ウィッカーマン
ロビン・ハーディ監督

を観た。しばらく前。
 スコットランドの島に飛行機でやってきた警察官。
彼は行方不明の少女の捜索に来ていたのだが、島民達は口々に少女のことは知らないと言い、ひたすら卑猥な言動や行為を繰り返す。
警察官はその島が忌むべき異教徒の集団だと気づき、糾弾するも、島の領主であるサマーアイル卿はとりあわず・・・。

 一部で非常に有名なカルト映画。
最近有名俳優を主役にリメイクされたが、内容は全然異なるらしい。
化夢宇留仁的にはとにかくエロエロな雰囲気と、ヘンテコな儀式と、サマーアイル卿を演じるクリストファー・リーが愉快でとても面白かった。
この映画のポイントはもちろん最後の火あぶりなのだが、化夢宇留仁的には前半の島のヘンテコぶりを見せているところがメインで、むしろ物語が収束する後半は少し普通っぽくなってイマイチに感じた。
しかしやはりカルトになるだけの内容のある映画なのは間違いない。
ヘイ・ホー♪で壁ドンドンである(笑)

20131123(mixi日記より)
20240325


地底世界シリーズ3 戦乱のペルシダー
エドガー・ライス・バロウズ著/佐藤高子訳

を読んだ。昨日。
 ジェイソン・グリドリーという無線技士がターザナにやってきて、バロウズの近くに土地を買った。
彼は特殊な無線技術を開発し、その実験を行ったところ、出所不明の電波を受信した。この世にはここで実験を行っている機械以外に送受信できる無線機は無いはずだと言うのに。
果たしてその電波はペルシダーのペリーからのもので、驚くべき発見を地上に知らせるためのものだったが、同時にガークの息子であるタナーの大冒険をも伝えるものだった・・・。

 相変わらず前置き部分で全然本編までたどり着かない(笑)
本作ではすっかりペルシダー皇帝が板についたデヴィッド・イネスの代わりに元原始人タナーの大冒険が描かれ、それがまさにいつものバロウズという内容で、真面目で強靭で素早いタナーが数々の危険と美女に立ち向かう(笑)というもの。
これがもうカーターとターザンを足して2で割ったような感じで、まさに八面六臂の大活躍(笑)
途中ではコリビーズ人という、まさにバルスームに出てきそうな怪物たちも登場するし。
 冒頭語られるのがすっかり零落した爬虫類人マハールの様子で、1巻当時の圧倒的な支配体制が見る影もなく、涙を誘う(笑)
そこに攻めてくる謎の野蛮人たち。と言うか、ペルシダーでデヴィッドたち以外は野蛮人のはずが、襲撃者も原始的ながら銃を所持し、海賊のような姿で襲ってくる。
数では劣るものの近代的な装備で武装したデヴィッド軍が彼らを海に押し返すが、タナーが囚われの身に。
当のタナーは敵船上で敵の対象であるエル・シドの娘ステララに惚れられ・・・るのだが、これがタナーの苦難の始まりで、なぜかどこに行ってもモテモテの彼は、本書だけでも3人の美女に惚れられ、そのせいでえらい目に(笑)
というのもヒロインであるステララの性格が、バロウズには珍しく女性の物の考え方を実にリアルに表現しており、彼女の嫉妬でどんどんややこしい展開にはまりこんでいくのだ(笑)
そういうわけで色恋のもつれも含んだ読者の方が音を上げるくらいの危機に次ぐ危機で、もう堪忍して・・・となったあたりで終わるのも相変わらずのバロウズ節(笑)
いや〜〜〜久しぶりに満喫してお腹いっぱい(笑)
 また本作ではペルシダーの新たな謎も提示され、そこに至る道中の描写がこれまた興味深かった。
そういうところもしっかり書けるのがバロウズの強みの1つだと再認識。
 それにしても後半でタナーに課される過酷すぎる拷問は、読んでるこっちが気が狂いそうになったな〜〜〜(汗)
 あと冒頭でさらっとターザナが出てくるというかバロウズがそこにいるのだが、ターザンは出てこないのはなんでだ???っと思ったら、バロウズが住んでいた牧場が、現在もターザナという地名で存在していたのだった。
すげえなバロウズ(汗)

20240326(mixi日記より)
20240326


デスパレートな妻たち シーズン5

を観た。しばらく前。
 前シーズンからいきなり5年の歳月が経った(汗)
 スーザンはやっとマイクと結婚したのに、自動車事故で相手を死なせてしまい、罪の意識から夫婦間にギクシャクが生まれて破局。
 リネットはピザ屋が忙しいが、不景気で売り上げが芳しくなく、おまけに息子が年上の女性と不倫。
 ブリーはレシピ本の出版とパーティー料理のケータリング会社の成功で社会的な地位を得ていたが、家庭はボロボロに。
 ガブリエルは今まで全然出来なかった子供が突然2人も生まれ、家事に疲れてすっかりおばさんに(笑)
 そこに追放されたはずのイーディーが新妻として帰ってくる。
彼女の旦那は笑顔を絶やさない社交的な男だったが・・・・・・。

 ちう感じ(笑)
とにかくいきなりの5年後という設定には衝撃。
リネットの双子の息子とかすげ〜〜〜でかくなってるし(笑)
それに加えてイーディーの旦那のデイヴのキャラと設定が面白く、久しぶりにミステリーとしても楽しめるシーズンになっていた。
ラストには衝撃の結末が。
なかなかの当たりシーズン。

20131209(mixi日記より)
20240327


オタク・イン・USA
パトリック・マシアス著/町山智浩編・訳/筑摩書房

を読んだ。少し前。
 バイトのOKKさんに借りた。メキシコ系アメリカ人にして日本のアニメや特撮などのギーグである著者が、アメリカのおたくの実情について様々な観点から紹介する。
全5章立てで、内容は以下の通り。
第1章 吹き荒れるオタク旋風
第2章 USAオタクの少年期
第3章 Animeは英語になった
第4章 アメリマンガの世界
第5章 USAオタク列伝
 第1章では日本のアニメを中心にしたオタク文化がアメリカを席巻している様子が紹介されている。
 アメリカのアニメ・コンベンションにハリウッドの業界人がうろつきまくっているとか、日本のアニメをベースにした舞台劇であるとか、なぜかギャングスタの定番コスチュームが日本アニメのクラブ・シャツだったり、日本のメジャー・バンドがアメリカではアニメバンドとして有名だったり、パフィーがアニメキャラの少女として周知されていたり。
 第2章では古くからアメリカで紹介された日本のアニメや特撮が、どんな人の手によってどんな風に扱われ、どんな風に受け取られたかが説明される。
ヘンリー・G・サパスタインの東宝への介入や、八つ裂きにされたガッチャマンの悲哀、センスのないギャグドラマにされたウルトラセブンの悲劇、なぜかなにもかもがうまくいったスペクトルマン(笑)、それに超合金ショーグン・ウォリアーズを経て、いかにしてライディーン、コン・バトラーV、ダンガードAがマーベルヒーローズの仲間入りをしたか(笑)、そしてピンク・レディーの寒すぎるゴールデンタイム番組、テレビシリーズ「将軍」の衝撃など。
 第3章ではアメリカで制作された日本がオリジナルのアニメの顛末や、エロアニメの席巻、セーラームーンが残酷でエロエロな件、などなど。
やはりどこでもエロは強い(笑)
 第4章ではアメリカで展開されたアニメ絵のコミック「アメリマンガ」の隆盛、やおいの上陸、少女マンガブームなどが紹介される。
 第5章はこれまでに紹介された日本の文化を受け取る側の、アメリカの様々なオタク達を紹介する。
この章で登場するのはいかにものオタクの阿倍小次郎ことジューロス・カロッザ、アメリカ最年長のオタク、フレッド・パッテン64歳、15歳のアニメ好きでナオナチのDちゃん(笑)など、個性派揃いで実に面白い。

 とにかくアメリカオタクのバカさ(褒めています/笑)が日本を越えるパワフルさなのが面白い。
著者は若い頃から日本のアニメや特撮に興味を持ち、いろいろと情報を集めてビデオのコピーを手に入れたりしてのめり込んでいったのだが、この辺は情報の少ない輸入ゲームに熱中していた自分の中学〜高校時代が思い出されて共感する。
やはり興味深いのは全然日本に伝わってこなかったアメリカのオタク事情だが、最近はネットの広がりのせいで情報は入ってくるようになったものの、逆にアメリカの方でも情報がすぐに手に届くからか、ブームは沈静化に向かっているらしい。
しかし小さい頃に刻みつけられた刻印は消しようが無く、「パシフィック・リム」のような作品が生まれてきているわけで、今後も展開が楽しみである。

20131222(mixi日記より)
20240328


ガス状生物ギズモ
マレー・ラインスター著/永井淳訳

 それは山や森の中で始まった。動物たちが次々と変死を遂げ、そして猟師にも死者が。
調査に赴いた狩猟雑誌の寄稿家であるディック・レーンは大量の兎の死体を発見した場所で、突然顔に何かが覆いかぶさり呼吸ができなくなり・・・。

 プロローグの書き出しは以下の通り。
「ギズモ戦争の初期の戦闘は人里はなれた僻地で勃発し、人類はそのことを全然知らなかった。はじめは都市への攻撃もおこなわれず、緒戦の小競り合いはもっぱらクマ、ヤマネコ、ロッキーヒツジなど、哺乳類の動物たちによって戦われた。これらの戦闘はしばしば果敢に戦われたが、たいていはさんさんたる敗戦におわり、しかもほとんどの結果が報告されなかった。」
なんかいい感じ♪
この時点で予想よりも面白いかもしれないぞと思った。
先日創元SF文庫の解説本を読んだので無性に創元SFの古いやつを読みたくなり、適当に本棚から抜いたのが本書なのだが、結果としてはこれが実に面白かったのだ。
このいかにも古臭い表紙に古臭い邦題の作品に、素晴らしく映画的な描写によるスペクタクルが用意されていようとはまさに予想外だった。
 最初はなんとか危機を脱したレーンがフィールドワークに精を出す女性科学者ウォレン教授とその姪であるキャロルと合流し、ほとんど目には見えないなにかが種を問わず動物という動物を殺して回っているのを知るのだが、このあたりはトレマーズ味(笑)
その後徒歩で山を脱出し、バークという男の運転する車に乗せてもらってガソリンスタンドにたどり着いたあたりからスペクタクルが開幕。
それまで80年代の映画風の情景を思い浮かべていたのが、突然現在のCGIバリバリの大迫力映像に切り替えることに(笑)
 要するにギズモというタイトル通りの生き物(笑)が大挙して襲ってくるわけだが、このチープすぎる存在を登場人物それぞれの視点の意見を交差させることでその存在をもっともらしく感じさせるのに成功しており、考えてみればそれってまさにSFの真骨頂である。
後半は流石に広げた風呂敷をたたむのに少々無理をしている感はあったが(笑)、古いSF(1958年)も全然侮れないと思い知らされたのだった。
 ところでこれは驚きの偶然なのだが、本作にも例のバロウズゆかりのカリフォルニア州のターザナが登場していた。そこに住んでいる喘息の男が知らず知らずの内にギズモの攻撃から身を守った様子が紹介されるのだが、ずいぶん広い地域にまたがる地名のようである(汗)

20240329(mixi日記より)
20240329


魔法使いの弟子
ジョン・タートルトーブ監督

を観た。だいぶ前。ディズニー制作の実写映画。
 ニコラス・ケイジ扮する魔法使いバルサザールは、師匠であるマーリンの跡を継げる魔法使いを捜して現代まで生き続けてきた。
そしてようやく見つけた後継者は、物理オタクの若者デイヴだった。
デイヴは頼りなかったが、バルサザールは彼を弟子にし、急いで特訓を始める。と言うのも彼と同じ魔法使いが現代に復活し、マーリンを殺した最悪の魔女を復活させようとしていたのだ。
ところがデイヴはできたばかりの彼女にうつつを抜かし・・・。

 正直期待していなかったのだが、思ったよりも面白かった。
まずはニコラス・ケイジという役者があまり好きではないのだが、本作では長髪ヒゲ面なのも手伝って(笑)、あまり彼独特のくどさが目立たなかったというのがある。
 キャラクターはメインは少ないのだが、サブはやたらに多く、それもなかなか個性があって楽しめた。
変な中国人の魔法使いとか、ビジュアル的にも面白く、むしろテレビシリーズでじっくり観てみたいと思わせる。
 重要なポイントである魔法の表現もなかなか頑張っていて、「かめはめ波」にしか見えないところもあるが(笑)、全体的に悪くない。
 ストーリーもそこそこまとまっていて、これと言った文句はない。
 ちうわけで特別ぬきんでたところは無いものの、充分に楽しめる内容だったと思う。
テレビシリーズを観たい。

20131228(mixi日記より)
20240330


リチャード・ブレイド9 アイス・ドラゴン
ジェフリー・ロード著/榎林哲訳/創元推理文庫

を読んだ。ずいぶん前。
 ブレイドがX次元で見つけたのは、破壊され尽くした村だった。村人らしい死人も累々と転がっている。
偶然出会った生き残りの少女レナは、村はアイス・ドラゴンに襲われたと言う。
それは寒冷地から襲ってくる化け物で、ドラゴン・マスターの指示通りに動く巨大な怪物だという。
ブレイドはアイス・ドラゴンが高度の科学力で生み出されたモンスターであり、それらを創り出したと言われるアイス・マスターの背後には異星人の科学技術が絡んでいるのではないかと推測する。
いつものように部族間の抗争に巻き込まれつつ、ドラゴン・マスターの本拠地へ赴く機会をうかがうブレイドだったが・・・。

 ドラゴンというので今回はヒロイック・ファンタジー寄りかと思いきや、異星人まで出てくるSF色の強い話だった。
描写が凝っていて舞台も特殊で飛行機なんかも出てきて目新しくていろいろ興味深く、物語も面白いのだが、残念なのはアイス・マスターのキャラクター設定で、どんなすごいやつかと思ったら全然しょうもない小物にしか思えないのが肩すかし。
それ以外はおおむね面白く読めた。

20140102(mixi日記より)
20240331


魔界水滸伝1
栗本薫著/角川文庫

を読んだ。少し前。
 体が溶けていき、混沌と同化するという悪夢を何人かの人が同時に見ていた。
夢の中で「目覚めよ」とささやかれるが、なんのことかは分からない。
 その中の1人、大学生の伊吹涼は、全く秀でたところのない平凡の固まりのような存在だった。
しかし弟の風太は見た目にも能力的にも全てが秀でており、兄としては面白くないはずだが弟は性格までいいので責める気にもなれない中途半端な気持ちを持ち続けていた。
 一方、東京のどこかの地下室で、怪しい男と女が相談していた。
彼らの目は妖しく光り、その姿の輪郭もぼやけて見える。
彼らは古より存在する人ではないなにかであり、その彼らが集まってなにかと戦うというような相談らしかったが、はっきりしたことは分からずじまい。
 伊吹涼は黒髪のスレンダーな美女に声をかけられ、小さな画廊に呼び出される。
そこに集まったのは怪しい姿で相談をしていた2人と、涼と同じような夢を見た2人の女性だった。
涼と同じように呼び出された2人の女性だが、彼と違って彼女らはすぐに「目覚め」、ホストの2人と親しげに話をし出す。
しかし涼にはなんのことか分からず、その内に現れた天狗のような老人から人違いだと言われた上殺されそうになる。
その時ツァトゥグァと呼ばれる怪物が現れ、何もかもが滅茶苦茶に。
 フリーのルポライターである安西雄介は、弟から奇妙な事件のことを聞き、興味を持つ。
大学生の伊吹涼という青年が発狂してしまった顛末ということだったが、その中の涼青年が画廊で見た絵、それが彼の過去と深く関わる因縁のある絵だったのだ。
伊吹涼を探し出した安西は、彼の異様な話の真偽を確かめるため、その画廊へと赴く。
ところがそこには伊馬商務事務所という看板が出ており、中も普通の事務所のようになっていた。
確認の為に中に入った安西は、そこで働いている人間が半分魚のような怪物に見え、あわてて逃げ出すことに。
 一旦安西のねぐらに戻った2人は、画廊に来ていた女性が「籐氏の姫」と呼ばれていたことから、古くから伝わる藤原家の家系の藤原華子に行きつき、その屋敷へと向かう。
ところがそこで出会ったのは奇妙な古い本に夢中の老人と、怪物ツァトゥグァの襲来だった。
今にも怪物に食われそうになった時、伊吹涼の口から「いあーぐ・たんた、とつぐ、てぃーよぐ、なこぶ・はー、ふんぐるい、はすとぅーる、ふたぐん・・・」という言葉が流れ出す。

 ずいぶん昔に買ってあったのを読み始めた。
ざざっと流れを書いたが、実はこの巻は全編プロローグのようなもので、まともに物語が動き出すのはまだ先である。
主人公は伊吹涼のようにも見えるが、実は全然そんなわけでもない(笑)
そんな長々としたプロローグなど読まされてはかなわんというのが普通だが、そこは長編読み物の大御所である栗本大先生のこと、飽きずに読むことができる。
ただし先の方まで読んだ目で見ると、あまりにも本編とかけ離れていて唖然とさせられる。
また伊吹涼が最後にクトゥルフ神話絡みの言葉を言っているが、だいぶ後の方になってもその理由は明かされていない。
もしかしたら設定を変えたか忘れたのかも。
他にもそんなのは山ほどあるのだ(笑)
ちなみにクトゥルフ神話としてはどうかという点では、この巻の時点ではまだそんなに原典と乖離はない。

20140102(mixi日記より)
20240401


ジャックと天空の巨人
ブライアン・シンガー監督

を観た。ずいぶん前。
 伝説の巨人の国につながる橋となる豆を軍総司令クロイスターの部屋から盗み出した修道士は、包囲されて何も知らない青年ジャックに豆をたくす。
一方冒険好きの王女は偶然ジャックの家へ。
そこで豆が水に浸かり、急激に芽を伸ばして雲を越えて成長し、王女は絡み取られて雲の上へ。
王女救出に向かう衛兵とジャック、それにクロイスター。
しかし雲の上の世界には、伝説通り巨人達がおり、地上へ攻め込む機会をうかがっていた・・・。

 実はジャック・ブラックが出ている映画と間違えて借りた(笑)
ようするに「ジャックと豆の木」の物語なのだが、観てみるとこれがなかなか面白かった。
前半はいわゆる子供向けのファンタジーかと思われ、クロイスターが巨人達を伝説の王冠で従え始めたので、こいつが最後まで頑張って敵になるのかと思いきや、あっさり死亡(笑)し、その後は巨人軍(笑)対王国の全面戦争の様相を呈し、大いに盛り上がったのだ。
とにかくよかったのは王国の防備が実にしっかりしていることで、城壁からの射撃や2重の城門など、とにかく出来る限りの準備はされており、兵達の練度も高い。
そこに攻めてくる巨人達は被害を受けつつもその巨大さを活かして城に迫り、やがて防壁を突破する。
その辺の描写がよくあるファンタジーなら手を抜いて巨人がとにかく圧倒的というような描き方になりそうだが、実にしっかりと描かれていて、ファンタジーの攻城シーンの参考になりそうな出来。
その前の馬に乗っている人々の後方から巨人達が現れて追いかけてくるシーンなども、実に迫力満点で巨人の恐ろしさがよく描けている。
この辺見せ場をしっかり作るという監督の意志を感じて好印象。
とりあえず主役のにーちゃんねーちゃんはどうでもいいので(笑)、巨人対人間の戦争映画として観るのがベスト(笑)。

20140103(mixi日記より)
20240402


ガリバー旅行記
ロブ・レターマン監督

を観た。ずいぶん前。2010年の劇場公開作品。
 ニューヨークの新聞社の郵便係であるガリバー(ジャック・ブラック)は、気になる女性編集者に気に入られるために嘘八百を並べた結果、バミューダ三角地帯を取材するチャンスをつかむ。
しかし1人乗りクルーザーでの航海の途中で嵐に見舞われ、小人が暮らす国、リリパット王国にたどり着いてしまう。
ガリバーはでかさを活かしてリリパット王国の敵国の侵略をはねのけ、一躍英雄に。
リリパット王国は大工仕事に関しては超腕の立つ職人の多い国だったので、ガリバーの注文で小人の国にも関わらず、ガリバーサイズの現代ニューヨークと同じ住環境まで作り出す。
しかしガリバーに彼女を奪われたリリパット王国の国防隊長は敵国に寝返り、パワードスーツを開発してガリバーと対決。
ガリバーは敗北と共にそれまで築き上げてきた嘘も全部ばれて誰にも見向きもされなくなり・・・。

 前回間違えて「ジャックと天空の巨人」を借りてしまったので、次は間違えずにレンタル(笑)
物語の骨格は口ばかりでなにも出来ないガリバーがいろいろな体験をして成長するというものだが、それよりなによりとりあえずコメディーである(笑)
特にガリバーがリリパット王国で巨人サイズの豪邸を造らせるのは面白い。
他にも巨人であるということを最大限に活かして笑いにつなげている。
しかしそれだけ(笑)
それだけだが、この映画にそれ以上のものなど誰も求めていないと思うので、これはこれでよし(笑)!

20140103(mixi日記より)
20240403


ted
セス・マクファーレン監督

を観た。去年。
 友達のいない少年ジョンは、クリスマスプレゼントにもらったテディベアのテッドと友達になれるよう、神様に祈りをささげる。すると翌日テッドに魂が宿り、2人は親友になる。
それから27年が過ぎ、ジョンだけではなく、テッドさえもおっさんになっていた・・・。

 テレビでアホほど宣伝をやっていた作品。こういうのを借りるのは比較的珍しい。
この映画のキモはとにかく下品で下世話なセリフをテディベアが連発すると言うところで、逆に言えばそれ以外の内容はほとんど無いと言っていい。
そして残念ながら、よくできた映画として成立するにはそんな1アイデアのみでは不充分である。
なのでテディベアのセリフは面白くはあるのだが、映画としては実に物足りない肩すかしな印象を受ける。
一応テディベアを変態ストーカー親子がつけねらうとか、主人公の彼女との確執など、あるにはあるのだがやはり中途半端で最初の1アイデアの時点で思いつくようなことばかり。
ここにもう1つストーリーだけでも楽しめる内容が入っていれば名作になったのだが、残念・・・・と言うほどでもない(笑)

20140103(mixi日記より)
20240404


緑衣の鬼
江戸川乱歩著/春陽堂江戸川乱歩文庫

を読んだ。去年。
 探偵小説家の大江白虹と新聞記者の折口幸吉は、夜の街のサーチライトで浮かび上がった影絵の中で女性が殺される様子を目撃する。
幸いそれは影のいたずらであり、被害者である女性、芳枝も無事だった。
彼女を家に送り届けた2人は、彼女とその夫が不気味な緑色の影に脅かされているのを知る。
すっかり芳枝の美しさの虜となった大江は、彼女を脅かす犯人を突き止めることを誓う。
しかし怪人は彼の行く先々でその不気味な影を現し、不吉な笑い声を聞かせる。
そしてとうとう芳枝の夫が殺され、芳枝も誘拐されてしまう・・・。

 全身緑色の怪人、美女、殺人、変装トリック・・・いかにもな江戸川乱歩作品である。
中には望遠鏡の先の怪人や廃棄された水族館での捕り物など、目新しいところもあるにはあるが、最後のトリックも含めて全然目新しいところはない。
むしろ他の乱歩作品と比べるとまとまりがいいくらいが特徴か。
そう思ってネットで調べてみたら、この作品は海外ミステリの翻案なのだそうな。
乱歩先生なんでもありやのう(笑)

20140103(mixi日記より)
20240404


ナイル殺人事件
ジョン・ギラーミン監督

を観た。去年。
 莫大な遺産を相続した美貌のアメリカ人女性リネットは、親友ジャクリーンから失業中の婚約者サイモンを就職させてほしいと頼まれる。
それを引き受けたリネットだったが、それは親友から婚約者を奪う結果に。
エジプトヘハネムーンに旅立った2人の前に、何度も姿を現すジャクリーン。
更にリネットには敵が多く、豪華客船に乗り込んだ客の多くが彼女に殺意を持っていた。
それを見ていたのは私立探偵エルキュール・ポアロの静かな眼だった。
やがてリネットがベッドで射殺されて見つかり、さらにそこから殺人の連鎖が・・・・・。

 前に観た「地中海殺人事件」と同じシリーズで、「ナイル」の方が前に作られている。
雰囲気は同じようなのんびりしたもので、なぜかキャストも同じ人が多く(ポアロ以外の役は異なる)、当時の映画が今とは違うルールや常識で作られているのが伺える。
今回の見所はなんと言っても豪華客船によるエジプト旅行で、船だけではなくエジプトの観光地も実に丁寧に見せてくれて、自分が旅行に行ったような気分にさせてくれる。
ちなみに化夢宇留仁は新婚旅行先を最初はエジプトを考えていたので(暴動で断念)、いろいろなエジプトを紹介するDVDなども観たのだが、この「ナイル殺人事件」はそれらよりも断然エジプト旅行気分を味わわしてくれた(笑)
ミステリーとしても流石のクリスティ先生、意外なトリックを組み込んでいて、こっちも楽しめる。
SRさんは犯人とトリックを言い当てていたが(笑)
ただし流れとしてはいきなりポアロの推理が始まって、それがなにがきっかけだったのかさっぱり分からないのがヘンテコな感じ。
起承転結であるべきところが、起承結!という感じか(笑)
とりあえずエジプト旅行に興味のある人は必見(笑)

20140103(mixi日記より)
20240406


銀河辺境シリーズ外伝7
次元交錯星域
A・バートラム・チャンドラー著/関口幸男訳

 銀河辺境星区の更に外縁部にそれはあった。
アウトサイダーと呼ばれているそれは、既知の技術の何万年分も優れた技術で作られているらしい未知の知的生物による建造物だった。
ファラウェイ・クエストで調査に向かったグライムズは、そこで様々な時間軸が交錯しているのを知る。
集まってきたのは未知の世界からやってきたドミニク・フランドリー艦長が率いるヴィンディクティヴ、そして元女帝アイリーンが所有するワンダラー、更にはもう1隻のファラウェイ・クエストが・・・。

 前にも書いたがパラレルワールド的な他の世界との交錯というのは元の世界に足がついていてこそ面白いのであって、銀河辺境シリーズのこの世界はなにもわからないので他のなにもわからない世界と交錯しても面白くない。というかなにもわからない(汗)
そして異世界のキャラクター大集合という展開も、それぞれのキャラクターが登場する本編でキャラが活きていなければ全然盛り上がらない。
 しかし本作の問題点はそこではない。いやそこも問題だが、もっと根本的な問題点が多かったのだ。
何が問題って、キャラクターが狂っているのだ(汗)
「第一のファラウェイ・クエスト」がハイジャックされた後の、グライムズ以外の勢力のとった行動には一切整合性が無い。単にストーリーを進めたい方向に進めただけである。
グライムズがマギーとやっちゃうのも酷いが、その後のソニアの反応があり得ない。人間じゃない。
 そうやって無理やり進めたストーリーも、犬を殺さないと言っていたのに殺して解決とか、頭を抱えさせられる。
 そしてもはやSFでさえない。
なにしろピンチは全部「魔法」で解決するのだ。マジで(汗)
 そしてあまりの状況での終幕。
普通ならどうなることかと慌てて次の巻を読まざるを得ないような終わり方なのだが、化夢宇留仁的にはあと1冊だし一応読んでやるかという感じである(汗)
 この本はマジで小学生が書いたのかと思うような内容である。
もうボケちゃってたんだろうか・・・(汗)

20240406(mixi日記より)
20240407


プリースト
スコット・スチュワート監督

を観た。去年。
 過去にバンパイアとバンパイア・ハンターであるプリースト達の激しい戦いのあった世界。
今ではバンパイアは封じ込められ、それ以外のバンパイアは全滅し、人々の多くは高い壁で守られた教会が支配するディストピアで暮らしていた。
しかし壁の外で暮らしていた一家がバンパイアに襲われる。
その一家はプリーストの兄夫婦であり、1人娘は誘拐されたらしかった。
教会から破門される覚悟で救出のため街を出るプリーストと保安官。
しかし彼の向かう先には、プリーストだった男がバンパイアと化した最強の敵が待ちかまえていた・・・。

 見終わってから私は「なんじゃこりゃ?」と言い、一緒に観ていたSRさんは「なんですか、これは?」と言った(笑)
とにかく脚本演出共にダメダメで、設定も滅茶苦茶で矛盾だらけ。
それさえよければなんとかなるアクションシーンも全然ショボい(汗)
脚本の滅茶苦茶さは上のあらすじを見ただけでも少しは伺えるのではなかろうか。
プリースト達と言っておきながら、主役の名前はプリーストで、彼は元プリーストだし(汗)
人々は壁で守られた街で暮らしている&外のバンパイアは全滅と言ったそばから街の外でバンパイアに襲われてるし、実はその後バンパイアの街も出てくる(笑)
 他にも裏切り者になったプリーストを処刑するために他のプリースト達が彼を追い、その追っ手の方が先にラスボスと遭遇するのだが、彼らがなんの見せ場もなくラスボスにやられてしまうのも噴飯もの。
そこでその他プリースト達もザコをばったばったと倒して強いところを見せてからラスボスにやられれば盛り上がるものを、なんでそんなことをしてしまうのやら。
などなど、とにかく行くら探してもいいところが見つからないような酷い映画だった。
とにかく酷い!

20140107(mixi日記より)
20240408


多元宇宙SOS
キース・ローマー著/矢野徹訳

 多元宇宙にまたがる帝国を統治するゼロ・ゼロ世界の情報部のブライオン・ベイヤード大佐は、突然情報部長官リヒトホーフェン男爵に呼び出され、執拗な尋問を受ける。
その内容はベイヤードのことを偽物だと疑っているようなものだった。
なんとか開放されたベイヤードだったが、その帰りに同じ建物の中で、不気味で巨大な何者かがなにかをしているのを目撃する。
正体を突き止めようと何者かの後をつけるが、それが誰かを殺したらしいと知って襲いかかり、反撃を受けて意識を失ってしまう。
目が覚めるとそこは誰もいない世界だった。人間だけではなく、生物全てが消滅しているらしい。
ところがそこで物音を聞き・・・。

 ちうわけでこのあとベイヤードはパラレルワールドを股にかけた陰謀と対決することになるわけだが、密度の濃い内容でなかなか面白かった。
古いこともあり(書かれたのは1965年あたり)、新たな発明品で状況を覆すなど、少々ご都合主義なところも散見されるが、ハイテンポで投入される様々な展開から先の予測がつかずに退屈する暇がない。
途中からはパラレルワールドに加えて時間SF的要素が強くなるのだが、このへんの様々な理屈はさておき、その結果生じる様々な「状態」の描写が視界、重力、速度、圧力、エントロピーの変化として畳み掛けられるのがものすごく、正直言ってなにがなにやらさっぱりわからないが(汗)、とにかくすごかった(笑)
 気になったところの1つは、一人称の主人公が自分のことを「ぼく」と言うところ。
元アメリカの外交官で今はゼロ・ゼロ世界の情報部大佐が「ぼく」というのは今だとかなり違和感があるが、翻訳当時の「ぼく」と現在の「ぼく」はニュアンスが違ったのだろう。
 もう1つは情報部の長官がマンフレット・リヒトホーフェンで、同僚にヘルマン・ゲーリング(なぜか最後に登場したときにはハーマン・ゲーリングになっていたが)がいることで、特に理由も説明されないので戸惑ったが、本作は「多元宇宙の帝国」という作品の続編に当たるらしい。多分そっちでそのへんは説明されているのだろう。

20240409(mixi日記より)
20240409


密林の語り部
バルガス・リョサ著/西村英一郎訳/岩波文庫

をSRさんに借りて読んだ。
 著者の分身であるかのような「私」が、フィレンツェでペルー原住民の写真を見て思い出す、ペルーでの学生時代の親友サウル・ウスラータスのこと。
彼は顔に大きな紫色のあざがあり、マスカリータ(小さな仮面)と呼ばれていた。
ユダヤ人で、ペルー原住民の一部であるマチゲンガ族に強い興味を持っており、アマゾンの文化がヨーロッパ文明に荒らされていることに強い危惧を感じていた。
やがてサウルは文化人類学による調査も文化に対する破壊行為だとして研究もやめてしまい、「私」の前から姿を消す。
ところが何年も経ってから、サウルがマチゲンガ族の語り部になっていると知る・・・・・。

 上記で記した内容で、あらすじはほぼ全てである。
全8章立てで、その内最初と最後は現在の「私」の様子。
残り6章の内半分は「語り部」の語りをそのまま載せていて、全くストーリーとは関係ない。
しかしそれがマチゲンガ族の説明として大きな役割を担っている。
担っているのだが、これがとんでもなく奇想天外な内容で、読んでいると頭が爆発しそうになる。
とりあえずタスリンチである。
タスリンチというのはマチゲンガ族の神話でこの世界を作った善き神なのだが、同時に「紳士」(?)「男性」(?)「仙人」(?)などの意味も含むようで、要するに誰でも彼でも男ならタスリンチと呼ばれてしまうのだ。
それも固有名詞はほとんど出てこず、1つの物語の中に何人ものタスリンチが出てきたりするので大混乱。
更には死者は新たな生を受けてマチゲンガに戻ってくるということにもなっており、生きているタスリンチと死んでいるタスリンチと戻ってきたタスリンチが(汗)
そして更に、マチゲンガ族の間では時間の観念が希薄で、全て進行形っぽく描写される。
ずっと昔も一昨日も昨日も今日も明日も似たようなものなのである。
そんなわけで発狂しそうになる語りの内容なのだが、その分雰囲気は最高で、様々な神様や悪魔や衣類、食べ物、生き物その他の固有名詞も印象深く、どっぷりアマゾンの原住民の世界を堪能できる。
マインドトリップ本(笑)

20140202(mixi日記より)
20240410


竜の心臓
ナンシー・A・コリンズ著/徳岡正肇訳

 ナイトランド・クォータリー28号に掲載されたエルリック・サーガのサイドストーリー。
ムアコックが書いたのではないが、一応許諾は取っているので二次創作扱いではないらしい。

 エルリックがイムルイルに攻め込む直前。戦力が整うのを待っているところで、イムルイル攻めに竜が必要だという意見を聞き、記憶の中の竜王の伝説を思い出すエルリック。
エルリックの祖先が3千年前に竜の谷を探し当てたが、帰還後に発狂してしまったのだ。
伝説の記憶を頼りに竜の谷に向かったエルリックは、混沌さえ制御するという竜の民エルドレンに迎えられるが・・・。

 なんだかエルリックの性格がさっぱりしている気がする(笑)
悪くはないのだが、特別盛り上がるでもなく、オチもさっぱりした感じ(汗)
なんだかルシファーとかいう新たなキャラクターが誕生してもいるが・・・。
とりあえずスミーガンがまだ元気なのにうるっと来た(笑)

20240411(mixi日記より)
20240411


時間不動産
草上仁著

時間不動産
 その不動産屋は胡散臭かった。しかしコールドスリープの費用を払って所持金に余裕のない「僕」には、彼の勧める物件しか条件に合うものが無かったのだ。
しかしそこは確かに静かで、1人でレポートを書くのに適した環境と、時間だった。
そこは3095年のアリゾナで、購入したのはそこでの4時間だが、時間を引き伸ばして利用できるスプレッダーのおかげで主観的には2ヶ月半をそこですごせる計算である。
ところがその場所とその時間には安いだけの理由があったのだ・・・。

 オチが予想通りなのだが、その具体的な内容は予想を超えたものだった。
なるほどそれは安いわ(笑)
ところで表紙のおねーちゃんが出てこなかったぞと思ったが、
よく考えたらこれはお隣の家の「料理の先生」か(笑)?

国民不在
 この頃は政府が国民不在の政策を推し進めており、どこも暮らしにくくなっている。
先日は国民皆葬式制にしたがい、政府の役人の立ち会いのもと埋葬のバイトをしたのだが、なぜか遺体が届かなかった。
というのもそもそもその人物は・・・。

 飲み屋でくだを巻いている男の台詞だけで進む。
文字通り「国民不在」でも政府が機能し続けるようになってきている世界というアイデアで押し切る。
喪失感を覚える結末がなかなか味わい深いが、ちょっと突っ込みが足らないような気もする。

ダ・ビ・ン・グ
 録物(ろくもん)機によってあらゆる物体のコピーが作れる未来・・・のはずだがやたらに昭和っぽい世界(笑)
なんでも人から借りてダビングしたもので暮らしている友人との学生時代の思い出を振り返った後、現在になってもそいつはやってきて、今度は結婚式を貸せと言い・・・。

 主題の録物機よりも80年代の学生っぽさが印象に残った(笑)
それにしても加菜・・・(笑)

蜂の幸福
 「私」が清々しい朝を迎えて蜂に餌をやろうとしたところで、昔勤めていた会社であるSBSCの社長がやってきて気分は台無しに。
長年研究を続けてきた最高の麻薬を生成する母蜂の交配に成功したのだが、それが逃げ出してしまったので探し出してほしいというその願いの図々しさに呆れるも、そんなものに人が刺されたらただ事ではないということで引き受けるが・・・。

 養蜂が社会に大きく影響する世界や、主人公の設定や蜂の描写など、どれも完成度が高くて面白い。
オチも綺麗かつ雰囲気よく決まってまさにSF好短編という感じ。

嫌煙権
 煙草が健康のためになると証明され、タバコを吸わない人間は害悪のようにみなされる世界で、煙草が嫌いな主人公が飛行機に乗って重要な取引に向かうが・・・。

 事象を裏返すと物事の本質が見えてくるというSFの1パターンをそのまま形にした感じ。
これが書かれたのは1987〜8年頃のようだが、当時は今と比べればまだまだ喫煙者の人権はあった。
今の状況を落とし込んだらもっと過激な内容になっているのではなかろうか。

明日にのばすな
 「おれ」は事前服役制度を利用し、あと1月で最高刑である20年の刑期を終えようとしていた。
刑期が終われば最高に凶悪な犯罪、例えば殺人を犯しても、1件までならすでに罪を償っているので捕まることも無くなるのだ。
「おれ」は妻と生まれる前の娘(仮)の復讐のために20年を耐え忍んできたのだが・・・。

 物語の根本アイデアである事前服役制度の有効性が伝わってこなかったので、イマイチストーリーに乗れなかった。
そこさえツボにはまれば名作になったと思うのだが。

 ちうわけで草上仁らしいアイデアを背骨に据えた作品ばかりで、しかも描き下ろし短編集というところがまたこの著者らしい。
完成度の高さはまちまちに感じだたが、この著者ならではのどこかに余裕を残しているようなくつろげる雰囲気は相変わらずで楽しめた。

20240412(mixi日記より)
20240412


ミディアム 霊能者アリソン・デュボア
第7(ファイナル)シーズン

を観た。1月に最終章まで。
 なぜいきなりファイナルシーズンか?とか、細かいことはさておいて(笑)、このドラマは実在する霊能者をモデルに、ミステリーあり、ホームドラマありの内容盛りだくさんで送るシリーズである。
最終章とあってこのシーズンでは過去に登場したキャラクターが残した伏線の回収が多いが、主人公の霊能力で事件の秘密はテンポよく分かっていくので、飽きずに観ることができた。
問題の最終話は完全にキャラクターストーリーで、意外と言えば意外、安易と言えば安易な結末を迎えるが、まあ長くシリーズを観てきた人にとっては満足のいく終わり方だろう。
とりあえず前の方のシーズンを観たい(笑)

20140202(mixi日記より)
20240413


BACK 記録&感想トップ NEXT

HOME