イフェイト地上戦

イフェイト会戦の勝利でイフェイト星系の制宙権を確保したゾダーン軍は、 惑星イフェイトに対する上陸作戦を開始した。

戦車1個連隊と海軍歩兵3個連隊、降下歩兵3個連隊の計7個連隊が先遣とな り、後に機甲4個師団と砲兵1個師団が続くという、10万人を超える兵力が、 中央大陸のバスラム平原に向けて降下した。  
上陸地点から最大の戦略目標であるネレット宇宙港までは約120Km、進撃 を阻むような地形もなく、ゾダーン上陸軍司令部では3日以内に同宇宙港を占拠する方針を立てた。  
このゾダーン上陸軍に対抗したのは、上陸戦が始まった124日午前の段階で は、わずかにイフェイト陸軍の歩兵1個旅団にすぎなかった。  
午後になり、帝国陸軍の第118歩兵師団が増援に駆け付けたものの、この師団はそのまま敵中に包囲されてしまった。  

翌125日、イフェイト防衛軍団司令官のマクガノフ中将は、この第118歩兵師団を救出する為に、可能な限りの戦力を包囲網突破に振り分けた。  
その結果、事態は帝国側にとってより深刻なものとなった。新たに第119歩兵師団、第251砲兵師団、第23機甲旅団、第438重戦 車連隊が、次々と2番目の包囲網に閉じ込められていったのだ。  
さらに125日21時から始まった、ゾダーン海軍の対地爆撃により防衛軍の 主力であった第4機甲師団が壊滅し、戦線には差し渡し20Kmに及ぶ無防備地 帯が出現した。  
この地点をゾダーン機甲部隊が一挙に突破し、防衛軍の8割が包囲網の中に閉 じ込められ、マクガノフ中将の司令部は指揮下の部隊の大半から切り離された。  

イフェイト防衛軍を全滅の危機から救ったのは、サー・チャールズ・バーニン ガム准将の戦車教導旅団であった。
星域中の各戦車学校の教官たちで編成された この旅団は、最新式の「ディアブロ」戦車134両を装備していた。  
そして、歴戦の勇者バーニンガム准将は、この一大包囲網の結び目を探し出し た。
ゾダーン海軍歩兵連隊が守る第409高地、ここを突破すれば全部隊との連携が再び回復する。  

第126日5時30分、バーニンガム准将は全戦車を一斉に高地に突撃させた 。  
2時間の戦闘でゾダーン軍は戦車85両と車両98両、砲79門を失い、30 00人を超える戦死者を出した。
これは、この2日間の上陸戦で出してきた被害の3倍に相当する。  
戦車教導旅団は第23機甲旅団と合流して戦果をさらに拡大させ、第127日 3時、ついに第118、第119両歩兵師団の救出に成功した。  
この被害により、ゾダーン上陸軍は戦線を両翼で縮小し、包囲網の形成を断念 する。  

イフェイト攻略戦は長期化の様相を呈し始めていた。

By 龍太郎氏

龍太郎氏による、辺境戦争史第5回。

戦闘イフェイトの地上へ。
星域中の各戦車学校の教官たちで編成された旅団・・・いかす(笑)!

化夢宇留仁

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