女悪魔の任務
魔法の国ザンス19
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
2009年2月24日初版

 ザンスシリーズ第19作。
女悪魔のメトリアは、ここ2年にも渡り、精力的にコウノトリに合図を送り続けていた。
それは去年よりも回数の減った今年でも750回に及んでいた。
しかし子供は授けられず、メトリアは仕方なくよき魔法使いハンフリーの助言を聞く。
ハンフリーの答えは「シムルグの任務を果たせ」だった。
シムルグといえば、今までに3回も宇宙の終末と誕生を見てきたという、ザンスで最も古く、最も賢い巨鳥である。
そんなシムルグがメトリアに渡した任務とは、ロク鳥ロクサーヌノ裁判のスタッフを集めることだった。
わかも分からずスタッフ集めに奔走するメトリアだが、それは様々な事件の発生と解決、そしてザンス全体に関わる大事件へと・・・・・。

 女悪魔メトリアは半分魂を持っているとは言え、不死でありほとんど万能に近い能力を持った存在である。
普通ならそんなキャラクターは主人公にはふさわしくない。
なぜなら能力が高すぎて自己完結できてしまうからだ。
しかしそこはザンス。世界はめっちゃくちゃだし、キャラクターの能力もとんでもないのがゴロゴロしているしで、例え悪魔であっても主人公として成立してしまう。いやむしろ丁度いいくらいの能力かも(笑)。
 そんなわけで、本作では瞬間移動できる悪魔の力を利用し、とんでもない距離を隔てたとんでもない数の登場人物が参加してのお祭りのような内容になっている。しかしメトリアの性格と望みがはっきりしているので、かえって読みやすく、大いに楽しめた。
 そして本作ではとうとう第1作の登場人物のひ孫まで登場・・・・・・
ザンスよおまえはどこまで行こうというのだ(汗)?

20100502



魔王とひとしずくの涙
魔法の国ザンス20
ピアズ・アンソニィ/山田順子訳
2009年11月25日初版

 ザンスシリーズ第20作。
ザンスの魔法の源である魔王X(A/N)thは、他の魔王に挑発され、新たなゲームに挑戦することになった。
今までのゲームには連勝してきたX(A/N)thだったが、今回のは勝手が違う。X(A/N)th自身が死すべき生き物となってザンスの地に降り、現地の劣った生き物に魔王のために涙を流させなければならないのだ。
 一方マンダニアの普通の家族であるボールドウィン一家は、キャンピングカーで嵐の中を旅していたが、ふと気づくと奇妙な場所にいた。
そして彼らの目の前にいたのはセントールだった・・・・・・。

 とうとう20作目に突入したザンスシリーズ。その話はあとにするとして、本作では2作目で登場した魔王X(A/N)thが主人公。
2作目でのX(A/N)thの雰囲気からすると主人公どころかサブキャラクターとしても無理があるが、そこはザンス。無理矢理主人公として成立している(笑)。しかしずいぶんと人間くさくなった(笑)。
流石に魔王の視点だけでは苦しいので、魔法の美女クローリンとマンダニアから来た一家の視点がメインで進むのだが。
 物語はマンダニアから来た一家のカルチャーショックと、クローリンのつかの間の夢、ザンスに迫る魔法の嵐の危機、それと魔王のゲームの勝敗の4本の柱で進められる。
化夢宇留仁の好みとしてはもっと要素を絞って進む方が好きなのだが、とりあえずは楽しめた。
しかしラストのオチは、ちょっとひねりが無さすぎるような・・・???
それとハンフリーがほんとに気づいてなかったのかどうか、説明が欲しかった。

 とうとう20巻目となったザンスだが、第1巻の日本版が出たのが1981年5月。20巻は2009年11月。
実に30年近く続いている。
まさかこんなに続くとは夢にも思わなかった。ちうかまだ続いていたとは知らなかった(笑)。
これだけの長寿&人気シリーズともなれば、今まで映画化の話が無かったのが不思議なくらいだが、おそらくザンスのエロ分(笑)がアメリカ映画にできないのだと思う。残念だが、逆に考えればそれがなかったら化夢宇留仁もここまで読んでいないのでまあいいか(笑)。
で、本国のザンスシリーズだが・・・現在34巻まで出てるんだそうな(汗)。

20100516



マクロス ゼロ

河森正治監督

 ケーブルテレビでやっているのを見ているのだが、バルキリーの戦闘シーン鼻水が出るほどかっこいい(笑)。
滅茶苦茶よくできている。
対称的にひどいのがヒロインとその村でのドラマ。こっちはもう学芸会レベル・・・にも達していないのでは(汗)?
なんか年々この格差が開いていっているような気がするなあ・・・。 
文明と隔絶した島に住んでいる少女がニューヨークの写真を見て「ほんとにこんなに大きなビルがあるの!?」って、なんでおまえはビルという単語を使う!?
脚本頭悪すぎ。セリフは他にも耳を疑いたくなるものがてんこ盛り(汗)。
ヒロインは頭からタコの足ぶらさげてるし(笑)
 マクロスプラスは音楽が素晴らしかったが、ゼロは駄目(泣)。
音響演出もひどい。効果音とセリフ以外は全部ボリューム下げて流してるだけ。
歌がキーになる物語じゃなかったの?
 要するに戦闘シーン以外は全部駄目(笑)。
プラスがひどかったので、あれよりはマシだろうと思っていたのに、更にその上をいくか(笑)。
比べてみればまだプラスは主人公とそのライバルのキャラが立ってて楽しめたな。
 冒頭でマクロス墜落が語られたところまではすごいワクワクしたのに・・・結局その後マクロス出てこないし(汗)。
あれの調査と発掘&開発を巡っての話を期待してたのにな〜〜〜。

20050417(mixi日記より)
20210613



シャドー81

ルシアン・ネイハム著・中野圭三訳

 最新の戦闘爆撃機TX75Eがベトナムで行方不明に。
一方香港では謎めいた男が奇妙な船を注文。
そして上院議員を乗せたボーイング747が離陸後、その後を追う機影が・・・。

 定番航空ミステリを読んだ。
ミステリ?サスペンス?なんだろう???
とりあえず結果は上々で、これまた非常に面白かった。
やっぱりでてくるおっさん達がかっこよいし(ゴールデンキールと比べると人物の描き方はさっぱりしているが、そのへんがミステリっぽい?)、なにより発端〜準備〜実行〜結末というまさに起承転結という流れが気持ちよく、それぞれが異なる面白さを持っている。
そして倒叙ミステリーというのか、途中からはっきりと犯人がわかった上で展開するのだが、実はそこにもまだ仕掛けが施してあって、最後近くであっと息を呑む。
 化夢宇留仁的に気になったのはTX75Eの性能だが、ファイヤーフォックスの脳波誘導まではいかないまでも、やはりちょっと非現実と言えるくらいの高性能機になっている。
現実の航空機ではF35Bが最も近い性能を持っているが、おそらく連続飛行可能時間はTX75Eには及ばないだろう。
その他にも渋い軍用機がちょろちょろ出てきて楽しませてくれるが、途中で10機出てきた超音速機の機種を明かさなかった理由がわからない。状況的にF4だと思うけど。

20210711(mixi日記より)
20210811



死者の入り江

カトリーヌ・アルレー著・安堂信也訳
創元推理文庫1971年6月25日9版。

 いきなりこんなに古いしかもSFでもないなんだかよくわからない小説を読んだのはなぜかというと、そもそも化夢宇留仁は古い文庫本の表紙が好きという変な癖がある。
それで古い文庫本15冊セットというのが安かったのでヤフオクで落札。
その中から何気なく手にとったのが本書だったというわけである。
 で、本書の内容だが、カテゴリーとしては一応ミステリー&サスペンスといったところだが、あたかも恐怖小説のような描写で進む。
病後の療養に別荘にやってきた夫婦だったが旦那が急用で帰ってしまい、残された主人公(?)である奥さんが一人で恐怖体験を繰り返すわけだが、このへんは古い割に文章も読みやすく、面白くないこともない。

 この先ネタバレ。
物語が始まった瞬間から普通の人なら旦那が怪しいと思うだろう。そしてそれは残念ながら正解。しかし本書は本格的犯人当てミステリーというわけではないのでそれは欠点ではない。
意外だったのはその動機と、それがわかってからの矛盾と混乱の嵐のような展開で、それまでとは雰囲気も大きく変わり、それどころかこれまでほぼ一人称に近い感じで主人公アダ視点で描かれていたのが突然浮気相手視点となり、最後は旦那視点で終わるなど、実験小説みたいな側面も。
そして矛盾やら無理な事象やらもてんこ盛りになり、一言でいうともはやドリフ(笑)
おかしな点をいくつか挙げると、アダがショック死する計画だったのにそのあとアダとともに警察に行くという計画。これはアダの死体とともにという意味だったのか?
アダに届いた浮気相手からの手紙を旦那が見つけているというのはいいのだが、アダから出した手紙まで入手しているというのはどう考えても不可能。
最後に絶望する旦那だが、その前に考えていた崖下に降りて証拠を隠滅するのはなぜ放棄したのか?
などなど。
とりあえず最後の視点の移動の効果もあって、著者が読者にどう思ってほしかったのかがさっぱりわからなかった(笑)
でも面白くなかったわけでもない(汗)

20210529(mixi日記より)
20210813



十五時間の核戦争(上下)

ウィリアム・プロクノー著・後藤安彦訳

 1980年代のある日、ソ連からアメリカに向けて核ミサイルが発射された。
ソ連の書記長からは大統領あてに限定核戦争の開始を告げる連絡が。
プログラム通りに発進したB52の1機のクルー達は、最初は核戦争の開始が信じられなかったが、やがて・・・。

 というわけで核戦争開始後15時間を描いた作品。
この手の作品の多くは核戦争の開始前をねちっこく描いて、開始されたら終了というのが多い気がするのだが、本作では登場人物紹介が終わった時点で最初の核ミサイルが発射されており、その後世界がボロボロになってゆく様を凝った視点で描いている。
当たり前に存在したものが取り返しがつかない形で失われてゆくというのは、恐怖と切なさを感じさせる。
情報が非常に限られた状態で現れてくるそれはもうまさにガクブルな展開で、化夢宇留仁は小学生の頃に本屋でデビルマンを立ち読みして膝がガクガクと震えたのを思い出した(汗)
考えてみればこんな状況が明日にも来るかもしれないという状況が何年も続いていたのだから、冷戦を乗り越えられてほんとによかった。
ちなみに本作は冷戦の真っ只中に書かれている。
ここまでの心配はなくなったというものの、やはり世界中に核ミサイルは存在し、むしろ拡散度合いは加速していることを思うと、背筋が凍る思いである。

20210719(mixi日記より)
20210813



八つ墓村

横溝正史著

 落ち武者を匿った小さな村で、村人達の心変わりによって落ち武者8人が皆殺しにされた。
その後その村には奇怪な事件が続発し、落ち武者の祟りのせいだと考えた村人達は落ち武者の遺体を掘り返し、8つの墓に埋葬した。
大正になって八つ墓村と呼ばれるようになったその村で、田治見家という最も裕福な家の主が妾が逃げ出したことを発端に発狂し、手当たりしだいに村人を惨殺する事件が。
そして戦後、神戸に暮らす寺田辰弥という青年は、自分がラジオで探されている尋ね人だと知らされる。
その内容は彼には記憶も無い故郷に帰り、田治見家を継いでほしいというものだった。
彼を迎えに来た祖父と弁護士事務所で会う辰弥だったが、そこで祖父が毒殺されてしまい・・・。

 端折りまくってプロローグを書いたのにこんなに長くなった(汗)
タイトルはみんな知ってるだろうし、多くの人は内容も覚えていると思うのだが、今時の30代くらいになると全然知らなくてこっちがびっくりしたりするのだ。
で、記憶にある限りは横溝正史を初めて読んだ(子供の頃になんちゃら島(笑)を読んだような気もするのだが)のだが、非常に面白かった。
上記プロローグのあとは舞台を八つ墓村に移し、連続殺人事件と地下迷路の冒険につながってゆくのだが、描写の一つ一つが面白いし、登場人物もどいつもこいつも面白い。
 意外なことに非常に文章が読みやすいというのにも驚いた。
海外翻訳物を多く読んでいてたまに日本作家を読んだらそう思うのは当然ではあるのだが、それにしても乾いた紙にインクが染み込むように文章が頭に入ってくる。
そして台詞回しが凝っていて、むしろ映画の台本を読んでいるような気にもなる。
特にお気に入りは小竹小梅の双子おばあちゃんの会話で、思わず朗読して楽しんだ(笑)
 そして金田一耕助だが、この話ではびっくりするくらいなにもしない。
いるだけ(笑)
しかしそこがいい感じにミステリー色を紛らわせて、冒険小説として大いに楽しませてくれる。ちうかこの作品は明らかにミステリー風ゴシックホラー風冒険小説である。
ただ本作が角川文庫の横溝正史の最初の巻になっているのはどうかと思う。その前に発表された「本陣殺人事件」「獄門島」「夜歩く」では金田一はちゃんと活躍しているらしいし、八つ墓村本編でも今回の事件が「夜歩く」事件のすぐあとのことだと語られているのだ。
まあ単純に本作が特別面白かったから最初にしたのだとは思うが。
 最後に蛇足。
表紙がかっこよすぎる(笑)
 追記20210815
神戸から八つ墓村に引っ越したらモテモテ天国だったという転生モノみたいな側面もある(笑)

20210813(mixi日記より)
20210815



八つ墓村(1977)

 落ち武者を匿った小さな村で、村人達の心変わりによって落ち武者8人が皆殺しにされた。
東京に暮らす寺田辰弥という青年は、自分が新聞で探されている尋ね人だと知らされる。
弁護士の説明では彼に記憶も無い故郷に帰り、田治見という家を継いでほしいというものだった。
ところがそこに迎えに来ていた祖父が毒殺されてしまい・・・。

 八つ墓村は今までに3回映画化されているらしい。1回目は1955年ということだが、どうやって観たらいいのかわからない(汗)
本作は金田一耕助を渥美清が演じたもので「たたりじゃ〜〜〜」というCMで話題になり、大ヒットした作品。化夢宇留仁も幼い頃にそういう宣伝の記憶はおぼろげに残っていた。
映画本編もおそらく小さい頃にテレビで観たことがあると思うのだが、もちろん全然覚えていなかった。
今回は原作を読んで興が乗ったので観てみたわけだが、まず映像の雰囲気と音楽は文句のつけようもなく素晴らしい。
そして主人公辰弥の母である鶴子役の中野良子が超可愛美しく、こりゃあ手篭めにしたくもなるわと納得(笑)
しかし物語は・・・・・犯人以外のキーになる登場人物全員削除(汗)
印象的な小道具や大道具も全部削除(汗)
おかげで原作の懐の深い物語は全て消えて無くなっている。
映画で小説の全てを再現するのは無理だとわからなくもないのだが、なにしろ151分の超大作である。普通に全部入れてもちゃんと成立したと思うのだが。なんか余計なカットはやたらにあるし(汗)
それでも例の懐中電灯&日本刀&ライフルの有名シーンは超かっこよく撮れているし、新たな解釈のチェイスシーン(笑)も怖くていい感じだし、見所は多く、悪くはない。
悪くはないけどもったいない感じ(汗)

20210814(mixi日記より)
20210815



八つ墓村(1996)

 昭和24年。
神戸に暮らす寺田辰弥という青年は、自分がラジオで探されている尋ね人だと知らされる。
その内容は彼には記憶も無い故郷に帰り、田治見家を継いでほしいというものだった。
彼を迎えに来た祖父と弁護士事務所で会う辰弥だったが、そこで祖父が毒殺されてしまい・・・。

 1977年版と比べると年代やディテールなど、だいぶ原作に近い設定になっている。
登場人物もキーになる人物は一通り網羅・・・と思ったらキーにならなかったり(汗)
とりあえず本作はミステリーとして作られている。
ちなみに前作はゴシックホラーとして作られていた。
しかし原作の感想のところで書いた通り、この作品は本来冒険小説なのだ。
その結果前作は原作のホラー部分を抽出することに専念して非常に雰囲気のよい仕上がりになっていたが、本作はミステリーに集中することで原作の面白い部分が全てオミットされる結果になってしまった。
雰囲気のない横溝正史作品は要するにヘボなミステリーでしかないわけで、しかも原作ではしっかりと成立していた犯人の計画も中途半端に削除することで穴だらけになり、ついでに変な職業の追加でわざわざ犯人を絞り込む証拠を残してしまっている。
そしてトヨエツ金田一。
う〜〜〜ん。見た目、演技、身長(笑)ともによろしくない。残念。
そして浅野ゆう子。
なんだか髪型が90年代のちくわ前髪に見えて仕方がない(汗)
 しかし見所が無いわけではない。
原作では少々ブサイクという設定の典子ちゃんは、前作では削除されていたのがちゃんと登場しているのだが、喜多嶋舞が演じているので変に可愛すぎ(笑)
それで原作と同じような展開になるのかとドキドキしていたら、全然関係なし(汗)
そして吉田日出子の存在感。
出てくるだけでなんだか面白くする彼女の力は凄まじいのだが、あろうことか原作には登場しない役柄。
あんな存在感のある女優をストーリー外に配置してしまっては、元々骨抜きになっている脚本がますます陳腐に見えてしまう(汗)
 というわけで残念な感じだった。
ちゃんと冒険物として映像化した作品は無いのやろか?
ドラマを探したらあるかな?

20210814(mixi日記より)
20210815



銀河辺境シリーズ1
銀河辺境への道
A・バートラム・チャンドラー著/野田昌宏訳

 を読んだ。最近ヤフオクで全巻落札したのだ。
思えば中学だったか高校だったかの頃に、2〜3冊購入していたがシリーズが揃ってから読もうと思って未読のままだったのが、よもや50を越えてから揃うとは(汗)
ちうわけで記念すべき第1作は若き海軍士官ジョン・グライムズが初の実戦を体験することになるのだが、なんか予想していたのとグライムズのキャラクターが少し違った。
頭カチカチの若い士官というので登場したのは予想通りだったのだが、その後綺麗なおねーさんの色気で一瞬で宗旨変え(笑)
その後結局痛い目を見るのだが、そのへんがある意味リアルで、予想していた荒唐無稽に近いスーパーマン振りとは随分イメージが違った。
ストーリー的にはまだまだプロローグという感じで目新しいところは特になかったが(そもそも発表順でいうと前日譚みたいな位置づけなのだ)、まさに王道宇宙戦闘スペースオペラ感は十分に楽しめた。
最後にこの本を読んだ人が100%思うことを記す。
「なんでそこに柵無いの!?」
読んでみてほしい。あなたも必ずそう思う。

20210603(mixi日記より)
20210816



悪女イブ

 を挫折した。
創元推理文庫。ハドリー・チェイス著。
先日落札した古い文庫本セットの内の1冊。
 1945年頃のアメリカで、ひょんなことから名劇作家の名声を手に入れた男が、1人の娼婦に身をやつして破滅するという物語なのだが、この主人公がとにかく最悪なやつで、やることなすこと一々気分が悪い。
依存心が強く、名声欲が強く、短気で我慢ができず、プライドだけはやたらに高く、そして頭は悪い。
1/3まで読んだところでは表題のイブは全然悪女でもなんでもなく、ただひたすら主人公が最悪。
実は3度も映画化されている名作ということらしいのだが、全然おもしろくないので我慢して1/3まで読んだところで読むのをやめることにした。
感情移入のできない物語は娯楽にならない。

20210608(mixi日記より)
20210817



キャプテン・フューチャー 恐怖の宇宙帝王
エドモンド・ハミルトン著・野田昌宏訳

 このシリーズも最近ヤフオクで落札した。
これぞまさにスペースオペラ・・・かと思いきや、思っていたよりもなんだかスケールが小さい。
というのも物語が太陽系内でのみ展開するからで、なにしろ書かれたのが1930年代(発表は1940年)なのでむべなるかな。木星がまだガスの塊とわかっていなかったらしく、本編は木星のジャングルや火の海(大赤斑)で展開されるのだ(笑)
銀河辺境シリーズのところで書いた「荒唐無稽に近いスーパーマン」的なところはまさにストライクな感じで、そうそうこれこれ(笑)という感じ。
これまでに化夢宇留仁が読んだ小説ではクラッシャーシリーズが最も印象が近い。もちろん生まれた経緯は逆なのだが。
 あと気になったところといえば、キャプテン・フューチャーをはじめとするフューチャーメンのメンバーの口の悪さ(笑)
設定的にはすごい科学者(脳だけ/笑)と、主人公の父が作った人工知能の備わったロボット2体に育てられたのに、科学者以外全員やたらに口が悪い。これは翻訳のせいでもあるとは思うが、原文にもその片鱗がありそうな。どうやってあんな環境で悪い言葉を覚えたのかがよくわからない(笑)
 そして表題の宇宙帝王だが、これが宇宙でも帝王でもないのがすごい(笑)
単なる自称である(笑)
 これは本編とは関係ないが、英語でキャプテン・フューチャーを画像検索してみると、NHKのアニメ版の画像がどんどん出てくる。それも当時のものではなくて最近描かれた本格アメコミっぽいものや、高度なCGやコスプレやら。
これはアメリカでもアニメが放送されたからなのだが、なんだか日本のデザインが受け入れられている様子がちょっと嬉しかった。

20210611(mixi日記より)
20210818



火星のプリンセス
E・R・バローズ著・小西宏訳

 これも最近セットで落札したもの。
これで古のSFシリーズもの3つの第1巻(?)を読んだわけだが、一番古いにも関わらず、いや古いからこそ?「火星のプリンセス」は別格だった。
他2シリーズも確かに面白かったのだが、例えるならそれらはTVシリーズのような感じで、本作は超大作映画のような感じ。
 まず描写がねちっこくて読み応えがある。ちょっとラブクラフトのような(笑)
主人公カーターが火星に行く過程もなんか「超時間の影」みたいだし(笑)
これは古い小説ならではということもあるのかも。
 プロットが予想より遥かに凝っていて、最初少し不自然と感じたところがことごとく伏線になっていたりする。
 サブキャラクターが魅力的。
緑色人種の戦士タルス・タルカスのかっこよさや、忠犬ウーラの誠実さなど、がつんと印象に残る。
 褒めてばかりだが、もちろんなにしろ古いこともあっておいおいなんじゃそら?というところもあるのだが、それらを払拭するほどいいところが輝いている。
いや〜〜〜〜〜、バロウズなめてたわ〜。

20210614(mixi日記より)
20210818



ジョン・カーター
2012年アメリカ/アンドリュー・スタントン監督

 を観た。3Dブルーレイ。
 不勉強で原作は読んでいないのだが、まさに古典ヒーローSFと言える内容で、大いに楽しめた。
また監督はピクサーでいい仕事をしていたアンドリュー・スタントンがこれまたいい仕事をしている。
主人公をひたすら追いかけるキャラクターなど、「ウォーリー」と共通するような要素も(笑)
「火星のプリンセス」は日本版の有名なイラストでイメージができていて、映像のそれとは少々印象が違ったが、まあまあよかった。
最後の「夏への扉」を彷彿とさせるような(ちうか逆か/笑)、ロマンあふれる展開も素晴らしい。
 興行的に大コケしてしまったので続編は難しいと思うが、昔からのSFファンには一見の価値のある映画だと思う。
3D感もなかなかよかった。

 

20120826(mixi日記より)

2度目。3Dブルーレイ。
 原作である「火星のプリンセス」を読んだので、映画の方も見直してみた。
まず様々なディテールの再現度は素晴らしい。
ただこれは長編小説原作の映画の宿命とも言えるが、少々ダイジェスト感が出てしまうのは致し方なし。
しかし主要人物はどれもなかなかいい感じに描けていたと思う。忠犬ウーラも(笑)
例外はヒロインであるデジャー・ソリスで、キャラクターそのものが全然違う。
ザ・お姫様というキャラクターだった彼女が仕事もあって戦う今風ヒロインになってしまっている。
これは現在の時勢の影響で、現在では典型的お姫様キャラクターは作ろうとしても作れないという悲しい状況なので仕方がないのだが、やはり原作とはあまりにもイメージが違う。
まあ原作の方も(特にイラスト)がいきすぎていて全然赤色人じゃなかったり、顔が日本人にしか見えないとか、色々問題はあったのだが(笑)
 総じて見ればなるべく原作を活かして面白く仕上がっているとは思う。
しかしやはりもとの情報量が多すぎてわかりやすい映画になっているとは言い難く、興行収入が振るわなかったのもむべなるかなと言うところか。

20210622(mixi日記より)
20210820



現金を捜せ!(げんなまをさがせ!)
フレドリック・ブラウン著・井上勇訳

 銀行強盗で盗まれた金をめぐり、カーニバルが血に染まる。

 最初とにかく読みにくく先が思いやられたが、読み進む内に面白くなった。
なぜ読みにくいかというと、舞台が1950年頃のアメリカのカーニバルが舞台なのだが、そもそもこれがどういうものか想像できていなかった上に、スラングや略称などが頻出するので混乱していたのだ。
ここでいうカーニバルというのがいわゆるトラベリング・カーニバルで、しょぼい移動遊園地&サーカス&夜店みたいなものだと認識できてから、加えて人が1人死んでから(笑)は問題なく楽しめるようになった。
物語の流れとしてはブラウンらしいトリッキーなもので、まず主人公かと思わせていた者が殺される(笑)
その後は群像劇となるのだが、これがストリッパー、サディストで嫉妬深い投げナイフ師、知恵遅れの青年、呼び込み、占い師など、カーニバルの様々なメンバーがうまく描かれていて飽きさせない。
頭のいい占い師の調査で、表題である現金の在り処が次第にわかってくる展開も面白い。
少し残念だったのはラストの急展開で、特に「閃光」はちょっと唐突すぎる上に無理がある気がした。そこは毒かなにか、もっと地味にできなかったか。
総じてはとても楽しめた。

20210616(mixi日記より)
20210821



銀河辺境シリーズ2
エル・ドラドの生贄

A・バートラム・チャンドラー著/野田昌宏訳

 銀河連邦監察宇宙軍巡航宇宙艦エアリーズで大尉として勤務しているグライムズ。
エアリーズは辺鄙な星域にあるエル・ドラドという惑星に向かっていた。
エル・ドラドは銀河中から風変わりな大金持ちが集まって暮らしている独立世界で、そんなところから宇宙軍に援助の要請が来たのは前代未聞のことだった。
やがてエアリーズはエル・ドラドの軌道上に到着し、まずはロケット艇による先遣隊を派遣することになり、それにはグライムズ大尉がパイロットとして搭乗することになった・・・。

 スタートレックっぽい幕開けに、それっぽい展開を想像したがいい意味で想像を裏切られた。
まずエアリーズが本格的に惑星に降下するのに68ページまでかかったことにびっくり。
これからやっと本編かと思ったが、それ以降も似たような展開が続き、実はすでに本編が始まっていたのだと気づく。
この辺はなかなかうまい展開で、先が読みにくく飽きさせない。
またエル・ドラドの様子やそこに住む貴族の面々もなかなかおもしろく描けている。
神戸出身のタカダ男爵とか、ダンウィッチのタールトン卿とか、メチャメチャなにかありそうで特に何もなかったのは残念だったが(笑)
物語の骨格部分はそんなに目新しいものではないのだが、本編のヒロイン王女マルレーネの魅力も相まって最後まで面白く読めた。
あとロボットの召使いがちょろちょろ出てくるのだが、こいつらがシェイクスピアの引用に対して間違いを指摘してきたり、異様に賢いのも面白い。
それにしても1巻と雰囲気違いすぎでは(笑)

20210618(mixi日記より)
20210822



この世界の片隅に
片渕 須直監督

 を観た。
 当時の生活や状況がうまく描かれていて、見どころが多かった。
スケッチ→憲兵→爆笑のくだりには笑えた。
後半すずさんがいろいろなものを失ってからは見るのが辛いところもあるが、そういうことが当たり前に生じていた状況なのだから仕方がない。
最後あたりで擱座した青葉が出てきたのが熱かった。
 内容的に「火垂るの墓」と比較したくなるが、やはり一番大きな違いは東京と呉、広島という場所の違いのように思う。海軍のテリトリーはやはり少し上品な気がする。
それ以外はどちらにしろ毎日一生懸命生きていたのは変わらないわけで。
 全然関係ないけど化夢宇留仁が小さな頃は戦争に関する情報が比較的勝手に身につく環境だった。
戦車や戦闘機、戦艦などを扱った児童書はゴロゴロしていたし、ドイツ軍のタイガー戦車とか、いつの間にか常識として知っていた。
少し前に会社で化夢宇留仁より若い人に聞いてみると、誰一人そんなことを知っている人はいなかった。タイガーさえ知らない。もちろん大和は知っているが。
当時日本や世界でどんなことが起こっていたのか、もっとみんな知っておくべきことだと思うのだが。
そういう意味では本作は、そういう知識への興味の入り口としてもよくできていると思う。

20210619(mixi日記より)
20210823



キャプテン・フューチャー 暗黒星大接近!
エドモンド・ハミルトン著・野田昌宏訳

 突然あらゆる電波をジャックして、ザロ博士と名乗る人物がテレビ画面に映し出された。
彼は巨大な暗黒星が太陽系に接近しており、衝突による破滅を回避できるのは自分だけだと宣言し、ただちに太陽系の全権力を引き渡すように要求した。
最初は信じようとしなかった人々も、巨大な暗黒星が接近するのを目の当たりにし、ザロ博士に権力を渡すべきだという意見が増えていった・・・。

 シリーズ2作目(著作順)は、パッと見の印象は「宇宙帝王」と変わらないのだが、謎解きミステリーの部分がなかなか凝っていて楽しめた。
ザロ博士は太陽系のどこにいるのか?
ザロ博士の正体は?
どちらも情報や細かい証拠から真実を手繰り寄せてゆくのだが、ここに巧みにミスリードを織り交ぜており、それに化夢宇留仁はことごとく引っかかった(笑)
キャプテン・フューチャーシリーズは意外にミステリー色が強い。
 今回気になったのは「生きている脳」サイモン博士がザロ博士に捕まってしまい、拷問されるシーン。
ザロ博士は「生きている脳」の側面についているスイッチをオフにする。すると脳を活かし続けるための循環が停止され、サイモンは苦痛の中、意識を失い・・・・って、そのスイッチは「生きている脳」を拷問するか殺す以外のなんの用途でついてるんだ(笑)?

20210619(mixi日記より)
20210824



屋根裏の散歩者
江戸川乱歩著

 を読んだ。
 実は前に春陽堂の江戸川乱歩文庫を全巻買い揃えていたのだ。
買ったはいいけどなかなか読み始める機会がつかめずにおいてあったのだが、今回の色々シリーズ読みまくり大会(笑)開始にともない、似たようなものを続けて読むと飽きるので、1冊おきに関係ないものを読むということをしていて、次に何を読むかと本棚を眺めていて本全集の背表紙が目に入った次第。
そこで今回の乱歩の最初ということで、短編集を選んでみた。
※実は忘れているだけですでに数冊読んでいた(汗)20210825追記

鏡地獄
 幼少の頃からレンズやら鏡やらに夢中な変人が、両親が資産を残して他界したことからより一層奇怪な趣味に夢中になり、やがて・・・

 この手の短編でよくある変な趣味が高じて行くところまで行ってしまい、自滅するというパターン。
最後に示された視界はどんなものか、一度観てみたいものである。

押絵と旅する男
 客が2人しか乗っていない客車の、語り手以外のもう1人は、奇妙な絵を大事そうに抱えた老人だった。その老人が見せてくれた不思議な押絵と、老人が語るそれにまつわる奇怪な物語・・・。

 なんとなく読んでいて映画「夢みるように眠りたい」を思い出した。
幻想的な物語で、ビジュアル的な見どころが多い。
悪くない。

火星の運河
 暗い森の中を歩き続ける男。やがて男は森の中の静かな沼に達し、そこで女体の自分が沼の中にいるのを発見する・・・。

 高橋葉介が江戸川乱歩の影響を受けているとありありとわかる作品。
ほのぼのラストに逆にびっくり(笑)

目羅博士の不思議な犯罪
 立て続けに首吊りが起きたアパートでなにが起きていたのか。奇怪な現象とその顛末を、男が江戸川乱歩に語りかける。

 ビジュアル的に面白いイメージを作り出している。最後の悪夢のようなビジュアルイメージがよくできていてなかなか楽しめた。


 人嫌いの青年がある女優に恋をするが案の定相手にされず、彼の愛は増悪と殺意もないまぜになり、とうとう実行するが・・・。

 前半と後半が別の作品のような印象。自動車のシート改造が大して役に立っていなさそうだったのと、後半の展開は予想通りすぎてもう一つつまらなかった。

屋根裏の散歩者
 何をやっても本気になれない男が、アパートの屋根裏の散歩という奇怪な趣味に夢中になり、やがては単なる趣味の延長で殺人を犯す。
完全犯罪になるかと思われたが、唯一明智小五郎は奇妙な点に気付いていた・・・。

 不自然なところに明智が気づくのはよかったが、その後の犯罪の証明手段が面白くない。全然スカッとしない。

疑惑
 酒乱の父親が何者かに庭で殺され、家族同士が疑い合うような状況になってしまい、頭を抱える語り手。果たして父親を殺したのは兄か、妹か、それとも母親か。

 思い出したのは藤子不二雄の「ころり転げた木の根っこ」
しかしこの話は男とその友人の会話だけで成立させるなど、実験的な試みがうまく機能していて面白かった。

 ちうわけで全体的にはまあまあといった感じ。
江戸川乱歩はこういう怪奇短編も雰囲気があって面白いのだが、やはりメインは長編かと思う。

20210621(mixi日記より)
20210825



火星の女神イサス
E・R・バローズ著・小西宏訳

 火星シリーズ第2作。
バルスーム(火星)に10年ぶりに戻ってきたカーターだったが、そこは見慣れた場所ではなく、しかも見たこともない怪物に襲われる。
戦いの最中旧友との再会を果たし、そこがバルスーム人が死後の世界と信じている場所だと知るが、そこは伝説で語られているような場所ではなかった・・・。

 第1作もそうだったが、本作はそれに輪をかけて危機と戦闘の嵐。
戦闘に次ぐ戦闘の間に挟まる冒険、それが一段落したかと思うと襲いかかる絶望的な危機、そして戦闘・・・(汗)
なにしろ始まった途端に大規模で絶望的な戦闘が始まる。
それでもバロウズの筆致は見事なもので、飽きさせることなくドキドキしながら読み進められるのだが、流石にちょっと疲れた(笑)
またそのせいで前作にあった大河ドラマ的な大きな流れというのは感じにくいというのもある。
しかしやっぱり手に汗握る面白さは間違いないので、なかなか評価に困る作品である。
それにしても・・・・あの終わり方は・・・(汗)
「帝国の逆襲」か(笑)!?

20210623(mixi日記より)
20210826



裁くのは誰か?
ビル・プロンジーニ&バリー・M・マルツバーグ著。高木直二訳。

 創元推理文庫。
 本作が書かれたのは1977年で、日本で文庫本が発売されたのは1992年。
ずいぶん間が空いている。
読んでみたらその理由も想像がつこうという内容だった。

 最近疲労のためか失言が増え、支持率が急落している大統領。
側近たちも心配していたが、それ以上に心配していたある存在は、大統領のために邪魔者を皆殺しにする決断を下す。
かくしてホワイトハウスを皮切りに、連続殺人の幕が・・・・・・???
 というような感じなのだが、裏表紙に「驚天動地の真相を仕掛ける、掟破りの傑作長編」とある通り、通常のミステリーにはあまりにも当てはまらない落ちが用意されている。
これは白なのか黒なのか、様々な意見がかわされているようだが、化夢宇留仁の感想としては、それが十分に面白さにつながっていないので黒である。
読み返してみるといわゆるミステリのルール的にはやはりルールから著しく逸脱しているとしか言えないのだが(○氏と△氏が他に誰もいないところで会話していたりとか、誰の視点か定まらない描写があったりとか)、それは化夢宇留仁的には特に問題ではない。
結局それで面白くなっているかどうかが問題だとすると、そのオチに至るまでの展開は少々冗長で、その都度注意を引きつけることに失敗している部分もあり、不十分だと感じた。
逆にそのへんの作り込みがもっと凝っていれば大傑作になったと思うのだが。
しかしそんなことはさておき、「驚天動地の掟破り」なオチなのは間違いないので、話の種に読んでみるのは悪くないと思う。

20210625(mixi日記より)
20210827



ローダン・シリーズ1 大宇宙を継ぐ者
松谷健二訳。

 を読んだ。
・・・とうとう世界最大の怪物に手を出してしまった(汗)
現在出ている日本語版だけでも死ぬまでに読み切れるか怪しい。
本シリーズは原書の2冊分で1冊になっており、つまりは毎回2本の作品がはいっている。
しかし本書では最初ということもあるのか、ほぼ前後編といえる内容だった。
※実はべた〜〜〜っと話が続いていくのがこのシリーズの型式だった(20210828追記)

以降ネタバレ

スターダスト計画
K・H・シェール著。
 1971年、人類初の月面着陸を目指して発進するスターダスト号。
順調に月上空に達したスターダスト号だったが、着陸寸前に妨害電波によって誘導を切られ、着陸地点がずれてしまう。
船長である合衆国宇宙軍ペリー・ローダン少佐は、地球に着陸成功を知らせるのと、妨害電波の発信源を調査する司令を出す。
やがて見つかった発信源は恐るべき科学力を持つ異星人の巨大宇宙船だった。
しかし異星人は進化の末に種族的終末を迎えており、高度な知性を残した学術部長クレストも病気で死ぬのを待つばかりとなっており、宇宙船も故障していた。
ローダンは彼の病気を治療し、宇宙船を修理する材料を提供する代わりに、彼らの科学知識を得る交渉を行い、クレストとともに地球へ帰還。しかしネヴァダの基地ではなく、アジア連合の領地であるゴビ砂漠に着陸する・・・。
 読む前からあらすじはだいたい知っていたが、ほぼそのあらすじ通りで前半が終了したのには少々びっくりした。
雰囲気は想像していたよりもハードで、予想より読み応えがある。
それにしても人類初の月着陸船にスターダスト号などという縁起の悪い名前をつけることはないと思うぞ(笑)

<第三勢力>
クラーク・ダールトン著。
 ゴビ砂漠のスターダスト号は全世界に対してどの陣営にも属さない新たな勢力だと宣言。
アジア連合の攻撃を返り討ちにし、果ては核攻撃まで無効化。
やがて世界はスターダスト号を打倒するために手を結ぶ流れが生まれるが、その前に最後の核戦争へのスイッチが・・・。
 まさに冷戦ど真ん中で、いつの間にかソ連よりもアジア連合の方が力を持っていることになっているのは面白い。
残念ながら書かれた当初はまだ日本は高度成長が始まったばかりだったこともあり、アジア連合は中国の支配下にあるらしかったが。もしかしたら西側に属していたのかしら?
異星人の科学力によるいろいろな見せ場があって面白いが、少し残念なのはマインドコントロール系の武器が強力すぎるところで、ああいう物語進行上便利すぎ技術は無しで切り抜けてほしかった。

 1冊の本としては思っていたよりも渋い内容だった。また挿絵がどれも素晴らしく雰囲気のあるペン画なのだが、これはシリーズが進むとずいぶんタッチが変わるようだ。
まだまだプロローグの感は拭えないので、2巻以降が楽しみである。

20210626(mixi日記より)
20210828



ダーコーヴァ年代記
惑星救出計画

マリオン・ジマー・ブラッドリー著/大森望訳。

 を読んだ。
高校の頃に第1巻である本書を買って読み、面白かったのでそのうち続きも買おうと思ってそのままになっていたものを、この度ヤフオクで(以下略)。
で、面白かったとは覚えていたのだが、どんな内容だったかはほとんど記憶なし。
そこで今回読み直してみたわけ。
 惑星ダーコーヴァには地球から来た人類たちが植民していたが、知的な原住民も存在し、多様性のある独自の文化を作り上げていた。
その中で太古の進化の過程で枝分かれしたトレイルマンという種族は、夜行性で樹上生活に適応し、他の種族とは接触を絶って暮らしていた。
ところが彼らが保菌しているウイルスが48年ごとに猛威をふるい、惑星上の他の種族を恐るべき致死率で壊滅的なダメージを与えてきた歴史があり、今年はその年だった。
幼少時トレイルマンと暮らした経験のある医師ジェイ・アリスンをトレイルマンのもとに送り、血清を作るためにトレイルマンを複数人連れてくるという計画が立ち上がったが、ジェイはなぜかトレイルマンに嫌悪の感情を抱いており・・・。
 そうそう人格を入れ替える話だったと読んでいて思い出した。
記憶の通りなかなか面白かったが、薄い上に読みやすい文章なのですごくライトな読み応え。そういうところも高校生の化夢宇留仁にはちょうどよかったのかも。
しかし終わり方がいいので読後感はいい。

20210627(mixi日記より)
20210829


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