2005年2月22日
IJN ソロモンの暗雲
ホビージャパンから発売されていた、太平洋戦争時の艦隊対艦隊の戦いを再現したウォーゲームである。
太平洋戦争と言えば空母を中心とした機動艦隊の索敵に始まり、艦載機の編隊による攻撃で終わるというイメージだが、当時首脳部はまだまだ大艦巨砲主義から脱しておらず、大和をはじめとした大戦艦による砲撃戦が戦争の花だと思われていたのだ。
その花を忘れることなくウォーゲーム化したのがこのIJN(大日本帝国海軍)で、艦隊運動を中心としたルールで、砲撃と雷撃の醍醐味を味わうことが出来る。
ルールも手軽で盛り上がるゲームである。
化夢宇留仁はこのゲーム、発売当時に買ってよくプレイしていたのだが、久しぶりなので例によって簡単そうなシナリオを選んだ。
シナリオ4「ソロモンの暗雲」(ビグ・ザムは出てこないよ/笑)は、登場艦数と終了までのゲームターンが少なく、マップも9枚の内4枚しか使わないが、夜戦なのでレーダーとスポットルール(砲撃による光を敵に発見される)があり、またマップ上にサボ島という小さな島が配置されているので、視認に影響が出る。
ピンク色が日本海軍。水色が米海軍ユニットである。
右上隅にあるのは方位表示マーカー。
史実では昭和17年(1942年)10月11日。
ガダルカナル島への艦砲射撃に向かった第6戦隊は、サボ島付近で艦影を発見するも、味方艦隊と誤認し、砲撃を受けてようやく反撃に移った。
米艦隊は回頭中だったので陣形が崩れかかっていたが、運良く砲撃に適したT字戦法の形になっていた。
結局は痛み分けのような結果になったが、夜戦では圧倒的な強さを誇っていた日本軍が初めてケチをつけられた戦いとなった。
今回のゲームではどういう結果になるだろうか。
●1ターン
日本海軍第1移動フェイズ
このゲームではほとんどプロットをせずに(基本的に艦速のみプロットする)同時行動性を表現するために、1ターンをいくつものフェイズに分けている。
移動もそれぞれの軍毎に2回に分けられているのだ。
しかしこのシナリオでは、日本軍は史実通り敵を視認するまではひたすら前進するのみである。
夜間のため、視認には7ヘックスまで接近する必要がある。
米海軍砲撃フェイズ
レーダーを装備している米海軍側も、まだ敵艦隊を視認していない。レーダーの視界は15ヘックス。この時点での敵までの距離は17ヘックス以上。
日本海軍砲撃フェイズ
敵に気付いていないので砲撃不可能。
日本海軍第2移動フェイズ
やはりひたすら前進するのみ。
日本海軍の雷撃フェイズ
敵を確認していないので、勿論雷撃も出来ない。
日本海軍の損害回復&計画フェイズ
損害無し。またシナリオの規定により敵発見まで艦速を変更できないので、5のままである。
米海軍第1移動フェイズ
米海軍はレーダーになんらかの気配を感じていたのだろうか。一応最初から自由に行動できる。
ここは最初の砲撃時に有利なポジションにつくようにしたい。
このまま回頭を続け、全艦が敵艦隊に側面を向けて砲撃するのがベストである(前方または後方への攻撃では砲撃力が半減してしまう。司令塔などが邪魔になるのだ)。
日本海軍砲撃フェイズ
敵に気付いていないので砲撃不可能。
米海軍砲撃フェイズ
レーダーを装備しているのは軽巡洋艦のボイスとヘレナのみ。その両艦とも敵から15ヘックスよりも離れているので発見できていない。
米海軍第2移動フェイズ
回頭を続行。なんだか2つの艦隊が衝突を起こしそうで危なっかしい(汗)。
米海軍の損害回復&計画フェイズ
このターンは艦速4だったのだが、このままでは充分なT字隊型になりそうにないので、艦速を全艦5に上げた。
以上のフェイズで、1ターンが終了する。
こうして文章で説明すると煩雑そうだが、フェイズ進行を表示するカードもあるし、実際にやってみると実に分かりやすくできている。
●2ターン
このターンの米軍第1移動フェイズ終了時、日本海軍はまだ米艦隊を発見しておらず、米海軍は日本艦隊を中距離射程に収めていた。
だが射撃可能なのはレーダーを搭載している軽巡2隻のみなので、砲撃は行わない。
次ターンの米海軍の艦速は、駆逐艦3隻で構成されたファーレンホルトを旗艦とする艦隊のみ3に上げた。
この後行われるであろう雷撃戦に備えてのことである(雷撃時には味方艦が射線の障害となる)。
●3ターン
日本海軍が第1移動フェイズを終え、敵艦隊を視認した。
「ワレ、アオバ。ワレ、アオバ。」(史実では視認しても味方と誤解してこんな通信を送りながら進んでいったのである/汗)。
米海軍は砲撃を開始した。
このゲームには保護水準値(PL)というものが設定されており、各軍損害がこの数値に達すると撤退を開始し、多くのシナリオではこれがそのまま勝利条件にもつながる。
このシナリオでも例外ではなく、どちらの軍も基本的に敵のPLを0以下にすれば勝利となる。
日本海軍のPLは33。米海軍のそれは41である。
重巡洋艦を沈めれば30のPLを減少させることが出来るので、米軍は日本海軍の重巡を狙いたいところだが、問題は両端に展開する駆逐艦である。
当時の日本海軍の駆逐艦は世界最高の威力を持つ魚雷を装備しており、日本海軍が夜戦では無敵だったのもそのおかげだった(夜間の魚雷は視認が不可能で、避けるのが困難だった)。
だから駆逐艦と言っても日本海軍のそれは雑魚どころか大きな脅威であり、うろちょろされるとやっかい極まりないのだ。
迷ったあげく3隻の駆逐艦隊は南方の日本駆逐艦を、最後尾の駆逐艦2隻は北方の敵駆逐艦を、残りは全艦敵重巡アオバを砲撃することにした。
最も最後尾の駆逐艦2隻は視界の関係で選択の余地が無かったのだが。
砲撃を開始して、失敗を悟った。
3隻の駆逐艦隊から見て、敵駆逐艦は前方だった。砲撃力半減である(汗)。
それでも敵駆逐艦に1兵装打撃(このゲームではダメージが兵装打撃と推進打撃に分けられる)を与えるのに成功した。
もう1隻の駆逐艦にはダメージを与えられなかった。
本体の砲撃は見事な命中率を示し、合計砲撃力は91に達し、(ちなみに大和の砲撃力は45である)2WP(2兵装打撃&1推進打撃)を与えた。
続く日本海軍の砲撃フェイズでは、シナリオの規定上敵を発見したターン間には砲雷撃を行えないので、無念だが砲撃無し。
しかし史実では青葉は最初の砲撃で艦橋に被弾しているのだ。追加打撃が無くて本当によかった(汗)。
続く日本海軍の第2移動フェイズでは、ようやく自由に移動できるが、今回はこのまま前進し、敵艦隊旗艦を全砲撃力で射撃できるように備える。
損害回復フェイズには、青葉の推進打撃の修理に成功した♪
次ターンの艦速は、艦隊行動が維持できる最高の6とした。
米海軍第1移動フェイズにおいて、さっきの艦速決定が無意味だったのを知った。
こちらの軽巡以上の艦には魚雷が装備されていなかったのだ(汗)。
それより大きな問題に気付いた。
本隊が艦隊になっていなかったのだ(汗)。
どうもルールの文章が分かりにくいところがあるのだが、どうやら旗艦以外全艦独行艦になってしまっているようである(汗)。
さっきの砲撃も本当だったら出来ていなかった・・・(汗)。
ま、いっか(笑)。
米海軍の砲撃。
ルール上独行艦は他の艦と同じ目標を攻撃できない。
3隻の駆逐艦隊はさっきと同じく南方の駆逐艦へ砲撃。
サンフランシスコはアオバに砲撃。ボイスは敵の前から2番目の重巡へ。ソルトレイクシテイィは敵3番目の重巡へ砲撃。
残りは仕方がないので砲撃無しである(汗)。
しかし砲撃は全て命中した(笑)。
アオバに2兵装打撃を与え、アオバに続く敵2番艦にも1兵装打撃を与えた。
アオバは火災が発生している。
米海軍第2移動フェイズでは、なんとか最後尾の駆逐艦2隻以外は艦隊陣形に収まった。
米海軍雷撃フェイズには、3隻の駆逐艦隊がすぐ近くにいる敵駆逐艦に雷撃を行った。
3隻とも命中し、2推進打撃を与えた。
米艦隊の次ターンの艦速は、敵の雷撃に備えて全艦6に上げた。
●4ターン
日本海軍の残りPLはすでに15(汗)。
旗艦「青葉」は砲撃不能で火災が発生し、もう一撃砲撃を喰らったら沈んでしまうだろう。
魚雷を喰らった駆逐艦「吹雪」は最高速度が半減し、艦隊から取り残されつつある。
大ピンチだが、まだ反撃の力は残っている。
重巡3隻はそのまま前進。敵と反対側に位置する駆逐艦「初雪」は転針し、敵艦隊に向かった。
移動力が半減している「吹雪」はそのまま前進し、敵駆逐艦2隻に急接近。
米海軍砲撃フェイズ
駆逐艦隊は息も絶え絶えのアオバに砲撃。本隊はアオバに続くフルタカと思われる重巡に砲撃を行う。
最後尾で敵艦と同一ヘックスにいるところでは、駆逐艦ブキャナンが砲撃。
結果フルタカに1兵装打撃、接近していた駆逐艦には2兵装打撃を与えたが、残念ながらアオバにはダメージを与えられなかった。
日本海軍砲撃フェイズ
重巡は敵サンフランシスコらしき重巡へ砲撃。独行艦として北から敵に接近中の「初雪」は敵駆逐艦へ、敵に接近した「吹雪」も砲撃を行った。
しかし敵に与えたダメージは「初雪」の砲撃の1兵装打撃のみだった(泣)。
日本海軍第2移動フェイズ
艦隊は南方へ転針。 独行艦の「初雪」は西へ針路をとり、敵艦隊を雷撃の標的にとらえた。
日本海軍雷撃フェイズ
この攻撃が我が軍の命運を分けるだろう。こちらには酸素魚雷という牙があることを、米海軍に思い出させてやらねばならない。
敵重巡は卑怯にも艦隊の陰に隠れており、雷撃できない。
仕方なくこちらの本隊は近くの敵駆逐艦を狙った。「吹雪」はなんとかソルトレイクシティと思われる重巡に射線が通った。「初雪」は敵艦隊中央のボイスと思われる軽巡を狙った。
しかし「初雪」の雷撃は外れ(汗)。
他は命中してソルトレイクシティに1兵装打撃。どうやら心臓部に命中したらしく、敵の動きが止まった。
2隻の重巡から放たれた魚雷を喰らった敵駆逐艦は船首を立て、波間に消えた。見事撃沈である。
「吹雪」の推進機関の修理は急いでいるのだが、まだ成果は上がらない。
艦速は6のまま。ただし「吹雪」は機関のダメージで4しか出ない。
米海軍第1移動フェイズ
ソルトレイクシティは機関停止。再び航行可能になるのは6ターンからだ。
駆逐艦マッカラは撃沈された。
やはり日本軍の魚雷は想像を絶する。
艦隊は北上した。なんとか最後尾の駆逐艦ブキャナンも艦隊に再編成できた。
日本海軍砲撃フェイズ
動きが止まっている今の内に敵重巡を攻撃したいところだ。本隊は敵重巡を砲撃。「初雪」は手前を通過した敵駆逐艦を、「吹雪」は敵最後尾の駆逐艦へ砲撃を行った。
この砲撃でソルトレイクシティに2兵装打撃。先頭の駆逐艦に2兵装打撃。最後尾の駆逐艦に1兵装打撃を与えた。
米海軍砲撃フェイズ
敵の砲撃は予想以上のダメージを我が艦隊に与えた。最後尾の駆逐艦ブキャナンは砲撃の衝撃で電路が切断されたらしく、砲撃不能に陥っている。
とにかくこの反撃でアオバを沈めなければならない。
本隊はまだ燃えているアオバを集中砲火。ソルトレイクシティは敵駆逐艦を、駆逐艦隊の3隻は前方の敵駆逐艦へ砲撃を行った。
しかしなんたることか、この砲撃では敵艦隊にダメージを与えられなかった(汗)。
次ターンの艦速も6。アオバの火災は鎮火したようである。
日本海軍PL=10
米海軍PL=18
●5ターン
日本海軍第1移動フェイズ
本隊は敵艦隊の追尾に入った。「初雪」は敵艦隊の中央に斬り込んでいった。
「死ぬなよ。」(笑)
米海軍砲撃フェイズ
アオバを撃沈したかったが、火災が無くなったので距離の離れた艦は砲撃できない。本隊の2隻の軽巡はレーダー射撃でアオバを狙った。他は主にすぐ近くにいる敵駆逐艦を狙う。
軽巡2隻の砲撃は見事アオバをとらえ、撃沈した!
また航行不能のソルトレイクシティの砲撃は敵の駆逐艦をとらえ、1兵装打撃を与えた。
日本海軍砲撃フェイズ
とうとう「青葉」が撃沈されてしまった。距離を離したので安心したところだったのだが、レーダーからは逃れられなかった(泣)。
今後艦隊の指揮は「古鷹」が執る。
本隊の2隻の重巡は敵重巡ソルトレイクシティを砲撃。駆逐艦「初雪」は敵の先頭にいる駆逐艦を砲撃。「吹雪」は今のダメージで砲撃不能になってしまった(汗)。
しかし砲撃は全て命中し、敵に大きなダメージを与えた(ソルトレイクシティと駆逐艦ファーレンボルトにそれぞれ1兵装打撃&1推進打撃)。敵の先頭の駆逐艦は火災も発生している。
日本海軍第1移動フェイズ
「吹雪」は180度回頭し、退避に入った。武器がないのでは的になるだけである。
本隊はソルトレイクシティにとどめをさすべく接近。
「初雪」はサンフランシスコに体当たりを決行!しかしぎりぎりでかわされた(汗)。
更なる雷撃を行いたいが、まだ次弾装填が終わっていない(汗)。
米海軍第1移動フェイズ
駆逐艦隊機関ファーレンボルトは火災が発生し、しかも操舵機が破損し、次ターン終了時まで回頭が出来ない(汗)。更に弾薬供給所にも被弾し、こちらも次ターン終了時まで砲撃力が半減している。
次ターンあたりには敵艦の魚雷の装填が終わる。このターン中に敵駆逐艦を沈没しなければ。
艦隊は東へ。ソルトレイクシティが取り残されているが、今はどうしようもない(汗)。
日本海軍砲撃フェイズ
今回の「初雪」からの砲撃で、サンフランシスコに1兵装打撃を与えた。
「初雪」はまさに獅子奮迅の大活躍である。
米海軍砲撃フェイズ
旗艦サンフランシスコまでがダメージを負ってしまった(汗)。
とにかく敵駆逐艦を沈めなければ。
砲撃を集中。実に砲撃力50が敵駆逐艦に浴びせられ、2兵装打撃と1推進打撃を与えた。
これでとにかく雷撃力は半減した筈である。
駆逐艦ファーレンボルトの推進器のダメージは修理が完了した。
しかしまだ回頭できないので、駆逐艦隊は艦速を2に落とした。
ソルトレイクシティの機関は再始動した。しかし機関へのダメージは深刻で、艦速は3が精一杯である。
日本海軍PL=-12
米海軍PL=18
この時点で米海軍が勝利条件を満たし、勝利となった。
やはり重巡が沈められるときつい。これでも日本軍の被害は史実よりは小さいのだが。
それにしても実に10年以上ぶりにプレイしたが、やはり面白かった。IJNはホビージャパンが出した中でも屈指の名ゲームなのは間違いない。
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