2005年1月24日
ベーシック3 スエズを渡れ
ベーシック3は、ホビージャパンから発売されていた初心者向けウォーゲーム3つのセットで、ホビージャパンからすればタクテクス2の後継にあたると思われる。
タクテクス2の時にも入っていた「入門ガイドブック」が入っているのだ。
ただし内容は随分改良され、タクテクス2のところで指摘した問題点も全て解消されている。
それはさておき、3つ入っているゲームの中で一番簡単なのが、この「スエズを渡れ」である。
このゲームは1973年10月に起こった第4次中東戦争の後半を再現している。
化夢宇留仁は基本的に中東戦争はまったく知識が無く、興味もほとんど無いのだが、アメリカでは人気テーマらしく、ウォーゲームに触れていると、ゲームをする機会がたまに巡ってくるのだ。
そう言えば同じテーマのタクテクスの付録ゲームの「中国農場」は結構気に入っていた。
今回は「ドイツ戦車軍団」がどれも結構面白く、かつほとんど同じコンセプトで作られていたので、その比較をしたら面白かろうと手をつけた。
化夢宇留仁は「スエズを渡れ」は確か1回やったことがあったが、完全に忘れていたので(汗)、ルールブックを読み直した。
作戦級で、メイアタック。スタック無し。戦闘結果表は戦力差を見るタイプで、地形効果は列のシフトで現される。
戦闘後前進は攻撃時でも防御時でも可能だが、2ヘックス以上の追撃は無い。
また装甲兵科のユニットと、機械化部隊(歩兵&騎兵)が同時に同じ敵を攻撃するときには、諸兵科連合戦闘として戦闘結果表を有利な方にシフトできる。
勝利条件は7ターン終了時に、イスラエルはスエズ運河に工兵をたどり着かせて工兵橋を築き、6ユニット以上が渡河していて、かつ工兵橋からマップ右端の道路まで連絡路がひかれていることで、エジプト軍はそれを防げば勝利である。
連絡路とはダンケルクで出てきたものとほぼ同じだが、敵のZOC内になっているヘックスも、味方ユニットがあれば分断されない。
両軍砲兵による支援攻撃があり、エジプト軍のそれは毎ターン味方ユニットが隣接している敵ユニットのどれか2つに対してサイコロを振り、1が出たら除去できる。
イスラエル軍の方は指定した戦闘を有利な方にシフトでき、最初は毎ターン1回だがスエズを渡河したユニットの数だけ回数が増える。
1ターン目は両軍ともパニック状態で、敵のZOC内に入っているユニットは移動不可能で(初期配置でいきなり敵と隣接しているユニットがあるのだ)、かつこのターンだけマストアタックとなる。
1,4,7ターンは夜間で、全軍移動力は2低下し、両軍とも砲兵支援は行えない。
増援もある。
・・・・・以上。一通りルールをあげてみたが、明らかにエル・アラメインよりも複雑である。ダンケルクよりも複雑な気がする。ハリコフ攻防戦よりも少し複雑な気も。
各ターンの手間は大したこともなく、始めてしまえば問題ないと思うが、果たして完全初心者がいきなりプレイできるかと言うと、疑問だ。
そもそも中東戦争テーマって、どうなの?みんな興味ある?その結果のオイルショックは覚えている人も多いだろうと思うのだが。
ま、いっか(笑)。
初期配置。
薄茶色がイスラエル軍、焦茶色がエジプト軍である。
マップの西の青い長方形の部分がスエズ運河渡河地点で、最終的にイスラエルはここから北東の端に連絡線を引かなければならない。
エジプト軍のど真ん中である(汗)。
ところで変な点を見つけた。エジプトの増援部隊がなぜか1ユニット多いのだ。
昔のタクテクスを引っ張り出して正誤表を確認してみたが、なにも書かれていない。
しかし確かに1ユニット多い。
どうするべきか迷ったが、今回はそのユニットも使うことにした。
ゲームはイスラエル軍先攻で始まる。
勝利条件の要である工兵は、3ターン目にマップ北東の道路から登場する。
それまでに間をうろつくエジプト軍を排除しておかなければならないということか。
他の増援も全て北東から登場するので、初期配置のユニットはなるべく北回りで敵を威嚇し、最終的には包囲するということで行ってみよう。
ちなみにエジプト軍の増援は全て北から現れる。
●1ターン。
イスラエル軍ターン
移動開始。
南西の海岸線が進入禁止である沼地になっており、北上できない。
いきなり計画が頓挫しそうだ(汗)。
またマップ中央付近にある中国農場(チャイニーズファーム)の敵と隣接状態で孤立している味方の機械化歩兵部隊をどうするか迷うところである。
中国農場は防御時に2列有利なシフトがあり、このままでは半分の確率で機械化歩兵部隊は除去されてしまう。
南にいる装甲部隊が支援すれば助かりそうだが、当初の北方から回り込むという作戦は不可能になりそうだ。
・・・迷った挙げ句、その南の敵を包囲する効果もありそうだったので、装甲部隊による支援を行うことにした。
西方の部隊も東へ進んで攻撃。こうなってくると、敵前全体への包囲効果が大いに期待できる。
最初に考えた作戦は・・・・・(汗)
どうでもいいが機械化騎兵ってどんな部隊だ?
装甲部隊の移動力が12。機械化歩兵が8なのに対し、機械化騎兵の移動力は18もある。
ほんとにサイボーグ化されてそうだ(笑)?
北東の孤立している部隊はいったん東へ後退し、増援が合流するのを待つことにした。
戦闘の結果は華々しいもので、敵3部隊を殲滅し、3部隊を後退させた。
中国農場の戦闘も支援のおかげで敵を後退させるのに成功し、装甲部隊が農場に進入した。
敵の手番で包囲されそうだが、装甲部隊は戦力が4もあって地形効果も高いので、なんとかなるだろう。
エジプト軍ターン
いきなり大きな被害が出たが、そういうバランスになっているのだろう。なにしろまだなにもしていないのだ。
中国農場をとられたのは痛いが、今回包囲できるので、すぐ取り返せるだろう。
エジプト軍の作戦は・・・これまた難しい。
要するにマップを横断している道路のどこかを分断すれば勝てるわけだが、戦力が足らないのでどこか1箇所に絞る必要がある。
選択肢は3つ。
敵増援の登場する道路の北東の端か、中央の中国農場か、最終的には渡河していって敵戦力が減る見込みのある南西の渡河地点か。
まず中国農場はその南にも道路があって、そちらを通られては意味がないので却下。
渡河地点はあまりにも戦力が不足しているので却下。
結局消去法で北東の道路入り口に決定した。
そうと決まったら他は全てほったらかして、全軍で向かう。 戦力は集中して運用するものなのだ(笑)。
とか思って移動を実行しようとしたところで、化夢宇留仁はあるものを見て固まった。
砂漠ヘックスの移動力消費=3MP。
エル・アラメインが1MPだったので、すっかりそう思いこんでいた(汗)。
が〜〜ん・・・
時間よ戻れ〜〜〜〜〜(笑)
●1ターン(笑)。
イスラエル軍ターン
移動開始。
北東の部隊は後退したかったが砂漠で包囲されるのは危険だと判断し、手近の砂丘へ。
他は砂漠が邪魔をして大して動けないので(笑)、包囲を考えつつ手近な敵に攻撃する。
作戦もなにもあったものではない(笑)。
結果敵2部隊を殲滅したが、我が軍の機械化歩兵も1部隊全滅してしまった。
さっきの幻(笑)がなければこんなものだと思うところなのだが・・・。
エジプト軍ターン
作戦考え直し(笑)。
今度はそれなりに戦力があり、配置状況もいいので選択肢が増えた。
西のイスラエル軍3部隊だが、西端にいる我が装甲部隊が回り込めば全て包囲できるのだ。
運が良ければ全て殲滅という事もあり得る。その可能性は5割以上。
そうなれば中国農場を拠点として道路のほとんどの部分を手中に収められるだろう。
そんな手があるのに他の弱気な作戦をとるのは、ピラミッドを作った民族として許されないであろう(笑)。
こうなったら他もどんどん攻撃する。
結果は大戦果であった。問題の西の包囲戦でも敵3部隊の内2ユニットを殲滅。
他でも包囲攻撃が功を成し、敵を合計4部隊殲滅した。
そして夜が明ける・・・(笑)。
●2ターン。
イスラエル軍ターン
悪夢のような夜が明けた。
こうなっては部隊を南に集中させて、なんとか道路を確保するしかないが、それだけでも非常に困難だ。
それにしても敵部隊を包囲しかけていたはずなのに、なんで一晩明けたら敵の戦線が出来上がってるんだ(汗)?
どうなることかと思ったが、東からの増援部隊を動員したらそれなりに形になった。
あっちがそう来るなら、こっちはその上をいくのだ。ユダヤ人は執念深いのだ(笑)。
戦闘結果を出そうとして、砲兵支援を行おうとしたら、また変なところを見つけた。
ルールブックではイスラエルの砲兵支援は戦闘結果表を右に1列シフトすると書いてあるのに、マップ上の説明では2列シフトすると書いてあるのだ。
おいおいホビージャパン(汗)。しかもこの状態で正誤表を参照した後というのはどういう事だ?節穴か。ホビージャパンスタッフの目は節穴なのか。
仕方ないので今回はルールブックに従うことにする。
だいたいマップ上では尾根のことを屋根と書いてあったりと、どうも信用ならない点が多いのだ。
結局敵4部隊を殲滅する大戦果となり、敵戦線は崩壊した♪
エジプト軍ターン
思った以上にうまくいったと思っていたのに、次の瞬間には思った以上の損害を受けていた(汗)。
北から4部隊の増援が到着したが、それでも戦力が足らない。
やはり道路の北東を封鎖するしかないかと思ったが、現状では我が戦力は西に集中している。
そこで渡河地点に全軍を集中させることにした。
なんとか戦線らしいものも出来たようだ。
砲撃は2箇所とも失敗。
戦果はどちらも敵の後退となり、進撃した。
●3ターン。
イスラエル軍ターン
いよいよ東から工兵部隊が登場できる。
現状では道路は2本とも我が軍の支配下にあるので、このまま進めば問題ない。
ただし渡河地点の直前まで敵が迫っているのは問題なので、ひたすら軍を西へ移動させる。
もはや包囲攻撃の機会は無さそうなので、戦力を集中して砲兵支援も動員し、戦闘結果でDE(防御側全滅)を出すことも考慮にいれる。
足の速すぎる(笑)機械化騎兵はスエズを渡った。勝利まではあと5部隊渡らなくてはならない。
工兵部隊は誰もいない南の道路を通り、スムーズに前進。今夜中には渡河地点であるマツメド陣地に到着するだろう。
機械化騎兵が渡河したおかげで砲兵支援を2箇所で行えるようになった。
戦果は敵2部隊を殲滅。しかしこちらも装甲部隊1ユニットを失った。
だが敵戦線は再び崩壊した。
残った課題は5ユニットの渡河と、敵の砲撃による被害だ。
エジプト軍ターン
こっちの手番が回ってくる毎に、あったはずの戦線が消えて無くなっていて呆然となる。
次の増援は翌朝。
どこから出てくるかと言うと・・・南。
あれ?北だと思いこんでいたが、南ではないか。これならまだ望みがある。
敵に包囲されることを怖れて戦力を西に集中できないと思っていたが、南からも増援が来るのであれば話は別である。
砲撃は失敗。
後退になった敵装甲部隊が、移動先に味方がおり、全滅していた。
マツメド近くの戦いも敵を後退させ、追撃した。
●4ターン。
イスラエル軍ターン
夜になった。
「ドイツ戦車軍団」で後退先に味方がいたら、更に1ヘックス後退が出来たのだが、このゲームではそれが出来なかった。
こんな細かいところ、なってみないと予測できないよ(泣)。
移動させようとして、夜間は全ユニット移動力が2下がるのを思い出した。
あ〜〜〜、1ターン目忘れてたよ(汗)。
時間よ戻れ〜〜〜〜〜(汗)。
・・・って、流石にここまで来たらやってられないので続行する(笑)。
よく考えたら最終的に北東への補給線を確保しなければならないんだった。
下手に戦力を西に集中できない。
しかもあと5ユニットの渡河・・・って、けっこうきつい状況だな(汗)。
今夜東から登場する増援が、5-12の最強の3個装甲部隊なのが救いだが。
工兵部隊はマツメドに到着した。
砲兵が使えないので苦しかったが、追撃による包囲攻撃で敵1個装甲部隊を殲滅した。
エジプト軍ターン
頭が真っ白になってきた(汗)。
どこかにポイントを絞らないと。
敵の勝利条件は多く、そのどれか一つでも妨害すれば勝てるのだ。
マツメドを責め立てて渡河を妨害するか。連絡線を妨害するのか。
マツメドのすぐ北で、50%の確率で敵機械化歩兵部隊を撤退させれば、その横で包囲攻撃を行うことが出来るということに気付いた。
これが成功すればマツメドとその隣の道路をZOCに入れられる。維持は難しいだろうが、そのフォローには近くの戦力の多くを使うだろう。そうすれば南からの増援が効いてくる。
作戦決行。
結果は成功。しかし包囲攻撃の方ではEeが出てしまい、こっちも歩兵1部隊を失った。
中国農場の北西でも2段階の包囲攻撃で敵1部隊の殲滅に成功した。
そして夜が明ける。
●5ターン。
イスラエル軍ターン
このゲームは1ターンでの変化が大きすぎて、全然予定が立てられない(汗)。
どうやら戦線を作って維持するのは難しいようで、むしろ攻撃こそが最大の防御と言えそうだ。
とにかくマツメドはとられたら終わりなので、反撃に出る。
他は野となれ山となれだ(笑)。
増援の3ユニットの内1ユニットだけは下の道路の守備についた。ここを突破されては元も子もない。
戦果は敵1装甲部隊。マツメドのすぐ北にいた敵は逃してしまった。
エジプト軍ターン
連絡線のルールを確認してみると、平地または道路しか認められないということだった。
それならまだ勝ち目がある。
マツメドは諦めたが、南からの増援部隊が交差点に到達し、北の部隊と共同で敵に対して包囲攻撃。
この交差点さえ死守すれば勝利である。
砲撃で中国農場にいた敵装甲部隊を殲滅した。包囲攻撃も効果をあげ、合計3部隊の殲滅に成功。
●6ターン。
イスラエル軍ターン
連絡線についてはぼんやりと道路をメインに考えていたのだが、はっきりした今、最大のピンチを迎えているのを知った。
交差点を奪取しなければ。
しかし奪取に成功して無傷で最終ターンを迎えたとしても、5ユニット渡河したら工兵以外のユニットは4部隊。
連絡線の維持は限りなく不可能に近い・・・戦術核が欲しくなってきた(笑)。
気合いの入った攻撃で、敵4部隊を殲滅。交差点の敵も殲滅に成功。
あとは渡河がどうなるかだ。
エジプト軍ターン
まったく予測がつかないゲームである(汗)。
しかし逆に言えばまだこっちもひっくり返せるということだ。
作戦としては、交差点は諦め、道路の2箇所を封鎖する。渡河せねばならない状況で、敵が道路を取り戻すのは難しいだろう。
砲撃で北東の道路を守備していた装甲部隊を殲滅。
これでほぼ勝利が決まったのではないか?今までのことを考えると確信は持てないが(汗)。
●7ターン。
イスラエル軍ターン
夜が来た。
5ユニット渡河すれば、残りの攻撃に使用できる部隊は3ユニットのみ。
南の道が守備が薄いが、最も北東に位置している敵部隊に届く戦力がない。
・・・・・・・どう考えても道路の封鎖を解けない(泣)。
エジプト軍の勝利で終わった。
最後の砲撃が失敗していたら、まだイスラエルが勝つ可能性も残っていたのだが。
あれだけ乱戦を繰り返していたのに、最後はイスラエル軍に打つ手がないとは予測もしなかった。
それにしてもオーバーキルなシステムである。
あまりにも防御線がもろいので、先の展開がまったく読めない。
やはりまだしも予測のしやすい2次大戦ものの方が性に合っているのかもしれない。
ソロプレイでなければ大いに盛り上がるのは間違いないだろうが。
あとはやはり初心者向けとしては細かいルールが多いのが気になった。
夜間の移動力-2は必ず(笑)忘れると思う。
※あとでタクテクスNO.63のリプレイ記事を読んでみたら、やっぱり忘れていた(笑)。
ZOCに入ってるユニットも動いてるし。
ちなみにその記事では初心者の指揮したイスラエル軍が勝利しており、ルールはエジプト軍の増援は3ユニット、イスラエル軍の砲撃によるシフトは2列になっていた。もはやこれも信用できないが(汗)。
今になってルール間違いをしていたのに気付いた。
最後のエジプト軍の砲撃は、隣接していないから不可能だった。あの瞬間ど忘れしてしまっていた。
思いっきり勝敗を分けた一撃である(笑)。
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