ゴーレムの挑戦
魔法の国ザンス9
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1994年4月30日初版

 ザンスシリーズ第9作。
シリーズ2作目から登場していたゴーレムのグランディがとうとう主役の座に。
第1部完結となる本作では、初心に返ってグランディの自分探しの旅が描かれる。
相変わらず考えられる限り最高に滅茶苦茶なパーティーで旅をするのだが(今回はベッドの下の怪物が仲間にいるので、ベッドまで運んでいる/笑)、グランディ自身がシリーズ随一のアクの強いキャラクターなので、そんなに目立っているわけでもないのがすごい。
また本作では珍しく明らかな「敵」が存在するので、その点では少々趣が異なっている。
しかしそれもグランディとヒロインの関係を強調するための存在という描き方が徹底しているので、ザンスらしさは失われていない。
 化夢宇留仁的には、おとぎ話のキャラクターっぽいのまで出てきてまさになんでもありになってきたのには少し微妙な気もしないでもないが、骨格と言える部分はしっかりザンスだと感じるので、とりあえずは満足。
こうなってくると未来に進むばかりでなく、過去に戻って「○○と○○の間のエピソード」みたいなのもあっていいと思う。
なんでもやってしまえ(笑)

20100313


悪魔の挑発
魔法の国ザンス10
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1995年12月15日初版

 ザンスシリーズ第10作。
 人喰い鬼と人間の女優のハーフであるメリメリと、人間とニンフのハーフであるタンディ。その2人の息子であるエスク。
彼は人間の要素が強く、人喰い鬼の怪力も自由にコントロールできなかった。そんな彼は両親を女悪魔メトリアから救うため、ハンフリーの城へ向かう。
 またセントールのチェスターとチェリーの娘チェムと、ヒポグリフのザップの間に生まれた翼のあるセントールのチェクスも、空を飛ぶ方法を聞くためにハンフリーの城へ向かっていた。
 更に穴掘り一族のヴォルニーは、故郷のキス・ミー・リバーを悪魔族に占領されたのをなんとかする方法を聞くために、ハンフリーの城に向かっていた。
そんな彼らが合流し、ハンフリーの城に着くが、そこでは意外な事件が待ち受けていた・・・・・。

 ザンスシリーズ10作目にして、第2部の開幕。
上記の通り登場人物は初期シリーズの孫の代に突入している。しかし第1部との最大の違いは、今までの1話完結方式ではなく、物語が継続してゆくところにある。
それぞれの巻でそれぞれの主人公達の物語は完結するのだが、それらを包括する大きな謎が引き継がれてゆくのだ。
だらだらと話が続かれるとキビシイが、一応それぞれ完結しているので、化夢宇留仁的にはOK。ただしやはりそれぞれの巻を読み終わった時の満足感は第1部に及ばないが。

 本作はストーリー的には今までにない展開が用意されており、興味深い。
特にハンフリーの予言めいた教示が無くなったので、主人公達は本当に成功の見込みがあるのか無いのか分からない挑戦をせざるを得なくなっているので、その分これまでより緊張感も高い気がする。
ただしキャラクターの魅力という点では、今作のエスク、チェクス、ヴォルニーは今ひとつで、ちょっと濃さが足りない気がする。
まあ孫の代ではそうなるのも仕方がないが(笑)。
その代わりサブキャラクターは相変わらず雑多で魅力的な者がそろっており、特に骸骨のマロウと女悪魔のメトリアは面白い。
メトリアは化夢宇留仁的には「花平バズーカ」を思い出してドキドキするのもいい(笑)。

20100411


王子と二人の婚約者
魔法の国ザンス11
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1996年11月30日初版

 ザンスシリーズ第11作。
 ドオアとイレーヌの2人目の子供であり、どんな生き物にも姿を変えることのできる魔法使いであるドルフ王子は、傲慢な姉であるアイビィの支配から逃れ、自分も一人前の男だと証明するために、3年前に行方不明になったハンフリー一家を捜す旅に出ることに。
ドオアとイレーヌはしっかりした大人の付き添いが必要だと言い、結局骸骨のマロウと旅立つことになる。
しかしハンフリー一家は徹底的な捜索が行われたにも関わらず手がかり1つ見つかっていない。たったの9歳のドルフと、骸骨のコンビには難しすぎる挑戦だと思われた・・・・・。

 ドルフがものすごく賢く、骸骨のマロウは相変わらず有能なので、気持ちがいい。
しかし最大の読みどころは、完全にお子ちゃまで女の子とべたべたするのを心底嫌っていたドルフ王子が、女の子のパンティのことしか考えていないエロガキに成長(?)するところである(笑)。
 本作では久しぶりに男臭くてかっこいいサブキャラが登場している。
飛行ドラゴンのドラコがそれで、ぜひ再登場を願いたいところである。

20100411


マーフィの呪い
魔法の国ザンス12
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1999年8月31日初版

 ザンスシリーズ第12作。
 3年前にハンフリー一家の捜索に向かったドルフ王子だが、見つけてきたのは2人の婚約者だけで、ついでに完全なエロガキになって帰ってきた。
今度は自分の番だと17歳になったアイビィ王女が捜索に向かう。
彼女はドルフが見つけてきた、持つ者を最も必要とされる場所に導く魔法のアイテム「ヘブン・セント」を作動させる。
窮地に陥っているハンフリーが最も彼女を必要としている筈だったのだが、着いたのはなんとマンダニアだった。
 一方マンダニアのぱっとしない青年グレイは、奇妙なコンピュータソフトに出会い、そのソフトに次々と女の子を紹介してもらっていたが、なかなかうまくいかずに困っていた。
これが最後とコンピュータの指示にしたがって扉を開けると、そこには美しい少女アイビィがいた・・・・。

 アイビィに導かれてザンスに入るグレイだが、前半は彼の強すぎる懐疑心が鼻について非常に読みにくい。
また彼とザンスの魔法の関わり方に、「信じるから存在する」という概念がちらほら見えて、これまた化夢宇留仁の好みの展開ではなく心配したが、後半になってそれらは払拭され、魔法は問答無用で存在することが証明されて一安心。
更に意外なオチが用意されており、読後感は「とても面白かった」でよかった。

 本作の印象的なサブキャラは、もちろんマーフィーである。
まさか彼がこのような形で復活するとは思わなかった。おっさんが強いのが大好きな化夢宇留仁は、マーフィーの能力の描写のところは喝采を挙げたくなった。
 また再登場のコン・ピュータも印象的な活躍(?)だったが、展開的には少し化夢宇留仁の好みとは違っていた。
しかしまあ許容範囲だろう。

20100411


セントールの選択
魔法の国ザンス13
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
2000年6月15日初版

 ザンスシリーズ第13作。
 翼のあるセントール、チェクスとチェイロンの息子チェが誘拐された。
王の留守を預かっていたマーフィーの指揮の下、大規模な捜索が開始される。
 一方ザンスには訪問者がいた。
それは「2つの月をもつ世界」のエルフに似た少女ジェニーと、その飼い猫サミー。
彼女とチェの運命は絡み合い、ゴブリン族の趨勢、そしてザンスの未来に関わる大事件へと発展してゆく・・・。

 セントールという種族は、実に論理的で頑固という描かれ方で、それは小さな子供でも変わらない。
場合によってはその頑固さに辟易させられるが、基本的には物語をスムーズに進めるキーになるので、化夢宇留仁のお気に入り種族である。
本作ではまだ5歳でしかない(翼のあるセントールは人間と比べれば成熟速度は速いのだが)チェが、セントールらしい論理的な判断をしてくれるので助かる。
しかしこれではセントールって、ヴァルカン人みたいだな(笑)。

 しかし最大の事件は、ザンス、マンダニア、催眠ひょうたんの世界に続く、第4の世界の登場だろう。
まだ本作では詳細は語られないが、ちょっと顔を出しただけのその世界の怪物が女悪魔メトリアでさえ恐れさせる能力を持っているなど、油断できない。
ちうかこのモンスター、ほとんどクトゥルフの世界から抜け出したかのようである。まさか作者はクトゥルフ神話も取り込もうとしているのか〜〜〜〜〜〜(汗)???
というのは冗談だが(笑)。でもザンスシリーズはなにが起こっても不思議ではないので、マジでちょっと期待(?)

20100411


魔法使いの困惑
魔法の国ザンス14
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
2002年1月31日初版

 ザンスシリーズ第14作。
 元幽霊のミリーと、ゾンビーの頭の双子の子供の片割れであるラクーナは、今までの34年間はつまらない人生を送ってしまったと思っていた。
そこでグレイ・マーフィーにどこで間違ってしまったのか、そして間違いを正すにはどうしたらいいかを聞くために、ハンフリーの城へ向かう。
結果は過去のボーイフレンドと結婚すべきだったというもので、そうするためにはハンフリーに会わなければならない。
彼女は地獄の待合室にいるハンフリーに会いに行く。
 そのハンフリーは、いよいよ魔王との対決が迫ったのを感じており、彼女に彼の半生を壁に記すように命じる。
そうしてハンフリーの物語が始まる・・・・・。

 ストイックな印象のハンフリーだったが、大間違いだった。
むしろ全キャラクターの中で一番スケベである(笑)。

 本作のほとんどはハンフリーが過去を振り返るというもので、どうやら作者自身、ファンから突きつけられた矛盾点などを調整し、1本の歴史線を構築する必要を感じたようでもある。
なのでこれまでにない変わった内容になっており、まだハンフリーが若い頃のことはともかく、ザンスシリーズの時間軸に突入すると、今までに読んだ物語がハンフリー視点で語られるという、実にメタな展開になる。
これはこれで実に興味深くて面白いのだが、穴を取り繕っていると感じてしまう箇所もいくつかあり、これはファンの罪だと言える。
そんな細かいこと、言及しなければ普通は気にならないのに(笑)。
 またクロンビーの秘密については、なぜそんなことにしたのか、理解できない。
この後の物語で大きく関わってくるならまだしも、ちょっとあんまりな気がした。なんとか納得できる展開があればいいのだが。

20100411


ナーダ王女の憂鬱
魔法の国ザンス16
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
2005年5月15日初版

 ザンスシリーズ第16作。
15作目をとばしていきなり16作目がきたのはなぜかというと、化夢宇留仁が15作目を買い忘れており、しかもそれに気づかず16作目を読み始めてしまったのだ(汗)。
途中でなんだかおかしいと気づいたが、まあいいかと(笑)。
ちなみに捜索の過程で、14作目「魔法使いの困惑」がもう1冊出てきた(汗)。

 本作はザンスを舞台にしたコンピュータゲームに、マンダニアの男女が入り込んで冒険を繰り広げるという番外編的な展開を見せる。
しかし通常なら完全に番外編になるところだろうが、ザンスの場合はなんでも気にしないので、普通に本編にとりこまれている(笑)。
また本国では同時期に本作とリンクした内容のコンピュータゲームが実際に発売されていたそうな。
やってみたい〜〜〜〜〜。

 内容が内容だけに、主人公が誰なのかよく分からない本作。
主人公クラスの扱いを受けているのは、ナーガのナーダ王女、異世界のエルフであるジェニー、マンダニア人の青年ダグ、マンダニア人の女学生キム。
マンダニア人の視点でザンスを描くというのは、マンネリ化してきた雰囲気をリフレッシュするのに役立っていて、悪くなかったと思う。
ただもはや完全におかしなダジャレ世界と化してしまい、1作目にあったような神秘的な雰囲気は皆無になってしまったのは残念。
まあ長く続くシリーズの宿命とも言えるところだと思うが。

20100502


ゴブリン娘と魔法の杖
魔法の国ザンス15
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
2003年10月31日初版

 ザンスシリーズ第15作。
15作目をとばしているのに気づいて、慌てて注文。ついでに17〜20作目も併せて購入した。
それにしても20作目は2009年末の発売。1作目は1981年に発売されている。
なんと28年間(汗)。こんなに息の長いシリーズになるとは(そしてまだ続いているとは)予想もしなかった。
しかもこの調子だと、この先もまだ続きそうである(汗)。

 今回はゴブリン娘のグウェニイが、酋長の座を賭けて試練に立ち向かうというのがメインストーリーだが、そこに人魚のメラ、女悪魔のメトリア、人喰い女鬼のオクラ、異世界のエルフのジェニーの冒険がリンクしている。
なんだかややこしく感じるのは、16作目に関わる内容が多く、その順番を逆に読んでいるからだろう(笑)。
 いい感じになってきているのは、女悪魔のメトリア。
案の定以降のシリーズでも大活躍することになった。

20100502


名誉王トレントの決断
魔法の国ザンス17
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
2006年9月30日初版

 ザンスシリーズ第17作。
 本作ではハーピーとゴブリンのハーフであるグローハが主人公。
彼女は自分に合った連れ合いを探しているだけなのだが、それは様々なキャラクターを巻き込んで、大冒険に発展してゆく。
まきこまれた代表はもちろんトレントである。もはや100歳近い高齢の。
他にも1作目から登場していた主要キャラクターがぞろぞろ出てきて、老醜をさらしまくる(笑)。
それはいいのだが、なんとトレントに至っては20代に若返ってしまう。
化夢宇留仁はトレントはザンスシリーズで最も好きなキャラクターの1人なので、歓迎と言えば歓迎なのだが、いくらなんでもキャラクターを若返らせ始めたら収拾がつかなくなると思うのだが(汗)。

 そんなわけで、とりあえずトレントが活躍しているだけでも楽しいし、物語的にも久しぶりに視点を絞った読みやすい構成で、楽しめた。
とりあえず印象的だったのは、ゴーレムのグランディとラプンツェルの娘が・・・・とうとうザンスは諸星大二郎世界までとりこんだか(汗)、もうクトルーちゃんそのもの(笑)。
えらいことである。

20100502


ガーゴイルの誓い
魔法の国ザンス18
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
2008年1月25日初版

 ザンスシリーズ第18作。
 本作の主人公はガーゴイルのゲイリー・ガー。
毎回次は誰の子孫が主人公なのかと思うのだが、今まで全然関わらなかった新たなキャラクターで来た。
この作者は読者の予想通りになるのを極端に嫌うらしい(笑)
 そして前回トレントを若返らせてしまい、滅茶苦茶になるのではないかという危惧は的中。
今作ではアイリスまで若返ってしまう(汗)。
さらには女悪魔メトリアに、第2の人格メンティアが現れ、この滅茶苦茶な3人で、前作でちらっと出てきたクトルーちゃん、いやサプライズを教育するたびに出る。

 もう滅茶苦茶の上に滅茶苦茶でなんだかよく分からないが(笑)、内容自体は目くらましで古代遺跡をよみがえらせてその時代を旅するなど、面白いシチュエーションが用意されていて楽しめた。
メンティアのキャラクターもいい。

20100502


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