帝都物語
BABYLON TOKYO
藤原カムイ(原作/荒俣宏)/角川書店1988年2月20日初版/880円

 明治40年4月。
平将門の首塚で、妖しい儀式を行う人影が。その中心人物は軍服を着ており、将門の霊を呼び起こそうとしているらしい。彼こそは加藤保憲。帝都東京に恨みを抱く魔人だった。
依童の力が足りず、将門の降霊に失敗した加藤は、大蔵省官吏の辰宮洋一郎の妹、由佳理が強力な依童になることを見抜き、彼女を誘拐する加藤だが・・・。

 荒俣宏の代表作を、藤原カムイがコミック化。とは言っても勿論全部ではなく、加藤が辰宮恵子に捕まるまでを描いている。
 藤原カムイのドライな絵とドライな演出は、なかなかかっこいい。
しかし漫画として面白いかというとそれは別問題で、よくあるフィルムコミックを見ているような距離感を覚える。
キャラクターもどいつもこいつも薄っぺらで、歴史に顔を出す有名人がゴロゴロ出てくるのだが、勿論感情移入は不可能である。
 帝都物語の入門用ダイジェストと考え、センスのある絵を眺めて明治の雰囲気を楽しむものだと思えば特に文句も無いが。

20060528



帝都物語
TOKYO WARS
高橋葉介(原作/荒俣宏)/角川書店1989年9月20日初版/874円

 加藤と恵子は満州にわたって馬賊となっていた。それも恵子の力で加藤の東京への攻撃を抑えた結果である。
一方日本の辰宮家では、病に伏せる由佳理が、決起を前に霊的に妨害するものを始末しようとする北一輝の祈祷のため、怖ろしい発作に苦しんでいた。
 また日本政府は開戦に向けて着々と準備を進めていたが、その影で、やがては加藤の最大の敵となる不気味な外国人トマーゾが・・・。

 荒俣宏の原作を、高橋葉介がコミック化。物語的には上のカムイ版の続編に当たる。
絵の洗練度では当時の高橋葉介はカムイに数歩譲るが、漫画としての面白さは桁違い。同じ荒俣宏の原作なのに、このキャラの起ち方の違いはどういうことであろうか。
 加藤も恵子も雪子も、その他の様々なキャラクターも生き生きとしており、特に加藤と恵子の愛憎うずまくややこしい人間関係を見事に表現しているのが素晴らしい。

 物語は226事件をはさみ、登場人物達の数奇な運命が描かれた後、最終的に加藤とトマーゾの対決となる。
これがもうまさに2大怪獣直接対決という感じで、そこに持って行くまでの展開が最高に盛り上がり、キャラクター、ストーリー、演出共に文句のつけようのない出来。

 高橋葉介のオリジナルキャラクターである夢幻魔実也氏もゲスト出演しているが、これもうまいこと使っていて、決して出しゃばらず、しかし雰囲気を盛り上げるのには役立っているという心憎さ。

 というわけで大傑作である。
高橋葉介がこんなに原作物と相性がいいとは意外だった。

20060529



夢幻紳士 怪奇編
 全3巻
高橋葉介/徳間書店昭和61年11月20日初版/680円

 霊能力か、催眠術か、不思議な能力を持った夢幻魔実也氏が体験する、怪奇で猟奇で幻想的でエロティックな物語の数々。

 物語の多くは、夢幻氏が傍観者として人々の恨みや悲しみ、そして数奇な運命を目撃することになるのだが、中には「吸血鬼」のように彼自らが戦う場合もある。
しかし彼はあくまで観察者であり、自らどうこうしようというつもりが無いのが微妙で心地よい距離感を生んでいる。
 絵柄は少年版と異なり実にしっとりした筆致で、特に1巻の絵柄は筆とペンのバランスが見事で、雰囲気満点で美しい。

 基本的にどれも一定以上の面白さを備えた完成度の高いシリーズなのだが、その中でも化夢宇留仁のお気に入りは、1巻では「幽霊夫人」。
夫が好きで幽霊になって出てきたはいいが、その夫に相手にされなくなり、夢幻氏に慰めを求めるのだが、その幽霊奥さんがなんとも可愛く色っぽいのだ(笑)。
 2巻では「サトリ」「蜘蛛」がいい。
「サトリ」は雪山の一軒家に住む人の心が分かる少女と夢幻氏が出会う物語だが、実に切ない物語を見事なテクニックで描ききっている。化夢宇留仁はこの作品で高橋葉介は手塚治虫に並んだと思った。
実際「ブラックジャック」にすごく雰囲気の似た話なのだが、シリーズ中でも屈指の名作なのは間違いない。
「蜘蛛」は化け蜘蛛が継母となった少女の物語で、ストーリー自体はよくある流れなのだが、オチの突き離し方がうまい。
 3巻では「花火」「鬼」「蛇」「夜会」と名作が続くのだが、その後が昔の夢幻紳士と、関係のない短編なのが残念なところ。
「花火」は花火の幽霊というアイデアの時点で成功が決定されたようなもの。
「鬼」は著者がよく使う女の怨念ものだが、夢のシーンの迫力がすごい。
「蛇」は少しコミカルな雰囲気もただよう告げ口蛇の話だが、いかにも男女の事の後のベッドでの話という感じが面白い。
「夜会」は綺麗すぎる喉の女を見ると、ナイフで切り裂きたくなる、または綺麗すぎる喉の女はナイフで切り裂かれたいと思っている・・・?とまあそういう話だが(笑)、例の階段のある場所が出てくる画的に印象的な作品。

 次のずいぶん昔の夢幻紳士「人形地獄」だが、これはこれでよくできた作品で、傑作と言えると思うのだが、やはり今までの絵柄とのギャップがありすぎるのは実に残念。
ちなみにアルカードらしき執事も出てくる(笑)。
 あとは短編の「遠い道」と「虎」で、この2つの感想は「猟奇博士」のところで書いている。

20060529



夢幻外伝
 全3巻
高橋葉介/朝日ソノラマ平成6年3月25日初版/757円

 「死者の宴」「夜の劇場」「目隠し鬼」の全3巻からなる、夢幻紳士外伝連作短編集。
夢幻氏は基本的には怪奇編に近いのだが、住んでいる下宿屋が出てきたりと生活感が増し、少し人間くさくなった。
勿論それでも充分浮世離れしてるのは間違いないのだが(笑)。
 内容的には怪奇編の幻想的なところがいいのか、外伝の地に足着いた雰囲気がいいのかは完全に個人の趣味の範疇だと思うが、化夢宇留仁は外伝の方が好みに合っていた。
 作品毎に考えてみても本作はどれも出来がよく、傑作と呼べるものも多い。
特に化夢宇留仁が気に入ったのは、2巻の「化物屋敷」「鳥女」、3巻の「目隠し鬼」の3作。
特に「目隠し鬼」はどことなく江戸川乱歩を思わせる傑作で、少女の奇妙な体験が圧倒的なリアリティで描かれていて、鬼気迫るものがある。その分夢幻氏の活躍シーンは少ないが、これは仕方のないところだろう。

 それにしても高橋葉介はすごい。1作毎に完成度と面白さを増しながら、近年もどんどん新作を発表し、それが更に面白くなっていっている。
隠れた大作家の一人である。
いったいどこまでいこうというのか。

20060605



タイム・タイム
 全3巻
森秀樹/小学館昭和60年4月5日初版/360円

 周平とみすずは幼なじみで、家も隣。
周平はみすずに惚れていたが、みすずは頭がよくてスポーツ万能。周平の方は誉められるところが何一つ無い駄目駄目野郎で、とてもじゃないが釣り合わない。
その日も周平はみすずの寝姿を覗こうと朝早くに起きたが、みすずに気付かれて投げ飛ばされていた。
そんな二人のところにやってきたのは、10年後の二人だった・・・。

 なんでこんな中途半端な作品がいきなり出てくるかというと、トイレに行くときにダンボールを漁っていたら出てきたのだ(笑)。
 森秀樹と言えば墨攻とか新・子連れ狼などで有名な渋い絵の作家だが、当時は明らかにあだち充の影響を受けた絵で、宮崎駿風アクションコメディーを描いていたのだから人生って分からない(笑)。
本作の特に1〜2巻は、まさに宮崎アニメバリバリのアクションシーン満載で、絵柄が微妙にリアルなところや、感情描写も悪くないので変なバランスがとれていて結構面白い。本来の対象である中学生が読んでいたら少しドキドキしそうなエッチなシーンも趣があっていい(笑)。
3巻は後日談風の話が続き、もう一つなのだが、最後の話でちゃんと締めくくっているので読後感は悪くない。

 今読み返してみれば、著者の将来有望さを感じさせる作品だが、なにがああも強烈な路線変更に導いたのだろうか。
興味深いところである。

20060608



ウルトラマンコスモス
THE FIRST CONTACT

2001年7月松竹 監督/飯島敏宏

 バルタン星人が地球に向かうのを阻止しようと戦うウルトラマンコスモス。
激しい戦いの末、両者負傷して地球へ落下してゆく。
その頃天体観測キャンプに来ていた小学5年生のムサシは、急な嵐に身動きがとれなくなっていたが、山中になにかが墜落したのに気付き、翌朝確認に行く。果たしてそこに倒れていたのは、力を失い、負傷によって身動きもままならないウルトラマンコスモスだった・・・。

 テレビシリーズの8年前に、主人公がコスモスと出会ったエピソードを映画化。
当時メディアミックス戦略で、テレビもほぼ同時にスタートした。
 内容的には少年の夢を大事にし、異なる生命体とも友愛を・・・という感じで平和指向が強い。これはウルトラマンコスモス自体がそんなテーマなので問題ないのだが、本作はもう少し詰めが甘いところが目立ち、化夢宇留仁はイマイチのれなかった。
 まずCGを多用したアクションだが、2001年公開なので技術的に未熟と言うこともあるだろうが、それ以前にカット割りやアングルなどがもう一つで、イマイチ盛り上がらない。
迫力のあるカットは多いのだが、それがうまくまとまっていない感じ。なんだか惜しい。
 また劇中には2つの架空の組織が出てくるのだが、どちらも狂ってるとしか思えない。地球外生命体は全て殲滅するという方針のシャークスはまだ一貫性があり、国家権力ということでまだしも納得できるのだが、もう一つのSRCはマジで怖い。
SRCは地球外生命体や怪獣とのコミュニケーションを行い、トラブルを平和的に解決しようと言う組織なのだが、これが民間の有志が集まったボランティアである。
そして怪獣も宇宙人もコンタクトした事実は一切無い状況で、秘密基地を建設し、合体分離戦闘機まで保有している。
メンバーはみな穏和でにこやかで、少年の法螺としか思えない話も真面目に聞いてくれ・・・・・・って、完全にいっちゃってる人達である(汗)。
上記のにこやかな雰囲気が怖くて怖くて・・・(汗)
 そんなわけで、全体的にキチガイとしか思えない人ばかりで、そこに「ね〜むれ〜ね〜むれ〜」と歌われた日には、ほとんど悪夢を見ているような気にさせられてしまう。
劇中まともだな〜っと思えるのは、主人公のお母さんとバルタン星人だけだったり(笑)。
 この辺のズレ感は、どうも監督がベテランすぎたせいではないかと思った。子供向けに丁寧に作っているのだが、その「子供向け」の感覚が古いのだ。
また実は他作品のパクリとしか思えない要素も多く、元々神聖ささえ感じさせるカリスマ性を持っているウルトラマンでやっているのでまだ見れるが、これが他のヒーローだったらとんでもないバカ映画である。

ポスターについて
 画像はいくつかバージョンがある内の一つ。 多分一番一般的な内容のもの。
ソツのない作りで悪くはないが、相変わらず内容がサッパリ想像できない無個性さは否めない。
もう少しドラマ面も暗示するポスターを見てみたいものである。

20060713



ハウルの動く城

2004年 監督/宮崎駿

 魔法の存在するヨーロッパ風の架空の世界。
帽子屋で働く地味な女の子ソフィは、魔法使い同士の争いに巻き込まれ、荒れ地の魔女に呪いによって90歳の老婆にされてしまう。
居場所が無くなり、荒れ地に向かったソフィは、ハウルの動く城にたどり着く・・・。

 テレビで観たのだが、ここ数年の宮崎作品の中ではピカイチの出来だったと思う。
とにかく主人公であるソフィが強い。
精神的な弱さが無いわけではないのだが、逆境に対して立ち向かう力という点では数ある宮崎作品の中でもトップクラスで、彼女がグイグイとストーリーを引っ張ってくれるのが心地よい。
 そもそもそのストーリーが、様々な要素が絡んでは来るが、要するに「ソフィがなにをしてどうなるのか」に絞られているので、感情移入もしやすく、また彼女の視点を通して見せることで変わった世界やキャラクターも違和感無く受け入れられるように出来ている。
なんで戦争しているのか、なぜ年齢がコロコロ変わるのか、なぜそこにいるのか、などなど、色々分からないことが多いという文句をよく目にするが、明らかにそんなことはどうでもいいのであえて描かれていないのである。
 中でも見所なのが、(おそらく魔女を捜して) 一人荒れ地に向かい、かかしのカブと出会い、ハウルの城にたどり着く件。それに王宮へ向かい、荒れ地の魔女と共に階段を上るシーン。
 荒れ地に向かうシーンでは、多くの場合映像作品としては問題点となる独り言をソフィが何度もつぶやくのだが、セリフの選び方と彼女の置かれた境遇がマッチして、逆に効果的なのは見事である。
また化夢宇留仁はこのシーンの背景にいたく感動した。日が傾いてきている時間帯の荒れ地の斜面は薄く黄色みがかって美しいが、そこに強い風が吹いて草を激しくゆらしている描写が加わり、素晴らしい臨場感を生み出していた。
 階段のシーンでは荒れ地の魔女が、もうソフィの強さの前では相手にならないことを示し、物語は新たな段階に入る。
魔女のセリフで「荒れ地」が虐げられて行く場所の無くなった者が住む場所だとはっきりするシーンでもある。
結果ソフィは勿論のこと、ハウルもそういう立場だと分かるわけである。
しかしなによりの見所は荒れ地の魔女のヘロヘロぶりだろう。
またこのシーンで、ソフィに対する呪いがどういう状態なのかをはっきりと示すセリフがある。
荒れ地の魔女の「なんであんなに元気なの?」がそれである。
多くの人がソフィの呪いは劇中いつ、そしてなぜ解けたのかと疑問に思っているようだが、呪いは最後まで全然解けていないのである。
単にソフィの強さが少しずつ呪いに打ち勝っていったということであり、最初はまさに老婆で、少し動いただけでも痛みを感じ、腰も大きく曲がっていたのが、背筋をピンと伸ばして元気に歩けるようになったのも、荒れ地の魔女にも分からないソフィの強さのせいなのだ。
一時的に顔まで若い状態に戻るのは、ほんとに戻っているのだと考えてもいいし、そう見えているだけだと考えてもいいと思う。
化夢宇留仁は後者だと思っているが。
 ただし明らかに一時的に呪いが解けているシーンも1箇所だけある。夜ソフィが寝ているところをハウルが覗くところで、あそこは髪も元に戻っているので、おそらく眠っている間だけは呪いが解けるのだろう。
もう1箇所髪の色も戻っているシーン(ハウルの部屋が洞窟になっているところ)があるが、あそこは夢なので例外である。

 話題の声優だが、思ったよりも悪くなかった。
声優っぽさが鼻につくこともあれば、逆に声優じゃないのが鼻につくこともあるが、本作はそのどちらも無く、普通によかったと思う。珍しい三輪明宏の慌てた演技もよかった。

 ハウルの城の描写については、悪くはないがまだCGっぽさが目立ち、ハウルの城がすごいというよりも、CGが興味深いと思ってしまうのが少し残念。
元々ああいう巨大メカを動かすのは得意なジブリなのだから、もう少し手書きで頑張って欲しかったかも。

※画像について
 いくつかある中で、一番気に入っているタイプ。
他のはハウルの城のアップだったり、若い頃のソフィとハウルのアップだったり、内容を正しく伝えているとは思えず、好きになれないのだ。
こっちは荒れ地を歩くソフィ。遠くにハウルの城(その脇に小さくカカシも立っている)というドラマを感じさせる構成で、またあくまで老婆の姿のソフィが主役なわけだから、こうあるべきというポスターである。ストーリーの流れ上はそこにいるはずのない犬もいたりするのがポスターらしくてまたいい。
色々商業的な理由もあるのだろうが、内容をねじ曲げたアピールは場合によってはサギみたいな結果になりかねないわけだし、やはりある程度は正しく内容を伝えているポスターにしてほしいと思う。

20060724



ガーフィールド
ザ・ムービー

2004年 ピーター・ヒューイット監督

 1972年に新聞の連載漫画で登場したガーフィールドを、3DCGを駆使して実写映画に。
飼い主ジョンに愛され、ぬるま湯のような日々を送っていたガーフィールドだが、ジョンが子犬のオーディーを連れて帰ってからというもの、彼の苦難の日々が始まる・・・。

 ヒロインである獣医のリズ役が、化夢宇留仁が大ファンであるジェニファー・ラブ・ヒューイットである。
ほとんどそれ以外語るところも無いのだが(笑)、少し我慢して続けてみる。
 ガーフィールドは元のコミックキャラクターのフォルムを忠実に、かつリアルに3DCGで再現している。スクービー・ドゥと同じような感じ。
スクービー・ドゥの方も中途半端感がなかなか拭えなかったが、本作はそれに輪をかけて中途半端になってしまっている。ガーフィールドの他にも犬や猫、ネズミなどの動物が登場するのだが、その描写に一貫性が無く、ほんとにリアルな動物そのものから、よくしゃべってガーフィールドとやりあうものまで、変に幅がある。中でも変なのが子犬のオーディーで、こいつがしゃべらない上に中途半端にバカ描写があり、更に中途半端に友情のようなものを示したりするので、完全に世界から浮いてしまい、ドラマもクソも無くなっている。なにしろCGのガーフィールド以上に浮いているのだからどうしようもない。
化夢宇留仁だったらせめて声優はつけ、でも「お?」とか「う?」とか「あー」くらいしかしゃべらないようにして(笑)、子犬なのでバカというキャラクターをはっきりさせたいところである。
 まあでもほんと内容はどうでもいい。
要するにジェニファーが見れればそれでいいのだ(笑)。 彼女が出てなかったら観てないし。
上映時間全部彼女が写っていたら最高だったのだが(笑)。
それにしてもジェニファー・ラブ・ヒューイットってば、可愛いのにろくな映画に当たらないな。アメリカ版麻生久美子か(笑)?
まあジェニファーが麻生久美子なみに脱ぎっぷりがよければ、もっと売れていたと思うのだが。

※画像について
 これは上映時のポスターやチラシに使われたもので、だらしない生活を送っているガーフィールドが描かれている。
内容を正しく伝えるという点では見事な完成度である(笑)。
しかしこれで観たくなるかというと、わざわざだらけきっているCG猫を観たいと思う人は少ないだろう(笑)。
これに加えてソファーの後ろで好きなことしているオーディーと、ばたばたしている飼い主ジョン、傍観している近所の猫達などがあると違ってくると思うのだが。
でもそんなことしていると、70年代のコメディ映画のポスターになってしまうな。やはりシンプルなのが最近の流行なのね。
しかし勿論ジェニファーの顔はほしい(笑)。

20060728



スターシップ・トゥルーパーズ2

2003年 フィル・ティペット監督

 アラクニドに包囲され、廃墟と化した前線基地に逃げ込んだ生き残りの兵士達。基地には上官を殺して監禁されていたダックス大尉が残されていた。ダックス大尉は頼りになり、なんとか敵の撃退に成功。
そこに死んだと思われていたシェパード将軍が、少数の生き残りと共に基地にたどり着く。
電磁バリアで守られた基地に閉じこめられた形となった一行は、なんとか通信機を直して救出を呼ぼうとするが・・・。

 始まってすぐに前作の使い回しシーンが多用され、新作シーンになったと思った途端にそのチープさにくらくら。
また演出面でも、人が飛ばされるほどの強風の中、なんとか匍匐前進しかできない状態だったのに、アラクニド兵が襲ってきたら普通に立って反撃するなど、見ていて腰が砕ける。
 基地に入ってからは、SFホラー色が強くなり、前作のカラッとした残酷描写とは対称的に、陰湿なグチョグチョの描写が続く。
しかしこのあたりからキャラが起ちはじめ、最低ラインだった面白さがジリジリと上昇。
クライマックスはあまりにも絶望的な状況で、このまま終わってしまうのか、またはしょうもない「こんなこともあろうかと」的な展開でひっくり返すのかと思いきや、まったく予想外の展開で面白さ急上昇!
オチは前作のエッセンスも取り入れてそれなりに綺麗に収まり、見終わってみれば、感想は「面白かった」だった。

 映画の感想を載せているサイトなどではほんとにクソミソに言われており、そりゃあ前作と比べれば制作費は桁違いだし(前作の5%らしい/笑)、派手な見せ場も無いしである程度は仕方がないと思うが、そんなに出来の悪い作品ではない。
むしろ脚本の完成度は前作よりも高い。仕掛けはよくあるSFホラーのそれだが、中盤を丁寧に作り、クライマックスで意外な展開を用意することで、その辺の類似作よりは頭一つ抜きん出ていると思う。
逆にこんな制作費でチープな仕掛けの話を、前作との整合性を取りながらまとめ上げたフィル・ティペットは、初監督としては素晴らしい仕事をしたと思う。
もっと評価されてしかるべき作品。

※画像について
 前作の絵柄に、アラクニドの脚が1本追加されただけという素晴らしいチープさ(笑)。
前作とのつながりをアピールするには悪くないが、このせいで前作のような内容を期待してしまうので、余計に評価が悪くなってしまっている。もっと2独自の内容をアピールするべきだったと思う。
どうせだったらタイトルも替えて、前作の続きと言うよりも同じ世界を舞台にしたスピンアウト的な扱いだったらずいぶん違っていたと思うのだが。
でもそれじゃ客が入らないか。どうせアメリカでは劇場公開はされなかったらしいが。



時をかける少女

2006年 細田守監督

 ちょっと間抜けだがエネルギッシュな高校2年生の女の子、紺野真琴は、踏切事故をきっかけに時間を戻る能力を発現させる。
自分に起こった現象が信じられずに、叔母の芳山和子に相談すると、それは「タイムリープ」で、年頃の女の子にはよくあることだと言われる。
真琴はタイムリープの使い方を覚え、少しでも困ったことがあると時間を戻り、楽しい日々を送る。
そんなある日、友達だと思っていた間宮千昭から突然告白された真琴は、狼狽してタイムリープを使い・・・。

 期待した通りの内容で、楽しめた。ただ期待通りすぎて予想外の部分が無かったのは少し残念か。期待しようにもしようがなく、それで観てみたら予想以上に酷いということが多い昨今では贅沢な話だが。
 演出は相変わらずの細田のそれで、神経が行き届いており、最初から最後までダレるところもなく、キャラクターも魅力的に描かれている。
キャラクターの描き方は、設定よりもセリフや動作でじっくりと紹介してゆく手法で、この辺の切り捨てるところと表現するところのメリハリは流石。
ストーリーも同じ事が言え、特に「タイムリープ出来る」ということを、叔母のセリフであっさりと片づけてしまったのは見事だった。 あそこで「信じる信じない」「出来る出来ない」の話になったらダレていただろう。
 声優陣はほとんどが知らない人ばかりで、どうやら本職の声優は少なかったようだが、これも全体的によかったと思う。
特に主人公の「のび太泣き」は気に入った(笑)。

 実は化夢宇留仁は「時をかける少女」という作品は、あくまでライトなジュブナイルとして成立しているもので、1本の映画としては素材として不十分だと思っている。
タイムスリップというメインの仕掛けも、今となっては手垢がつきすぎている。
大林監督の実写版では監督の個性と原田知代というアイドルが効果を成し、それなりに興味深い内容にはなっていた。
しかし続編でもあり、リメイクでもある本作では、やはり素材の不十分さが影響するだろうと予想していたのだ。
結果それも予想通りだったのだが、逆に素材が不十分な割に楽しめたのは、細田監督の丁寧な描写によるところが大きい。
だがどうせだったら素材ももっと面白いものを選んでおれば、もっと面白い映画になっただろうと、少し残念だったりもする。

20060807


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