Step.0. 海賊になる人へ
 
 普通は海賊になることなど推奨されないのだが、どうしてもと言う人だけ先へ進むこと(笑)。


1. 海賊のタイプによるメリットとデメリット

 宇宙海賊には様々なタイプがあり、手口や性格によって以下のタイプに大別される。それぞれにメリットとデメリットがあり、海賊になったキャ
ラクターは、それぞれ選んだタイプのメリットとデメリットに従うこと。

・「ジャンプ野郎 (Jumpcusser)」:偵察艦、200t商船などの小型の船を使い、能力も低い最もありふれた海賊。通常は堅気の仕事をしている
パートタイムの海賊であることが多い。

 ・使える海賊船の制限:偵察艦、200tまでの商船、もしくは400トン以下で加速は1G以下、砲塔は2基までの商用船
 ・船員の募集は一般のルートが使える。従って数に制限は無い。
 ・殺人に関与しない限り捜査の優先度は低い。逮捕DM-5
  ・どこの宇宙港も使える:どこの宇宙港にも着陸出来て、修理や定期点検にも何の制限もない。
 ・暗黒街との接触に不利:暗黒街との接触(故買屋や裏ルートでの買い物)で難易度は常に1上がる

「コルセア Corsair」:海賊らしい海賊。ジャンプ野郎との違いは、武装船を使うことができて、乗り込み戦用の装備や武装などの準備が周到
で、常に海賊行為のみを目的として行動していること。

 ・商船に加えて、1000t程度までの戦闘用の宇宙船が使える。
 ・船員の募集には裏ルートしか使えない
 ・表の買い物も現金しか使えない(そうでなくても、クレジットカードや銀行口座が偽名でしか持てない)
 ・基地以外の宇宙港に着陸する際は、常に2D6でその地の治安度以上を出さないと着陸拒否。偽の船籍があれば大丈夫
 ・宇宙港での整備、修理サービスを受けるにも↑と同様の判定を行う。これは偽の船籍でも誤魔化せない(部品の製造番号などで正
体がばれる)。

・「ベルトランナー Belt Runner」:コルセアの変種。アステロイドベルトなど星系外縁部で活動する海賊。獲物に出会う確率が低く、出会って
も儲けは少ないが、逃走が比較的容易。ただし、本ルールでは獲物にも逃げられやすい。

 ・暗黒街との接触に不利:故買屋との接触や売買では常にDM-2 (海賊仲間からは臆病者と看做されるから)
  ・外縁部での襲撃に際して、威嚇、戦闘、レスポンスの何れか一つに±1の調整ができる(濫用はさせないこと)
  ・上記以外はコルセアと同じ

・「コーストウォッチャー Coast Watcher」:宇宙港の職員やブローカーなど地上に情報提供者を持ち、そこからの情報を元に行動する海
賊。

 ・捕まり易い。逮捕DM+2。
 ・どんなに閑散とした航路でも、移動直後の一週間に必ず1隻と遭遇できる(←情報提供者から通報のあった船)
  ・通報のあった船を襲う際には、レスポンス表と富裕度の判定のいずれか好きな場面で、1D6の結果分の出目を調整できる。

・「掠奪者 Raider」:主に地上を襲撃する海賊。最ももうかり、かつ相手は逃げられない。低TL世界がよく襲われる。

 ・少なくとも20人の武装メンバーが居ないと不可。
 ・宇宙船に関する技能が無い連中に限り、大人数を集めることができる。
 ・捜査の優先度が非常に高い。逮捕DM+4
  ・基地以外の宇宙港に着陸する際は、1D6でその地の治安度以上を出さないと着陸拒否。偽の船籍があれば大丈夫
  ・宇宙港での整備、修理サービスを受ける際にも↑と同様の判定を行う。これは偽の船籍でも誤魔化せない(部品の製造番号などで
正体がばれる)。
 ・逮捕された場合、2D6で10+が出ると、裁判の前に「移送中に自殺」したり「逃走を図ってやむなく射殺」されたりする。
  ・地上目標を襲撃する際、どこかの場面で2d6 x30分だけ時間を節約できる。
 ・しかし、宇宙空間での襲撃は手際が悪い。どこかで2d6x30分の時間を無駄にする。

・「プライズハンター Prize Hunter」:装備はコルセアと同様だが、宇宙船の貨物ではなく、宇宙船そのものを標的にする海賊。宇宙船のセ
キュリティシステムをハッキングする技術、回航する人員、そして宇宙船を売却するルートを持っていることが前提でハードルが高い。

 ・メンバー中に、<コンピュータ>、<エレクトロニクス>、<通信>の何れかの技能が6以上である人物を最低一人は含むこと
 ・偽の船籍(トランスポンダー)を入手したり作ったりするコネをもつので安く買える(-25% 〜 -50%)
 ・暗黒街との接触にやや有利:接触時にDM+2
 ・上記以外はコルセアと同じだが、拿捕した船を使っていれば宇宙港の使用に支障はない。

「保険ブローカー Insuarance Broker」:コーストウォッチャーの進化形で、いわゆるパートタイム海賊がやる。「襲い役」と「襲われ役」の船
に別れ、「襲われ役」が高価な積荷の輸送を行うか、高価な貿易品を買いこんで保険をつけた後で「襲い役」に襲われる。従って少なくとも二隻
の宇宙船を指揮している必要がある。この手口の利点は、詐欺罪で済むこと。

 ・捜査の優先度が高い。逮捕DM+3(警察よりも保険会社が疑う)
 ・二隻以上の宇宙船が必要
 ・捕まっても詐欺罪で済む
 ・それ以外は「ジャンプ野郎」と同じ

・「宇宙コソ泥 Sapce Taffer」:宇宙と言いつつ、やることは停泊中の宇宙船に対する空き巣と窃盗。「海賊行為」としてカウントされる犯罪
の中では最多。さすがにこのルールの対象外だが、出発点としてはここだろう。

 そして、手口による上記の分類に加え、「上級の分類」として、主として攻撃性によって以下の分類がある。

・「切り裂き魔 Ripper」:血に飢えた狂人であり、襲った相手を必ず皆殺しにする。手口による分類が何であれ、海賊としての「仕事」の場に
おいて、降伏したり無抵抗だったりしたその場の相手を皆殺しにした時点で、「切り裂き魔」になる。

 ・捜査の優先度がめちゃくちゃ高い。逮捕DM+6
  ・暗黒街からは無視に近い扱い:接触の難易度は常に2段階上昇
 ・商船を使っている場合は2D6で、武装船なら1D6で治安度以上を出さないと着陸拒否(基地の世界でも)
 ・偽の船籍を使う知恵は無い。
 ・逮捕された場合、2D6で6+が出ると、裁判の前に「移送中に自殺」したり「逃走を図ってやむなく射殺」されたりする。
 ・裁判を受けることが出来ても、確実に極刑
 ・要するに、好き好んでなるタイプではない。

 切り裂き魔であることを選んだキャラクターは、例え道端で会った相手であったとしてもまずどうやって殺すかを考え、海賊行為中に遭遇した
相手は常に皆殺しにしようとしなければならない(自己顕示欲を満たすために少数の生存者をわざと残しても良い)。要するに、レフリーにもプレ
イヤーにもかなり不愉快なことになるのを覚悟すること。また、不愉快にならないようなプレイでは切り裂き魔を表現しきれていない。

・「義賊 Gentleman pirate」:決して人を傷つけないし、有害品の密貿易も行わない。襲う宇宙船は政治コードがB+もしくは治安度C+の世界
(つまり市民の人権が抑圧されている世界)に籍を置く宇宙船である。


2. 私掠許可証 (ver2.1で条件を厳しくした)
 私掠許可証を得れば、私掠船として行動できる。私掠船と海賊船の区別が分からない人は、このルールを使う資格はない(笑)。
掠許可は政府機関(承認された亡命政府でもよい)から発行され、その政府が敵対している世界、大企業等に所属する宇宙船や施設に対する
攻撃と略奪が、発行した政府機関の責任において認められる。許可証を得るには、

  ・過去に一度も刑事訴追を受けていないこと(無罪判決の場合も"訴追"として扱われる)
 が絶対条件であり、加えて

  1) 当人の社会身分度A+か、社会身分度B+の発行地の国会議員や政府高級職員等2名以上からの推薦があること
 2) かつて公的機関(軍/偵察局/警察その他)に在職していたこと。外国、他の恒星間国家の公的機関でも良い。
 3) 公的機関においてO5(中佐)相当以上の階級に4年以上在任していたこと。
 4) 軍務においてSEH相当の勲章を受勲していること
 5) 人格的に優れていること(精神科の領分だが、トラベラー的には知力、教育度ともにA以上の人)
  6) 恒星間宇宙船を所有していること(ローン支払い中でも良い)
  のうち5つの条件を満たしていなければならない。名義貸しは認められない。私掠許可証を受ければ、交戦規定に従っている限り、(私掠行
為の対象となる世界や企業からは除き)法的訴追はいっさい受けることは無く、拿捕した宇宙船や奪った貨物は全て、私掠許可証の発行
地においては合法的に処分できる(後述の「白紙船籍登録」と組み合わせれば、ほぼどこの世界でも合法)。また、表のルートで求人が
出来る上に、代金を即金で支払うことが出来れば、大量破壊兵器以外の装備はたいてい入手できる(代金と維持費が払えれば、戦艦も買え
る)。

・私掠船の交戦規定
  1)私掠許可状の対象となる船籍の船以外は襲撃/攻撃してはならない。
 2)非戦闘員を殺傷してはならない。
 3)商船/民間船に対する襲撃行動の際は、私掠船としての資格を明示しなければならない。この後、敵船舶が逃走を図れば、ドライ
ブ部分のみを狙った射撃のみ許可される。この際に生じる死傷者は、2)の例外とする。
 4)私掠免許状の定める対象以外に属する戦闘員を殺傷してはならない。
 5)私掠免許状が定める対象に属する軍艦以外への、先制攻撃は認められない。
 6)武装した商船/民間船に対して先制攻撃を行ってはならない。敵から射撃を受けた後、戦闘員と見なすとの警告を行ってからでな
ければ、反撃を行ってはならない。この後の戦闘によって生じる死傷者は、2)の例外とする。
 7)捕虜の取り扱いはジュネーブ協定や帝国戦争規定を順守する
 
・私掠船の対象船舶
 私掠船は当然、出遭った船を全部襲えるわけではない。出遭った船がどれくらいの確率で私掠許可証の攻撃対象となる世界に船籍を置いて
いるかは、以下の表の確率に従って決定する。
基本確率:対象世界の人口 x 5%
対象世界の星系内:基本確率通り
対象世界以外:まず、星図で狩場とする世界から対象世界までの直線を引き、そこが対象世界から幾つめの星系かを数える。
 そして
 基本確率 x (狩場の世界の人口コード/10) / (直線上の星系の数+1) %が遭遇確率である。

例) 人口Aの世界の基本確率は10 x 5=50%。
 そのすぐ隣で人口7の世界で対象国の船舶に出会う確率は、
  50% x 人口7/10 / (1+1) = 17.5% である。これが一つ星系を挟んだ隣であれば、二つ目の星だから
  50% x 0.7 / (2+1)=35%/3=12%程度となる。

 なお、ここで得られる数字は、あくまでゲーム上の便宜的な確率であり、実際の統計データに一致するものではない。また、最低確率は便宜的に2%とする。
 なお、これはあくまで一つの世界を対象とした確率であり、メガコープや小規模な恒星間国家などを対象とした場合の遭遇確率は、適宜GM
が決定すること。もし帝国を対象としたソロマニの許可証(もしくはその逆)たったりすれば、出会う船かたっぱしから襲える。

・私掠船と恒星間国家および第三国の軍艦/警察
 私掠免許状の対象となる世界で活動する際の問題は言うまでもないことだが、ここで注意しておかねばならないことは、恒星間国家の軍や司
法当局、迷惑にも襲撃場所に選ばれた世界の軍/警察にとっては、私掠船も普通に敵である、ということである。
 すなわち、私掠船に襲われた商船は、地元や近くの軍艦に助けを求める権利もあれば、軍艦にしても助ける義務があると言うことである。
掠免許状は、あくまで普通は「海賊行為」とされる行動に対する法的責任を免除するものであって、行為そのものを正当化するもので
はない。要するに、船を襲っているところを見つかれば、普通の海賊と同じように対処されるので、海賊と同じように当局を避けて行動
しなければならない。当然、攻撃されて撃破されることもあるし、それで死傷することもある。ただ、逮捕された場合、法的訴追は受けないだけ
で、私掠免許の対象となる以外の軍艦からも普通に妨害されるのである。この際、乗船を拿捕されても返却はされないし、戦闘による損害も弁
償されない。交戦規定4)の例外とはならないので、反撃は許されない。事実上、降伏するか、逃げるかしか出来ることは無い。その反
面、臨検では許可証を提示することで逮捕はされない(しかし、拘束されて星系外へ退去させられることはある)。

 なお、私掠免許状の発行者は、利益の10-20%を受け取ることもあるが、そうした権利があるのは、あくまで免許状以外の寄与(宇宙船の提
供、物資や人員の拠出)があればの話であり、もしそうした寄与が無ければ、発行者に支払いをする必要はない。だいたい、私掠船を雇う側は
根本的に戦力が劣っているため、味方として働いてくれるだけありがたいと思うべきだろう。

3. 義賊
 義賊とは私掠許可証なしで私掠船の如き行動をする海賊である。

1.市民は決して傷つけるな
  基本です。
2.警察も偵察局も殺すな
 警察は市民の部類です
3.正規軍も殺すな
 マックス・ウェーバーがいみじくも指摘するように、軍隊は国家の暴力装置ですが、同時に政府の暴力から市民を守る最後の希望でもあり
ます。
4.不正規軍と秘密警察は容赦するな
 一番始末が悪いのは、「民間」の武装した「政治団体」です。そして警察は政治の暴力装置ですが、特に秘密警察は無法な権力を支える根
幹であり、これこそを最大の攻撃目標とすべきです。しかも、軍隊よりも軽武装で比較的戦い易い相手です。慈悲深い人道主義者ですら秘密
警察の死に同情することは稀であり、反発も買いにくいです。
 
 気の早い人はここで離陸しよう

4. ロボットの使用(注1)
 後述の森田げんぞー氏のように、ロボットを使った海賊行為は確かにすばらしいアイデアである。顔を出す必要がないため特徴がつかまれ
にくく、利益はすべて独占できる。その反面、初期投資が高くつく、ロボットに自主的判断力があまりアテにならない、壊れやすく整備も手間が
かかる、と言うデメリットはある。そして何よりも、ロボットは無能な人間に成功を約束する道具ではないことを理解しておかねばならない
(注2)ロボットばかりだと責任転嫁が出来ないため、刑事訴追はすべて一人で負うことになる。非合法な活動に深入りしていれば、メンテナン
スのために代理店に持ち込むことすら危険になる。宇宙船ロボットはいざ知らず、戦闘ロボットや必要以上の警備用ロボットを持っていれ
ば、臨検で疑われるのは必至である。

 海賊行為にロボットを使用するには、以下の制約がある。

・戦闘ロボットは基本的に入手不可。警備用ロボットのプログラムの書き換えやランニングプロテクトを外すこと(要<ロボット工学-4>と
<コンピュータ-4>)によって、警備以上の行動が行える戦闘ロボットとして使えるようになる。

・ロボットがどのような技能レベルを持っていても、ルーチンワーク以外では、ロボットの命令者の<ロボット操作>か対応する技能のど
ちらか低い方の技能レベルとして扱う。
  どんなに優秀でもロボット操作が下手ではだめで、ロボット操作が上手でもやらせようとすることに関する知識がなければだめ。ここで注意
していただきたいのは、命令者の低い方の技能とは言っても、それがロボットのプログラムレベルより高い場合の制限は無い、即ち、
工夫や能力次第では、ロボットのプログラム以上の能力が発揮できることを認めているのである(笑 GMが適宜判断)。無能な人間が
どんなに優秀なロボットを使っても無能な結果しか残せない。逆に有能な人間は無能なロボットを使って奇跡を起こすのである。例え
ば、宇宙船操縦ロボットは「どこそこへ回航せよ」との命令はきっちりと遂行する。しかし、燃料スクープの途中で哨戒艇に遭遇した場合の回避
は、ロボットの命令者からの指示が必要になる。この時、ロボットが<パイロット-4>を持っていても、命令者にロボット操作やパイロット技能が2
レベルしかなければ、回避行動に関してこのロボットは2レベルの技量しか発揮しないということ。何がルーチンワークで何がそうでないかは常
識に従ってGMが決定すること。しかし、戦略的と言うほど大層なものではないにしても、全体的な方針の決定のさいには、人間の能力に
よって制限されるべき。パニックに陥った船客の子供がロボットにピストルを向けた時(ホンモノ、おもちゃ関係なく)、ロボットが自動反応で子
供を撃てば、終身刑になるのはロボットではなくロボットの持ち主の人間である。
ルーチンワークの例 ルーチンワークでは無い例
射撃や格闘などの戦闘行為 突撃するか、退くかの戦術的判断
日常の点検と修理 設計の欠陥に基づくような故障の修理
通常の操縦とジャンプ トリッキーな操縦や100倍点以内でのジャンプ
抵抗する誰かを殺す 抵抗をつづける敵を殺さないと言う判断

・本ルールではなにかにつけて人数が重要であるが、ロボットは頭脳一個=人一人とする(注3)。つまり、主部/従部式で従部が10体あっ
たとしても、主部は1個なので人間一人にしか相当しない。火力の面では確かに10倍かも知れないが、それをやりだすと、ロボットの腕の数はも
ちろんのこと、人間が持っている武器の火力まで比較しなくてはならないので対応しきれないし、多目標との同時交戦と言うのは口で言うほど
簡単でもない(注4)。なお、一つの胴体に頭脳複数と言うお残念極まり無きロボットは、やっぱり残念ながら人一人分である。

・船内の捜索には、従者ロボットが必要。探し物をするような機能は、一般の家庭用従者用ロボットにしか備わっていないだろうから。その
点。<従者>プログラムさえあればよいとも言えるが、コアルールによっては無いこともあるので限定はしない。
 
 ロボットだけを相棒に海賊をやるためには、戦闘用のロボット、宇宙船用のロボット、捜索用のロボットと三種類のロボットと、ロボットの持ち
主の高い能力が必要なのである。

注1) ロボットの扱いについて本稿では、
・「RPGは人間の物語」
・「ハイテクを使いこなせるのはハイテクに対応した人間のみ」
・「ロボットはルーチンワークは良いが臨機応変は苦手」
という原則を貫いている。宇宙船に関する技能のない人間にも宇宙船操縦用ロボットは使えるだろうが、使いこなせるはずは無い。Excelは便利で、高度な計算もそこそこでき
るが(本当に高度な計算はだめですが)、しかし、高等な数学を理解していなければ、どの場面で、どういう計算をすべきかということが分からない。そして、海賊にせよなんにせ
よ、「どの場面で、どうするか」の的確な判断や、成功するための「ちょっとひと工夫」が出来るのは人間だけで、そしておバカな人にはおバカな判断しか下せない。
的確な判断や工夫のためには、やろうとしていることに対する知識(技能)が必要であり、やろうとしていることをロボットに適切に遂行させるにはロボットの扱いに
熟達していなければならない(だから操作している人間の技能に併せる)。もしロボットがそうした判断や工夫が出来るようになったとしても、最終決定権は操作して
いる人間にある。もしそうした決定に関与しないというのなら、その人間は、ロボットの持ち主といいつつ、単にメンテナンス費用を出しているだけのロボットの下僕
に過ぎない。NPCならば、そうした人も面白いだろう。しかし、PCや主人公としての立場なら、それは到底、主体性をもったキャラクターとは言えない。
 また、だいたいにおいて海賊行為に最適化されたロボットなんぞがあるのかと言う疑問もある(本ルールでは、適切そうなロボットを出してはいるが)

注2) あの伝説的青ダヌキの親友も、だいたいにおいてしっぺ返しを受けるか、自身が果敢に行動するかしている。某国には、それこそ「ロボットのような人間」、それも自由の国
に逃げれば社会的成功を収めるような優秀な人間が多々いるが、社会の状況は指導者様の方針を反映して一向に好転していない。

注3) いかにSF世界であろうと、デジタル信号と電波の性質は変わらない。センサーからの信号処理の計算量は大きい。計算が速くなったとしても、データ量は小さくできないの
で複数の従部とは通信の問題が予想される。例えば、視覚センサーで人間並みの追尾能力を発揮するだけでも、どれだけの解像度とフレームレートがいることか。ましてや人
間以上となると…。しかも、リアルタイムに近い状態で処理しなければならず、絶対にミスは許されない(ビデオ画像で、カーソルが違うものを追尾し始めたら、コマを戻して人間
が正しい標的を追尾するようなわけにはいかない)。ついでに言うと、ルールは違うがマングース版ロボットのCPU能力が最大でも5GHz(←定義はよく判らないが)。これでは複数
台のロボットからもたらされるセンサー情報を処理するのは難しいと思われる(一台のロボットにたくさんのセンサー、というのならリニアに処理することでなんとかなるだろう、多
分)。ラジコンのような単純なものならともかく、高度なセンサーを備えた従部を複数台コントロールするには、それなりの台数の「主部」をまとめたサーバーでないと無理だろう。
ついでに、大容量データのやり取りを考えれば、受信、解析、解析データを送信と言う時間のかかるステップを踏まねばならず、主部/従部のシステムそのものが、
高度なロボットをコントロールするには実用的ではない。また、「反重力」とか「ジャンプドライブ」のように、コンピュータや通信の説明と描写には画期的なSF的ガジェットは
導入されておらず(中間子通信とかそういう通信方法の問題ではない)、従って現行の技術から乖離したものだとは思えない。

注4)メガトラの宇宙戦闘ルールを見てみよう(笑)。宇宙船ですら、探知行為を2回以上行おうとすると、余分な探知ごとに砲塔群1つが射撃できなくなる。しかも、20分もの長時
間の中で一つの砲塔群は1つの目標しか攻撃できない(笑)。イージスやフォールトを見習うべきだろう。

 さあ、離陸しよう

 目次へ