スカイキャプテン
ワールド・オブ・トゥモロー
2004年アメリカ/イギリス
1939年のニューヨーク。エンパイアステートビルに到着した飛行船ヒンデンブルグ3号に乗船していたはずの科学者が失踪する。科学者が失踪したのはこれで11人目で、クロニクル社の女性記者ポリーは調査を開始するが、突然現れた巨大ロボット軍団に摩天楼は大混乱に。
緊急通信を受けたスカイキャプテンは、現場に急行する・・・。
ケリー・コンランは4年かけてパソコンで作った6分の短編が認められ、その拡大版である本作の監督となったと言う。
いきなりジュード・ロウ、グゥィネス・パルトロウ、アンジェリーナ・ジョリィ、ローレンス・オリヴィエらの演技を演出することになった胸中はどんなものだっただろう。
それはさておき、俳優以外はほとんどCGIで描き出したという本作、トーンを抑えたレトロフューチャーばりばりの渋〜い画でなかなかいい雰囲気だが、暗い(汗)!
特に前半は目も慣れず、とにかく見にくかった。
スカイキャプテンのビル街でのドッグファイトというどこかのシューティングゲームで見たような画も、暗い上にスピードが速いので、余計に見にくい(汗)。
後半はそうでもないのだが、その分レトロフューチャーぽいところ、例えばアンテナから電波が送信されるのが見えたり、宮崎駿雄が元にしたレトロSFのロボットそのまんまのが出てきたり、輪っか状の光線が出たり・・・。そういう要素は後半ではあまり見られなかったのは少し残念でもあったが。
後半は謎の人物トーテンコフとロボット軍団の基地を探し出し、その計画を阻止しようとするアクション重視の展開になり、見所も多い。
空中空母は出てきただけで楽しい。
スカイキャプテンなのになぜか海中でのアクションが増えるのだが、こっちはスピードが落ちた分見やすかったので楽しめた。
その頃やっと出てくるアンジェリーナ・ジョリィも、出番は少ないけどいい感じの活躍だった。
そんな感じでラストになだれ込み、後を引かずにベタな落ちでサッパリと終わったので、観た後の気分も悪くない。
しかし思い返してみるに、まさにオタクなおっさんが趣味で作った自主映画そのものだったような気が強く残ったのだった(笑)。
ところでこの映画でひっくり返って大笑いしたところがある。
それは序盤のロボット軍団が襲撃した各国の新聞記事が出てくるところで、巨大ロボットは日本も襲撃していたのだが・・・。
あれは日本人スタッフの入れ知恵か?元々オタクである監督の趣味かもしれないな(笑)。
20060420
滅びし獣たちの海
星野之宣/スコラ平成8年9月28日初版/777円
伝奇SF、仮想戦記などの作品を集めた短編集。
レッドツェッペリン 前後編
1958年8月。世界初の原子力潜水艦ノーチラス号が、北極海潜行横断に挑戦。
一見それは華々しい冒険に見えたが、実はアメリカによるソ連への威信行為以外のなにものでもなかった。
対するソ連もノーチラス号を追い、秘密兵器レッドツェッペリンを送り出していた・・・。
冷戦下の微妙な状況であってもおかしくない展開に、この著者らしいちょっとビックリの落ちが楽しい。
でもあの空母の名前を知らなかったら楽しめないかも。
鯨鬼伝
天保十一年、肥前の叉鬼島に片足のない異人が流れ着く。
再び海に捨てられそうになるが、彼が十字架を持っていたことから、村にかくまわれる。その村は隠れ切支丹の集落だったのだ。
またそこは鯨漁が盛んなところでもあった・・・。
流石に落ちはバレバレ(笑)。
深刻な雰囲気で描かれているが、どうせだったら村人達の勘違いを面白おかしく描いた方がよかったと思う。
アウトバースト
アマゾン河上流の密林で、古代都市の遺跡が発見された。
実はそこは伝説の黄金都市エル・ドラドだったが、眠っていたのは黄金だけでは無かった・・・。
自然破壊への警告がテーマだが、そんなことよりも様々なフレーバーや展開がRPGっぽくて楽しい。
罪の島
ベーリング海で座礁した海洋調査船の生存者が、旧ソ連の生化学実験施設にたどり着く。
そこはすでに廃棄されていたが、実験結果はまだ生きていた・・・。
実験対象に選んだ生物がユニークで、ラストのスペクタクルもなかなかの迫力。
目の付け所がいい。
滅びし獣たちの海 前後編
1941年5月。巨大戦艦ビスマルク、そしてワルター・タービンを備えた潜水艦ベーオウルフが、イギリスの軍港スカパ・フローへ向かった。
しかし両艦の行く末には、数奇な運命が待ち受けていた・・・。
大艦巨砲主義のビスマルク艦長と、新たな考えを持ったベーオウルフ艦長の対比は予想がつくが、「滅びし獣」はビスマルクをそう例えているだけだと思わせておいて、更なるオチが星野節で楽しい♪
どれも佳作ばかりで楽しめた1冊だった。
星野宣之氏のマニアックな史実と歴史ミステリーを絡める展開が、どれもSF作家らしい着想なのが好感が持てる。
20040421
エル・アラメインの神殿
星野之宣/スコラ平成10年2月25日初版/781円
伝奇ファンタジー、仮想戦記、歴史パロディ作品を集めた短編集。
海の獅子
1940年8月。ドイツはイギリスへの上陸作戦「海の獅子」へ向けて、海上戦力を集中させていた。
そこに当時中立だったアメリカ海軍の潜水艦シー・ライオンが迷い込み・・・。
仮想戦記と言うよりも、単に名前にかけたパロディ作に近いが、潜水艦対大水上艦隊の戦闘は血脇胸躍るものがある。
エル・アラメインの神殿
1942年夏。北アフリカ戦線で迷子になったタイガー戦車乗員が、オーバーヒートの修理中砂漠に隠された神殿を発見する。
そこはファラオに仕えた動物たちを祀った神殿のようだったが、その奥には驚くべき事実が隠されていた・・・。
ロマンあふれる歴史SF。実にこの著者らしい着想で楽しい。タイガーはかっこいいし(笑)。
荒鷲と要塞
1944年5月。ドイツは連合軍の爆撃に晒されていたが、まだその心は折れていなかった。
名門の出の戦闘機パイロット、ライネファルト中尉は最新鋭の戦闘機を駆り、次々と撃墜数を増やしていた。
しかしある日、彼の母親と妹の住む城が爆撃され・・・。
珍しくSFや伝奇風味の無い正統派(?)仮想戦記。
次々と出てくるドイツの最新戦闘機にワクワクさせられる。それにしても50mm砲弾を発射するv083って、撃っても分解しなかったのだろうか(笑)?
アルデンヌの森
1944年12月。バルジの戦いによって、迷子になってしまった新米米兵が、ドイツ軍の燃料保管所を発見。しかし同時にケルト時代のウィッカー・マンを発見し・・・。
伝奇要素の強い仮想戦記。舞台がヨーロッパでなければ、ほとんど諸星大二郎作品と言ってもよさそうな内容(笑)。
国辱漫画
飽和16年12月8日。帝国海軍は、ハワイの米太平洋艦隊を奇襲すべく、太平洋を東進していた。
しかし彼らの外国人から観た印象そのままの国民性は、戦争を戦いぬくには潔すぎたのだった・・・。
昔の筒井康隆が書きそうな、ドタバタパロディ編。
面白いのだが作者の人柄か、悪ノリしきれていないのが歯がゆいところが目立つ。絵が洗礼されすぎているのも要因か。
国辱漫画2 G.H.Q.
僅か1週間で降伏した日本に最高司令官として乗り込んできたのは、ダグラス・バーサーカー元帥というどこかの唐揚げ屋に酷似したおっさんだった。
彼の口汚い罵り言葉の元、占領軍は大蔵省の魔窟へ乗り込んでいった・・・。
現代日本のエッセンスも取り入れたパロディ編の続編。
相変わらず悪ノリしきれていないところが気恥ずかしいが、やっぱりなかなか面白い。
20060421
スターダストメモリーズ
星野之宣/スコラ平成7年9月29日初版/825円
表題連作外「スターダストメモリーズ」を始めとした、外宇宙を舞台にした短編集。
スターダストメモリーズ
1.詩人の旅
エウロパにある鉱物プラント基地では、外宇宙へ旅立つ冬眠宇宙船の発進準備が行われていた。
しかしスタッフは長い宇宙生活のストレスに押しつぶされそうになっていた・・・。
なんとなくアーサー・C・クラークっぽい内容。
これをロマンととるか、滅び行くオールドタイプの寂しさととるかは、人によるだろう。
2.木霊の惑星
惑星ジェミニ2には、奇妙に人間じみた動物の生態系が構築されていた。
その真相を知る老人が、過去の計画の完成のためにジェミニ2に降り立った・・・。
ビジュアルイメージが強烈な佳作。
前半がおどろおどろしい分、ラストの爽やかさが際立つのは流石。
3.メリー・ステラ号の謎
惑星ベガC-2の探査任務にあたっていたメリー・ステラ号が無人で発見された。
いったいこの船にはなにが起こったのか?
惑星自らが造り出す生命球というのは実に斬新。
4.射手座のケンタウルス
惑星サジテリアスα-2には、不死の能力を持つケイロンという動物が存在するという。
その調査に向かったのは、巨大コンチェルンの会長であり、不死への渇望を秘めた老人だった。
しかしケイロスは彼の想像を絶する寄生生物だった・・・。
様々な情報の断片が提示され、最後の種明かしに持って行くのはほとんどミステリーのようで楽しい。
ああいう寄生の仕方も斬新かも(笑)。
5.鯨座の海
鯨座ミラ星系の第2惑星は生命の存在しない砂漠の世界だった。
過去にこの惑星からの電波を受信していた科学者はその秘密を探ろうとしていたが、そこに大昔の世代宇宙船がたどり着き・・・。
ベムハンター・ソードでも使われたカップヌードルアイデア(笑)だが、こちらは更に巨大水棲生物による環境復元というアイデアが。
異星生物SFの王道の一本。
6.セス・アイボリーの21日
生命調査船リンクは惑星リンデンに不時着。
唯一の生存者だったセス・アイボリーは救助信号を放つが、この惑星上では生命体の成長と老化が急速に進み、助けが来るまでに自分の寿命が尽きてしまうことを知り・・・。
泣かせる感動作。
ウラシマ効果
2070年。半世紀前に旅立ったウラシマ効果実験船が地球に戻ってきた。
船と地球の間では46年の時間差が生まれており、パイロットに志願したガイ・シマは預けてきた黄金の価値が上がっているのをアテにしていたが・・・。
なんとも言えないオチ。実はギャグ(笑)?
ウォー・オブ・ザ・ワールド
アメリカの片田舎に、突然銀河パトロールの宇宙船が降り立った!
ヒーロースペオペをメインとしたパロディ篇。
ツボを突いたところもあるが、やはりこの作者はパロディを描くには悪ノリが足りない。上品すぎるのかも。
「完璧な英語だったね」には笑った。
ターゲット
謎の隕石が地球に向かって飛来。
各国政府は一致団結し、水爆ミサイルを提供しあった。
なんとか隕石を破壊したのだが・・・。
ショートショート。テーマも上品なところも星新一っぽい。
大いなる回帰
2060年。ハレー彗星は木星の引力の影響で軌道が変化し、次の飛来時(2134年)には地球と衝突することが分かった。
74年後のことだと安心していたが、なぜか軍からはハレー彗星破壊命令が下り・・・。
彗星が原始生命体を運んでくるという説を土台にしたロマンティックな物語。
しかし展開にもう一ひねり欲しかったか。
灼ける男
2022年。 水星表面を走る男がいた。
彼の脳裏には、自分をこんな目にあわせた者が誰かという疑惑が渦巻いていた・・・。
これまたなんとも言えない作品。オチからすればショートショートと言えるのか?
宇宙からのメッセージ
パロディビジュアルイメージ集。
最初の「月の裏のウラ」が好き。
メビウス生命体
オリオン座X-17のブラックホールでは、吸い寄せられてくる宇宙塵や小惑星の調査のための採集班が編制されていたが、いつもクズしか拾ってこなかった。
しかしある日、彼らが拾ってきたのは完全な球形の物質で、それは地球外の知的生命体の存在を感じさせた。
だがその球体が破壊されたとき、それは人間の手におえる物ではないと判明する・・・。
おそらく今まで創造された宇宙生物の中でも最も凶悪な能力を満喫できる。
採集船がかっこいい。
20040421
ブルー ホール 全2巻
星野之宣/講談社1992年8月8日初版/777円
バミューダトライアングルの近くの海底にあるブルーホール。そこは6500万年前の過去の世界に繋がっていた!
シーラカンスの密漁で生計を立てていたガイヤは、ブルーホールの調査に巻き込まれ、調査船ごと穴の向こうの世界に引き込まれてしまい・・・。
恐竜大好きSF漫画家である星野之宣先生のSF恐竜アドベンチャー。
元々は本作のプロローグになっている短編で終わりの筈だったらしいのだが、その後どんどん話が膨らんで長編として完成した。
まさに恐竜や太古の世界への愛情と畏怖に満ちた内容で、著者が楽しんで描いているのが伝わってくる。
珍しくキャラクターも生き生きしているし、次から次へと出てくる仕掛けに飽きる暇もない。
人のいい科学者アルフがキャラが起ってきた途端に死んじゃったのには驚いたが、そういう意味でもどう転がるか分からない面白さに満ちている。
世に恐竜の出てくる作品というのは山ほどあるが、その中でも「のび太の恐竜」と並ぶ傑作なのは間違い無いと思う。
著者もあとがきで、ドラえもんにすがってでもこの世界に帰ってくると描いているが、その後しっかり続編「ブルー ワールド」を描き上げている(笑)。
恐竜好きはジュラシックパーク観るより、こっちを読んだ方が楽しめるぞ(笑)!
20040422
ブルー・ワールド 上下巻
星野之宣/講談社漫画文庫2001年5月11日初版/830円
マダガスカルの海岸に首長龍の死骸が打ち上げられた。その北東の海では、海水が沸騰し、地獄のような様相をていしていた。
それはブルーホールの向こう側に巨大隕石が落下した影響だった。
一方イギリスのネス湖では、イギリス軍が主導し、大規模なブルーホール内探索計画が進められていた。
ブルーホールは各地に存在し、それぞれ繋がっている年代が異なっていたのだ。
ネス湖のブルーホールの向こうは、1億4000万年前のジュラ紀の世界に繋がっていた・・・。
読者著者共に待望の(笑)、「ブルーホール」の続編。
今回はイギリス軍女性兵士、科学者とその孫娘、アメリカ人の記者とその彼女、女医、それにアメリカ軍人が中心人物となり、ジュラ紀の世界でサバイバルに挑む。
前作と比べると、キャラクターと世界の描写がより作り込まれ、一本筋が通った印象がある。
特にアメリカ人のグロック中尉が凶悪な上に有能に描かれているのが、緊張感を産んでいて目を離せない。
世界の描写では哺乳類の楽園になっている高地のシーンが挟まることによってメリハリが出来、ジュラ紀世界の広大さを感じられるようになっているのが素晴らしい。
ストーリーはサバイバルがメインになって前作よりもシンプルになっている。これをどう取るかは読者次第だと思うが、化夢宇留仁はこちらはこの形が引き締まっていてよかったと思う。
ちなみに最初の方に「ブルーホール」の主人公のガイヤと船長もちらりと出演している。
TRAVELLERっぽいデータベースに、MAGさんによる紹介も掲載している。
20040423
サーベル・タイガー
星野之宣自選SF傑作集
星野之宣/双葉社1987年6月9日初版/780円
毛色の変わった作品の多い短編集。
サーベル・タイガー
氷河期の地球で堂々と生きているサーベル・タイガー。
彼にとって目障りでしかない醜い生き物、それはその時代を生き抜いていた最後の原始人類、つまり直系の人類の祖先だった。
そんなところに現れる2479年からやって来た未来人達・・・。
傑作。サーベルタイガーがかっこよすぎ。時間曲線の輪というのも面白い。
ユニコーンの星
初めて発見された人類の居住に敵していると思われる惑星エデンは、草原の広がる楽園のような惑星だったが、奇妙な音が聞こえてくる・・・。
惑星の自転音の影響というアイデアは面白いが、ユニコーンの存在理由や根拠が希薄で、ラストも納得いかないのが残念。
サージャント
ロボット戦車「コンク」に率いられた小隊の戦いと、その結末。
機械であるコンクが軍曹で、生身の人間が部下というのがミソ。
コンクの思考が面白く、デザインもかっこいいぞ。
アダマスの宝石
永遠の命をもたらすと言われる、ダークスターダイヤモンドがあるという惑星アダマスへ向かうのは、余命数年の病人達だった。
彼らは命がけの任務の末に地球に帰り、冷凍睡眠による時間経過によって進んだ技術で病を治すつもりなのだ。
しかしクルーとなった恋人を心配して同行した看護婦のナミが冷凍睡眠から目覚めると・・・。
アダマスの描写とダークスターダイヤモンドの設定は面白いのだが・・・夢(笑)?
クォ ヴァディス
突如太陽系に侵入してきた全長7777mの物体。それは3本の四角柱が交差した形で、角度によっては十字架そのものにも見えた。
不規則に動くそれはいったいなんなのか?
発想が全ての王道SF作品。宗教が絡むのも面白い。
タール・トラップ
化石の元となるタール・トラップにまつわるコメディ色の強い全3話の連作短編。
最初の話で恐竜へのロマンをはせる物語かと思わせ、第2話の箱舟のオチでひっくり返り、第3話の1話とリンクするオチで笑わせてもらった。
今まで読んだこの著者のコメディの中では一番面白かった。
冬の惑星
調査船が惑星グイン2で発見したのは、言葉を持たず、多くのタブーに縛られて、厳しい氷った世界に生きている人々だった。
その調査隊と接触し、一族の聖地を案内した少年は・・・。
SF的発想とドラマチックなストーリーが融合した傑作。彼女の表情がいいんだこれが(笑)。
よく出来たのと変わった作品とが混在した作品集で、なかなか印象的な1冊だと思う。
出来がかんばしくない「ユニコーンの惑星」と「アダマスの宝石」は掲載時にそれぞれ改稿、加筆がされたようだが、元はどんなのだったかが気になるところである。
「クォ ヴァディス」も改稿されているが、こちらは満足いく内容なので元はどうでもいいな(笑)。
20040423
残像
星野之宣/メディアファクトリー2000年5月20日初版/590円
初期〜中期の雑多な短編集。
美神曲
金星の地獄のような環境に設置された2基の採掘機械工場。
それらには同型のコンピュータが内蔵されており、ダンテとベアトリーチェと名付けられた。
しかしベアトリーチェが事故で破壊され、更にはダンテとも連絡が取れなくなってしまい・・・。
ミステリーっぽい展開に、SFらしいラストが用意されているが、少々練り込み不足か。
残像
月面で隕石の至近距離への墜落の影響で一人の女性科学者が亡くなり、彼女の部屋からは太古の地球を写した写真が発見された。
現場にやってきた彼女の元夫が、その謎に挑む。
情感に訴えるドラマと、SFらしいアイデアが見事に物語として昇華している。
世界樹
火山の噴火に遭遇し、バイキングのような男性に助けられた少女。彼女の娘は火星に火山学者として派遣されていた。
火星のバイキング基地では、氷の下に巨大な木が封じ込められているのを発見しており・・・。
バイキングの伝説と、地球外生命の発見と、発熱潜氷艦などのメカアクションが絡まり合って最初から最後まで楽しめる。
遠い呼び声
小さい頃から何度もUFOに遭遇し、なぜか自分の名前を呼ばれているような気がしていたジョディ。
彼女はテスト宇宙飛行士のレイの声に、どこかUFOからの声と似たイメージを持った・・・。
流石にアダムスキー型円盤は古くささを感じざるを得ないが、その形状の種明かしには目から鱗が。
海の牙
原子力潜水艦アクエリアスが沈没した。調査に向かったイエルマーク艦長だが、謎の巨大生物に攻撃される。
同乗していたロゴスという男は、巨大生物が渦巻きの中で隔離された環境で巨大化したものだと突き止める・・・。
巨大生物の正体は面白いが、物語としてはあまり目新しいものではない。
それよりも本作が著者の初連載作品「ブルー・シティー」のサイドストーリーであり、ロゴス司令官とイエルマーク艦長の出会いを描いているところが興味深い。
「ブルー・シティー」はTRAVELLERっぽいデータベースで紹介している。
暁の狩人
ネアンデルタール人と同時期に生息していたという、より現代の人類に近い存在だったと思われるプレサピエンス。
彼らの化石は僅かしか発見されておらず、短期間で滅んだものと考えられているが・・・。
いくら原始人でも女子供はもう少し大事にしたと思う(笑)。オチはともかくお頭がすり替わる展開が面白い。
小粒なイメージの作品が多い本だった。文庫版のせいもあるかもしれないが(笑)。
20040424
ぎるど見聞録!
こいでたく/ホビージャパン1994年9月1日初版/951円
RPGマガジンなどに連載された(と思われる)ファンテジーTRPG風コミック。
借金を抱えて冒険者もほとんどいない冒険者ギルドをやりくりする少女プリモが主人公で、力任せの僧侶、脳天気な召喚師少年、ごっつい元賞金稼ぎの戦士、女好きの魔法使いというステロなメンバーで、ライトな物語を展開するコメディ。
通常この手のライトファンタジーはあまり好きでは無いのだが、こいでたく氏は絵が丁寧で変に色気方面にいかない(いけない?)のが好きなので、なんとなく持っている。
久しぶりに読んでみたら、見事に毒にも薬にもならない内容で安心した(笑)。
キャラクターはそれなりに魅力的だし、本格的なストーリーも読んでみたかった。
例えば「石巨人の迷宮」にこのメンバーが挑むとか(笑)。
一つ残念なのはエピソードの収録順で、どうやら昔に描いたらしい話が真ん中あたりに挟まっていて、キャラクターの有無が筋が通らなくなっている。
なんでそんなことになってしまったのか不思議でならない。
20060424
なつ漫探偵団
すずき寿ひさ/ぶんか社1995年11月7日初版/971円
タイトル通り、懐かしの漫画を紹介する書籍。
単なる紹介本と異なるのは、著者自らが元の漫画を模したイラストを描いて解説しているところ。大雑把なコマ割りもされており、この書籍自体漫画になっているのだ。
目の付け所は完全にマニアックな読者のそれで、決して批評家のものではない。
おかげでパラパラと見ているだけでも楽しいし、気になったところを拾い読みしてもいい感じの暇つぶしにベターな本になっている。
化夢宇留仁的には「なつかし」漫画の半数は懐かしいを通り越して読んだことがないもので、それはそれで興味をそそられた。
特に紹介を読んで元の漫画を読みたいと思ったのは、「デロリンマン」「地獄くん」の2本。
どこかで見つからないだろうか。
紹介しているタイトルは以下の通り。
「巨人の星」「鉄人28号」「鉄腕アトム」「キューティーハニー」「愛と誠」「ど根性ガエル」「ワイルド7」「8マン」「銀河鉄道999」「庖丁人味平」「空手バカ一代」「光る風」「サインはV!」「魔法使いサリー」「ダメおやじ」「サーキットの狼」「怪傑ライオン丸」「デロリンマン」「柔道一直線」「悪魔くん」「地獄くん」「マカロニほうれん荘」「宇宙海賊キャプテンハーロック」「あばしり一家」「マグマ大使」「ジャイアントロボ」「チャンピオン太」
20060425