SFXハードボイルド
ラブクラフト

★★ 1948年のアメリカ。世界は魔術に満ちていた。
・・・と、いうことで、この作品ではなぜか魔術が当たり前に使用されている奇妙なロサンゼルスが舞台となっている。
その当たり前度はかなり高く、煙草の火を点けるのにも魔術。お酒をつぐのも魔術。肉体労働はゾンビにやらせていたりもする。
そんな世界で魔術を使わない変わり者の探偵H・P・ラブクラフトは、盗まれた禁書「ネクロノミコン」を探し出すように依頼され・・・・・・。

 タイトルにSFXとわざわざついているが、今の目で見ればこれといってすごい映像は無い。いや当時(1991年制作)でもそうだったのではないかと思ったり(笑)。
同じくタイトルに書かれているハードボイルドという点は実に徹底しており、王道と言える内容。
それがクトゥルフ神話関係の単語が飛び交う魔術世界で繰り広げられるのだから、なんだかわけが分からない(笑)。
 ストーリー的にはこれといって特筆するところはなく、主人公ラブクラフトがなぜ魔術を使わないのかなど、分からないまま終わるところも多いのだが、ハードボイルドのフレーバーでその辺は気にならなかった。
ちうわけでなんとも奇妙な作品だが、雰囲気がいいので最後まで退屈しないで見ることは出来た。
手放しに面白いと言えるわけではないのだが、冒頭で予言者じみた雰囲気を醸し出している黒人のおばさんが主人公の部屋の家主だったり、変にツボを突くポイントもちょこちょこあって、なんとも評価のしにくい作品である。
でもヒロインの女の子は可愛かった(笑)。
 キャストもなかなかで、主人公ラブクラフトに「レモ/第1の挑戦」「トレマーズ」のフレッド・ウォード、不気味な依頼主に「バンデットQ」「2つの頭脳を持つ男」「タイム・アフター・タイム」のデヴィッド・ワーナー、ラブクラフトの昔の恋人で歌が上手いけど口パクモロばれのねーちゃんに「エヴォリューション」のジュリアン・ムーア、ラブクラフトの昔の同僚に「バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー」のクランシー・ブラウンなどなど。
※参加作品の選択には悪意はありません(笑)
 それにしても魔術が当たり前の世界で主人公だけ使えないって・・・・「魔法の国ザンス1」とか「能なしワニ」を思い出すなあ(笑)。

 クトゥルフ神話的には、世界がおかしい以外はだいたいそのまんまで、聞き覚えのある神様の名前もたくさん出てくる。
最後に出てきたのはヨグ・ソトース・・・・・???

2007051


魔界世紀ハリウッド

★ 1994年アメリカ映画
  1950年代、世界は魔術に満ちていた。
私立探偵ラブクラフトは、この魔法に満ちた世界で魔法を使わない探偵として地道に生きてきた。
ある日彼の所にやってきた依頼人は、ハリウッドの有名女優で、彼女は夫の浮気調査を依頼した。
調査を始めたラブクラフトだが、その夫は魔法で殺されてしまい・・・。

 ・・・と、いうことで、上記ラブクラフトの続編。と言っても同じ人物が主人公というわけではないらしく、環境やキャラクターも異なっている。
顔も違うし(笑)。
作品的にもハードボイルド色は減り、その分オシャレ探偵(笑)な感じが増した感じ。
前作で管理人だった黒人のおばさんは、ラブクラフトの向かいに住む公認魔女となっており、また渡した名刺が違う物だったなど、前作を継承している部分もあって、そこはどれも実にいい感じ。
そう思えば前作は良くできていたのだなあ。
 クトゥルフ神話関係としては、実は本作ではほとんど関係なくなっている。
なんとか関係してそうなのは探偵の名前くらいである(汗)。
しかし映画としてはその方が正しいと思う。
前作もクトゥルフ神話を意識しないで観た方が面白いと思うし、本作は意識しない分気楽に楽しめたように思うのだ。
とりあえず魔法が日常的に使われている現代(?)世界というのが面白いので、こんな舞台でもっと他の作品も観てみたいものである。

20070520


地獄の門

★ 1980年イタリア/ルチオ・フルチ監督
 ニューヨークで霊的交信を行っていた女性が、ダンウィッチという町で地獄の門が開かれるというビジョンを観た後死んでしまう。
一方そのダンウィッチでは奇怪な現象が立て続けに起こっていた・・・。

 クトゥルフ神話好きらしいフルチ監督は、本作以外でも関連した作品を作っているらしい。
しかし・・・・・・・・・・
その作風はあまりにもクトゥルフ神話とはかけ離れており、違和感を否めない。
 とりあえず本作では、牧師の自殺という冒涜的行為によって地獄の門が開いてしまう町の名前としてダンウィッチが登場する。
しかし牧師の冒涜的行為という時点で、クトゥルフ神話の宇宙的視点とはほど遠いのが分かると思う。

20080529


死霊のしたたり3

2003年アメリカ、スペイン/ブライアン・ユズナ監督
 
幼い頃に姉をゾンビに殺された少年ハワード・フィリップスは、その元凶らしき男が残した緑色の薬に魅せられ、刑務所に収監されたウェスト医師の元へ・・・。

 ユズナは監督としての手腕は今ひとつなイメージだが、本作では緊張感の維持に成功しており、最初から最後までだれることなく楽しめた。
舞台を限定したのと、意外に多い登場人物の個性を大事にしたのが成功の要因か。
とは言え、内容は相変わらずの成り行き任せのスーダラ節で、スプラッター面でもなかなか頑張っていて、B級ホラーの定番の続編としての安心感も維持しているのは嬉しい。
残念なのはなかなか可愛いヒロインなのだが、ユズナお得意のエログロ描写が大人しめだったこと。特典映像などを見ていると、撮影はされたがカットされた部分もありそう。
で、その特典だが、普通に可愛かったヒロインがインタビューを受けている映像では本編の10倍可愛い(汗)。おいおい、それって撮り方を間違っているのでは(笑)?

 クトゥルフ神話に関係することは特に無し(汗)!
とりあえずウェスト博士が出てくるだけ(笑)。

20080821


ガーディアン 陰・獣・教・室

★2004年アメリカ/ ケネス・J・ホール監督
 
ジョギング中の若い女性が突如拉致され、目が覚めると目の前には・・・・・。
かくして若い女性は行方不明となり、その姉が彼女の行方を捜す。
そして最近若い女性の失踪が相次いでいる修道院を突き止め、そこに潜入捜査を試みるが・・・・。

 要するにC級エログロホラーで、目新しいところはなにもない。要するにおっぱいなのである(笑)。
しかしまあまあテンポよく作っているので、最後まで退屈せずに見れるのはこのクラスの作品としては珍しいくらいである。
惜しむらくは登場する女優全員があと5歳若ければ・・・・・(笑)

 クトゥルフ神話と関係するのは、ミスカトニック大学とネクロノミコンが出てくるところ。
しかし名前だけ借りてきたという感じで、その特色を生かしているところは見あたらない。

20081230


ダニッチ・ホラー その他の物語

★★★品川亮監督
 ラブクラフト原作の3作品を人形を駆使した独特の手法で映像化している。
家の中の絵
 雨の中古びた建物に立ち寄る。
そこに住んでいるらしい老人が見せてくれたのは、忌まわしい食人の儀式が描かれた絵だった。 夢中になって絵の説明をする老人の話は、次第に狂気をはらんだものに。やがて天井から雨ではない液体が・・・。

ダニッチ・ホラー
 ウィルバー・ウェイトリーが犬に噛み殺された。しかしその死体はどう見ても人間のものではなかった。
その約1月後、ダニッチは異常な事件が頻発し・・・。

フェスティバル
 青年が訪れた街では、夜に祭りが開かれるということで、招かれるままにその列についていくと・・・。

 人形を使っているが、ストップモーションアニメ要するにコマ撮りの技法はほぼ使用されていない。
かと言ってマペット的に人形を動かしているかと言うと、それもほとんど無い。
要するにほとんどの画では人形が静止している状態なのだ。
しかしそれがセンス爆発の造形と繊細なライティングなどの効果によって雰囲気抜群に仕上げられている。
最初は全然動かないのでがっかりしたが、見ていくうちにラブクラフトの世界を再現するにはもしかしたら最善の手法かもしれないと思った。
 しかし最初の「家の中の絵」では、明示される絵そのものの出来が安っぽくて世界観と合致していないように感じて残念だった。
次の「ダニッチ・ホラー」は高低差のある草原の描写がかっこよくていい感じ。
ただし例の「弟」の描写はイマイチで、せめて「ネロンガ表現」(笑)は欲しかった。
最後の「フェスティバル」は日本での小説タイトルとしては「魔宴」で知られるキングスポートを舞台にしたもので、夕日に照らされた街や部屋の描写や路地の絵が超かっこよく、最後だけ超カラフルに描写される華々しさもなかなかのものだった。
ただし元々の原作がよくわからない内容なので、こっちもそれは同じ(笑)
しかし全体的にかなかなかいい感じだった。

20251122(mixi日記より)
20251125


邪神バスターズ

★★★ヘンリー・セイン 監督
 エジプトにて、怪しい男たちが地中よりなにかを掘り出している。それは一見タコのようにも見える遺物だった。
 ミスカトニック大学で教鞭を執るレイク教授のところに、邪神の復活を防いで人類を護ってきた協議会から「レリック」の半身が届けられる。
もう片方はクトゥルフ信者の手にあり、これを護り抜かないとクトゥルフが復活してしまう。
教授はラブクラフトの子孫にその任務を託そうとするが、子孫ジェフはうだつの上がらないサラリーマンで、高校時代からの親友と2人で漫画を描いていた・・・。

 ジャンルとしてはホラー・コメディーということになるかと思うが、ホラー要素もコメディ要素も中途半端で、悪くはないが褒めるところも全く無い(汗)
しかしクトゥルフ神話要素的には思ったより頑張っていて、序盤でクトゥルフの説明を絵物語的に見せてくれるのだが、これにしっかり「古きもの」や「ショゴス」も登場するなど、そこだけはしっかり守るという意思を感じた(笑)
物語的には実にオーソドックスなクトゥルフの復活を企むクトゥルフの落し子と、ディープワン、カルト信者たちが敵で、ポンコツな探索者たちがそれに対抗するという感じで、映画というよりもTRPGのシナリオっぽい。
なのでまあまあ丁寧な作りなのだが、特別こき下ろすところはないにしろ、飛び抜けたところも全然無いという少し残念な感じに。
しかしクトゥルフの落し子が安っぽいアメコミのヴィランみたいな性格だったのはいただけなかった。
 全く同内容でも、80年代に作られていたら名作扱いだったかもしれない(笑)

20251130(mixi日記より)
20251207


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