Space Rangers 2 Rise of the Dominators

ゲーム(Windows)/1C Company (ロシア)
拡張パック込みで3700円程度

入手方法/ダウンロード販売(Impulse Drivenがオススメ)

　遠い未来の銀河、人類を含む５つの知的生命体は、「ドミネーター」と呼ばれる機械生命体との戦いの中にあった。そしてその最前線に立つのが、「スペースレンジャー」と呼ばれる戦士兼何でも屋達。宇宙の平和を守るため、レンジャー達は今日も行く。配達に、釣り大会に、暗殺に…。テキスト選択アドベンチャーと、ロボットバトルとシューティングゲームの集合体。

　2Dトップダウン型の平面宇宙ですが、かなり面白い。ドミネーター達の戦いよりも、レンジャー達の任務の方が面白いです。普通の配達や海賊討伐のような任務もあるのですが、時々下されるテキスト形式の任務が、ゲームブックみたいで良いです。
その内容も、犯人探し、選挙の手伝い等のまともなものから、国の威信をかけた釣り大会、ピザ作り選手権、ロックコンサートで歌うなど、レンジャーの任務が「?」となるものが多く、この妙なボケ具合が良いです。そして、ドミネーターの支配地域を奪回すると、惑星上でのロボットバトルになりますが、これが難しい。でも、これは引き受けなくてもゲームに支障はありません。また、ブラックホール内でのシューティングゲームもありますが、これも結構難しい。ドミネーターには三つの派閥があり、それぞれのボスを倒せばゲームクリアですが、二体の異星人がピアノを弾き、ごっついゴブリンのような異星人三人がマラカスを振るナイトクラブのエンディングムービーがとてもシュール。

　機械生命体との戦いは、ちょっとトラベラーっぽくないです。

揺籃の星(上下)

小説/ジェイムズ・P・ホーガン/内田昌之訳
創元SF文庫2004年7月25日初版

　土星の各衛星には、数十年前から移住した人々、クロニア人が暮らしていたが、彼らは現状維持を最優先する地球とはあまりにも考え方がかけ離れており、事実上断絶状態だった。
しかし地球の一部の人々が彼らと接触し、人類の未来の繁栄のためには外に目を向けるべきだと話し合おうとしていた。
ところがそんなとき、木星から新たな小惑星が誕生し・・・・・。

　あまりにも荒唐無稽な仮説が展開されるが、その論証はあまりにも的確で、それ以外の結論はあり得ないような気にさせられる。
そして後半の他に類を見ない展開と描写は、リアルな上に科学的根拠に基づいたあまりに悲惨で衝撃的なもの。
いつもの楽観的なホーガン作品だと思っていると足下をすくわれる。

　少なくともプレイヤー視点で見ると全然トラベラーらしくないが、同じ太陽系内のガスジャイアントの衛星に全然違う文化の人たちが暮らしているという設定はトラベラーらしいかも？

　こういうシナリオもありだと思う。やってみたい。レフリーで（笑）。

終局のエニグマ(上下)

小説/ジェイムズ・P・ホーガン/小隅黎訳
創元SF文庫1989年5月26日初版

　ソ連が生き延びている未来。
ラグランジェ・ポイントにはソ連製の巨大なスペースコロニーが建造されていた。
それが長きにわたった東西冷戦を終わらせる強力な兵器だと信じるアメリカ政府は2人のスパイを送り込むが・・・・・。

　意外にもストレートな冒険＆ミステリ＆大仕掛けなSFトリックを楽しめる。
今や古風なイメージさえあるスペースコロニーだが、やはり改めて正面から描写されると迫力がある。

　トラベラー世界ではスペースコロニーはあまり出てこないが、その世界の状況次第だと思う。

　展開はトラベラーシナリオとしても十分使用できる内容。
このシナリオをクリアしたら、プレイヤーは大きな満足感が得られると思う。

宇宙兵ブルース

小説/ハリイ・ハリスン/浅倉久志訳
早川書房１９７７年６月１５日/400円

入手方法/古書店で購入
頑張って探してください。

　農夫のビルはだまされて銀河帝国軍に徴兵される。一癖も二癖もある同僚兵とともに地獄の新兵キャンプでの訓練を中途で終え，最前線に配属される。ヒューズ交換兵として・・・。
その後，沈没寸前の宇宙戦艦でたまたまビルが放った主砲弾が敵主力艦に命中し，ビルは英雄に。
その後も急激でシニカルな運命にもてあそばれながらビルは奮闘するが。

　典型的なパロディーＳＦ。細かいことは気にせずに読んでいけば楽しめる。

　トラベラーの徴募システムも似たようなものだと思うと、世界の見え方が変わってくる。

　帝都での迷子話は使えるかも。

最後の星戦
老人と宇宙3

小説/ジョン・スコルジー/内田昌之訳
早川書房2009年6月25日初版/880円

　「老人と宇宙」シリーズ3作目。
1作目の主人公ジョン・ペリー、1、2作通じて活躍してきたジェーン・セーガン、2作目で登場したゾーイを主役に据え、彼らの新たな人生とコロニー連合と地球を巻き込む大事件を描く。
続編も出ているが、1、2作と並べて3部作と言える内容。
　退役して3人家族として農耕コロニーで平和な日々を送っていたペリーだったが、元上官から新たなコロニーの指揮を依頼される。
しかしその任務は表面上には現れない過酷な目的が隠されていた・・・。

　シリーズの華と言える改造ボディが（まともには）登場しないのは残念だが、1、2作目をふまえて読めば最高に面白い。

　辺境開拓の雰囲気は十分に味わえる。

　コロニー開拓や植民者の選別部分は実に参考になる。

スカーレット・ウィザード

小説/茅田砂胡
中央公論新社 2014年5月25日（文庫版）新書版は1999年/660円
入手方法/文庫版は書店で入手できます。

　海賊王の異名をとるケリーに，銀河の情報とエネルギーを支配する大財閥の総帥ジャスミンが求婚した。ケリーとジャスミン，そして頭脳宇宙船ダイアナの３人（？）の宇宙をまたにかけた冒険が始まる。

　正統派スペースオペラ。理屈ではない面白さ。
頭脳宇宙船，謎の生命体，特殊部隊の登場とツボを押さえている。

　トラベラーの小市民なキャラクターたちでは解決するのが難しい。

妙なる技の乙女たち

小説/小川一水
ポプラ社 2011年2月4日/734円
入手方法/中古で探した方がよいかも。

　軌道エレベーターが建設された赤道直下の宇宙産業都市リンガ。
種々雑多な人々の集まるこの街で，様々な職業に腕を振るう女性達のオムニバスストーリー。
第１話　天上のデザイナー
　インダストリアルデザイナーの京野歩は，宇宙服デザインコンペに挑む。
第２話　港のタクシー艇長
　水上タクシー艇長，歌島水央が父の形見の船を操り，育ての親を運ぶ。
第３話　楽園の島売ります
　高級自然住宅開発企業社長，幡守香奈江の開発計画が現地の住民達の反対に遭う。
第４話　セハット・デイケア保育日誌　
　保育士阪奈麻子は，どこからか現れた謎の少年の面倒を見ることに。
第５話　Lift me to the moon
　急遽リリーフアテンダントとして，軌道エレベーターに乗務した犬井麦穂の正体は？
第６話　あなたに捧げる，この腕を
　ロボットアームを使用して金属を削るアーティスト　鹿沼里径の作品に込めた思いは恋人に理解されるのか
第７話　The Liftestyles Of Human-being At Space
宇宙総合産業企業で，宇宙生活の将来像を描くプロジェクトを任された歌島美旗のビジョンとは
第８話　宇宙でいちばん丈夫な糸
　軌道エレベーター建設を企画するアリッサ・ハービンジャーは，エレベーター建設に欠かせないカーボン・ナノチューブの使用許可を得るべく開発者の家を訪れた。

　軌道エレベーターの周囲にできた街で働く，女性たちの物語。宇宙服のデザイナーや軌道エレベーターのアテンダンド，不動産業者など，それぞれが説得力を持って存在していそうなリアルさを評価したい。

　この設定はトラベラーにフィットする。

　参考になります。

栄光の〈連邦〉宙兵隊　ミッション1
異星使節団を守護せよ

小説/タニア・ハフ
早川書房2011年2月20日/1000円
入手方法/書店

　激しい戦闘の後，帰還した宙兵隊軍曹，トリン・カーに新たな命令が下った。〈連邦〉への新加盟を検討中の温血爬虫類シルスヴィス族への使節団の警護だ。戦闘とは無縁の気楽な任務のはずであったが・・・。彼女の運命は。

　隊ものにありがちな政争に巻き込まれて窮地に追い込まれる部隊の脱出劇。そのＳＦテイストが楽しい。　

　海兵隊ものとしてぴったり。

　オーソドックスなもので特に目新しさはなし。

狩人よ、故郷に帰れ

小説/リチャード・マッケナ
短編集本のタイトル/宇宙生命ＳＦ傑作選　黒い破壊者
早川書房2014年11月28日/1000円
入手方法/書店
入手方法コメント/現在（2015年2月）普通に入手できます。

　象に似た巨大獣を狩った者だけが一人前と求められるモーディン人は，その獣を繁殖させるためにある惑星の再開発に取り掛かる。その惑星を覆う動物性葉を持つ樹木を全滅させ，モーディンの生態系を再現しようとしているのだ。そのために駆除用植物を持ち込み繁殖させようとするが・・・・。

　いまだ一人前と認められていない青年の眼を通して，惑星の全容が語られ，謎が探られる。そして，二つの異なる生態系の衝突の有様が，まさにセンス・オブ・ワンダー。　

　植民もの，偵察局探査ものとして利用できる。

　オーソドックスで可もなく，不可もなく

おじいちゃん

小説/ジェイムズ・Ｈ・スミッツ
短編集本のタイトル/宇宙生命ＳＦ傑作選　黒い破壊者
早川書房2014年11月28日/1000円
入手方法/書店
入手方法コメント/現在（2015年2月）普通に入手できます。

　好奇心旺盛な少年コードは，惑星スータンの生態系に魅かれ様々な観察を重ねていた。しかし，その出過ぎた行動をたしなめられる日々だった。ある日，母星からの評議員を案内するために，「筏」と呼ばれる生物，中でもひときわ巨大な個体「おじいちゃん」をコードは操ることとなる。しかし，「筏」への乗船前から普段と違う様子の「おじいちゃん」。季節の変わり目にいったい何が起きるのか。不安を抱きながら旅が始まる。

　少年の不安と勇気の物語。巨大な水域で起こる不思議な変化が面白い。導入部がラストへのヒントとなります。　

　植民もの，偵察局探査ものとして利用できる。

　オーソドックスで可もなく，不可もなく

キリエ

小説/ポール・アンダースン
短編集本のタイトル/宇宙生命ＳＦ傑作選　黒い破壊者
早川書房2014年11月28日/1000円
入手方法/書店
入手方法コメント/現在（2015年2月）普通に入手できます。

　超新星爆発の調査に向かった宇宙船「大鴉号」。そこにはエネルギー生命体が寄り添っている。このエネルギー生命体は，人類によって「ルシファー」という個体名がつけられ，乗船しているテレパスの女性とのみ，交信が可能である。その容姿のため，人と接することの少なかった女性と「ルシファー」の心の交流は続く。そして，超新星に近づいたとき，「大鴉号」に危機が訪れる。

　とてもセンチメンタルで面白かった。エネルギー生命体との交流という設定で豊かな心を描くというアイデア勝ち。　

　探査もの，偵察局もしくは，ゾダーンの核探査にむいているかも

　小説としては素晴らしいが，ゲームに応用できるかは疑問。

銀河盗賊ビリイ・アレグロ

小説/都築道夫
短編集本のタイトル/銀河盗賊ビリイ・アレグロ／暗殺心
東京創元社2014年7月25日/1300円
入手方法/書店
入手方法コメント/現在（2015年２月）普通に入手できます。

　遠き未来，日本人とやらの血を引く銀河の大盗賊ビリイ・アレグロ・ラトロデクトス・ナルセとテレパシー能力を持つ蛇型知性異星生物「ダイジャ」，知能宇宙船ブラックウィドウのメインコンピュータ「タロウ」が織りなす盗賊物語。

　第１話　『双頭の毒蛇』　「ムアラの夜光珠」を盗むことになってしまったビリイは，王女デリアの王宮を目指す。

　第２話　『アンドロイド＆ドロイド』　娘にコピーしたアンドロイドの奪還を依頼されたビリイの謎ときはいかに!!

　第３話　『覆面条例』　覆面をすることが必須となってる惑星の反政府勢力の者から市長の覆面を奪取することを依頼される。

　第４話　『野獣協定』　銀河中から集められた名だたる盗賊たちが一堂に会し，ある城に監禁された。解放の条件は城中にある「レゲラ王女の涙」を盗むこと。離合集散を繰り返しながら，謎に迫る。

　第５話　『メイドインジャパン』　ひょんなことからビリイが演劇に主役として出演することとなった。つきまとう謎の球体。その理由は・・??

第６話　『顔のない道化師』　顔のない道化師ために，「顔のない顔を探すこと。」迷宮のような都市の中で，試されたビリイは謎の村に向かう。

　ＳＦにファンタジーのフレーバーとミステリーのストーリーが混在した不思議なテイストの連作短編集。ネットで調べると最初の版では大友克洋が描いた表紙が，なんともエキゾチックで味がある。　

　世界観はトラベラーっぽいが，ファンタジー的な要素をどう処理するのかが，レフリーの腕次第。　

　第３話と第４話はできるかも。あとはキャラ以上にプレイヤーの知恵次第。

大航宙時代　-星海への旅立ち-

小説/ネイサン・ローウェル
早川書房２０１4年４月１０日/８６０円（税別）
入手方法/書店
入手方法コメント/普通に入手できます。

　１８歳の少年イシュは，母の突然の死により，身寄りを失ってしまう。一人で生きていくことを余儀なくされたイシュは，その時寄港していた宇宙商船の商船員に応募し，商船員としての生活を始める。
　司厨員としてコーヒーを淹れる所から始まり，商船員資格試験の受験，緊急訓練，個人貿易，投機貿易など前向きに真面目に取り組んでいくイシュを，周囲の大人たちは暖かく援助していく。

　トラベラーのリプレイではないかと思うくらい，トラベラーな作品。戦闘も宇宙船の危機も，派手なラブロマンスも一切なし。ただ，宇宙商船員の日常が過ぎていく作品。ある意味，主人公のブログを読んでい るような感覚で，ホッとする。

　まさにトラベラーそのもの。

　貿易・投機ものの参考になる。

ヴェイスの盲点

小説/野尻抱介
富士見書房&早川書房/1992年6月/500円&670円
入手方法/書店
入手方法コメント/ネットの方が手に入るかもしれません。

　惑星ヴェリスは，大戦時の機雷が掃海されないまま残存しており，軌道からの惑星上陸が制限されていた。惑星に着陸するためには，チェスのように機雷の動きを読みながら航路を指示するナビゲーターが不可欠であった。零細貿易社ミリガン運送の貿易船が，ナビゲーターを雇いヴェリスへの着陸を試みる。そこで見つけたあるモノとは？
機雷源に再度突入するミリガン運送の運命は!!

　良質のスペオペです。SF設定もしっかりしており，野尻抱介氏のデビュー作として気軽に安心して読めます。最初は富士見書房から出版されましたが，現在は早川書房に版権が移動して発行されています。トラベラーを参考に作られたSFRPG「クレギオン」の世界を背景に作られているのでトラベラーとの親和性も高いです。

　非常に近いです。

　かなり使えると思います。