リチャード・ブレイド2 翡翠の戦士
ジェフリー・ロード著/榎林哲訳

ブレイドシリーズ第2作。

 英国諜報部員リチャード・ブレイドが体験したことは英国の運命さえ左右する一大発見だとされ、ブレイドは新たに別世界に転送されることになる。今度はそのようにコンピュータもプログラムされ、記憶もはっきり残るように新設計の記録装置も用意された。
今回ブレイドが現れたのは、やはり剣と暴力が支配する野蛮な世界だった。
長い城壁を守るのはキャス人で、そこを責め立てるのは騎馬民族モング族。
最初キャスの戦士となったブレイドだったが、モング族の戦士との一騎打ちの後、罠に掛かって捕らわれてしまう。
今度はモング族の奴隷となったブレイドだが、権力争いに巻き込まれ・・・。

 今回はキャス人とモング族の描き分けが面白い。
特にモング族のモンゴルっぽい描写とその攻城戦は迫力満点で惹きつけられる。
主人公ブレイドは相変わらず戦いとセックスに明け暮れるのだが、前回もさることながら、今回も生き残ったのが奇跡と言える冒険で、なぜこんな冒険に繰り返し出ようとするのか神経を疑う(笑)。
次回はどんな世界に旅立つのだろうか。

20130915(mixi日記より)
20240307


リチャード・ブレイド3 サーンの宝石
ジェフリー・ロード著/風見潤訳

を読んだ。9月15日。
ブレイドシリーズ第3作。

 今回ブレイドが送られたのは、空は永遠の薄曇りで、人工的に作られた中性人が存在する世界。
高度な科学力を持つその世界は野蛮な人間達の世界とも接しており、その世界を支配しようとする中性人ホンチョと一時的な連携を組むブレイドだが・・・。

 初のSFチックな設定の世界で、これまでの2作とは大きく雰囲気が異なる。
中性人が相手ではブレイドの必殺技セックス籠絡が使えないと思いきや、しっかり有性人も出てきてセックスしまくるのは相変わらずだった(笑)。
他にも途中で出てくるこの世界のお祭り(?)で、ご主人様と呼ばれる男奴隷達が女達に性の報酬として与えられた後で殺し合いをさせられるなど、なんだかもう滅茶苦茶な描写がたくさんあって少なくとも飽きることはない。
それにしても滅茶苦茶なシリーズだ(笑)

20130921(mixi日記より)
20240308


リチャード・ブレイド4 サルマの奴隷
ジェフリー・ロード著/厚木淳訳

ブレイドシリーズ第4作。

 ソ連の諜報部にTWINと呼ばれる部門があった。そこでは他国のスパイの替え玉を育成し、潜入させていたのだ。
その中には勿論MI6Aのブレイドの替え玉もおり、その男がクレムリンを起ったという連絡が入る。
果たしてソ連はX次元計画に気付いたのか?
そこでスパイをおびき寄せる作戦を敢行するが、失敗して逆にブレイドがソ連のスパイに捕まってしまう。
命からがら逃げ出したブレイドが戻って耳にしたのは、立った今替え玉がX次元に旅立ったという衝撃的な情報だった。
急いであとを追うブレイド。
新たな世界で奴隷のペロプスと出会い、現地の王女を捕らえるブレイド。
これからいつものように生き残るための戦いに加え、替え玉を捜し出して殺すという任務を負って旅立つのだが・・・。

 今回はX次元に旅立つまでにジェームズ・ボンドっぽい展開が用意されていて、新鮮だった。
考えてみれば主人公ブレイドは腕利きの諜報部員と言うことになっているが、その本来の活躍が出てきたのは初めてである。
それもいきなり捕まってしまうのだが(笑)。
 今回のX次元はまたファンタジーっぽい世界で、いつものように現地の国同士の争いに巻き込まれ、セックスしまくり、殺しまくる。
興味深かったのは珍しく海戦シーンがあったことと、途中ではさまる「ブレイドの手記」という手法。
「ブレイドの手記」は現地の遠い未来に発見されたブレイドの書いた航海日誌を公開するというもので、これで初めてブレイドがその世界にいなくてもその世界が存在していることが証明された。
最もそんなことを疑っている人はいないと思うが(笑)。
 今作はセクシーな女性以外の魅力的なキャラクターも多く、これまででは一番面白かった。

20130921(mixi日記より)
20240310


ローダンシリーズ29 姿なき攻撃
松谷健二訳

暗殺者たち
クルト・マール著
 真正民主主義者の北アメリカ管区の責任者ホレース・O・ミュロンは中国の天津に立ち寄った後、テラニアへ向かった。
目的は唯一つ、独裁者ローダンの暗殺である。
ところがミュロンはテラニアに着いてすぐ知り合った美女フローディ・ニコルソンにデレデレ(笑)している内に何者かに捕まってしまい・・・。

 って、いよいよアルコンとの本格的な再接触が始まると思ったら、なにこの話は(汗)?
一応ローダンは出てくるものの、なんだか余裕かましてるし。ロボット摂政はその間も呼びかけ続けてるっちゅーの(汗)
そしてこのミュロンというキャラクターがまた、しょうもないやつなのかできるやつなのか、振れ幅が大きすぎて全然よくわからないのがすごい。
まさかこの人この話だけで終わりなのかしら・・・(汗)

姿なき攻撃
クラーク・ダールトン著
 とうとう摂政に生きていることを明かすローダン。
摂政はこの10年というもの、謎の生物消滅現象の調査を行っていたが成果が上がらず、ローダンの協力を欲していたのだった。
これ幸いと元のような関係を再構築するローダンだったが、姿の見えない謎の敵は予想よりも恐るべきもので、銀河系の生物が全て滅ぶ可能性さえ示唆され・・・。

 現象や調査の様子がスタートレックっぽいが、この敵(?)は流石に摂政が10年かかっても手がかりも得られないだけあって、ちょっとやそっとでは尻尾を掴ませない。
化夢宇留仁の予想では敵意のないなにかという感じなのだが・・・。

 やはりロボット摂政が出てくると緊張感が出て面白くなる。
論理の塊のくせにいつも交渉で譲歩させられてるのも可愛い(笑)

20240311(mixi日記より)
20240311


リチャード・ブレイド5 ジェドの解放者
ジェフリー・ロード著/榎林哲訳

を読んだ。9月19日。
ブレイドシリーズ第5作。

 今回は初めてブレイドが行ったことのあるX次元にもう一度送り込む実験が行われる。
しかし実験は大失敗で、ブレイドを送れなかったばかりか、どこの世界からか原始人としか思えない怪物を呼び寄せてしまった。
次の計画は、ブレイドと原始人を、原始人が来た世界に送り込むというものになった。と言うのも原始人の世界には大量の資源が眠っている可能性があるのだ。

 今回のX次元は前半はまさに原始時代だが、物語が進むに従って高度な文明になり、最終的には現代地球をしのぐものまで現れるというこれまた変わった世界である。
しかし一番面白かったのはやはり原始時代で、ファンタジーでもSFでもない独特な雰囲気が楽しい。
物語は結局いつもと変わらず現地の争いに巻き込まれてブレイドが権力を握り勝利するというもので、最期にSFっぽいおまけはついているものの、大して変わらない。
しかしまあその辺は予定調和ということで、世界やキャラクターの変化を楽しめばいいところだろう。
 SFという側面で観ると、このシリーズはあまりにもおかしいところが多い。
根本的に頭脳とコンピュータをつなげただけで異世界に送り込まれてしまうというのに説得力がないのは言うまでもないし(笑)、文中で異世界で資源や財宝を見つければ、今開発中のテレポーテーション技術でイギリスの利益を生むことができるという説明も、普通に考えたらテレポーテーション技術だけでイギリスの利益は十分満たされるはずである。
そんな感じで当時のパルプSFとしても荒唐無稽さはかなりなものなのだが、そこを突っ込むべきシリーズではないのも確か。
単純に暴力とセックスに彩られた大冒険をアハハと楽しむのが本道のシリーズである。

20130921(mixi日記より)
20240312


エリジウム
ニール・ブロムカンプ監督

を観てきた。
 マット・デイモン主演のSF映画。
ハリウッド大作でスペースコロニーをまともに扱った作品は初めてのはずなので、その映像を確認するだけでもSF者は見逃すべきではないと思い、行ってきた。
結果まあまあ面白かった。
 大筋は富裕層が住むスペースコロニーと、貧困層が住む地球の格差を打ち破るというもので、特にスペースコロニーにはあらゆる病気や怪我を一瞬で治癒してしまうマシンが存在し、地球の人々はどんなことをしてでもコロニーへ行って治療したいと思っているのが物語的なフック。
地球の工場で致死量の放射線を浴びてしまった主人公が、命が尽きる前にコロニーで治療を受けようとするのだが、コロニーの命運を左右する情報を手に入れてしまい・・・というような流れ。
 監督が「第9地区」と同じ人なので、雰囲気はすごく近く、画も似ている。
貧困地球のロケはメキシコで行われており、最近メキシコに行った身としてはなんとなく懐かしかったのもよかった(笑)
 ただし問題は山のようにある。
特にメインストーリーを支えるキャラクターの動機におかしなところが山ほどあったのはどうかと思う。
その最もたるのがCEOで・・・・・・・
この先は観ていない人は読まないように。

 CEOは最近売り上げが落ちているのが悩みで、コロニーの長官に契約更新の代わりにコロニーのプログラムの書き換えを依頼される。
というのもCEOはコロニーを作った本人で、コロニーのプログラムを自由にリブートして好きに書き換えることができるのだ。
そこで彼はリブートプログラムを自分の頭にダウンロードし、コピーしたら死ぬように設定する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「契約更新のためにコロニーのプログラムを更新して長官を総裁にする」
って、それができるんなら自分が総裁になればいいんじゃん(笑)
それに「コピーしたら死ぬように設定」ってなんのための設定なのか?
「コピーされそうになったら死ぬ」ではないのだ(笑)
 などなど突っ込みどころは満載なのだが、画は流石に見所満載だった。
珍しい開放型のコロニーの描写も美しくてよかったが、全体的にコロニーの描写は期待よりも少なかったのが残念だった。
予想よりも地球のゴミゴミした街並みが延々と広がっている画が素晴らしかった。
総合的には中の上くらいの評価かな。

20130923(mixi日記より)
20240313


リチャード・ブレイド6 迷宮の怪物
ジェフリー・ロード著/榎林哲訳

を読んだ。9月24日。
ブレイドシリーズ第6作。

 ブレイドがX次元で目を覚ますと、なんと自分が赤ん坊になっているのに気付く羽目に。
なんとかヴァリという女性にかくまってもらい、1ヶ月で大人に成長したブレイドは、国王にとりいって権力を得るが、国家間と国内の争いに巻き込まれ・・・。

 初めてブレイドの性技(笑)に反応しない女性が登場。
それというのも彼女はブレイド以上の怪物と・・・・・・
てな感じでいつものようにエロと陰謀とアクションに彩られたエンターテイメントだが、今回の見せ場は海峡を挟んだ大規模な戦闘で、おとりの橋に敵の主力を引き寄せて、離れた場所の水面下の第2の橋から上陸して挟撃するシーンは盛り上がった。
それで終わりかと思いきや、怪しい洞窟探索に牢獄からの気球での脱出。最後はピラミッドでの対決になだれこむ。
 いろいろ問題点は多いのだが、やはりこういう古風なエンタテイメント小説は楽しい。

20131021(mixi日記より)
20240314


名探偵の掟
東野圭吾著

を読んだ。昨日。
 最近mixi日記を少しずつホームページに転記していっているのだが、それが現在10年くらい前に東野圭吾を借りて読みまくっていた時期にあたっている。
ところがどうも化夢宇留仁には合わない本が多く、まあまあクソミソな感想を書いていたところ、有識者の方が「これを読まずして東野圭吾を語るなかれ」という感じで送りつけてきた(笑)のが本書だった。

 プロローグでは大河原番三という捜査一課の警部が、これまで名探偵天下一大五郎とともに難事件を解決してきたことを語る。
つまり警部はいつも事件を持て余し、代わりに天下一が解決してきたということなのだが、その真相は・・・ということで、過去の事件が語られていく。

第一章 密室宣言-トリックの王様
 横溝正史に出てきそうな雪深い山奥の小さな村の小屋の中で見つかった死体。
どう見ても他殺なのに、犯人の姿は無く、唯一の出入り口には内側から心張り棒が・・・。

 プロローグでは大いに笑わせてもらったが、それに続くこの話はもう少し突き抜けが足りないように感じた。
ちうか今は密室トリックってこんな扱いにまでなってたのね(笑)

第二章 意外な犯人-フーダニット
 有名な画家がアトリエで刺殺されていた。そして周囲のあらゆるガラスが叩き割られていた。
容疑者は5人。しかし犯人は・・・。

 意外な犯人だが、化夢宇留仁的には全然意外でもなかった。
前に読んだ○○○○○○?のせいだ(笑)

第三章 屋敷を孤立させる理由-閉ざされた空間
 雪深い山奥の山道の上に建つ屋敷で行方不明になっていた招待客が死体で発見されるが、なぜかそれは屋敷から更にケーブルカーで山頂まで登ったところに。
しかし容疑者には全員アリバイが。

 閉ざされた屋敷というのは化夢宇留仁もチープな印象を持っていたが、密室とは逆にだからこそ面白味があるような気がしていた。
しかしこの話のトリックは別次元(笑)
ちうか怪人二十面相を思い出した(笑)

第四章 最後の一言-ダイイングメッセージ
 書道が趣味だった被害者は、謎めいた3つのアルファベットを遺して死んでいた。
ところがそれは・・・。

 ダイイングメッセージに関しては、化夢宇留仁もそれを残す状況に説得力を感じたことがない。自分が死んだあとのことなど興味ないし(汗)
しかし本作のメッセージは初めて非常に納得のいくものだった(笑)

第五章 アリバイ宣言-時刻表トリック
 軽井沢のホテルで若い女が殺された。しかし最も有力な容疑者は電車で移動しており、移動時間的に犯行時刻に現場に居合わせるのは不可能と思われたが・・・。

 いわゆる西村京太郎風の話だが、これは大傑作(笑)
犯人が完全に犯人なところが傑作で、更にオチが酷すぎ、そこがまた傑作(笑)
まさにミステリとしてはこれこそが前代未聞と言える内容だろう(笑)

第六章 「花のOL湯けむり温泉殺人事件」論-二時間ドラマ
 休暇を取って温泉にやってきた大河原警部は、土産物屋で賞味期限を気にしながらもなかを買う女性を見る。
その後その女性は自殺を思わせる遺体で見つかる。
事件に挑むのは大河原警部と、女子大生探偵天下一(笑)!

 ミステリが2時間ドラマになった状況を完璧に再現しているミステリというわけのわからないシチュエーション(笑)
主人公が女子大生に設定変更されているのがリアルすぎる(笑)

第七章 切断の理由-バラバラ死体
 森の中で女性のバラバラ死体が発見される。しかしその死体の切断ぶりは几帳面すぎた。
天下一はそこにある性癖が関わっていることに気づき・・・。

 容赦なく提示される真の理由。
これは化夢宇留仁もホームズとかを読んでいるとよく感じることで、それが確率的に高いことは説得力を持って示せても、物事には例外というものがあるので断定は出来ないはずなのだ。

第八章 トリックの正体-???
 天下一が呼ばれた屋敷は樹海の先にあり、苦労して歩く先に1人の若い女性の姿が。
そしてそれは勿論これから起こる殺人事件のプロローグなのだが・・・。

 小説という形態自体にくさびを打ち込む内容・・・と言ったら大げさだが、確かにこれに符合する作品は多く存在しているように思う。
情報と想像力のせめぎ合いをコントロールするパズルとしてはありなのかも???

第九章 殺すなら今-童謡殺人
 村に伝わる子守唄になぞらえ、次々と人が殺されていく。
子守唄は10番まであり、名探偵天下一と大河原警部の監視下にありながら、9人の犠牲者が。
そこでなんとか真相を突き止めた天下一だったが・・・。

 昔から化夢宇留仁が一番腑に落ちないのが童謡殺人、または見立て殺人で、本文中にもあるがあまりにもコスパが悪すぎる。確かに雰囲気的には面白いのだが。
そして本作のオチは・・・
もう全然ミステリじゃない(笑)

第十章 アンフェアの見本-ミステリのルール
 大手製薬会社の社長が、届けられたチョコレートを食べて毒殺された。
そしてそのチョコレートを送った宛名書きに使われたと思われる緑色のボールペンが被害者の書斎のゴミ箱に捨てられており・・・。

 これはまさに意外な結末だが、これもやはりミステリとは言わないと思う(笑)
第八章とも通じる小説という形態への挑戦(笑)

第十一章 禁句-首無し死体
 塔の最上階で首なし死体が見つかる。出入口にいた管理人は被害者が出資していた冒険家が塔に登るのを見ていたが、降りてきたのは確認しておらず、当然被害者はその冒険家かと思われた。
天下一は死体がすり替わっているのを前提に(笑)推理を進め・・・。

 それを言ったらおしまいなのだ(笑)

第十二章 凶器の話-殺人手段
 山奥のロッジのオーナーが中庭で死体で発見された。
被害者の身体には3カ所に刺し傷があり、周囲に血が飛び散っていることからその場で殺されたものと思われたが、凶器が見つからず・・・。

 胸を刺しただけでは納得せずに更に手と足を突き刺したというのが行為として納得いかない。
とか思っていたらそもそも(笑)
もう完全に名探偵じゃなくなってる(笑)

エピローグ
 プロローグのあとの時間に戻り、新たな事件が解決される。
しかしその犯人は意外・・・というか、予想通りなのだった(笑)

最後の選択-名探偵のその後
 エピローグのあとにも話があるというこれまた掟破り(笑)
あからさまに「そして誰もいなくなった」シチュエーションで、様々な名探偵が集められ、その中には勿論天下一の姿も。
勿論どんどん殺されていき、残った者が犯人であるべきだったが・・・。

 こうなったら当然そうなる(そうしかない)のはわかるが、しかしなんだかよくわからん(笑)

 ちうわけで今まで読んだ東野圭吾の本の中では一番面白かった。
小林信彦の神野推理シリーズにも通じる部分があるが、こっちはもっとメタなところに踏み込んでいる。
ダントツで一番面白かったのは「アリバイ宣言-時刻表トリック」だが、どれも悪くない。
それにしても本格ミステリというのは、色々な制約でがんじがらめなんだなあと思った(笑)

20240316(mixi日記より)
20240316


リチャード・ブレイド7 パトモスの真珠
ジェフリー・ロード著/風見潤訳

ブレイドシリーズ第7作。

 いきなり素っ裸で戦場に放り出されるブレイド。
焼け落ちる寺院の中からなんとか逃げ出したブレイドは、敗残の兵士達に紛れ込むが、圧倒的な敵部隊に包囲され、仕方なく下水道に逃げ込む。
下水道から神殿に忍び込んだブレイドは、ユーナと呼ばれる巫女のような存在の若い娘を助け出し、都市から脱出する。
ユーナとそのお供達とたどり着いたユーナの生まれ故郷パトモスは、ペンサと呼ばれる奇妙な食べ物によって気力を奪われた奴隷達に支えられた無気力な世界だった。
しかし国家間のスパイ戦はブレイドの元いた世界と変わらず熾烈を極め、よりによって王の裏切りによってパトモスは侵略の危機に瀕し、その機に乗じてブレイドは自由の身となる。
パトモスを侵略しようとしたヘクトリスとの戦いの先陣を切るブレイドだったが、敵の強打を受けて記憶を失ったブレイドは・・・・・。

 パラパラと読み返しながらあらすじを書いていてもなんだかわけがわからない奇妙なエピソードである。
その後もパトモスの女神との心霊的な邂逅とか、もや〜〜〜んとしたイベントが続く。
 この巻で最も興味をひいたのは、ブレイドがX次元に旅立つ前のバカンスの最中に出会った女性とのエピソードだった。
その女性の名はダイアナと言い、写真を撮られるのを警戒しつつ、奔放にブレイドとの逢瀬を楽しむ。
あとでこの世界の有名女優だったと分かるが、あまりにも預言的な内容で、現実世界のあの王女様かと思った。
とか言いつつ冒険本編も相変わらすテンポはよくて楽しんで読めたのだが。

20131021(mixi日記より)
20240316


リチャード・ブレイド8 ネラールの海賊 
ジェフリー・ロード著/松田銑訳

ブレイドシリーズ第8作。

 X次元で目が覚めたブレイドがいたのは、なんと海の中だった!
あわてて陸を探すも、見渡す限り海と空。
しかし遠くに煙が上がっているのが見え、必死で泳いで行ってみれば、そこには海賊に襲われたらしい船の残骸が・・・。

 今回のブレイドは、海賊に狙われている国と、大海賊団の間を渡り歩き、これまでにも類を見ない大規模な戦いに巻き込まれる。
見せ場はなんと言っても大船団同士の海戦シーンで、更に巨大な蛇を召還する魔女のような女海賊まで敵にいるとなれば、まさにハリー・ハウゼンもびっくりの大盛り上がり。
キャラクターも男っぷりのいい商船の船長や、例によってのお姫様、そして上記の魔女のような女海賊と、魅力的なのがそろっていて得点高し。
なによりいいのはやっぱり海賊という設定で、ゲームブック「海賊船バンシー号」を思い出して楽しかった。
 ちなみに今作は、元々は第9作だったらしい。
なぜか翻訳出版の順番がずれている。

20131026(mixi日記より)
20240317


恐竜100万年
ドン・チャフィ監督

を観た。
 特撮はレイ・ハリーハウゼンが腕を振るっているが、リメイク元の「紀元前100万年」へのオマージュか、いわゆる「トカゲ特撮(実物の生きている生き物に飾り付けをして巨大生物として登場させる手法)も一部使用している。
物語は無いに等しく(ちうか原始人なのでセリフもほとんど無いので物語れない/笑)、原始人同士の争いがメインなのだが、そこにばんばん恐竜が出てくるので勿論科学考証などそっちのけ(笑)。
それに男はやたらと野蛮でむさ苦しいのだが、女はメイクばりばりで露出度高い美人が多数で、この辺からもこの映画の目指すところがかいま見える(笑)。
 とりあえず製作意図はお気楽なエンターテイメントというのが明らかで、そう思えば変な舞台に見応えのある特撮に半裸の美女と、非常に完成度の高い映画である(笑)。

20131029(mixi日記より)
20240318


アメリカン・パイ in バンド合宿
スティーヴ・ラッシュ監督

を観た。だいぶ前(笑)
 かのアメリカン・パイシリーズの番外編的な作品で、オリジナルビデオとして制作されたらしい。
かつてのメイン登場人物スティフラーの弟マットが主人公で、兄貴にあこがれて(この兄貴がとんでもないバカ)、女の子を盗撮しようとしたあげく、更正のためにバンド合宿に送られ・・・というような内容。
 とりあえずエロくて笑えればそれでいいわけなのだが(笑)、全体的に今一つな感じ。
まずは主人公のバカさがあまりにも行きすぎていて、少々気分が悪くなる。
エロいのはまあエロいのだが、全体的におとなしめで、このシリーズではそれでいいのだが、それはキャラクターが活きていればこそのことで、本作はそこがダメなのでやはり物足りない。
ヒロインが可愛いのだが、全然脱がない(笑)。
バンド対決の内容があまりにも唐突で納得いかない。
最後のハッピーエンドがとってつけたようで違和感がある。
などなど。
まあシリーズ数えて4作目ともなれば、この程度ですんでよかったと思うべきなのかもしれない(笑)。

20131104(mixi日記より)
20240319


創元SF文庫総解説

 待ちに待った創元文庫の解説本で、紙本を注文したあとハヤカワと同じく電子版は各文庫表紙がカラーで収録されていることを知って電子版でも購入してしまった(汗)

 解説本なので特別変わった感想があるわけではないが、とにかく面白いのが確定なのは他と同じ(笑)
ライバルたるハヤカワと比べてみると、創元の方がなんとなく広がりがあって読んでみたいと思わせる本が多い印象。言い換えると混沌としているというか、滅茶苦茶と言うか(笑)
やっぱなんでこれを?というシリーズを延々と翻訳出版している率は創元の方がはるかに高いと思う(笑)
巻末にはインタビューとか対談とか、色々おもしろいコラムも充実していて最初から最後まで面白かった。
加藤直之大先生のイラストレーターから見た本文庫や、実際に仕事として関わったときの思いなども興味深い。
 しかし初期の面白そうな本は入手が難しそうだな〜〜〜。
そしてやっぱり「続きは未訳」はすごく多い(汗)

20240319(mixi日記より)
20240320


バッド・ティーチャー
ジェイク・カスダン監督

を観た。少し前。
 キャメロン・ディアス主演のコメディー(?)
どうしようもなく自分勝手で金遣いの荒い女教師エリザベスは、教師などという辛気くさい仕事はさっさと辞めて金持ちと結婚するはずだった。
しかしカードを使い込んでいるのがばれておじゃんに。
仕方なく教師に復職したエリザベスだが、相変わらずやる気ゼロで適当にやっていたが、周りの教師に少しずつ触発され・・・たのかどうか分からないが(汗)、なんとなくいい感じに(笑)???

 はっきり言ってどうしようもない映画で、登場人物全員発狂しているとしか思えない。
妙に友好的な教師達や、存在感の無い生徒達など、全編悪夢っぽい雰囲気満載(笑)
狂った映画という意味では「悪魔のいけにえ」に並ぶかも(笑)

20131105(mixi日記より)
20240321


死霊のはらわた
フェデ・アルバレス監督

を観た。しばらく前。最近のリメイクのやつ。
 薬物依存症のミアを薬から脱却させるため、仲間達が山奥の小屋に連れ込む。
しかしその小屋は、かつて魔道書ネクロノミコンによって死者を蘇らせ、魔界の怪物を呼び寄せかけた過去があり・・・。

 大筋はオリジナルと同じだが、細部の設定や流れ、それに雰囲気が大いに異なる。
とにかく勢いで押しまくったオリジナルと比べるとじっとりとしていて、むしろ日本の幽霊ホラーに近いテイスト。
しかし残虐シーンは昨今の流行か丸見えで痛い。
 1本のホラー映画としてはまあまあの佳作だと思うのだが、あの映画のリメイクだとするとどうしようもない駄作と言わざるを得ない。
あんまりだったので、思わずその後2と3を観なおしてしまった(笑)。

20131116(mixi日記より)
20240322


ダーク・シャドウ
ティム・バートン監督

を観た。しばらく前。
 昔のテレビシリーズを映画化したらしい。
200年間眠っていた吸血鬼が子孫の住む自分の屋敷に戻り、落ちぶれた一家を救うために漁業会社復興に努力する。
しかしそもそも彼を吸血鬼に変化させた魔女も現代に生き残っており・・・・。

 デップ&バートンコンビのコメディー。
真面目なのかふざけているのかよく分からない雰囲気でとにかく進む物語。
変に脈絡のない展開が多いのは元のテレビシリーズへのオマージュなのだろう。しかしそれを知らない身からすると、どうも全体的に悪夢の中をさまよっているような感覚から逃れられない。
バートンの演出がそもそもいつもそんな感じだが(汗)
よかったのは「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツが色気むんむんのおねーちゃんになっているところ(笑)とか、魔女役のエバ・グリーンがとにかく表情がエロい(笑)とか。
 しかしあんまり印象に残らない作品だった(汗)

20131119(mixi日記より)
20240323


スラムドッグ$ミリオネア
ダニー・ボイル監督

を観た。しばらく前。
 例のみのもんたの番組のインド版(そもそもは多分アメリカが本物)で教養のない青年が決勝まで勝ち上がり、イカサマを疑われて警察に過去のいきさつを話す。

 思ったよりも普通の内容で、とりあえず面白かった。
面白かったがなにしろ普通の内容なので、あそこまで高評価されるのはインドという舞台など、少し毛色の変わったところに誤魔化されたのではないかと思う。
印象的だったのはやはりインドの実態とでも言うべき異文化そのもので、特に貧富の差が激しい巨大人口国家らしいところが全編に満ちているのが面白かった。
ヒロインがなかなか可愛いが、成長してキャストが代わる毎にだんだん魅力がなくなっていったのは致し方ないところか。
そして最後はとにかく踊るというインド映画へのオマージュもなかなかよかった。
とりあえずこの映画が好きな人は「シティ・オブ・ゴッド」も面白いと思う(笑)

20131121(mixi日記より)
20240324


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