沌の支配するクールワールドは、それはそれで楽しくやっているのだが、ある実験がきっかけでクールワールドと現実世界をつなぐ通路ができてしまう・・・・。

 てな感じなのだが、まあストーリーなんぞどうでもいい映画なのは観ての通りである(笑)
肝心の色っぽいアニメキャラはと言えば、こっちはだいたい期待に違わない完成度で、なんとかこの映画を観続ける気力を維持するのに役立った(笑)
途中でそのキャラは実写のキム・ベイシンガーの実写になる。
これまた可愛い(笑)のだが、明らかにアニメキャラに負けている。
完成した作品を観た当人はどう思っただろうか・・・・・

20141027(mixi日記より)
20240512


ベン・トー
アサウラ著/集英社スーパーダッシュ文庫

を読んだ。AKI氏に借りて。2014年4月12日。
 閉店前のスーパーのお弁当コーナーに値下げのシールが貼られた直後、熾烈なバトルロイヤルが繰り広げられ、勝者は弁当を手にし、敗者は傷ついて去るのみ・・・。
そんな世界をかいま見てしまった佐藤と白粉は、「氷結の魔女」こと槍水仙に誘われ、HP(ハーフプライサー)同好会に入会し、日々研鑽を積んで・・・。

 上記の通り、常軌を逸した内容である(笑)
さすがにこれはきついかもと思って読んでいたのだが、次第に違和感は減少し、まあまあいい感じに楽しめた。
あくまでマンガ的アニメ的な表現ながら、キャラクターの思考が分かりやすく親しみやすく描かれており、その特異な設定も自然に受け止められるように工夫されているのだ。
なんだか知らないがその後もシリーズが続々と出ているようなので、こんなテーマでどうやって?という興味もあるので機会があれば読んでみたい。

20141027(mixi日記より)
20240513


マン・オブ・スティール
ザック・スナイダー監督

を観た。2014年3月2日。
 要するにスーパーマンのリメイクである。
80年代の映画が好きなこともあってそんなに興味はなかったのだが、監督が300のザック・スナイダーと知って観たくなって借りた。
予告編の弾丸がスローモーションで眼球に命中する映像は確かにあの監督っぽかったし。
で、観てみたところ、あの監督としてはアクションシーンは普通っぽく、残念ながら期待に応えるものではなかった。予告編の弾丸→眼球のカットはそもそも存在してなかったし(汗)
印象深かったのは、とにかく濃い〜〜〜家族のキャスト。
実の父親がラッセル・クロウで、育ての親がケヴィン・コスナーとダイアン・レインというのはいくらなんでも濃すぎる(笑)
ちうかスーパーマンより強そう(笑)
 敵はスーパーマンと同じクリプトン星から来たやつである。ちうことは昔の映画でいえば2にあたるのか。いやあたらないか。
実はこの辺も化夢宇留仁には不満だった。
スーパーマンがなぜスーパーマン足り得るかと言えば、最強で万能だからである。スーパーヒーローは数いれぞ、やはりこいつが元祖であり最強なのだ。
しかしその力はあくまで地球人から観てのことで、同郷の奴が出てきたら全然スーパーじゃない。
いきなりスーパーマンをスーパーじゃなくしてしまうというのはどうなのか?
やはりせめて第1作ではスーパーマンはあくまでも最強であり、どんな敵にもどんな状況でも余裕で対応するべきだと思うのだ。
それでこそスーパー(笑)
ほんとにピンチに陥るのは続編からでいい。
そういう意味では旧作はやはり正しかった。

20141027(mixi日記より)
20240514


ボディ・オブ・プルーフ 死体の証言
シーズン1 1〜3

を観た。2014年2月2日。
「デスパレートの妻たち」に出ていたダナ・デラニーが主演で制作されたミステリードラマで、主人公の鑑札医が検死の達人で、迷宮入りしそうな事件も死体を調べればあっという間に事件解決(笑)
またバツイチの彼女はひびの入ってしまった娘との関係を改善したいと思うのだが、仕事が忙しいのと元々人間関係を構築するのが不器用なこともあり、なかなかうまくいかない・・・てな感じで、実によくあるタイプの女性主人公(笑)
各エピソードもなんだかありきたりの感が拭えず、とりあえず続きを観なくてもいいかという気分になったのでこれ以降借りていない。
アメリカでもシーズン3までで打ち切りになったそうだが、逆に3まで行ったのが意外。
もしかしたら化夢宇留仁が観たところまでが特別つまらなくて、その後話を盛り上げるライバルとかが出てきて面白くなったのかも(汗)
でもわざわざ借りる気にもなれない(笑)

20141027(mixi日記より)
20240515


シアター!
有川浩著/アスキー・メディアワークス文庫

を読んだ。AKI氏に借りて。2014年5月3日。
 小劇団「シアターフラッグ」は、ファンはそれなりに多いものの、経営がいい加減で、いつも赤貧にあえいでいた。
ある日会社員の司のところに、弟が借金を申し込んでくる。
弟の巧はシアターフラッグの主催で、申し込んできた金額は300万円。
金額に驚いた司は事情を聞いてそのいい加減な経営に驚愕し、300万円貸す代わりにそれを2年間で返済し、それができなければ劇団をつぶすことを条件にした。
反発する劇団員もいたし、そもそもどうやって300万も稼げばいいのか分からなったが、司が経理を担当し・・・・。

 小劇団というものは、このような小説や映画などの創作物でお目にかかることがほとんどで、化夢宇留仁自身が舞台を見に行ったことは2〜3回しかないこともあり、少し現実とは思えないSFじみたイメージがある。
そういう意味では見慣れない世界を紹介した作品という風にも読める。
しかしそれだけではすんでいないのは、著者の地に足着いた語り口と、調査によるディテールのリアリティのたまものだろう。一言で言うとプロっぽい。プロだけど(笑)
 物語はよくある落ちこぼれたちが力を合わせて成功をつかむというパターンだが、そこに意外性を求めるような作品ではないので問題点というわけではない。
十分に楽しく読ませてもらったのだが、少し物足りない気がするのは化夢宇留仁の好みの問題か、それともあまりに物語に脱線がないからか。
もう少し物語の本道以外のシーンがあってもよかったかもしれない。

20141029(mixi日記より)
20240516


わたしを離さないで
カズオ・イシグロ著/ハヤカワepi文庫

を読んだ。SRさんに借りて。2014年2月1日。
 架空の近未来(?)が舞台で、最初はなんの変哲もない世界のようだが、読み進めるうちにその世界では臓器移植のために生み出されて育てられるクローンが認められており、主人公をはじめとした友達全員がそのクローンだと分かってくる。
こう書くとSFっぽいが、実際は全然異なり、むしろ過激な設定を少女の視点で淡々と描くことで非常にリアルで、現実の話ではないかと勘違いしてしまうような迫力がある。
時間の経過とともに積み重ねられるシチュエーションも、単純に思いつかないようなものばかりなのにいかにもありそうな、微妙な線を突いてくる。
自分とそっくりの女性を探しに行くとか、なにかのきっかけになるかと芸術作品作りに精を出すとか。
なによりぞっとするのは自分たちが臓器移植用に存在しているということを知っていて、かつ幼少時からの教育でそれを受け入れているところで、それが物語全ての立脚点になっているのだ。
しかしそれって要するにその辺のペットと同じなのでは?いやいやそもそも全ての人間も同じなのでは?などなど、いろいろ考えさせられるきっかけにもなる作品である。

20141030(mixi日記より)
20240518


ようこそ地球さん
星新一著/新潮文庫

を読んだ。昨日。
 星新一のショートショート集を読むのはおそらく30年以上ぶり(汗)
昔面白く読んだが、今ならどう思うかを試してみたくなったのだ。

デラックスな拳銃
 仕事も家も家族も捨てて作り上げたデラックスな拳銃を持って、宛もなく旅立つ「私」。
金が必要になればデラックスな拳銃に物を言わせれば簡単に・・・。

 どのへんがデラックスかと言うと、ほとんどは拳銃とは関係ない機能がいろいろと追加されているというころで、よく言えばスマホ、そうじゃなければ十徳ナイフみたいな(汗)
それはいいとして、この話は主人公が何を考えているのかさっぱりわからず、そのせいで落ちもほとんど意味不明になっていて困った。
星新一のショートショートって、こんなにしょうもなかったっけ?と初っ端から不安に(汗)


 氷河期に覆われた西暦4000年、ある夫婦が食料を求めて過去にタイムスリップする。
 
 意外すぎるオチで面白い。この著者にこんなオチの作品があったとは。
初期作品集ならではかもしれない。

弱点
 奇妙な玉は怪物の卵だった。
それはどうしても殺すことができず、しかも更に卵を生み・・・。

 微妙すぎるオチ(汗)

宇宙通信
 宇宙の彼方に送り続けていた電波にとうとう返答があった。
なんとか意思の疎通をしようと書類などを送ってみると・・・。

 これまた微妙なオチだが、いかにもショートショートらしくはある。

桃源郷
 テレビカメラを搭載した無人のロケットがたどり着いた惑星は、核戦争の末に地獄と化した世界のようだったが・・・。

 なんとなく「カプリコン1」(笑)

証人
 人気女優が青酸カリを飲んで自殺したのを、刑事である「私」が調査する。
どうやら自殺と見せかけた他殺らしいのだが、テレビ局の対応は・・・。

 テレビが導入されて生放送ドラマが大人気だった頃の作品らしい。
全てが刹那的。

患者
 患者が持つ女性への劣等感を、催眠術による過去の追体験で解消させようとする精神科医。
それはうまくいったが、現在の年齢に戻すところを1年先の未来にしてみたところ・・・。

 著者が大好きなアメリカの1コマ漫画みたいな味わいのコメディ。
この頃からもう集めていたんだろうか。

たのしみ
 山間部の小さな村は、ほとんど外部との接触も無く平和で、唯一の楽しみは数年に一度開催される祭りだけだった。
そんなところに1人の男が現れ・・・。

 「2000人の狂人」を思い出した(笑)

天使考
 すっかりだらけてしまった天使たちにやる気を出させるために、ミカエル社とガブリエル社に分けて競い合わせることにした神様。
結果天使たちの競争は加熱し、死神さながらに人間の魂を次々と天国へ・・・。

 こういう神秘的なものの「会社化」というアイデアは誰が最初にやったんだろうか?
この著者だろうか?

不満
 無理やりロケットに乗せられた「おれ」がたどり着いたのは、高度な科学技術と文化を持った惑星だった。
彼らは「おれ」の話に同情し・・・。

 オチは予想通り。珍しくやんわりとだが時事ネタが活用されている。

神々の作法
 ある平和な星に地球からのロケットが到着。
現地の王はそれを神の乗り物だと思い、なんとかもてなそうとするがどうしてよいのかわからない。
そこに更にもう1台のロケットが到着し・・・。

 これも微妙に時事ネタ(冷戦)が。

すばらしい天体
 行方不明になったロケットを捜索していたロケットが記録にない惑星を発見し、降りてみるとそこは楽園のような世界で、行方不明になったロケットとその乗員もそこにいたが・・・。

 よくある落ちだが、それを「よくある」にしたのがおそらく著者。

セキストラ
 インカ帝国の顛末の後、セキストラという性的興奮を促して暴力的な傾向を抑えることができる機械が全世界に広がっていく様子を、記録の抜粋という形で掲載。

 冒頭から落ちは予想できるが、雰囲気があって面白い。

宇宙からの客
 1人乗りのUFOが地球に着陸。彼は地球との大規模交易を約束するが・・・。

 これもよくある落ちと思ったが、そもそも昔これを読んだときの印象が残っていたもののようだ。

待機
 国家間の対立を解消したおかげで宇宙開発が進展し、とうとう探査宇宙船が人類が生存可能な素晴らしい惑星を発見する。しかしそこにはリスのような見た目の知的生物が存在し・・・。

 著者が得意な思い込みを利用した落ちで、冒頭の隊員たちの微妙な描写が興味深い。

西部に生きる男
 アリゾナ州のはずれの岩山で、人質と身代金の交換が行われようとしていた。
ところがその2人はいずれも只者ではなかった。

 なんだか懐かしい雰囲気。
極端ではあるが、確かに西部劇ってこんな雰囲気だったかも(笑)

空への門
 ロケットの乗員になれるのは、体力学力ともに最高のエリートだけだった。
「彼」は努力を重ね、その実現が近づくとともに他を見下すようになっていたが・・・。

 変化球の落ちが楽しい。
実際こういうことは歴史上沢山生じているはず。

思索販売業
 腕利きセールスマンの「私」は、今日も言葉巧みに商品の販売に成功する。
それは他のセールスマンやダイレクトメールを撃退するグッズの数々だった。
ところがそんな彼のところにセールスマンがやってきて・・・。

 バタフライエフェクト的な(笑)
現在のメールやブラウザ上での販売広告&ブロックのイタチごっこの予見のようでもある。

霧の星で
 霧の立ち込める星で遭難した男と女。男は女につくすが、女は男に興味がない。
そんなところに救助隊が・・・。

 まあそうなるわな(笑)

水音
 会社でみんながペットの話に盛り上がっていたが、計算をしていた男は興味が無いようだった。
しかし男は特別なペットを飼っており・・・。

 意外なペットとなぜか爽やかなエンディングが面白い。

早春の土
 精神病院を取材していた記者は、庭に穴を掘っている男にインタビューする。
男は自分を海賊だと思い込んでおり、彼にだけ見える肩にとまったオウムと話をしていた。
男は金を掘り出そうとしているという話で、記者はそれを手伝うが・・・。

 医者は見えないって言うんだろうか。

友好使節
 正体不明の宇宙船が地球に接近しているのが発見された。
侵略だった場合は恒星間宇宙船を作れる相手には勝ち目がないので、とにかく大歓迎して攻撃されないようにすることに。
ところが異星人はひどく醜い姿をしており・・・。

 落ちのあとの展開が気になる(笑)


 蛍は絶滅寸前だったが、それが売りの旅館ではランプが付いた超小型のヘリコプターを蛍ということにして大量に飛ばした。
その中に混じって弱々しい光を放って飛ぶ本物の蛍を見た男女は・・・。

 なにこのちょっと切ない話は(笑)

ずれ
 なんでも電話で注文すれば即座に商品が送られてくるシューター。
その送り先が1つずつずれてしまったために起きる悲喜劇。

 まあまあ面白いが、もう一捻りほしかったかも。

愛の鍵
 ドアロックのパスワードを音声で告げて開けるのが一般的になっている世界。
ちょっとしたことで彼氏と喧嘩してしまった女は、彼に面と向かっては謝れないのでパスワードに・・・。

 なにこのロマンティックな話は(笑)
ちうか音声パスワード認証は超小型マイクとか、色々抜け穴がありそうだぞ。

小さな十字架
 戦前、ヨーロッパに留学していた「彼」は、酔っ払って小さな銀の十字架を買った。
戦後お金がほしかった彼はそれを複製して売ることに。ところがオリジナルの十字架が商品に紛れ込んでしまい・・・。

 なにこのメルヘンは(笑)
ちうか著者はクリスチャンというわけじゃないよね?

見失った表情
 友達で美容整形を生業にしているキーラのところにやってきたアキコは、特別な手術を依頼する。それは自分の表情を自由にコントロールできる装置で政府に禁止されていたが・・・。

 自分の表情をコントロールする装置というのは流石に無理がある気がする。
誰でも鏡さえあれば練習できるのでは。まあその表情がどんな効果を生み出せるかの評価は自分では難しいかもしれないが。

悪をのろおう
 泥棒に逃げられ、犯人を突き止めるための遺留品は髪の毛だけだった。
そこに藁人形を持った男が現れ・・・。

 こういう常識とオカルトを結びつけたアイデアが好きだよね。
落ちは超ベタなやつ(笑)

傲慢な客
 資産家に小型ロケットを貸し切らせることで儲けている「私」は、豪華な椅子に反り返った狩りがしたいという客をまだ誰も案内していない星に連れて行った。
客は珍しい動物を仕留めるのに成功し、喜ぶかと思いきや・・・。

 今となってはワンピースのボア・ハンコックを思い出さざるを得ない落ち(笑)

探検隊
 巨大な宇宙船に乗って、巨大な異星人が地球にやってきた。
彼らはどうも調査が目的らしかったが、地球人と意思を疎通しようとはしなかった。
やがて彼らは騎乗用の動物だけを残して去っていったが・・・。

 あとがきでも書いているが時事ネタである。
対談かなにかでこの視点の変換について話しているのを読んだ気もする。

最高の作戦
 その惑星にも略奪者の集団が到来した。戦っても勝ち目はないので、一人ひとりにつきっきりで接待しつつ反撃のチャンスを伺うことにするが・・・。

 なぜか最後は男と女の理想的状態に(笑)

通信販売
 地球外への通信販売で潤っている「私」は、初めての注文内容が少々奇妙だった惑星から追加で大量の注文があったので、配達と集金ついでに行ってみると・・・。

 なにこの小学生っぽいオチは(笑)

テレビ・ショー
 政府の提供によるテレビ・ショーは親に子供に見せるのを強く推奨していた。
その家でも非常に頭が良く親の言うこともよく聞く子供がショーの時間に間に合うように急いで帰ってきたが・・・。

 これは逆効果だと思う。もっと秘密めかさないと(笑)

開拓者たち
 ある植民星では合成食料による奇病が発生しており、このままでは全滅も時間の問題だった。天然食材が手に入れば解決するはずだったが、地球との連絡は途絶えており・・・。

 よかったよかった(笑)

復讐
 宇宙船の大編隊が地球に来襲し、破壊の限りを尽くして去り際に自分たちの星の名前を告げていった。
地球はその星への復讐を誓い、なんとか復興して十分な攻撃力も備えてその星に向かうが・・・。

 やめてあげて(笑)

最後の事業
 世の中がうるさすぎるので、コールドスリープの会社を作って静かになるまで眠ることにした資産家たち。しかしやがて残った人々もそれに続き・・・。

 皮肉な感じで終わるのかと思ったら、全てをぶち壊すギャグ落ちに(笑)

しぶといやつ
 地球にやってきた宇宙人たちは、そこを牧場にするために人類を滅ぼすことにする。
まず物寂しい川のほとりに立っていたサンプルを捕獲し、どうやったら殺せるかをテストするが・・・。

 著者が得意なトリック。
いつもつぶやいているのが可愛い(笑)

処刑
 処刑のために火星に降ろされた男のそばには30cmくらいの銀の玉が。
この玉のボタンを押すと水が飲めるが、あらかじめ定められた回数に達すると爆発する仕掛けだった・・・。

 短編と呼べる長さで、東欧の短編映画みたいな趣。
それにしても処刑する人間をわざわざ火星まで連れてくる理由がさっぱりわからない(汗)

食事前の授業
 カビの説明をする先生に対し、早くダンゴを食べたい生徒たち。

 なにこの落ちは(汗)?
なんだこれ(汗)?

信用ある製品
 地球が宇宙への進出を始めようとしたところに、セールスマンの乗った円盤がやってきた。セールスマンは宇宙へ進出するためには武装を整えておく必要があると説明し、完璧な防御兵器と完璧な攻撃兵器を売りつけるが・・・。

 落ちが乱暴すぎる(汗)
誰か聞けよ(笑)

廃墟
 古代に栄えた文明の廃墟に遠足にやってきた先生と生徒たち。その文明は過去に非常に強い爆発力をもったなにかによって一瞬で滅んでしまったらしい・・・。

 落ちが落ちになっていないが、当時は意外性があったのだろうか。

殉教
 発明品の公開実験が行われ、死者と会話ができる機械が紹介された。
その機械を発明した男は亡くなった妻と話をし、死後の世界が幸せなものだということを告げた後に自殺する。
残された人々は亡くなった自分の大事な人と話をしてみて・・・。

 そうはならんやろ(笑)
個人主義の進んだ現在ではますますそうはならなさそう。

 ちうわけで最初の作品で不安になったが、結果的には面白かった。ちうか最初の作品がひどすぎる(汗)
最初はショートショートというもの自体にも少々不安を感じていたのだが、やはりそこは大御所。その密度感や完成度の高さは他の作家が書いたショートショートとは一線を画していた。
 また本書ではちょくちょく挟まる真鍋博の縦長の挿絵がまたいい感じで、なんだかお宝を見つけたように気分にさせてもらった。
 星新一で有名なのが具体的な描写は避けて作品が古びないようにしているということだが、今回読んでそれは逆に言うと著者が未来に変化するものとそうでないものを予想した結果を読み取れるということだと気づいて、そういう面でも面白かった。
例えば「国電」が民営化されるのは予想できなかったらしいとか、「水音」に出てきた「計算する」という描写は、そろばんでも電卓でもなく、未来では全く異なった形態になっているだろうと正確に予想できていたのだなあとか。
 総括すると子供の頃に楽しく読んだのにはちゃんと理由があったのがわかって安心した(笑)
それと前々から思っていたのだが、やっぱり化夢宇留仁的には星新一はSF作家ではない。初代御三家でSF作家と呼べるのは小松左京だけだと思う。

20240518(mixi日記より)
20240518


三匹のおっさん
有川浩著/文春文庫

を読んだ。AKI氏に借りて。2014年5月9日。
 還暦を迎え、このまま年老いていくことに不安を抱える老人が、仲間2人と孫とともに町内の悪に立ち向かう。
第1話ではカラオケ、ゲーセン、ボーリング場などが集まったアミューズメント施設に寄生するゴロツキを退治。
第2話では痴漢を退治。
第3話では老女相手の駆け落ち詐欺師(笑)を退治。
第4話では中学校で育てられているマガモの虐待者を退治。
第5話では少女を狙った恐喝者を退治。
第6話ではマルチ商法詐欺集団を退治。

 この手のドラマ化されるような日本のヒット作はほとんど読まない化夢宇留仁だが、別に嫌いというわけではない。単に優先順位が低いだけである。なので貸してもらったら喜んで読む(笑)
その結果とても楽しく読むことができた♪
連作短編の形をとり、ローカルな事件を三人のおっさんと孫が解決していくわけだが、実に地に足着いた感じで、当たり前だがよくある風景によく見るような人たちが出てくるのがかえって新鮮だったり(笑)
じいさんと孫の交流というのもいかにも〜〜〜〜〜な感じで全然予想を外れないところが安心(笑)
それでも流石にリサーチ力には定評のある著者だけあって、各エピソードのディテールは見事なもので、それぞれの犯罪の成立方法やその描写など、見事に描き出されている。
この辺のバランスのよさは日本の作家の中でもトップクラスかも。
ちなみにドラマは見ていない。

20141030(mixi日記より)
20240519


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