アドベンチャーヒーローブックス

 勁文社の新書サイズゲームブックシリーズの名称。
特にテーマとかがあるわけではなく、適当なタイトルっぽい(汗)。
 様々な内容の物が出ているが、特に機動戦士ガンダムを題材にした詳細なルールつきの作品が多いのが特徴。
ゲームブックで複雑な戦闘ルールが必要かと言えば疑問も残るが、様々な試みの一つとしては評価したい。


機動戦士ガンダム
灼熱の追撃

勁文社/昭和61年9月25日初版
山口宏著/スタジオ・ハード編
パラグラフ数 380

 宇宙世紀0079、12月。
敗色濃厚なジオンは、わずかに地球に残った部隊も宇宙へ引き上げさせていた。
アフリカの第18補給基地も、明日の撤収に向けて準備を進めていたが、突然奇襲を受けて壊滅。しかも襲撃したのは味方であるジオン軍の「鉄のサソリ」部隊だった。
生き残った整備兵ジョン・クエストは、彼らに奪取された機密書類を奪い返すために、破壊を免れたモビルスーツに乗り込むが・・・。

 とりあえずゲームを始める前のルール部分で挫折しそうになる。
別に複雑なルールが悪いとは思わないが(少し思うかも/汗)、そのルールが読んでいてゲームを面白くしてくれそうだという印象を与えてくれないと、途端にきつくなる。
本作のルールは、モビルスーツそれぞれの性能を表すためのものだというのは分かるのだが、だからと言ってそれがゲームを面白くするとは思えなかった。
単に数値の多い少ないで差をつけられても、面白くないのだ。
どうせだったらもっと複雑にして、モビルスーツの動きを想像できるようなルールにして欲しかったくらいである。
要するに中途半端なのだ。

 それはそれとして、ゲームを始めてみる。
導入は強引ながら主人公が1人で旅立つ理由は納得できる。
 さて最初に載るモビルスーツを選ぶことに。
選べるのはデザートザク、少し壊れているドム、ズゴックの3つ。
ここでズゴックの説明に首をひねる。
「ドム並の装甲をもつが、機動性が低い」
化夢宇留仁のイメージでは、ズゴックは装甲は薄いが機動性に優れた機体である。
この辺は実在する物ではないし、解釈も色々あるとは思うのだが、どう考えてもテレビ画面でのズゴックに合わない説明だと思うし、こういうところこそ本作の肝なのだから、もっと大多数が納得できるような説明にしてほしかったところである。
 さて舞台は砂漠のようである。
ズゴックは水陸両用なので、普通に考えて選択すべきはデザートザクかドムということになるが、少し壊れているのでは心許ない。
結果デザートザクを選ぶのが普通であり、ゲームブックとしても正解の筈だと思う。
表紙で頑張っているのもデザートザクなわけだし(笑)。
 出発。
怪しい湖に気配を感じ、迂回。
目的地に向かう3つあるルートの内、一番安全そうな海沿いの道を選ぶ。
突然襲ってくる。連邦のモビルスーツ、ジム。
しかも白兵戦強制。
敵の熟練度は8。こちらは0(汗)。
武装は敵が最強のビームサーベル。こっちはヒートホーク(汗)。
逃走は2ラウンド戦ってからしか選べないが、その時に自分の熟練ポイントと機動ポイントの合計が6以上無いと不可能。
白兵戦は熟練ポイントと機動ポイントに1D8を加えた数値を比べ、高かった方が低い方にダメージを与える。
デザートザクの機動ポイントは10。敵ジムは6。
デザートザク(0+10+1D8)期待値14.5
ジム(8+6+1D8)期待値18.5
よほどの幸運が無いと、勝ち目は無い。
負けるとジムのビームサーベルとザクの装甲Cからすれば、3ダメージを喰らう。
当然2ラウンド戦った後では、ザクの機動ポイントは4。
熟練ポイントは0なので、合計も4で、結果逃走不可能。
なす術なくジムになます切りにされるデザートザク。
デッドエンド・・・。
最も無難(そして論理的に正しいはずの)であろう選択をした結果がこれかい(笑)。
やはりルールがゲームを面白くするように作られているとは思えないなあ。

20070624

もうちょっとやってみた。


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