2003年6月23日
うる星やつら スクランブル!ラムを奪回せよ!

 なんとなくゲームをしようという話になったはいいが、平日の昼間ではプレイヤーが集まらず、例によって化夢宇留仁とマッドハッター氏の2人になってしまった。
そこで、前に一度やってみようと話していた「スクランブル!ラムを奪回せよ!」をプレイすることに。
 テレビアニメ「うる星やつら」で、押井守が最後にディレクターを務めたのが、このゲームの原作になった前後編で、 UFOが面堂邸の敷地内に墜落し、記憶喪失になったラムを、あたるとメガネをはじめとする4人組が救出に向かうが、その状況を好機と見た面 堂の私設軍隊が行く手を阻む・・・というのが主なストーリーである。
面堂側のポイントは、恐るべき煩悩パワーで戦車隊を蹴散らして進んでくるあたるをどうかわすか。
あたる側はとにかくあたるをラムに接近させ、一刻も早くラムの記憶を回復することである。

 マッドハッター氏はこの時初めてルールを説明され、まったく初めてプレイするという状況で、とりあえず動かすユニットが少ない方がいいという理由であたる側を担当することになった。
 対する化夢宇留仁の方もルールを一通り読んで最初の2イニングくらいをソロプレイしてみただけでよく分からないので、とりあえずは相手の行動を見て考えるということにし、適当に初期配置。
 面堂私設軍はABCDの4つの軍に別れており、場合によっては指揮が途絶えたりして、軍単位 で動けなくなったりする。
前のソロプレイで恐るべき煩悩パワーで突き進んでくるあたるの恐ろしさは身にしみていたので、比較的自由に配置できるD軍の黒メガネ部隊は2ユニットを上方に配置した以外は全て後方の館に集中させ、敵がどの方向に進んでも柔軟に対処できるように考慮した。
ちなみにマップ右下の空港らしい施設からは爆撃機が発進する。
もしかしたらヘリコプター2機も配置できたのかもしれないが、説明書に記載がなかったので今回は諦めたのだ(泣)。
 いよいよあたる側のユニットがマップ上に進入。
彼らはマップ左上の青い矢印の書かれた地点ならどこからでも進入可能で予測がしにくいのだが、今回は比較的中央寄りの下方向から進入してきた。わざと黒いラインで表された鉄道を無視しているのは、こっちの移動を混乱するためだと思われる。

マッドハッターの思惑
  初期配置でややマップ上左寄りに配置したのはマップ左側の森、中央の森を盾にして移動するつもりだったからである。
あたる側ユニットは山地以外は移動力1で1ヘックス移動できるのに対し、面 堂側ユニットは森でも1ヘックス移動に2移動力を必要とする。
森の中を移動すれば2重3 重に囲まれるという最悪の事態だけは避けられるだろうという思惑があった。

ちなみにあたる以外のメガネ、パーマ、カクガリ、チビの4人はゲーム開始当初はレオパルド1に乗っている。 原作で面堂邸の敷地内に入るときに奪っていたのを再現したルールである。
しかし彼らのレオパルドは原作でも簡単に破壊されていたし、こっちの戦車はレオパルド2である。
そんなに警戒する必要も無いと判断。
とにかくあたるの独走を警戒して、A軍は航空機以外はそのままでラムを護り、その他は侵入者へ向かう。
前のソロプレイでC軍は前進したものの、あたるの進軍速度に翻弄され、あわてて引き返すという失態を演じていたので、今回はそれを見越してあらかじめA軍司令部の方へ進み、戦力の集中を意識する。
 第2イニング。
あたる側ユニットは北方向へ。
そのまま突っ込んでくるかと思ったが、どうやらこちらの物量に圧倒されたらしい。
2ユニットスタックで配置していた黒メガネ部隊は無視されていたので、とりあえずメガネ達の乗ったレオパルド1に攻撃。
他の部隊はあたるを集中攻撃すべく移動。
ただC軍は最初に逆方向に進んでいたこともあり、そのままラムの護衛につくこととにし、A司令部へ接近。
メガネ達のレオパルドに向かった黒メガネ部隊だが、結果は攻撃は全て外れ。それどころか反撃を受けて1ユニットは除去され、残りの1ユニットも混乱状態になってしまった(汗)。
通常ならあたる側ユニットは攻撃するだけでヒットポイントにあたる煩悩ポイントを1消費するのだが、今回は説明書に記載がなかったこともあり、レオパルドに乗っている間はメガネ達は攻撃しても煩悩値が減らないことにしている。
どうも彼らも予想以上にやっかいな敵のようである。

マッドハッターの思惑2
  実は私は最初ゲームの勝利条件を勘違いしていた。
あたる側の勝利条件は
1.10イニング以内に
2.ラムの記憶を完全に取り戻し
3.自軍ユニットとラムユニットをスタックさせ
4.面堂側ユニット全てを除去、または行動不能の状態にする。
  化夢氏の説明を聞き漏らしたのだろう。4.は正しくはラムユニットとスタックして いる面堂側ユニット全てが…である。
しかしゲーム開始直後の私は文字通りマップ上の全ユニットのことだと勘違いしてい たのだ!
10イニングと短いゲームである。如何にあたるユニットが強力とはいえ面 堂側のユ ニット全てを除去、行動不能に出来るとは思えない… で、このとき思い出したのが「海が好き」および錯乱坊のイベントカードである。
あたる側は移動終了すると各ユニット毎にイベントカードでの地形チェックを行う。
これによりさまざまなイベントが起こるのだが、上記二つは敵味方無関係にヘックス 上のユニットを巻き添えにしてダメージを与える。さらに錯乱坊のカードはその周囲 6ヘックス以内のユニットをも巻き添えにする。
ゲーム開始前にざっとイベントカードの内容をチェックしたのだが20〜30枚のカードの中に錯乱坊カードは5枚入っていた。「海が好き」も同程度入っていたはず だと思い出し、このカードの効果を利用してしかあたる側の勝利条件は満たせない、 と大勘違いしてしまったのだ。
そのためあたるはあえて前進させずA軍とD軍を6ヘックス以内に引き寄せる作戦をとったのだった。
レオパルドの4人組を離れた位置に移動させたのも、同様の理由でどちらに錯乱坊イベントが起こっても互いに自ユニット同士で被害を受けないためと、効果 範囲を広げるためである。

第3イニング。
 突っ込んできたあたるに、全軍集中して攻撃。
説明書では面堂側ユニットのスタックに関しての記載がいい加減で、ある程度幅のある解釈の出来る書き方になっている。
今回はその解釈の最も厳しい方の、黒メガネ、レオパルド、ゲパルトのどれかのユニットは1ヘックスに2ユニットまでしか存在できないというルールを採用しており、集中攻撃に制限が多い。
頼みはスタック制限の無い航空ユニットで、これらのユニットがてんこ盛りになって攻撃し、あたるの煩悩値をすり減らしてゆく。
しかしあたるの反撃で、航空ユニットで最も攻撃力の強いB-36爆撃機が撃墜される。
徒手空拳のあたるが爆撃機を撃墜するというあり得ない展開だが、こと「うる星やつら」の世界なら石でも投げて当てたんだろうと納得できるのが恐ろしい。
これによって面堂軍は最も強力な航空ユニットを失った。他にも面堂自身が登場するストゥーカがあるが、これを利用している間はABC軍のどれかは指揮がとどかず行動不能になってしまうので、使いどころが難しいのだ。
あたる側のマッドハッター氏にすれば、スタック関係なく攻撃してくる航空機の中の最強ユニットを除去できたのだから大きな戦果 である。
 とにかくあたるを弱体化しなければならない。
そびえ立つような航空機のスタックで、あたるユニットを攻撃。
流石のあたるもあわや気絶というところまで追いつめられたが、次のあたるイニングに回復を試み、なんと10も煩悩値を回復。
どうもまともにやっていたのでは、あたるの煩悩には太刀打ちできないようだ(汗)。
しかし次のイニングに事件が。
あたると交戦していた地点から、「海が好き〜!」という謎の咆哮が聞こえたかと思うと、なぜか大波が発生。あたるはマップ上方に4ヘクスも流され、我が軍のゲパルトも左下方に流されてきた。
なにが起こったのか確認できないが、あたるを倒せない以上、時間稼ぎが出来るのが一番助かる。
そう思っていたら、あたるはブービートラップにも引っかかり、更に上方へ吹き飛ばされていった。 交戦していた黒メガネも吹き飛ばされ、さっきのゲパルトと隣に落ちてきた(笑)。
とにかくこれでずいぶん時間が稼げた。

マッドハッターの思惑3
  ゲームも中盤に入り、ルールを再確認、自分の勘違いに気付いた(汗)
ならばとにかくあたるをラムに近づけた方がよい。
ラムの記憶回復チェックが毎イニング終了時に行われるが、記憶が回復していくほど回復する確率は低くなっていく。
期待値的には10イニング中に回復させるのは困難なのだが、あたるがラムに近づけば近づくほど サイの目に修正が付いて回復させやすくなる。
ところがレオパルド、ゲパルト、黒メガネに阻まれなかなか前進できない。ここぞと いうところでサイの目に見離され、オーバーラン出来ないまま壁は厚くなってゆく。
おまけに思わぬアクシデントで何故かラムユニットより遠くへ遠くへと飛ばされてゆくあたる…
  一方メガネ達のレオパルドは着実に前進してゆく。この辺はつぶす気になればいつで もつぶせるし、下手にレオパルドを破壊すればユニットの数が多くなり面 倒だ、という化夢氏の思惑もあったのだろう。
実はわたしはレオパルドを早く撃破して欲しかった。最初は勘違いからイベントカード頼みの移動をしていたわけだが、錯乱坊および「海が好き」のイベントカードの効 果はあたる側に有利に働く。ユニット数の多い面堂側の方が圧倒的に不利なはずなのだ。
あたる側ユニットが増えればイベントカードによる地形チェック回数も増え、上記イベントが起こる回数が圧倒的に増える。
「戦車から自発的に降りるのはいいのでは?」との化夢氏からのお言葉もあったが、 ルールには特に記載は無いとのことだったのであえて自重した。
ゲームのバランスを 大きく崩す結果にもなりかねないからである。

 ところでレオパルド1に乗った4人組だが、いまだに戦車は健在で、いつの間にかA館近くまで接近していた。
いい加減邪魔くさいのでトーネードで爆撃。
レオパルドは破壊されたが、乗員は無事脱出したようである。
その時面堂の背後から声が。
「さだめじゃ。」
面堂が振り向き、そこに奇怪な坊主を発見した瞬間、謎の大爆発が発生。
なんとA司令部を中心に6ヘックスの範囲にいた部隊が全て行動不能に(汗)。
 面堂が意識を取り戻すと、メガネをはじめとした4人組はA館のすぐそばまで迫ってきていた。
4人組などに背後を見せては面堂家の沽券に関わる・・・と思ったのだが、残りは3イニング。ここは念のために特別 回避を発動し、ラムさんを安全な場所に移動させた方が勝利が確実になる。
と言うわけで面堂とラムはB館に移動。
これであたる側の勝利はほぼ無くなった。

マッドハッターの思惑4
  ラムユニットを移動されたことでほぼこちらの勝利は無くなった…と思いきやあたる ユニットからラムユニットまでのヘックスを数えるとジャスト18ヘックス!
あたる の移動力は6。残り3回移動できるのでぎりぎり届く距離である。
しかしそのために は眼前に控える黒メガネ2部隊をまずオーバーランしなければならない。こいつらを 突破すれば面堂側地上部隊ユニットは脚が遅いので追いついてくることは不可能であろう。
戦線も伸びきっており、実質あたるを阻むことができるのは飛行ユニットだけ になる。
満身の力を込めてさいころを振るが…黒メガネ一部隊を行動不能に出来なかった!
ここぞというところのサイの目が悪い…この時点で既に勝利はほぼ絶望。 4人組の方もラムに接近はしていくが、自前の移動力だけではもはやたどりつけな い。爆発によって運良くラムの方向へ飛ばされでもしない限りラムユニットの存在す るB館にはあと1ヘックス足りないのだ…
しかし、驚くべきことに最後にもう一波乱おこるのであった。

 あたるは森を抜けて迫ってくるが、もはや大爆発で飛ばされて接近しない限りはラムに相対するのは不可能である。
4人組はと言うと、こちらもしつこくB館に迫ってくる。こっちはなんの問題もなく接近できればギリギリB館に進入できるが、そんなことを許すわけもなく、トーネードが爆撃を敢行。
彼らの進行にはブレーキが掛かり、もう爆発で運良くラム方向に飛ばされない限りは間に合わない。
しかしボロボロになりながらも 、4人組は森の中を接近してくる。
やがてメガネがブービートラップにひっかかり、右上方に吹っ飛んでいった。
カクガリは鉄条網に阻まれ、進行ストップ。
しかしそれでも残ったパーマとチビは迫ってくる。
業を煮やした面堂は、とうとうストゥーカに乗り込み、自らトドメをさしに向かった。
トーネード2機がチビに。面 堂のストゥーカがパーマに爆撃を行うが、なんと2人は気絶寸前の状態でありながら、それでもヨロヨロと前進を続けていた。
なんという空しい努力。いくら前進してもラムには届かないというのに。
しかしここで奇跡が起こった。
それまであと一歩というところで記憶の戻らなかったラムが、完全に記憶を取り戻したのだ。
ストゥーカのコックピットから面堂が見たものは、ドレスを脱ぎ捨て、いつものトラ縞ビキニ姿のラムがB館から飛び出し、パーマとチビと合流する瞬間だった・・・。

 プレイヤー二人ともが信じられないくらいの奇跡の逆転劇で、あたる側プレイヤー、マッドハッター氏の勝利となった。

マッドハッターの思惑5および感想
  9イニング目の最終フェイズ。ラムの記憶回復チェック。
ラムの記憶が戻るには6面さいころで「1」を出なければならない。
「1、1、1…」念じて振ったさいころは なんと「1」 今までのサイの目運の悪さを振り払うかのような見事な結果 が出た!
これで最終10イニング目にラムは1ヘックスだけ移動出来る。
そしてB館から5ヘックスの所にパーマとチビがズタボロになりながらも前進を続けている。 彼らの移動力は4。勝利の可能性が僅かに見えてきた。
しかしまだ安心は出来ない。面堂ユ ニットを含む飛行部隊がまだ1回攻撃出来るのだ…
しかし面堂のストゥーカとトー ネードの攻撃は二人を行動不能には出来なかった。
ラムに駆け寄るパーマとチビ。ラムが同ヘックス上にスタックされゲームエンド。
まさに奇跡的な逆転劇である!…あまり美しくはないが。

しかしなんだか自分の力で勝ったような気分にはなれない妙なゲームであった。面 白かったけど(笑)

化夢宇留仁の感想
 基本的には戦術にミスは無かったはず。
どう頑張ってもチェリーは1〜2回は発生(笑)するのだし、こんなもんだろう。
 しかし最後の選択は考慮が足りなかった。
そもそもラムが動けるようになってパーマ達と合流可能になったというのは頭のどこかでは分かっていたのだが、まさかあり得ないと別 な部分で否定していたような気がする。
まあこんなこともあるさ(笑)。

 ゲームとしてはなかなかプレイアビリティも高く、うる星らしさもいい感じに出ていて、よいゲームなのではないかと思う。
ただマッドハッター氏も書いているが、あまりにもイベントの影響が大きすぎて自分でコントロールしている気になりにくいのは欠点か? しかしそれが出来てしまうとうる星らしさは減少しそうだから、これはこれでOKなバランスだと思う。
 今度プレイするときはあたる側を担当してみたいな♪


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