@ゲームを楽しむ為に

どんなTRPGでもそうですが、プレイヤーキャラクターが立ってきて彼ならこんな時にこういう反応を示すだろう、とかキャラクターの人となりが出来てくると、ゲームは俄然面 白くなります。キャラクターどうしが、それぞれ反応を読み合いながら会話が出来、ゲーム全体が活気を帯びてきます。
時には一人のキャラクターが立ってきて、そのキャラクターへの対応をしているうちに他のキャラクターも引きずられるようにキャラが立って来る場合もあります。

TRAVELLERにおいては、このキャラを立てるというのはゲームを楽しむ為の必須条件でもあります。
なぜなら戦闘などのゲームとして盛り上がるシーンは滅多に無く、あってもファンタジーゲームのように、それを全てに優先する訳にはいきません。
事件が起こっていてもそれは各自の生活の中断を意味するのではなく、その生活の一部であるのです。
何の躊躇も無く殺してもいい敵の存在もほとんどありません。
TRAVELLERのゲーム中に強盗に襲われても、下手に反撃したら過剰防衛で捕まるかもしれません。
戦争が起こっても同じ事。敵だって知的生命体です。
未開の惑星で狂暴な動物を殺したら、動物保護の観点で罰せられるかもしれないし、それ以前にそういう星は大抵入国時にそのような注意と、罰則事項が提示される筈です。

そんな訳で、ただ事件に振り回されていればキャラが立ってくる事はほとんど無いのです。
ではどうすればキャラクターを立てる事が出来るのでしょう?
答えは「理由のある能動的行動」 です。

「理由のある能動的行動」
まず能動とは、お分かりでしょうが要するにキャラクターから行動を起こすという事です。
一応ゲームなのですから、待っていれば何らかの事件は起こると思います。ただしそのままでは事件は解決しても、キャラクターの個性としては能力値や技能に関する部分がすこし表現されるだけでしょう。
キャラクターも人間です。事件が起きていない時はなにかしらやる事がある筈です。というより普通 は事件はあくまでさっさと終わらせてしまいたいトラブルであり、平和な時こそそれぞれのやりたい事に全力を傾けている筈なのです。
ここで理由が関係してきます。
能動的であればなんでもいいという訳ではありません。キャラクターの能動的な行動は、やらなければいけない事か、又はやりたい事である筈です。
重要なのは後者のやりたい事です。
これがあって初めてキャラクターが生きてくるのです。
ゲーム上何の指示が無くても、ほうっておいたらキャラクターが勝手にやりだすこと、またはやりたいと思っている事、これを決めておくのが肝要です。
ただいきなり決めろと言われても難しいと思います。
馴染みの無い世界にいきなり放り出されて、好きな事をしろ、と言われても困るのは当然です。
そこで、最初からある程度馴染みのある世界にしてしまえば好きな事も浮かびやすくなるでしょう。
以下ではその方法のアイデアを提示します。

キャラクター作成時に考える事。

生まれ
キャラクターはゲームの始まった時点では、だいたい青年〜大人の設定になっていると思います。例外もありますが、生まれたばかりの赤ん坊というケースは希でしょう。
つまりその歳になるまでゲーム世界で生きてきている訳です。ならばすでに馴染みになっている場所は必ずある筈です。これを利用しない手はありません。
TRAVELLERではそういう問題を考慮してか、キャラクター作成時に18才から現在のキャラクターの年齢になるまでの履歴が作れるようになっています。ただしこれで決まるのは仕事の内容と、それに関するキャラクターの技能くらいで、生活感は伝わってきません。
では更にさかのぼって見ましょう。
キャラクターにも親がいる筈です。親の事はある程度知っているのが普通でしょう。
知っているなら決めてしまいましょう。
職業、住所、存命なのか?兄弟は?故郷は?
ルールなんか必要ありません。レフリーと相談して適当に決めてしまいましょう。
この辺が決まってくると、自然にキャラクター本人にも肉付きが生まれます。故郷の環境によってどんな場所を懐かしく感じるのか、親兄弟とはどういう関係なのか?

目的
ではこの辺を踏まえて、今度はキャラクター本人の事を考えてみましょう。
現在親兄弟や故郷の事が決まっており、更に18才以降何年かの仕事なども決まっています。
これだけ決まっていれば、彼がなにをしたいと思っているのか、なにを目的に生きているのかが見えてくる筈です。
人生の目標、と書くと大袈裟ですが、日常生活の上でいつも彼が重視している要素と考えればそうでもない筈です。
例として簡単なものをいくつかピックアップしてみます。
金銭欲。
どのゲームでもそうですが、お金を欲しがる、増やしたがるというのは分かりやすい行動指針です。特にTRAVELLERではファンタジーとかでは味わえない貿易や取り引きの要素も多く、キャラクターを立てると同時に世界に足場も築ける最も基本的で楽しめる目的といえます。
好奇心。
いつも自分の知らないものを捜し求めている。ちょっとでも興味をひくものがあると、突っ込んで調べてみたくなる。物事の理由にこだわる。
ある意味レフリーにとってはありがたい存在です。このタイプのキャラクターがパーティーに一人いると、シナリオがスムースに進みます。ただし問題もあります。その世界の常識を踏まえていないと当たり前の事に妙に時間を掛けてしまったりとか、それが高じると常軌を逸した行動をとってしまいがちなのです。また逆にベテランプレイヤーがこのタイプのキャラクターを演じると、時にレフリーの世界の穴をついてきて、ゲーム自体が崩壊する可能性もあります。
いろいろ問題もありますが、他の要素に付け加える形で用いるなら、初心者にもお勧めのタイプでしょう。
ゲームにスムースに入っていければ、それだけキャラクターの活躍の場も増える訳ですし。
復讐者。
過去に何らかの事件を設定し、それに関係する敵を捜し求めている。
この場合ゲームのシナリオに平行して、キャラクター個人のキャンペーンゲームが進行しているといえます。これは非常に便利なタイプです。いつも情報収集はまめにやる事になるし、過去に事件と現在を関連付ける事で、世界にも深みが出来ます。
また復讐と書くと物騒ですが、いろいろなタイプが考えられます。例えば金を貸した相手でも、駆け落ちした奥さんでも、単に落とし物を届けようとしている、でもいいのです。要するに過去に事件と絡んで、能動的な行動が起こせればこのタイプに当てはまります。
お勧めですが、問題も無い訳ではありません。パーティー全員が復讐者というのは気味が悪いでしょう。
その他
いろいろ考えられます。布教活動、功名心、力試し、収集家、研究者などなど・・・

目的の応用
受動的な理由による能動的行動というのも考えられます。
例えば借金取りに追われていたら、そのキャラクターはいつも素性を隠そうとするでしょうし、向こうの動向も探ろうとするでしょう。
つまりキャラクターに何らかの引け目を設定して、厚味を持たせる訳です。
大抵は何かに追われているという形になるでしょうが、バリエーションは様々なものが考えられます。
上記の復讐者の設定を逆にする訳です。
これは設定には少し頭を絞らないといけませんが、一度決まってしまうとむしろ能動的理由よりロールプレイは楽です。世界との関わりが密接になるのも上記以上かも知れません。
人間誰でも一つや二つは人に言えない秘密を持っているものです。また引け目の部分を演じるのは楽しいものです。
一度はチャレンジして見てください。きっと病み付きになります。

「ロールプレイング&クリエイト」
キャラクターは出来上がりました。 さっそくゲームを始めましょう。
今まで考えてきた設定があれば、何をしてよいのか分からないなんてことはない筈です。キャラクターには彼自身の中に、目的が出来ている筈ですから。

さて、ゲームが進み、キャラクターはある人物と会う為に、喫茶店で待ち合わせをしようと思いました。
プレイヤー「じゃぁ喫茶店に来るように連絡する。」
・・・・・・・・・・・・
これはもう一つですねぇ。
この例ではプレイヤーキャラクターが待ち合わせを企画しているのです。当然自分の知っている店を指定するでしょう。
こうならどうでしょう。
プレイヤー「じゃぁ宙港街の通り沿いにある薄汚れた喫茶店、ドナテルロに来るように連絡する。」
レフリー「君はその店にちょくちょく行くのかい?」
プレイヤー「人との待ち合わせに使ってる。あそこは2階が広い割に人が少なくて、内緒話がしやすいんだ。」
これならその喫茶店がどんな場所にあって、どんな雰囲気なのか伝わってきます。これから行われる会合にも雰囲気が出ようというものです。
ポイントはこの例では世界を、レフリーではなくプレイヤーがクリエイトしているという事です。
そうなんです。プレイヤーも世界を作ってかまわないのです。その方がプレイヤーキャラクターが馴染みのもてる世界になります。逆に考えればプレイヤーキャラクターが馴染みの店をレフリーが考えても、期待していた店が出てくるとは思えません。
ただしこれにはバランス感覚が必要です。
まずその世界にありそうな描写でないといけません。これは当たり前。
またキャラクターの設定に合っていないと駄目です。貧乏な設定なのに高級クラブに入り浸っているのはおかしいでしょう。
更に世界をクリエイトすると、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)も同時に創造されるケースが多いでしょう。この時彼らとどう付き合うのかもバランスを要求します。何処にでも親友がごろごろしているのは不自然でしょう。
事物に関しても気をつけなければいけません。
これはTRAVELLERの世界は未来という設定です。だからといって地球の文化がそのまま残っている訳ではありません。片鱗は残っているが、現在の延長ではないのです。
例えば日本語、漢字などは地球近辺の世界なら古代語の一つとして認識されるでしょうが、そうでなければ妙な記号でしかありません。外国語だとさえ認識されないのです。
同じように商品名などは、ほぼ残っていないでしょう。コーヒーは残っていても、ネスカフェは存在しないのです。
しかし裏技があります。会社自体が残っていなくても、語感や内容の一部は残っていても不思議ではありません。例えばネスカフェは駄 目でしたが、オスカフェならOKな訳です。もちろんこれもやりすぎると世界がパロディじみてきて、リアリティが損なわれる事になりますが。

とりあえずやってみる。
今まで書いた事は、化夢宇留仁がやってみたら面白かったという経験によるもので、どうしても必要なものではありません。むしろ人それぞれ異なった楽しみ方がある筈です。
とりあえずはやってみましょう。そしてもっとこうしたら面白いだろうと、工夫してゆくのも楽しみの一つです。
キャラクターの設定とかも、別にゲームが始まってから考えてもかまわないのです。むしろその方がシナリオに関係する上で、面 白い設定が出来るかもしれません。
とりあえずやってみましょう。
ただし一つだけ注意し負ければならない事があります。
それは自分以外の参加者にも気を配るという事です。いくら世界に足場を築くといっても、そのプレイヤー一人だけが楽しんでいたのでは意味がありません。プレイヤーキャラクターも、NPCも、全員同じ世界に生きているという事を忘れない様にしましょう。
またリアリティを追求するのはいいのですが、RPGはあくまでゲームという事も忘れずに。
結局目的はみんなで楽しむことなのですから。



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