アメリカン・スクール・トリップ
2003年アメリカ/デイヴィッド・ミッキー・エヴァンス監督
ポルノビデオをコピーして売っていた3人組の童貞高校生が、自らポルノビデオ制作することを決意。大人のフリしてストリップバーに潜入し、主演女優をゲットし、いよいよ撮影となるが・・・・・・
アメリカン・パイの流れをくむ童貞高校生が主役のコメディだが、ギャグはすべりまくりだし、脚本演出もイマイチでテンポが早い代わりにドラマになりきれていない。
全体的にイマイチ感が強い作品だが、ポルノ映画の主演女優が可愛いので化夢宇留仁は許す(笑)。
元はテレビスペシャルドラマらしい。
20090919
タキシード
2002年アメリカ/ケビン・ドノヴァン監督
タクシー運転手のジミーは画廊の店員をデートに誘おうとするが、全然相手にされない。そこに舞い込んだのは、金持ちの運転手の仕事だった。
何の仕事をしているのかよく分からないが羽振りがよく、エレガントな雇い主が持っているタキシードには秘密があった・・・。
目的はジャッキーではなくてヒロインのジェニファー・ラブ・ヒューイットの方(笑)。
ジャッキー映画としては、アクションが全部タキシードの超能力によるものという扱いで、なんだか勿体ないような感じ。
若く見えるとは言えキャラクター的にも少し無理が(笑)。
しかし全体的にテンポはよく、脚本演出も丁寧なので、それなりに楽しんで見ることはできた。
とりあえずジェニファーは可愛いし(笑)。
20090919
カメレオンの呪文
魔法の国ザンス1
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1981年5月31日初版
魔法の国ザンスでは、人間達はみななんらかの魔法の力を持っていた。
しかしビンクはそれが無く、このままでは追放されてしまう。
ビンクは自分に本当に魔法の力が無いのか知るために、1年間の奉公と引き替えにあらゆる問いに答えてくれる、よき魔法使いハンフリーの城を目指す・・・・・。
読んだのは今回で5回目くらいか。なにしろ長いシリーズで、新作が出ると前を忘れているので1巻から読み直すパターンで再読回数が増えているのだ。
と言っても基本的には1冊毎に完結しているのでそこまで神経質になる必要はないのだが、基本的に1度出てきたキャラクターは続きでも出てくるので、覚えていた方が断然楽しいのだ。
とりあえずザンスシリーズの特徴は、1.論理的&現実主義であること、2.ユーモアに満ちていること、3.ひたすらエロいこと(笑)の3点である。
1.論理的&現実主義
物語もキャラクターの思考もひたすら論理的であり、キャラクターの行動選択理由もひたすら現実的。
ファンタジーに対して幻想的な雰囲気を期待する人は、絶対に読まない方がいい(笑)。
しかし化夢宇留仁的にはここが実に気持ちよく、ストレスを感じずにすむので助かる。
2.ユーモアに満ちていること
全編にわたって、当たり前のようにユーモアが織り込まれており、むしろユーモアの土台にストーリーや世界が載っている感じ。
これも化夢宇留仁的には気持ちよく、読みやすい。
化夢宇留仁がTRPGなどで目指すのもこんな感じである。
3.ひたすらエロいこと
別にポルノ小説というわけではない(笑)。あからさまな描写は一切ないし、少年少女も対象である健全なファンタジー小説なのは間違いない。
しかしなんというか、だからこそなのか、とにかくエロい。
想像をかき立てるのがうまく、とにかくモヤモヤさせられるのが楽しいのだ(笑)。
これはもちろん化夢宇留仁的にポイント高いのは言うまでもない(笑)。
そんなザンスシリーズの第1作では、主人公ビンクが旅の間に様々な人や人でないものと出会い、成長してゆく。
いわゆる自分探しの旅であり、これは後のシリーズでもほぼ一貫している。
その旅の途中で出会った人や人でないものが、その時だけで終わらず、その後もどうなったか、どうしているのかが語られてゆくのもこのシリーズの魅力である。
中には新たな主人公となって活躍するものもどんどん出てきて、それがまた人でないどころかゴーレムだったり人食い鬼だったりして滅茶苦茶なのだがやはり論理的かつ現実主義的に語られるのがなんとも面白い。
ビンクはよき魔法使いハンフリーの助言を得た後は、邪悪な魔法使いトレントと対決することになるが、この対決も普通のファンタジーとは大きく異なる展開で、オチも実に現実主義的な判断によって解決が成される。
プロットの巧みさもさることながら、やはりとてもじゃないがファンタジーらしくない論理的すぎる展開は他ではなかなか見あたらないと思う。
色々な意味で、いわゆる男の子向けの作品だと思う。
日本で言う「男の子向け」のイメージとは全然違うような気がするが(汗)。
20100131
魔王の聖域
魔法の国ザンス2
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1982年9月31日初版
ザンスシリーズ第2作。
前作に引き続いてビンクが主人公で、今度はザンスの魔法の源を探る旅に出る。
2作目にして、シリーズの中では番外編的な感じ。
そもそも前作と主人公が同じということが、あとのシリーズを見てみると珍しい。
またその結果、自分探しではない目を外に向けた物語になっているのも珍しい。
それ以外ではやっぱりザンスシリーズで、論理的&ユーモア&エロい(笑)のは変わらないのだが(笑)。
化夢宇留仁が印象深かったのは、冒頭のめくらまし迷路と、盛大なパーティーにゾンビがさまよい込むことで滅茶苦茶になるところ。
ザンスにおいてはゾンビでさえキャラクターとして成立するところがまたすごいのだが、ここでは本シリーズを象徴する化夢宇留仁が爆笑した、最高に手の込んだ巨大なケーキのなれの果てを見た女王の台詞があるので紹介しておく。
「
酢になってるわ。中にゾンビーが。誰がこんなことをしたの?」
他ではなかなか出会えない台詞だと思う(笑)。
後半ではザンスの中枢部にて、全ての魔法の源である魔王と対決することになる。
しかしここではあまりにも論理が濃密すぎて化夢宇留仁はほとんどついていけなかった。
それはそれでOKということで、雰囲気で読んで満足しているのでまあいいか(笑)。
前作で登場したキャラクターが引き続いて登場するのも本シリーズの魅力で、主人公格の登場人物以外では、方向を示す魔法を持つ兵士クロンビー、セントールの夫婦、
幽霊のミリー、マンティコラ(前作の表紙を飾っている)、悪魔のボールガードなどがいる。
また本作では新たに人食い鬼のバリバリ、ゴーレムのグランディ、頭脳サンゴ、セイレーンとゴルゴンの姉妹などが登場し、その後のシリーズにも引き継がれてゆく。
それにしてもなんという混沌としたキャラクター構成か(笑)。
20100131
ルーグナ城の秘密
魔法の国ザンス3
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1984年2月29日初版
ザンスシリーズ第3作。
12歳になったビンクの一人息子ドオアが主人公で、元幽霊のミリィの恋人らしいジョナサンというゾンビーを復活させるため、800年前のザンスに旅立つ。
元々3部作のつもりで書かれていたザンスシリーズ。
まさに完結編にふさわしい大傑作。
出色はドオアの親友となるクモのジャンパーのキャラクター。
その能力と言い、性格と言い、シリーズ最高のキャラクターなのは間違いない。しかもある事情により再登場はあり得ないので(魔法の世界ではあり得ないこともあり得るが/汗)、本作のみで出会えるレアキャラでもある。
他の特徴としては、800年前のザンスは実に野蛮な世界で、その分他のシリーズ作では見られないバイオレンスに満ちているところ。
特にジャンパーが○○○のところは衝撃的ですらある。
バイオレンスになった分ユーモアとエロさは控えめになったが、その分ドラマが強化されており、ラストの切なさも素晴らしい。
ザンスシリーズを読むなら、せめてこの第3巻までは読んでほしいと思う。
20100227
魔法の通廊
魔法の国ザンス4
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1985年8月31日初版
ザンスシリーズ第4作。
17歳になったドオアが主人公で、魔法の存在しない世界マンダニアに出かけたきり戻らない王と王女を捜すために、王の一人娘イレーヌ、人喰い鬼のメリメリ、元ゴーレムのグランディ、セントールのチェスターの息子チェットと共に旅に出る。
しかし王の居所は分からず、手がかりは「セントール・アイル」という謎めいた言葉だけだった・・・。
3部作のはずだったのが、シリーズがどんどん続いてしまったのは、本作の内容による。
魅力的な2世キャラクターが登場しまくりで、なにがどうなっても続けられる土台が出来てしまったのだ(笑)。
本作は2作目の「魔王の聖域」に印象が似ている。
内容は全く異なるのだが、自分探しの旅と言うよりも外に目的があり、多数のキャラクターとの旅になるからだろう。
後半は野蛮なマンダニアでの戦いが繰り広げられるが、この辺はちょっと普通のファンタジーっぽい分少々印象が薄いのは仕方がないか。
また本作では前作で物足りなかった分を取り戻すように、エロさ全開なのは実に嬉しい(笑)。
緑の髪で迫ってくるとは、おまえはラムちゃんか(笑)!?
20100227
人喰い鬼の探索
魔法の国ザンス5
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1986年9月30日初版
ザンスシリーズ第5作。
菜食主義の人喰い鬼バリバリの息子メリメリは、自分にはなにかが足りないと感じていた。しかし人喰い鬼なので頭が悪く、なにが足りないのかは分からなかった。
そこで1年間の奉公と引き替えにどんな答えも教えてくれる、よき魔法使いハンフリーの城へ旅に出ることに。
一方ニンフと人間の間に生まれた少女タンディは、悪魔に強姦されそうになり、夢馬の背に乗ってルーグナ城を目指していたが、着いたのはハンフリーの城だった・・・・・・。
とうとう人喰い鬼(オーガ)が主人公に(笑)。
と言っても内容はシリーズの王道と言える自分探しの旅で、ハンフリーの城への旅から始まるところなど、まさにシリーズ第1作から引き継がれた正統派。ちうか作者自ら仕掛けたシリーズへのセルフパロディの要素もありそうだ。
勿論今までのキャラも続々登場。
メインはあくまでメリメリとタンディだが。
また本作では、1作目から登場していた「催眠ひょうたん」という魅力的なアイテムの秘密も明かされる。
まさかこんなものがこんなに重要な位置づけになるとは、おそらく作者も想像していなかっただろう(笑)。
そしてユーモアとエロも相変わらず全開で、更におそらくあらゆるファンタジーの中で最も強力に評価されているオーガのパワーも相まって、色々な意味で興奮させられる作品である。
ところで前作まで継承されてきた主人公の後ろ姿の表紙は、本作でストップした。
元々読者の感情移入をあおるための後ろ姿だったと思うのだが、流石にオーガの後ろ姿では感情移入もへったくれも無いと思ったのだろう。
賢明な判断である(笑)。
20100305
夢馬の使命
魔法の国ザンス6
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1987年12月31日初版
ザンスシリーズ第6作。
魂を半分だけ持った夢馬のインブリは、悪夢を運ぶ仕事をクビになってしまい、新たな任務を与えられる。
それはザンスに迫るマンダニアの脅威に対抗するもので、「馬の乗り手にご注意あれ」というメッセージを王に伝えるというものだった・・・・・・。
とうとう動物が主人公に(笑)。
夢馬のインブリは前巻「人喰い鬼の探索」から登場していたが、まさか次の主人公になるとは予想外だった。
この作者は読者の予想を外すのを最重要視しているような気がする(笑)。
物語は相変わらず自分探しの旅が骨格だが、本作ではマンダニアの侵略という実に大きなイベントなので、どちらかと言えばそちらの方が印象深い。
そして前巻がこれまでに出てきたサブキャラクター祭りだったとすれば、本作はメインキャラクター祭りである。
トレント王、物と話が出来るドオア、ゾンビーの頭、よき情報の魔法使いハンフリー、第1〜2巻の主人公ビンク、魔法の通廊を持つアーノルド、目くらましの魔女アイリス、緑の指のイレーヌと、主人公クラスのキャラクターの実にかっこいい見せ場が次々と展開するのには、手に汗握る。特に後半のビンクの登場のしかたは、「ストリート・オブ・ファイヤー」みたいでしびれる(笑)。
もちろん雑多なサブキャラクターも健在で、今までにも増してサービス満点の作品と言える。
化夢宇留仁は非常に楽しめた。
20100313
王女とドラゴン
魔法の国ザンス7
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1989年6月30日初版
ザンスシリーズ第7作。
隠退したトレント王に代わり、新たにザンスの王となったドオア。そのドオアとイレーヌの3歳になる娘アイビィが迷子に。
アイビィを見つけるために情報を得ようとハンフリーの城へ向かったイレーヌだが、そこでは更に衝撃的な事件が起こっていた・・・。
とうとうシリーズは、第1作の主人公の孫の世代に突入(笑)。
さらにはよき魔法使いハンフリーとゴルゴンの息子ヒューゴー、第1作から大裂け目に巣くっていた谷ドラゴンと、3代にわたったパーティーが冒険を繰り広げる。
本作ではもう1組のパーティーの冒険も描かれる。
こちらは先のパーティーの捜索隊であり、イレーヌを筆頭に、セントールのチェム、魔女の息子ザビエル、ザビエルの乗馬であるヒポグリフのザップ、ゴーレムのグランディ、ゾンビーのゾラと、相変わらず滅茶苦茶なメンバー構成(笑)。
それぞれのパーティーの様子が交互に描かれるのだが、化夢宇留仁的にはあまり好きな構成ではない。シーンが変わる毎に感情移入の線が切られるような気がするのだ。
そのせいか、面白さではもう一つという印象だった。
そして本作ではいきなりギリシャ神話のキャラクターが山ほど出てくる。
違和感は最小限に食い止められているが、流石に作者のネタも尽きてきたのだろうか。
また中盤ゾンビーのゾラに焦点が当てられるのだが、それが消化不良で終わったような気がするのも残念。どうせ後のシリーズでメインになるのだろうけど(笑)。
それにしても3歳の女の子が主人公とは、小説としてもなかなかの冒険である。その辺は魔法も絡めてなんとか成立させているのは見事。
20100313
幽霊の勇士
魔法の国ザンス8
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
1992年10月31日初版
ザンスシリーズ第8作。
アイビィは両親が小さな弟にばかりかまうので、ふさぎこんでいた。
退屈しのぎにザンスの歴史を紡ぐタペストリーを見ていると、ルーグナ城の幽霊の一人、ジョーダンがそばに立っているのに気づく。
アイビィはジョーダンに興味を示し、彼の話を聞いてみることに。
ジョーダンは400年前は野蛮人の戦士だった・・・・・・
これまでのシリーズでもちょこちょこ出ていた幽霊のジョーダンだが、なんとなく年寄りのイメージだった。
それがなんと筋肉もりもりの若い野蛮人だったとは(笑)。
本作では、ほとんど不死身の魔法の力を持ったジョーダンに愛する女性ができ、そして残酷な嘘によって命を落とすまでを、ジョーダンの回想という形で語り、その後ちょっとしたオチがつけられている。
実に見事な構成で、ミステリーのように楽しむこともできる。
また不死身の筋肉もりもり野蛮人という、むしろファンタジーではありがちな主人公が、ザンスシリーズでは新鮮に感じられるのも面白い。
化夢宇留仁が特に気に入ったのは、幽霊馬プーカとの友情の描き方。
これと言って理由が語られることもなく、なんとなく無二の親友になってゆくのが心地よい。
頭でっかちな印象の作者だが、こんな描き方もできたんだ(笑)。
20100327