NIGHT OF THE LIVING DEAD


 協力型ハクスラ系ホラーゲーム ゾンビサイドのスピンナウト。
しかし内容的にはまさに原点回帰。

 現在ゾンビと言われて思い出すイメージ。
それを発明したのがNIGHT OF THE LIVING DEADという映画なわけだが、このゲームはその映画を再現したものなのだ。

  セット内容は映画に出てきた生存者が6人と、そのゾンビサイドモード6人。
ゾンビ(本作での呼称はグール)はウォーカー28体、ブレイカー12体、ファッティ12体、肉親2体。
両面仕様のゲーム盤は6枚入っている。
ちなみに日本語版は出ていない。



 プレイの様子の例。
基本はほとんどのシナリオで上と同じ4枚のゲーム盤で構成された家が舞台となる。
なにしろ原作の映画がそうなのだから当然である。

 基本システムはゾンビサイドのそれだが、勿論映画を再現するためのアレンジがある。
その筆頭が上でも書いた生存者がそれぞれ2種類用意されているところ。
これは初版ゾンビサイドにあった生存者とゾンバイバーという違いではなく、ロメロモードとゾンビサイドモードの2種類になっている。


 こちらがロメロモードの生存者の皆さん。化夢宇留仁が着色済。と言ってもモノクロなのだが(笑)
元の映画がモノクロなので、フィギュアもモノクロなのだ。
6人ともまさに映画で活躍(?)した面々で、なかなかよく似ている。


 そしてこちらがゾンビサイドモードの皆さん。塗りかけ。
ロメロモードと比べると全員やる気満々で、特に右端の女性(ヘレン)の原作からの乖離ぶりがすごい(笑)
 ルール的にはIDカードも両面仕様になっており、ゾンビサイドモードはいつものゾンビサイドと同様で、ロメロモードの方は1レベルでは技能無し、2レベルでやっとゾンビサイドモードの1レベルの技能が身につき、3レベルで+1アクションという風に、ゾンビサイドモードと比べると弱々しい。
これは勿論ロメロモードがホラー映画の登場人物を再現しているからである。
この2種類のモードはゲーム中の状況によってまあまあ頻繁に入れ替わるようになっている。

 システム面では他には普通のゾンビサイドと大きく異なるところは見当たらない。もちろん細かい違いはあるが。

 グール(ゾンビ)の紹介。

 ウォーカー。塗りかけ&未塗装。
毎度のウォーカーと同ルールである。
造形は5種類もあり、どれも映画に出てきた姿そのままである。そしてその内の1体は1個しか入っていない。
中央に立っているスーツ姿のグールがそうで、というのも彼は劇中で初めて登場したグールであり、つまりはこの世に初めて登場した定番ゾンビなので特別視されているわけである。
もちろんルール的には単なるウォーカーなのだが(笑)
化夢宇留仁的には映画に登場したスタイル抜群のオールヌード女性のグールフィギュアが入っていないのが残念でならない(笑)


 ファッティ。塗りかけ&未塗装。
基本的には通常のゾンビサイドと同じルールだが、生存者に与えるダメージが2と強化されているのと、ターゲット優先順位がウォーカーよりも前になってより邪魔になっている(汗)


 ブレイカー。塗りかけ&未塗装。
本ゲーム独自のゾンビで、立場的にはランナーの代わり。
と言ってもランナーのように2アクションで走ってくるということはない。なにしろゾンビの定型が初めて登場した映画なので、走るゾンビという進化型はまだ登場しないのだ。気のせいか劇中で結構足が速そうなゾンビもいた気がするが(笑)
 で、このブレイカーは、アクティブになったときにそのゾーンに攻撃対象である生存者がおらず、かつドアやバリケードがあれば、それらを破壊して開放してしまう能力を持っている。
これは攻撃と同じタイミングで行われるので、同じゾーンに他のゾンビがいたら、次の攻撃をしなかったゾンビが移動するタイミングで家の中にぞろぞろと入ってきてしまう。
基本的に映画の状況を再現しているシナリオが多い本作では、映画の通りバリケードを構築した家の中で籠城している状況が多いので、上記の展開はまさに悪夢と言える展開である。
他の能力はウォーカーと同じ。


 肉親。塗りかけ。
こちらも本ゲーム独自のゾンビだが、ゾンビ自体のルールはウォーカーと同じ。
どちらも映画を見た人にはひと目でわかる、上記生存者たちの肉親で、彼らが盤上にいる間は生存者は全員ロメロモードになってしまう。
屋内で探索をしているときに突然現れることもある。

 バリケードは家の窓に板材などを打ち付けた状態を示し、これがないと窓からグールが入ってきてしまう。
ゾンビカードには2倍出現や軍団カードは無いが、バリケードとドアの破壊というカードが肉親以外のグールごとに用意されていて、このカードが出るとバリケードやドアのあるゾーンに該当のグールがいれば、破壊される。最悪なパターンとしてはこのカードの次のゾンビカードでフィギュアの数が足りなくなる展開で、一気に大量のグールが家の中になだれ込んでくることになる(汗)

 出てくる要素はだいたい映画に忠実なゲームだが、武器だけは全然違う。
というのもゾンビサイドモードでのみ探索して発見できるデッキがあり、そこにはおなじみの切断済やらマチェーテやら果ては刀やウージーまで入っているのだ(笑)
どんな家だったんだ(笑)?

シーン(シナリオ)の紹介。
S1 何が起こっているんだ?
 屋内のドアなどを材料に、全ての窓にバリケードを設置する。

 映画で言えばバーブラ(バーバラ)とベンが出会ったあたりから始まるシナリオで、その後もだいたい映画と同じような展開。
違うのは勿論ゾンビサイドモードに関わるところで、ロメロモードからゾンビサイドモードになる条件は、「ウインチェスターライフルを他の生存者に渡す」で、なかなか微妙。
そして上でもちらりと書いたが、ゾンビサイドモードになると家の中ですごい武器が次々に見つかるようになる。
 シナリオとしてはバリケードを作りつつ、ブレイカーが迫ったら一度開けて撃ち殺してまた閉めたり、バリケードを破られたら侵入したグールを倒してまた閉めたりと、まあまあ忙しい。

S2 鍵はあるのか?
 S1と同じマップ(バリケードはすべての窓に設置済)で、家中を探索してガソリンポンプの鍵を探す。
ゲーム的には通常の装備デッキが無くなったら勝利で、それまでにプレイヤーフェイズ終了時にグールが屋内にいたら敗北。
入ってきそうなブレイカーを倒したり、バリケードを直したりしつつ探索しまくる。
バリケードが出来ている分S1よりは落ち着いて対処できる。

S3 やつらは火を怖がる
 松明とモロトフで牽制しながら、ベンの乗ってきた車に向かう。
S2と同じマップで、家の外に出て2箇所のグール出現ゾーンにモロトフを投げ込めば勝利。
ちなみにモロトフを投げ込まれた出現トークンは他の出現ゾーンに移動させることができる。

S4 さあ行くぞ
 車に乗り込んでポンプのところにたどり着いて給油する。成功すれば脱出できる!

 マップ6枚で映画中盤のクライマックスを再現したシナリオ。
映画の結果は○○○だったが、こちらはツボを押さえれば簡単にクリアできる。
コツとはとにかく速攻で車に乗り込んでポンプを目指すこと。
グズグズしているとゾンビが増えてきてどうしようもなくなる。

S5 NIGHT OF THE LIVINGDEAD
 ここからはゲームオリジナル展開。
車による脱出は失敗してしまったので、とにかく家を守って夜が明けるのを待つしかない。
S2、3と同じマップで、全員がレベル3(オレンジレベル)になるまでプレイヤーフェイズ終了時にゾンビが家の中にいない状態を維持すれば勝利。
要するに籠城戦である。
レベルが上ってくると半端ないゾンビが押し寄せ、肉親も出まくるのでラストに向けてピンチ感が盛り上がる。

S6 ウィラードへ
 ウィラードの近くに救助ステーションができたとラジオで言っていた。そこまでたどり着ければ助かる。
もはや車は無く、歩いていくしかないが・・・。

 3枚のスタートマップにどんどん新たなマップを繋いでいき(生存者がいなくなったマップは削除される)、6枚目に繋げたマップに全員たどり着けば勝利。
このシナリオより生存者ははじめからゾンビサイドモードで開始される。
 グールの出現ポイントが「マップの角の外」なのか「マップの外の角」なのかがはっきりせず、図をつけてもらいたかった。化夢宇留仁は「マップの角の外」という解釈でやってみたが、こうすると出現ゾーンが8〜10箇所もあることに(汗)
このルールで遊ぶ限りは、装備を整えるのに時間を掛けずに急いで家を出ないと、あっという間にフィギュアが足りなくなってグールの群れに噛みつかれる(汗)
しかし早々に家を出るとあとはマップの中央を走っていけば最低限の戦闘で切り抜けられる。
逆に「マップの外の角」にすると出現ゾーンの数は半分になるが、家を出てからの戦闘が(出現ゾーンが近くなるので)多くなってそれはそれで厳しそう。
ちなみにマップを取り外すタイミングも、最初の3枚はどうするのかはっきりしない(汗)

S7 ジョニーをつかまえろ
 バーブラの心残りを解消するため、ジョニーを探して埋葬することに。
グールとなったジョニーはまだ墓場をうろついているはず・・・。

 墓場にある白い出現ゾーンで「肉親」を倒せば勝利。
非常に簡単なシナリオで、最低限の装備を整えて墓地に走ればまず勝利できる。

S8 ジョニーの車
 ジョニーのポケットの中にはスペアの車のキーが。
バーブラが木にぶつけたところまでたどり着けば動く車が手に入るかもしれない。

 S6と同じ感じで、次々とマップを繋げて移動していくタイプ。
最後のマップには車があり、それに乗り込んでそのマップ内からグールがいなくなれば勝利。
これもさっさと進めば簡単。

S9 救助隊
 ジョニーの車で脱出に成功したが、道中見かける家の中にまだ生存者がいるかもしれないということに気づいた。家の中を探索して生存者がいれば救助しよう。

 すっかりゾンビサイドが板についてきた6人(笑)が、救助を待つ人がいないかと群がるグールを蹴散らしつつ家屋を探索していく。
映画の内容とはかけ離れているが、なんだか彼らが報われたような気がして楽しい。
普通に装備を整えてグールを倒しながら進んでいけば普通に勝てるシナリオ。

S10 さらなる炎
 ウィラードにたどり着いたが、そこはすでにグールに蹂躙されていた。
助けを求めてやってきたのだが、助けを与えるのはこっちの役目だったらしい・・・。

 プロのゾンビサイド6人が、ウィラードの町でグールを掃除する(笑)
なにしろこのシナリオではイエローレベルから開始されるのだ(笑)

 ちうわけでなかなか趣があって面白いゲームである。各所に施された映画へのこだわりも半端ない。
ちょっと首を傾げたのはロメロモードからゾンビサイドモードに切り替える条件で、結局ロメロモードで始まるシナリオは全て「他の生存者にウインチェスターを渡す」ということになっており、それ自体はいいとしても、なにしろ初期装備なのでウインチェスターをバケツリレーのように渡していけば1ターン目で全員ゾンビサイドモードになってしまうのだ(汗)
これはゲーム的に少し破綻していると言えるだろう。
ゾンビを殺したらゾンビサイドモードに切り替わるというルールにしたら一番シンプルなのだが、それだと劇中でもゾンビサイドモードになっていることになるので具合が悪かったのか。
 あとは肉親のカードが12枚も入っていて、つまりはやたらに肉親が登場するのも少々妙だった。
原作映画の設定からしたらバーブラの肉親はジョニー以外は近所にいないし、つまりはあとの5人の家が近所にあって実は大家族だったとか(笑)?
 また選択ルールでゾンビサイドモードなしでのプレイの提案が無かったのが意外だったが、まあそれは放っておいてもやりたい人はやるからいいのか(笑)?
 もう一つ意外だったのは全体的にシナリオの難度が低かったところで(いくつかのシナリオは速攻で動かないと積むのもあるが・・・)、この辺はやはりゲーマーじゃない人もプレイする可能性を鑑みてのことだろう。

おまけ
いつものカード類の日本語化シール。翻訳はいつものようにテキトー(笑)
NIGHT OF THE LIVINGDEADカード日本語化シール

気楽さ 4
言語依存 3
 大した量は無い。
ソロプレイのしやすさ 5

完全協力型ゲームなので全く問題ない
化夢宇留仁の好き度 5

20240309