グレートマジンガー 全4巻
桜多吾作/双葉社1997年12月26日発行

 TV放送時に冒険王に連載されていたコミックの復刻版。
化夢宇留仁が初めて買ってもらったコミックスが、チャンピオンコミックス版(多分)の2巻(多分/汗)だった。
幼かった化夢宇留仁は作者は永井豪と思いこんでいたが、最近読み返して桜多吾作と知った。多分当時の子供向けのコミックスでは原作者の名前だけが背に大きく書かれていたのではないだろうか。

 で、内容だが、これが滅法面白い。
ラストは多分TV放送の終了に合わせて急いで終了せざるを得なかったのであろう、いきなりな展開で終わってしまうが、前半から中盤にかけてはまさに傑作と言える内容である。
 まずロボットの描写がかっこいい。
グレートが音速に入るとソニックブームが発生し、地上の何も知らない人々が驚いて空を見上げるなど、ツボを心得ている。
 そして設定が考えられている。
昔のロボットアニメというのは悪の組織はとにかく世界征服を企み、問答無用でなぜか日本を攻撃、しかもほおっておけばいいものを、わざわざ正義のロボットと接近戦を繰り返して次々に敗北を重ねてゆく。
グレートマジンガーも勿論例外ではないのだが、桜多吾作版は違う。
 まず悪であるミケーネが日本を狙うのは、地上を支配するための前線基地を作るために、海に囲まれていて山が多い日本が天然の要塞として都合がいいのだと説明されているし、そのプランも安保によって米軍が介入してきても、他国のために全力では反撃してこないことまで計算に入れているのだ。
おかげでマジンガーZまでのドクター・ヘルは、「世界征服を企む誇大妄想の狂った科学者」と散々な言われようである。
最初の内はとにかく邪魔なグレートをかたづけようと戦闘獣を繰り出してくるが、中盤ではまずコンビナートを襲って気化重油とメタンガスの大爆発を起こし、原爆並の効果をあげたのち、日本政府にグレートと科学要塞研究所を排除しなければ今度は東京近郊のコンビナートで同じことを行うと脅迫。
結果科学要塞研究所は自衛隊の攻撃で破壊されるのだ。
なんと渋い展開!
 自衛隊が出てきたついでに触れておくが、桜多吾作は自衛隊にも思い入れが強いらしく、その力も決して過小評価していない。
研究所が無くなった後、日本はミケーネに占領されてしまうのだが、それもいきなり都心に現れた戦闘獣に対し、ビルが邪魔になって自衛隊の戦車をはじめとした戦力は充分に実力を発揮できなかったのが原因で敗北するのだ。
全然歯が立たなかったのとはわけがちがうのだ。
 他にも国内の兵器メーカーに設計図が盗まれてグレートが大量生産されたりなど、目の付け所が10年早い。
 主人公側も普通ではない。
研究所を破壊されてゲリラとなった彼らは、資材その他を調達するために一般の工場や町を襲撃(笑)、世界中に指名手配されてしまう。
それも最初の内は補給物資だけだったが、やがては洋服やプラモデル、はては所長までもが象牙の麻雀牌を強奪し、完全な強盗団と化すのだ(笑)。
 もう滅茶苦茶であるが、とにかくエネルギッシュで面白い。
 ところでラスト近くで研究所にいたミサトさんが敵の手によって殺されるのだが、この描写がなんとも残酷で、子供が読んだらトラウマになるのは必至である。
昔はほんとに規制がゆるかった(笑)。

2005.3.20


1000年女王 全3巻
松本零士/小学館文庫

 映画にもなった1000年女王の原作。元々はオリジナルの新書版で途中まで持っていたのだが、文庫で買い直してやっと最後まで読んだ。
 1999年。1000年の公転周期という長大な軌道をもった太陽系の10番惑星ラーメタルが地球に再接近。
地球に大きな被害は避けられず、地球を影で統治していた1000年女王の指揮の元、各大都市がそのまま浮上した巨大移住船でラーメタルを目指すことになるが・・・。

 そもそも新聞連載という無茶な企画で、それが如実に内容に現れている。
とにかく行き当たりばったりで、内容がチグハグ。更にあまりの忙しさからか、前に描いた内容を片っ端から忘れており、あからさまなミスとそれを繕うのの繰り返し。
 例えば遊星ラーメタルが接近するのが惑星直列(1982年連載当時)の時期と重なるので危険と書いておいて、次の回では舞台が1999年だと思い出したらしく、ラーメタルの接近によって強制直列されてしまうと言いたかったのだと苦しい説明(笑)。
他にもこんなミスがてんこ盛りで、 それが最後に近づくにつれてどんどん加速してゆき、終わったときには結局なにが言いたかったのかさっぱり分からないと言うすごいことに(笑)。
しかしその行き当たりばったりさが、まったく先の読めない不思議な面白さを醸し出していて、化夢宇留仁は結構気に入っていたりするのだった。

2005.3.22


昭和史 全8巻
水木しげる/講談社文庫

 大正時代の関東大震災の影響による不況にはじまり、昭和が終わりをつげるまでを書いた大作。
分かりやすい歴史的事実の解説と、作者本人の自伝的内容が交差しながら展開する内容は興味深くかつ面白い。
 歴史的には昭和の始めには軍は中国に出兵しており(1巻)、その後アメリカに宣戦布告。結局終戦が6巻であるから、全8巻の内6冊は戦争について語っているわけで、如何に昭和という時代が戦争によって大きな影響を受けたかがうかがえる。
戦争中の描写は実に詳細で、特に戦車や航空機、艦船などの描写が完璧なのには驚かされる。日本の戦車は勿論、初期のソ連戦車まで詳しく描かれている。
 作者本人も陸軍の2等兵としてパナマ方面に送られており、その辺りの描写はまさに圧巻である。
昭和史という性格上、軍の上層部の展開と、作者の体験も含めた戦場での描写が同時に展開するので、飽きないし、なにより視点が偏らず、本当の戦争というものが描き出されているのが素晴らしい。
特に作者の所属していた隊に玉砕命令が出されているにも関わらず生き残ってしまい、その後なんとか死活を見いだすあたり、それに作者の左腕が切断され、生死の境をさまよう件はまさに手に汗握ること請け合いである。
また単に出来事を解説するだけでなく、その時々においてたまに作者の意見がはさまっているのだが、これが実際その場にいた人間とは思えないほど冷静で客観的なものなのも興味深い。
 堅苦しいことを書いたが、とにかく一番面白いのが作者本人で、今現在でも半分妖怪みたいな変わった人だが、それは幼少の頃から変わっていないらしい。
万物は食えると思っていた幼少時代。全てにおいて寝ることを最優先していた少年時代、入退学と就職を繰り返していた青年時代、そして自分の興味を最優先してビンタされ続けた陸軍時代前半、原住民と仲良くなって隊で一人だけ血色がよかった陸軍時代後半、復員して職を転々としつつ、質屋に靴が入りっぱなしの新婚時代、突如として漫画が売れ出して現実から逃避しつつある現在と、どれもまさに水木しげるでないとあり得ない内容で、面白すぎる。
 戦争の事柄が多いのは仕方がないが、他にも幼少時代の暮らし向きや、祖母であるのんのんばあとの交流とその最期などは実に切なく興味深い。

 昭和という時代に愛着のある人、同じく興味のある人、太平洋戦争で南方に配置された陸軍の様子に興味のある人、そして水木しげるが好きな人は必読である。

2005.3.23


マジンガーZ オリジナル版 全3巻
永井豪/講談社漫画文庫

 少年ジャンプに連載されたオリジナル版マジンガーZと、テレビマガジンに連載された後期版が収録されている。
 やはり一番面白いのは第1話で、「おまえは神々にも悪魔にもなれる!」という台詞は相変わらずしびれる。
いきなり正義の味方になれと言うのではなく、選択の余地を残しているのはこの作者らしい。
 それ以降はだいたいテレビと同じような感じで、アシュラ男爵とブロッケン伯爵の送り出した機械獣と戦うという内容だが、やたらと裸が出てきたり、女性型のアンドロイドがわざわざ残酷でエロチックに壊される描写など、やっぱり永井豪だなあ〜っと安心(笑)。
 大したストーリーは無いのだが、最初の内はハッタリの効いた永井演出が生きていて楽しめる。

 後半になると、さやか専用機としてビューナスAが出てきたり、マジンガー軍団というのが組織されたりと、テレビとは少々異なった展開になるが、結局連載中断でプッツリと終了。
その後テレビマガジンで続行されるが、ジャンプに比べて更に対象年齢が下がったせいか、ストーリーと言えるものは無くなり、とにかく機械獣との戦いになって倒して終わりというものになってしまうのは残念である。
 最後はテレビの最終回と同じくグレートが颯爽と現れて終了。

2005.3.22


ゲゲゲの鬼太郎4 妖怪獣
水木しげる/ちくま文庫

 昭和40年代から50年代にかけて描かれたと思われる作品集。
妖怪獣
 四国山中のダム工事現場から八百八だぬきが復活。同時に東京上空には月が二つ現れる。
2つ目の月は八百八だぬきが召喚した妖怪獣「蛟龍」だった。
日本をわがものとし、妖怪王国を建設しようとするたぬき達に戦いを挑む鬼太郎だが、たぬき達は強力で、しかも不死の巨大ナマズと飛行かなめ石まで味方につけていた。
一時は総理大臣からも信頼される鬼太郎だが、たぬき達に敵わないと見るや責任を全て鬼太郎にかぶせる。
あわやというところで、鬼太郎の親父達の手によってたぬき達を再封印するのに成功するが、ちょうどその時飛行かなめ石に水爆が命中。手柄は米軍のものとなる。
鬼太郎達の活躍を評価しているのは虫達だけだった・・・。
  120ページあまりの長編だが、内容的には中期鬼太郎の典型的パターンに当てはまる。
鬼太郎を中心とした妖怪達は人間のために頑張るのだが、結局見向きもされないというものだ。しかし勿論この作者のこと、実にドライに描いているので「妖怪人間ベム」のように陰湿ではない。
夜叉
 眠り続ける少年を診察した鬼太郎は、少年が魂を抜かれているのに気付く。
妖怪の仕業と思い警戒するが、妖怪「夜叉」に先手をとられて鬼太郎も魂を抜かれてしまう・・・。
まだ漫画という手法が確立しておらず、紙芝居時代のようなナレーションが挟まるのがまたいい味を出している。
またこの作者の場合はわざとかどうか判断しにくいのだが、あり得ない展開がさらりと出てきて面白い。
例えば右の画像の状況。
頭の上でカラスが鳴いている。
誰が見ても怪しいだろ(笑)!
毛羽毛現
 ねずみ男が見つけた自家用車というのは、巨大なニワトリだった。
ニワトリに乗り込んだ鬼太郎達は、不思議な雰囲気の山の中に連れて行かれる。
実はニワトリは「ふらり火」という妖怪で、「毛羽毛現」のペットだったのだ。
「毛羽毛現」は一人で静かに過ごしたかったのだが、人間がやかましいので子供達を捕まえては魂を抜いて恐竜の化石に移し替え、蘇った恐竜軍団で人間を追い払おうとしていた・・・。
 夜叉に続いて毛むくじゃらで魂を抜く妖怪の話である。
実際に描かれた時期はどうか分からないのだが、なんでこういうことになったのか理解に苦しむ。
話の雰囲気は全然異なるのだが。
峠の妖怪
 何台もの車が事故を起こして落下していた峠。そこに差しかかると、ドライバーの身体はぶるぶると震え、運転を誤ってしまうのだ。
その原因は封じ込められていた絵から復活した妖怪「ぶるぶる」だった。
すぐにそれに気付いてとりあえず「ぶるぶる」を動けないようにする鬼太郎だが、動けないでいる「ぶるぶる」を干物と間違えたねずみ男が食べてしまい・・・。
 ストーリーを書いていて、あまりの滅茶苦茶さに笑ってしまう。常人には考えつかない展開である(笑)。
電気妖怪
 ドライアイスを蒔いて人工降雨実験をしていたヘリコプターが墜落。乗っていた博士達は行方不明に。
実は空を荒らされた「かみなり」が怒ってやったことで、博士達は「かみなり」の飛行石に捕らわれていた・・・。
 妖怪ポストに手紙を出すと、中からテントウ虫が飛びだして鬼太郎に知らせに行くシステムらしい。
この作品では手紙を出して1週間たっても音沙汰がないので、出した子供がポストの前で不満を言ったら、慌ててテントウ虫が飛びだしてゆくという件が楽しい。後で行こうと思って忘れていたのであろう(笑)。
海座頭
 ねずみ男と共に筏に乗って南方への旅行を企画する鬼太郎。
しかし「船幽霊」達が塩水をかけたために筏上の野菜畑が全滅。「船幽霊」に話を聞くと、彼らは「海座頭」の奴隷として船を沈めているのだという・・・。
 筏を2つ用意して、1つは居住用、1つは食料調達のための畑にするという奇想天外さがいい。
ちゃんとすぐ食べられるようにモヤシなんかを植えているのだ(笑)。
白山坊
 15年前に古狐妖怪「白山坊」と、大金持ちにして貰う代わりに娘を嫁として渡すという約束をした橋本正吉。
娘はその話を聞いて、近くの森に住む「砂かけばあさん」に相談する。
「砂かけばあさん」は強力な「白山坊」と戦うために鬼太郎を呼ぶ・・・。
 確か他にも「白山坊」の出てくる作品があり、そっちはそれなりの長編になっていたと思うのだが、こちらは短編なので「白山坊」は弱く、九尾の狐との関連も出てこない。
「砂かけばばあ」に相談する件が洋風ファンタジーっぽい。
またラスト「白山坊」が蛾になるところで、「モスラのような」と具体的に書かれているのが時代を感じると共に、そんなことを書いても全然真似だと思わせないところがこの作者らしい。
おどろおどろ
 鬼太郎のところに飛行機のプラモデルが送られてくる。組み立てて乗ってみると、なんと飛行機は離陸し、そのまま孤島に運ばれてしまう。
その孤島には他の妖怪達も同じように集められていた。
実は妖怪「おどろおどろ」は邪魔な妖怪達を孤島に集め、その間に人間の子供を集めて血を吸っていたのだ・・・。
 「おどろおどろ」が元は人間の科学者だったが、実験の結果血を吸わなくては生きてゆけなくなったという設定など、「クトゥルフの呼び声」のシナリオに出来そうな展開。もちろん雰囲気は全然違うのだが。
最後に父親である「おどろおどろ」を殺された少年が鬼太郎に石を投げるのが切ない。
ダイヤモンド妖怪
 ダイヤモンドがごろごろしている地下洞窟が発見された。
欲にかられた人間達が殺到するが、そこはダイヤモンドが大好きな妖怪「輪入道」の住処だった・・・。
 鬼太郎の親父が、ダイヤモンドが転がっている洞窟の話を聞いて、地獄との通路が開かれたのではないかと心配するが、そうではなかった。
そういう話が出てくるだけというのも、かえって世界に奥行きが出ていい感じ。
鏡合戦
 鏡に封じ込められ少女を助けるべく、妖怪「雲外鏡」と戦うことになるが、実は全て鬼太郎を抹殺すべく仕組まれていたのだった・・・。
水木作品に出てくる可愛い女の子はほとんど全てアシスタントが描いているらしい。特につげ義春が描いた少女は可愛くていい感じだが、この作品はつげではない。見たことのある絵なのだが、誰だろう?多分スポーツ漫画を描いていた人だ。
朝鮮魔法
 朝鮮半島のある村で、村人達が若さを奪われているという。
妖怪の仕業と見て助けに行く鬼太郎達だが、朝鮮の妖怪のことはデータ不足で苦戦することになる。
 朝鮮独自の石像や建物などが雰囲気を盛り上げている。
今朝鮮の人に見せたら差別的表現だと文句を言うのは間違いない(笑)。

 水木しげるの作品全てに言えることだが、この「妖怪獣」もやはり絵が素晴らしい。
しばらく見ていると吸い込まれそうになる。この作者の場合ほんとに吸い込まれそうで怖い(笑)。

2005.3.25


水木しげるコレクション2
ねずみ男とゲゲゲの鬼太郎
水木しげる/角川文庫

 昭和50年代から60年代にかけて描かれた作品集。
石妖
 なんとねずみ男から結婚式の招待状が届く。
しかしその相手は妖怪「石妖」で、ねずみ男が金持ちだというのを真に受けて結婚詐欺を企んでいたのだった・・・。
 まず前回の「妖怪獣」に比べ、約10年後に描かれただけあって絵はより漫画的になり、部分的(鬼太郎の髪と服など)にはスクリーントーンまで使われている。
漫画手法も確立し、前に頻繁に出てきた紙芝居調のナレーションも姿を消した。
しかし読みやすくなったのはいいのだが、少し水木しげるらしさが薄まったのも事実。
なんとも微妙なところである。
そう言えばこちらでは妖怪仲間達も本格的に登場している。
 「石妖」では多分つげ義春が描いたと思われる美少女が可愛い。
また「砂かけばばあ」が完全にビンタ要員と化しており、とにかく誰にでも突っ込み代わりにビンタを(例のビビビンペチン)かますのが楽しい。
例えば「子泣きじじい」が「石妖」を捕らえようとして服が脱げてしまうと、「捕らえ方がスケベくさい」と言ってビンタをかますという感じである(笑)。
月の妖怪 桂男
 突然様々な昆虫が巨大化。温泉でのんびりしていた鬼太郎と子泣きじじいは調査に向かうが、いつの間にか霧に包まれたと思うと、今度は自分たちが小人になってしまう・・・。
  多分最も忙しい時期に描かれた作品なのだろう。明らかにアシスタントが描いたと思われる部分が多く、妖怪達の表情も変に漫画チックで困る。
背景も微妙にタッチが異なるのが気になる。
それだけ水木作品が完成された個性を持っているということだろう。
黒坊主
 祭りの出店で、なんとねずみ男が2万円も出して和服姿の女性の立ち姿を描いた日本画を買う。
しかしその絵には「黒坊主」がとりついており、ねずみ男は生気を吸い取られてしまう・・・。
  当然のようにシーサーが仲間に混じっているのが奇妙な感じ。ちょうどテレビアニメの時期と重なっていたのであろう。
こそこそ岩
 血が青色の少女がいた。医者に診せても突然変異だから大丈夫というわけの分からない見解(笑)。
少女は「こそこそ」という妖怪に捕まり、自分が太古の魔物達を蘇らせる目覚まし時計だと知らされるのだった・・・。
 妖怪「こそこそ」が実に強力で、鬼太郎を始めとした妖怪軍団と一人で戦って全員倒してしまう。
太古の魔物を復活させて世界を手に入れると言っていたが、あんた一人で出来るのでは・・・?
 また「こそこそ」の技の一つ「こちょこちょぜめ」は、相手をくすぐっていい気持ちにして眠らせてしまうというもので、少女に仕掛けているところなどは色っぽくてなかなかよろしい。子泣きじじいにかけているところは噴飯ものだったが(笑)。
少女が血を全て吸い取られて死んでしまったり、彼女が復活するときにヌードが拝めたりとエログロな雰囲気も楽しめる。
化夢宇留仁のお気に入りである。
魔女ロンロン
 ある男の子が同じ姿の別人が盗みを働いたせいで疑われることに。それを調べていた砂かけばばあと鬼太郎にも偽物が現れる。
それは「魔女ロンロン」の仕業だった・・・。
 魔女ロンロンは鬼太郎のお父さんとは150年ぶりの再会らしい。
最後に魔女を棺桶小包にしてヨーロッパに送り返すのだが、その時の砂かけばばあの台詞がいい。
「航空便が早くていいじゃろ。」
串ざし入道
 昆虫採集に夢中だった少年が、「串ざし入道」の縄張りに入り込み、逆に標本にされそうになる。
少年は串ざしにされる側の気持ちは考えたことがなかったと反省し、捕まえていたオオクワガタを放してやる。
オオクワガタは鬼太郎のところへ直行するのだった・・・。
 そのまま昔話に出てきそうな、実にまとまった話である。その分面白みに欠けるのも確かだが。
ペナンガラン
 泥棒によってお札が剥がされたため、300年ぶりに妖怪「鏡獅子」が復活。娘をさらったり銀行を襲ったりと悪さをし、鬼太郎が駆けつけることに。
 「鏡獅子」の正体は東南アジアの妖怪「ペナンガラン」だったと言われても、なにがなにやら分からないのがすごい(笑)。
 また銀行を襲って金を奪ったり、鬼太郎を殺すのにガソリンをかけて火を点けたりと、300年間眠っていたとは思えない俗物ぶりがまた楽しい。
鬼太郎との戦闘シーンでは、珍しく舞台が転々と代わり、関係ない人間にも目撃されるなどして大騒ぎになった挙げ句、明媚な橋の上で対決になるなど、ダイナミックな展開で面白い。
魔女ジニヤー
 アラビアから転校してきた少女ジニヤーは実は魔女で、同級生達を子分にして銀行強盗。
鬼太郎が立ち向かうが、ジニヤーは吸えば魔力が増大する煙草を持っており・・・。
 ジニヤーが不細工でもないし、美少女でもない微妙な顔立ち。でも無意味にパンツ見せたりとサービス満点でかえって微妙(笑)。
ジニヤーの親父が出てくるが、これが本格的な悪魔の姿で驚いた。
けらけら女
 突然背後からけらけらという笑い声が。
「けらけら女」が満足する笑い声を出せない子供は連れ去られ、笑いの練習をさせられるのだった・・・。
 「けらけら女」のお歯黒が怖い。
妖怪猫しょう(鬼辺に肖と書く)
 老科学者がついに不老不死の研究を完成させるが、そのメモを「猫又」に食べられてしまう。
「猫又」はその秘術を使い、ワンランク上の妖怪である「猫しょう」になろうとするが・・・。
 変幻自在な「猫又」の能力が楽しい。
手足の怪
 手と足だけの奇怪な妖怪が、色々と悪さをする。
実はそれは手や足を患った人が手形足形を奉納して治るように願いを捧げていた「手足の神」が、人が来なくなって月日が流れたために妖怪化したものだった・・・。
 手足の型を祀った祠というのはたまに耳にする。そういうものは切実な思いが宿っているようで、妖怪化するのもうなずけるような気がする。
魔猫
 イギリスの有名大学を出た美人の先生が教えるようになって、みるみるクラスの成績は上がった。
しかしたった一人全然成績が上がらない少年がおり、彼は先生が本当は人間ではないのに気付いていた・・・。
 ほんとに珍しく、一介の少年の能力が鬼太郎を上回る。
そのままアドベンチャーゲームとかにしても面白そうな話である。
家獣
 一本足の家の化け物が人を飲み込むところを目撃したねずみ男。その話を聞いた鬼太郎の親父はそれが「家獣」というヨーロッパの妖怪だと見当をつける・・・。
 家獣は煙突から出る煙を文字にして意志を伝えるのだが、ヨーロッパ生まれの妖怪だけあってこれがアルファベットなのが楽しい。
「KILL」ではじまり、ダメージを受けると「OUCH!」。死にそうになって「SOS」(笑)。
また家獣の中で繰り広げられる展開も、いかにも洋風建築という趣向が凝らされていていい感じである。
メキシコの石
 不思議な石を手に入れたねずみ男だが、石は神だと名乗って巨大な石の彫刻をねずみ男に強制する。
これはたまらんと思っているところに鬼太郎が通りかかったので、うまく石を渡して難を逃れる。
その後石の元の持ち主を呼んでくると、その老人は石を回収し、実はそれがメキシコの神の石で、3日ばかり言うとおりに作業すれば幸福を与えてくれるのだと説明する。
我慢していればよかったと後悔するねずみ男だった。
 この作品からは昭和53年に週刊実話に掲載された作品で、妖怪退治の話ではなく、大人向けの少し不思議なストーリーになっている。
スクリーントーンは鬼太郎の服のみ。この微妙な変化を見つけるのがまた楽しい(笑)。
猫町切符
 人間の蒸発が増えると猫が増える。また手ぬぐいが消えても猫が増えるという奇妙な法則を発見した統計学の教授が、その調査を鬼太郎とねずみ男に依頼する。
調査で猫の集団に話を聞いた2人は竹やぶの猫親方のところに行き着き、そこで奇妙な切符を渡される。
その切符で猫地下鉄に乗れば探している手ぬぐいを取り戻せると言うのだが、終着駅に着いたときには2人とも猫になってしまっていた。
2人の力はまったく猫達に及ばず、結局謝ってなんとか元の姿に戻してもらうが、その時この事件の記憶も無くなってしまうのだった・・・。
 猫達に全然歯が立たないというか、相手にもならない2人がいい感じ。まさに大人の為の不思議なストーリー。
透明人間
 女子寮に透明人間がいるというので調査してみる鬼太郎だが、果たして透明人間はねずみ男であった。
ねずみ男は悪魔ベリアルに自分の姿を売り渡していたのである・・・。
 週刊実話掲載にしては普通の鬼太郎っぽい話。しかし続きがある。
悪魔博士
 前回魂までも消されてしまった悪魔ベリアルの弟子である悪魔博士は、人間以外の様々な物に姿を変える術を身につけていた。
彼はその発明を自分のためだけに使うと宣言。同調したねずみ男と共に、まず邪魔な鬼太郎を排除しようと計画を練るが・・・。
 危ういところでねずみ男が機械の操作を失敗して、鬼太郎を助けた形になる。
鬼太郎は最後に助けてくれたからとねずみ男を許し、ねずみ男は鬼太郎が自分を殺そうとしたのに許してくれたのだと感動するが、 鬼太郎はキョトンとしたまま終わる。
いい感じ(笑)。
終末株式会社
 地球は度重なる公害や戦争の結果、芯から腐り始めており、終末は近い。
ねずみ男が来る終末に向けて、お金持ちだけは地球を脱出して、太陽系の最外縁にある地球とまったく同じ環境の星に行くことができると宣伝し、金を集めてロケットを発進させる。
ロケットはその星に近づくが、地球とそっくりなのは鏡星の鏡面に映っているだけだった。
ロケットは反転して地球に到着。
ねずみ男はみなさんを終末に案内したと言うのだった・・・。
 藤子F不二雄に迫る好短編。表紙からして藤子っぽい。星新一のようでもある。
ちなみに登場するのはねずみ男のみである。

 


 


妖女伝説 全2巻
星野宣之/集英社文庫

 歴史をはじめとした様々なシチュエーションで、妖女(妖しい女)をテーマにした作品集。
砂漠の女王
 ローマの進攻でエジプト王朝が滅ぼうとしているとき、女王クレオパトラは自殺したが、実はミイラのような姿の怪しげな神官ソロンから転生の呪法を授けられていた。
その後サロメとして生まれ変わったクレオパトラはヨハネとイエスと巡り会い、ヨハネを殺害。イエスがゴルゴダの丘で処刑されたとき、神と悪魔の疑惑に触れる。
更にパルミアのゼノビア女王として生まれ変わると、ロンギノスと出会い、ついにローマに反旗を翻すが、結局は敗北する。
また転生を望むゼノビアだが、ソロンは怪しく笑い、その正体を明かすのだった・・・。
 読み応えのある傑作。
新たな視点で歴史の重大局面を描きだしているのも興味深いし、神官ソロンが妙に人間くさいのも面白い。
まさにストーリーの巧みさはこの作者の真骨頂であろう。
蜃気楼-ファタ・モルガーナ
 1920年代の北極を飛行船で探険し、幻の島を見つけだそうとしていた頃のお話。
島の姿を認めて喜ぶ一行だが、それは蜃気楼だった。
諦めきれないイタリア軍ノビレ大佐は、再度の北極探検を決意する。
その航海には前回の探険にも参加していた気象学者フィンも同行することに。彼の脳裏には幻のような女性の姿が焼き付いていた・・・。
  どうもピンとこない話。最後の蜃気楼と思われた巨大な影は実は・・・というのは面白かったが。
ここまでが1巻の内容。
ローレライの歌
 1902年。ドナウ川で遊ぶ子供達は、岩の上で歌う美しい女性を目撃。ローレライはライン川の伝説だが、それがドナウ川にも現れたのか?
やがて少年の父親が川で溺れ死んでいるところを発見される。酒浸りで少年を殴ってばかりだった父親を、ローレライが殺してくれたのだと思う少年だったが・・・。
 魔女狩りが再燃しそうになる展開が面白い。1902年のヨーロッパの田舎町ならありえそうである。
オチはありがちなもので残念だったが。
カーミラの永い眠り
 カーミラという女性が飛び降り自殺をした半年後、彼女の母親に招かれたジョルジアだったが、そこには忌まわしい吸血鬼の伝説があった・・・。
 吸血鬼を犯人としたショート・ミステリー?オチは結構いい感じ。
月夢
 日本人初の月着陸を果たしたサカキ教授だったが、月に降り立った途端、彼は異常な行動に出た。
その頃800年生き続けている八百比丘尼の噂を聞いて、それらしき尼の取材をしていた記者達は、彼女が話す昔話に真実味を感じはじめていた。
永きにわたって日本で夫婦で生きてきたが、やがて夫とはたもとを分かち、彼女は尼となったのだった。
その夫とは?そして彼が探し求めている女性とは?
 目の付け所が面白い作品で、ストーリーのみならずビジュアルイメージも「2001年宇宙の旅」を思わせるもので、映画化したくなるくらい面白い。
最後の終わり方はもう少しだったような気がするが・・・。
メドゥサの首
 ギリシャに遊びに来た女子大生の時子は、美しいアスパシアという金持ちの夫人の家に泊めてもらい、エーゲ海を満喫する。
アスパシアは下男に海中の彫刻などの美術品を回収させており、彼女のコレクションにはまるで人間がそのまま石になったかのような像も含まれていた・・・。
 相変わらず巧みなストーリーテリングで、メデュサ伝説の香り強いミステリーと、これまた巧みなキャラクターの感情の表現でドラマを盛り上げている。
挽歌
 雪に囲まれた世界で数人の男女が生活している基地に、赤子の死体を抱いた美しい女性が現れる。
彼女は雪女ではないかという疑惑が生まれ・・・。
 ストーリー上の仕掛けが変わっていて面白い。時代設定と女の目的と、2段階のオチが用意されている。
日高川
 文楽の修行に励む安彦だったが、師匠は彼の実力の無さを理由に娘との交際も許さず、娘にも安彦に会わせないようにする。
実はそれは師匠が、安彦に日高川の主役である清姫の気持ちを理解させ、演技を上達させようという試みで、やがて安彦は日高川を自分のものとする。しかしそれだけでは済まなかった・・・。
 ちょっと空回り気味。プロットは面白のだが、全体的に演出が不足している感がある。煮詰める時間が無かったのだろうか。
歴史は夜つくられる
 1912年。豪華客船の船上で繰り広げられるスパイ合戦。
豪華客船は勿論タイタニック号である。そして登場人物はどれもこれも有名人揃いで、ほとんど歴史パロディー漫画である。
ボルジア家の毒薬
 1500年代のローマを舞台に、支配を広めるボルジア家の兄妹と、フォルリ城主カテリーナ・スフォルツァ、そしてレオナルド・ダ・ヴィンチが絡み合う。
ボルジア家に伝わる毒薬カンタレッラの秘密とは・・・?
 カンタレッラの秘密以外はまあ普通のお話。

 水木しげるの後に読むと、そのタッチの軽さが目立ってしまい、あまり絵には感銘を受けなかったが、ストーリーの巧みさは流石。逆に水木しげるにこんなストーリーを作れと言っても無理というものである。

2005.3.26


ゲゲゲの鬼太郎2
妖怪まんが集5
水木しげる/ちくま文庫

 全体的に古そうな作品が並んでいる。
猫仙人
 鬼太郎の家に高速道路が通ることになり、旅に出る。
道中傷だらけの少年に出会い、話を聞けば彼の村は猫の集団に襲われて人が住めなくなってしまったらしい。
少年と村に行ってみると、確かにそこは猫達によって支配されていた・・・。
 ずいぶん古い作品のようで、鬼太郎はハードボイルドだし、ホラー色も強く、実に面白い。
鬼太郎の絵封じの術は他の作品でも出てきたが、こちらはその手法が細かく描写され、手に汗握る名シーンとなっている。
絵も素晴らしく、猫仙人の登場シーンなど震えが来るような出来。
この内容でず〜っと行ってほしかったなあ。
そう言えばねずみ男そっくりの坊さんが出てきていたが、この頃はまだねずみ男というキャラクターがいなかったのだろうか?
幽霊電車
 キャバレー(スナック?)で飲んでいた鬼太郎とねずみ男は、他の客とお化けがいるいないで喧嘩になり、鬼太郎は殴られて大きなこぶが出来る。
鬼太郎は冷静に同じ大きさのこぶで仕返しさせてもらうと言う。
店を出た鬼太郎を殴った二人組は、電車に乗って家に帰ろうとするが、乗った電車は普通の電車ではなかった・・・。
 要するに怖がらせて仕返しする話。 テレビアニメでも同じ話を見たけど、そっちもなかなかよかった。
しかしそんなところで飲むなよおまえら(笑)。
鏡爺
 お化けが出るというので誰もいなくなった村に通りかかった鬼太郎は、空き家で一夜をすごそうとするが、透明な何者かに襲われる。
それは実は妖怪「鏡爺」に捕まっていた少女だった・・・。
 表紙をめくった最初のページが渋すぎる美しい農村風景。こんなのを描かせたら水木の右に出る者はいないな。
まくら返し
 行方不明になった少年は、「まくら返し」に虹の彼方にある夢の世界に連れ去られていた・・・。
 虹を渡るシーンと、とにかく「まくら返し」の顔が雰囲気があっていい。
ぬらりひょん
 悪事が大好きな妖怪「ぬらりひょん」は、パチンコ屋で偶然ねずみ男に会い、この機会を利用して邪魔な鬼太郎を亡き者にしようとする。
その計略は深い落とし穴に落としてコンクリートを流し込むというもので、なんとも夢もロマンもない殺し方である。
なんとか鬼太郎の手だけは脱出に成功し、「ぬらりひょん」にとりつく。
困った「ぬらりひょん」は友人の「蛇骨ばばあ」に助けを求めるが・・・。
 「蛇骨ばばあ」が怖い。
それにしても「ぬらりひょん」・・・妖怪と言うよりも無差別テロリストと言った方がぴったりである。
磯女
 釣り人が「磯女」にさらわれたという報告を聞いた鬼太郎が退治に乗り出す。
 鬼太郎が事件のことを知る件が変わっている。
釣り人がさらわれた現場にいたフナムシが、ゴキブリに話し、そのゴキブリがムカデに話し、ムカデはトカゲに。そしてトカゲから聞いたコウモリが鬼太郎のところに飛んでゆくのだ。
 また鬼太郎がコウモリの報告を聞いた場所が素晴らしい。
天然木の露天風呂に、縄梯子を上れば様々な食べ物があり(よく見ると果物だけではなく、ガムや竹輪なんかもぶら下がっている/笑)、天蓋付きの寝室まで完備している。
こんなところがあるなら化夢宇留仁も行ってみたい。
元々初期の鬼太郎は住処を転々としている上に別荘もいくつか持っているようなのだが、多分別荘の一つであろう今回の場所は素晴らしすぎる。
妖花
 両親のいない少女が住んでいるアパートの1室に、不思議なことに南国に生える珍しい花が咲き乱れていた。
友人の勧めでねずみ男と鬼太郎に相談 してみると、鬼太郎は妖気が外国から少女の部屋まで続いているのを発見し、その妖気が出ている場所を探すことになる。
巨大なハマグリの船に乗ってたどり着いたのは、とある南国の島だった。そこは太平洋戦争時に戦場になったらしく、戦車の残骸などがごろごろしていた・・・。
 雰囲気のある話。妖怪「かわうそ」がハマグリ船の船長としてゲスト出演している。
人食い島
 和歌山県佐々岡村では、海神の怒りを静めるために毎月2人の人間を生贄に捧げていた。
それを知ったねずみ男は鬼太郎をけしかけた上で先に電車で村に向かい、サザエの壺焼きを12個ごちそうになった上、1000万円の報酬で海神退治を請け負ったのだった・・・。
 前半の依頼を受けるまでの展開が、ねずみ男の持ち味を充分に発揮していて面白い。
海神の正体もなかなか不気味でよい。
妖怪軍団
 南方からやってきた2人組の妖怪は、日本を支配しようとする妖怪軍団の先兵だった。
 妖怪「アカマタ」と「やし落とし」の、いかにも南方風なところが異文化に対する興味と恐怖を感じさせて面白い。
死神
 ねずみ男の兄弟だと言って近づいてきたのは「死神」だった。
「死神」は宇宙旅行が出来ると騙して鬼太郎の親父を大砲で発射して殺し、鬼太郎には母親に化けた「魔女」を引き合わせ、毒殺を試みるが・・・。
 水木ワールドでは死神も妖怪の一種として扱われている。懐が広いね(笑)!
それにしても死神のやることはどれも見事に人の弱みにつけ込んでいて、騙された人(?)はみんな可哀想だった。
バラバラになったはずの親父はなぜか大きな膜状になってかえってくる。理由は不明。
 「砂かけばばあ」のアパートらしき建物が出てくるが、テレビ版とはデザインが異なっているようだった。
あかなめ
 「夢の島」で妖怪「あかなめ」が突然変異で巨大化し、街を襲う。
ねずみ男の友達になった突然変異で賢くなった蠅のアイデアで、植物の種を「あかねめ」に植えると・・・。
 賢くなった蠅が可愛い。 珍しく損得無しの友達が出来たねずみ男もなんかいい感じ。
ダイダラボッチ
 日本各地で巨大な身体のパーツが復活し、やがて合体し、妖怪「ダイダラボッチ」となる。隠された「ダイダラボッチ」の脳味噌はどこにあるのか・・・。
 またも「砂かけばばあ」のアパートが出てくる。籠城戦になり、 トイレが一杯になって困るというのが面白い。
猫町切符
 「ねずみ男とゲゲゲの鬼太郎」に収録されていたものと同じ。
海坊主先生
 海坊主村では子供達の自殺が後を絶たなかった。
持ち前の正義感で村に向かった鬼太郎は、そこで恐ろしく厳しい授業をする「海坊主先生」と会う。
 序盤で鬼太郎の正義感をねずみ男がからかうところが面白い。ここは完全に作者の意見そのもだと思う。
「海坊主先生」はなかなか強力で印象深いキャラクターだった。なぜか彼のスーツにはスクリーントーンが貼られているし。
悪魔ブエル
 交通事故で腕を失い、親切なおじさんに文字通り手を貸してもらった少年だが、その手は悪いことばかりして困らせていた。
実はおじさんは「悪魔ブエル」だったのだ。
「悪魔ブエル」の呼び出した悪魔軍団をなんとかしようと、鬼太郎はなんでも吸い込む「ヤカンズル」の封印を解く。
悪魔軍団は退治されたが、今度は「ヤカンズル」が止まらない。鬼太郎と親父は責任をとって「ヤカンズル」に吸い込まれるのだった。
 「ヤカンズル」の中から出るには鬼太郎でも7年はかかるだろうと言って終わる。
なかなか悲壮感があっていいのだが、その割に「悪魔ブエル」の悪事がしょぼい。

 今のところ化夢宇留仁が持っている「ゲゲゲの鬼太郎」の中では最も絵と鬼太郎の正確が好みに合う。
いつ頃の作品なのだろうか?

2005.3.26


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