航海日誌番外編4
チームが作戦を開始してから34日目、ジャングルへの潜入は今までに5回、敵との戦闘も大小11回を数えていた。
襲撃の連続により、麻薬組織は自由な商品流通が不可能となり、勢力も次第に衰えていた。
だが、組織に徹底的な打撃を与えるためには、麻薬集積基地を探し出して破壊することが不可欠である。
そこで6回目の潜入は、その基地を探し出し、地元空軍の爆撃を誘導することを目的としていた。
さらに、襲撃によって敵幹部を捕虜とし、組織の背後関係や流通ネットワークについての情報を得ることも、ジュリエッタ達に課せられた大切な任務だった。
ジャイディがブービートラップを発見した。
木の間にワイヤーを張り、その先に手榴弾のピンを引っ掛けただけの単純なものだったが、こういった素朴な罠こそ最大の脅威となる。
慎重にジャイディがトラップを処理するのを見守りながら、ジュリエッタは他のメンバーにトラップへの警戒を強めるよう、手信号で指示した。
この付近は特に大量のトラップが仕掛けられていた。
これは、基地が近いことを示しているのではないか?
クライフがジュリエッタの肩を叩いた。
ジャングルの一方を指し示してから、人差し指と中指で人間が歩くポーズを作って見せ、それから指を3本立てて見せた。
小規模な敵の偵察グループがこの先にいるらしい。
チームに戦闘の準備をさせつつ、敵を監視できる位置まで静かに移動する。
そいつらはプロとして全く失格だった。
小声ではあるが、絶えず何かをささやきあい、時には笑い声まで上げている。
足運びも無造作で、足跡が残ったり、草木を折ってしまうことには全く注意を払っていない様子だ。
ジュリエッタ達が、蜘蛛の巣一つ破かないように慎重に痕跡を消して移動しているのとは対照的だった。
周囲への警戒の仕方も全くなっていない。
襲おうと思えば、音も立てず瞬時に全滅させることも可能だ。
だが、ジュリエッタは、そいつらに基地までの道案内をさせることにした。
30メートルほどの間隔を開けて、ウェンインに後を追わせた。
チームは念の為、さらに20メートルほどの間隔を開けて付いて行く。
基地は意外と簡単に発見できそうだった・・・。