Step.2.悪事の実行
 悪事を実行すると、「悪事値」が貯まって行く。「悪事値」には、「密輸」「掠奪」「殺人」の三種類があり、後述するように、それぞれ裁判での
量刑に関係してくる。また、この三つの数値の合計は、警察の捜査の優先度や首にかかる賞金に関係してくる。

2,1.宇宙空間での海賊行為  2.2. 地上施設の襲撃   2.3.密輸 目次へ戻る

2.1宇宙空間での海賊行為
  海賊の一般的な悪事である。ただ、大抵の世界では海賊行為(=公海上での窃盗、強盗、殺人)そのものは処罰の対象にはならない。貨物を
盗めば単純に窃盗か強盗、宇宙船を破壊すれば交通妨害、人を傷つければ殺人か傷害になる。ついでに言うと、強盗殺人には極刑以外に判
決は無い。
 目標となる星系に入れば、通常の宇宙船との遭遇判定を行い、遭遇した宇宙船を襲撃するかどうか決定すること。

2.1.1宇宙船との遭遇
 目標の星系に到着すれば、まず狩場を選択する。狩場には「主星周辺」と「外縁部」がある。「主星周辺」は読んで字のごとくだが、「外縁部」
は主星以外の惑星軌道や惑星間空間の全てであり、別に主星の内側の軌道であっても良い。「外縁部」は遭遇が少なく、またアステロイドなど
場合によってはジャンプして獲物に逃げられやすいこともある半面、パトロールの頻度も少なく、妨害も受けにくい。
 狩場に入れば宇宙船との遭遇判定を行う。
 まず、「1. 遭遇数」の表で、狩場に到着してから一週間に、何回の船との遭遇があるかを決定すること。もしマイナスになった場合でも、そ
れは一週間では遭遇出来ない頻度と言うことであって、その航路に宇宙船が存在しないわけではない。マイナスになった場合は、その絶対値 
+ 7日後に、一隻の船と出会える(例えば、-7だっだ場合、到着から14日後に一隻と遭遇することになる)。結果がゼロだった場合は、不運とし
か言いようがなく、翌週にもう一度振るしかない(つまり、0より-1とか-2の方が遭遇頻度が高い可能性がある)。一日に何隻と遭遇するか
は、遭遇数の結果の範囲で自由に設定して良い。1日目に10隻と遭遇するのも自由である。

1.遭遇数 (ver2.1で変更)
基本: 1D6回/週

修正 (主星周辺)
 宇宙港タイプA:+6
 宇宙港タイプB:+3
 宇宙港タイプC:+1
 宇宙港タイプE:-2
 宇宙港タイプX:-5
 海軍基地がある:+2
 偵察局基地がある:+1
 人口による修正:人口コード - 7
 TLによる修正:TL / 3 - 2(切り捨て)
 超大国の領域(※1):+1
 レッドゾーン:-8
 アンバーゾーン:-4
 過去1ヶ月以内に海賊行為があった:-2
 TL6以下の単一星系独立国(※2):-2
修正(外縁部)
 左の修正に加えて:-4
 ガスジャイアントがない:-6
 アステロイドベルトがある:+アステロイドベルトの数
 レッドゾーン:+1 (外縁部をうろつく輩がなぜかいる)
 主星のTLが7以下:+1
 主星の治安度が3以下:+2 (外縁で悪さをする輩がいる) 
ガスジャイアントが一つしかない:+1(そこに集まりがち)
過去1ヶ月以内に海賊行為があった:-6

 


(※1)帝国、ソロマニ、アスラン、ゾダーン、ハイブ、ククリーの本国。ヴァルグルは政治的統一が無いので含めない。
(※2)アリージャンスコードがNaの世界

次に遭遇数の分だけ、遭遇判定を行い、出会った宇宙船の具体的な姿を決める。

2.遭遇判定(ver2.1で変更)
主星周辺 DM
TL5以下の世界:-1
同一星系内での海賊行為1件毎に:+1
(立ち去ってからも1ヶ月間効果は続く)
レッドゾーン:+4









外縁部 DM
同一星系内での海賊行為2件毎に:+1
(立ち去ってからも1ヶ月間効果は続く)
レッドゾーン:+6












2D6
1D6
 
2
UFO(笑)
2
UFO(笑)
3
非恒星間宇宙船
3
非恒星間宇宙船
4
非恒星間宇宙船
4
非恒星間宇宙船
5
商船
5
非恒星間宇宙船
6
商船
6
非恒星間宇宙船
7
商船
7
商船
8
商船
8
商船
9
民間船
9
民間船
10
偵察局
10
民間船
11
海軍/偵察局
11
偵察局
12
海軍
12
海軍/偵察局
13+
海軍
13+
海軍
商船との遭遇
民間船との遭遇
非恒星間宇宙船との遭遇
2D6
2D6
2D6
2
貨物船 (10,000t - 50,000t)
2
ジャンク屋(200 - 1,000t)
2
惑星防衛艦(3+で臨検)
3
貨客船(5,000 - 10,000t)
3
Y型ヨット (200t)
3
艦載艇(50t)
4
商船(600 - 1000t)
4
学校の練習船 (200 - 1,000t)
4
艦載艇(30t)
5
政府指定商船(400 -600t)
5
採掘船 (400 - 2,000t)
5
大型ボート(20t)
6
小型商船(200 -300t)
6
退役偵察艦
6
シャトル (95t)
7
自由貿易商船(200t)
7
退役偵察艦
7
シャトル (95t)
8
外航自由貿易船(200t ジャンプ2+)
8
探査船
8
大型ボート(20t)
9
政府指定客船(600 - 1000t)
9
K型狩猟船(200t)
9
特殊艦載艇
10
客船(400 - 1000t)
10
傭兵用巡航艦
10
戦闘機
11
貨客船(1,000 - 5,000t)
11
私掠船/海賊 (600 -1,000tの武装船)
11
惑星防衛艦(3+で臨検)
12
貨物船(50,000t+)
12
実験船(200t)
12
大型船(500 - 2,000t)
海軍との遭遇
偵察局との遭遇
UFO(笑)との遭遇
2D6
2D6
2D6
2
支援艦(非戦闘艦)
2
連絡補給艦
2
ゴーカヨット(200 - 1,000t)
3
空母
3
連絡補給艦
3
豪華なY型ヨット
4
輸送艦(非戦闘艦)
4
哨戒艦
4
豪華客船(5,000 - 10,000t)
5
駆逐艦(1,000 - 5,000t)
5
Xボート
5
ミ○ニアム・ファルコン号
6
哨戒艦(1,000t以下 3+で臨検)
6
Xボート
6
Space Battleship YAMATO
7
哨戒艦(600t以下 5+で臨検)
7
偵察艦
7
空飛ぶ円盤
8
駆逐艦(1,000 - 5000t 7+で臨検)
8
偵察艦
8
宇宙地縛霊
9
軽巡洋艦 (5+で臨検)
9
測量船(非武装)
9
宇宙仙人
10
重巡洋艦 (9+で臨検)
10
測量艦(武装あり)
10
トワイライトゾーンへの入り口
11
戦艦 (11+で臨検)
11
小型巡洋艦(600 - 1,000t 3+で臨検)
11
USSエ○タープライズ号
12
支援艦(非戦闘艦)
12
巡洋艦(1,000 - 10,000t 7+で臨検)
12
正義のヒーロー
学校の練習船:18歳未満のクルーが多数乗船している
採掘船:質量探知機と採掘に使うパルスレーザーを最低1門
測量船/測量艦:星系内をパトロールして、航路上のデブリや残骸、邪魔になりそうな小惑星などを排除する
支援艦:ドッキングして補給を行ったり、応急修理をしたりする船
ゴーカヨット: 「豪華」との違いは、内装の悪趣味さである。富裕度は自動的に「富裕」
豪華なY型ヨット: 富裕度は自動的に「超富裕」 + 重要人物1名が必ず乗船
豪華客船:富裕度は自動的に「うざいくらい富裕」
ミ○ニアム・ファルコン号:単にそういう名前の船。「貧乏」だが、映画関連のレアアイテムを多数積み込んでいる。
Space Battleship YAMATO:船首にでかい主砲を装備した強そうに見える軍艦。だが、「下面」に武装が全くなく射界が狭い。
空飛ぶ円盤:普通の商船だが、由緒正しきアダムスキー型。目立ちすぎて、拿捕しても故買屋は引き取ってくれない。
宇宙地縛霊:
宇宙仙人:宇宙遊泳で惑星間飛行している変人。酸素は循環式で食糧もたっぷりあり、救助の必要はない。喧嘩は強い(格闘-8)。
トワイライトゾーンへの入り口:くぐると何かが起こる。追加獲物表へ(1-3:貧乏 4-5:普通 6:富裕)
USSエ○タープライズ号:単にそういう名前の武装船(1,000t以上)。映画関連のレアアイテムを多数積み込んでいる。
正義のヒーロー:義賊でなければ、問答無用で殺されてしまう。

 遭遇した宇宙船のタイプが決まると、適当に既存の設定から宇宙船を選ぶか、「宇宙船性能/船長能力表」を振って、その結果に従って宇宙
船を設計すること。なお、コンピュータのレベルは最低でもジャンプナンバーに等しい事を忘れないように。

3. 宇宙船性能/船長能力表 (ver2.1で一部変更)
ジャンプ能力
加速力
船長の宇宙船戦術
1D6を二回振る 商船:2D6-9G 最低1G
民間船、非恒星間宇宙船(※):2D6 - 6G 最低1G
海軍、偵察局:2D6 - 4G 最低2G
6G以上になることもあるが、これはそのようなドライブを搭載
していると言うよりも、それぐらいのスピードで逃げるか、追い
かけて来るかすると言うこと

※:惑星防衛艦は海軍/偵察局のカテゴリーに入る
商船/民間船:1D6-4レベル
軍艦/偵察局:2D6-8レベル 最低1
大型艦(10,000t以上):2D6-6レベル 最低2

1-2 1-2 ジャンプ1
3-4 ジャンプ2
5-6 ジャンプ3
3-4 1 ジャンプ2
2-4 ジャンプ3 武装の有無(オプション 2D6)
5-6 ジャンプ4 商船:9+
民間船:8+
海軍の非戦闘艦:7+
5-6 1-3 ジャンプ4
4-5 ジャンプ5
6 ジャンプ6


例) 義賊 ローガン・フェーン博士 in ガモフ
 ローガン・フェーン博士(工学)は、元ソロマニ海軍の大佐で、宇宙船を破壊する様子から「宇宙缶切り」の異名をとった宇宙船戦術の大家です(本人は造船工学の大家たらんと
していますが)。退役した彼は、自身で設計した800トンの武装船レイブン号(J4,6G)を駆り、亡命政府や民主活動家からの依頼を受けて、独裁政府と戦う義賊になりました(義賊
になる前にはウヨキョクセツあったのですがそれは省略)。
 さて、フェーン氏は、この度ディアスポラ宙域のガモフ(2104)という星系に現れました。このガモフのUWPはB0009EF-E。見るからに楽園とは対極であることがわかります。レ
イブン号はガモフの主星周辺を狩場にしました(ちなみに、根拠地からはジャンプ1なので燃料スクープの必要はありません)。では、まず遭遇数を調べてみましょう。
 ガモフの場合、修正は計+8です(宇宙港B=+3、人口9-7=+2、TL14/3 - 2 = +2、帝国内 = +1)。1D6は4。今後一週間に8+4=12隻との遭遇が予想されました。平
均して1.7隻/日です。
 では、実際の遭遇に移りましょう。まず到着したその日、2隻と遭遇することにしました(残り10隻)。一隻目、最初の2D6の出目はいきなりピンゾロ(笑)、UFOとの遭遇です。UFO
との遭遇の二度目の出目は8、「宇宙地縛霊」です。通信機から念仏の声が聞こえ、レーダーにゴーストが映りました。初日の二隻目、最初の2D6はまたもピンゾロ(爆)、二度目
は7で「空飛ぶ円盤」でした。古典絵画で見たような宇宙船です。ここでGM(笑)は密かにサイコロを振り、「空飛ぶ円盤」の性能を決定します。ジャンプ能力の決定は1,4で、ジャ
ンプ2、加速力の2D6 - 9 は出目6で最低の1G、船長の宇宙船戦術は2(出目6 - 4)、「円盤」は商船なので武装は2D6で9+。出目は8で非武装でした。フェーン氏はこの「空飛
ぶ円盤」への襲撃は行わず、偵察に専念することにします。翌日、また2隻と遭遇(残り8)、三日目にはまた2隻(残り6)、四日目には3隻(残り3)、5-7日目にはそれぞれ1隻ずつと
遭遇しました。


2.1.2 襲撃
 大抵の海賊行為は、まず標的に対して降伏を呼び掛けるところから始まる。いきなり攻撃したければそれでも良いが、一撃で通信機能まで
麻痺させるのは事実上不可能である。襲撃行動に入ることを宣言した後は(=海賊だと正体を明らかにする)、消費した時間は厳密に記録する
こと。まずは通信か威嚇によって降伏を促し、その結果いかんによらず「レスポンス」表を振って、海賊行為の時間的余裕を決定する。

通信で降伏を呼び掛ける:難(11) <通信>+社会身分度 1d6x10sec
 DM:目標が軍/偵察局/警察の船 -8
    目標が武装あり -4
   海賊船のトン数が目標の10倍以上 +2 (Ver.2.1)
  目標のトン数が海賊船の10倍以上 -2 (Ver.2.1)
    「切り裂き魔」 絶対に成功しない。例え初心者の切り裂き魔であっても、イッてる雰囲気が隠せない
    
 これは、当局者に傍受されないように出力を絞った電波で(=あまり遠くの相手にはできない)、相手の救難信号発信を抑止するだけの強烈な
「説得」を行う才能を示す。成功した場合は、出目と目標値の差の分だけ、レスポンス表の-DMになる。失敗した場合はその逆に差が+DM
なる(誰かが傍受していたので反応が早いと言うこと)。さらに、標的は完全に降伏して、乗り込みの際に抵抗されることは無い。「2.2.3.2.
接舷する」へ進む(接舷できる位置までの移動する時間は、降伏させるのに成功したボーナスとして無条件で稼げるものとする)。失敗した場
合は、諦めても良いが、そうでなければ、レスポンス表への悪影響に加えて「威嚇表」に進まねばならない。

 いきなり威嚇(威嚇射撃やロックオンなど)や機動によって相手を降伏させる時、もしくは通信で降伏せずにそうせざるを得なくなった時は、下
の表に従う。威嚇表は20分の時間を使い、一回しか振れない(と言うか、一回しか振る必要がない)。

威嚇表
2D6
2- 商船は取り逃がす。諦めること。軍艦/偵察局は反撃してくる。宇宙戦闘解決表へ
3 - 10 非武装の商船は逃走を図り、軍艦その他の武装した船は攻撃してくる。宇宙戦闘解決表へ
11+ 目標は降伏。「2.2.3.2. 接舷する」へ。武装船は降伏せずに逃走を図る。宇宙戦闘解決表へ
DM

目標船が100トン以下:+2
      1000トン以上:-1
      5000トン以上:-3
海賊船の合計トン数が目標船よりも二倍以上大きい:+2
                     十倍以上大きい :+5
                     半分以下   :-2
                     十分の1以下:-5
目標船が武装している:-2
加速度の差 :± (緊急加速も含んで良い。しかし当然、相手も緊急加速するため、ドライブの性能が同じなら差は生じない)
客船:+2
軍/偵察局/警察の艦艇:-5
「義賊」タイプ:+1
宇宙船戦術技能の差:±
ジャンプ可能な宇宙船をアステロイドで襲った:-3
ジャンプ可能な宇宙船をサイズ1の惑星軌道で襲った:-1
非武装の宇宙船をガスジャイアント軌道で襲った:+2
通信で降伏を呼び掛けて失敗している:-5 早く対処するから
ただし、威嚇で降伏させても、乗り込みの際に抵抗される可能性が最低50%ある。

レスポンス表(マングース版を参考に作成) 
2D6
修正
主星周辺部で規模0の世界:+2
主星周辺部で規模1の世界:+1
主星周辺部で規模A、もしくは主星周辺部でガスジャイアントかその
衛星:-1
外縁部:-3
主星の治安度7+:+1
宇宙港A,B:+1
超大国(※1)の領域:+1(ver2.1で追加)
TL6以下の単一星系独立国(※2):-3 (ver2.1で追加)
海軍基地か偵察局基地がある:+2
宇宙港X:-6
遭遇数の修正10以上:+2
遭遇数の修正-1 〜 -5:-2
遭遇数の修正-6以下:-4
過去1ヶ月以内の海賊行為1件につき:+1
同じ日に軍艦との遭遇があった:+5
同じ週に軍艦との遭遇があった:+1
通信で降伏を呼びかけた時の差:±
軍艦と戦っている時のレスポンス:一切のDMは無視(ver2.1で変更)
救援に来た船を撃破した:立ち去るまで+1
軍艦/偵察局の戦闘艦を撃破した:2D6-7(ver2.1で追加)
通信妨害を行った:+3 成功しても失敗しても同じ

「もう一度」の二度目以後と、「救援が呼んだ救援」のレスポンスに
は、「海賊行為1件につき」と軍艦との遭遇以外のDMは適用しないこ
2-
みんな逃げる 翌日にもう一度
3
反応なし 6時間後にもう一度(ver2.1で変更)
4
反応なし 3時間後にもう一度(ver2.1で変更)
5
反応なし 1時間後にもう一度
6
1D6+1時間後に現場に到着
7
1D6時間後に現場に到着
8
1D3時間後に現場に到着
9
1D3時間後に現場に到着
10
1時間後に現場に到着
11
1時間後に現場に到着
12
10-60分後に到着
13+
1D6x5分後に到着。この場合、海賊船からも近くに別の
宇宙船がいるのが分かる
(※1)帝国、ソロマニ、アスラン、ゾダーン、ハイブ、ククリーの本国。ヴァルグルは政治的統一が無いので含めない。
(※2)アリージャンスコードがNaの世界

もっとも、救援に来るのが常に軍艦とは限らない。DM+2を適用してもう一度遭遇表を振り、どういう種類の船が来るかを判定すること。来
た船が勇敢(無謀)な商船だったりして、それを返り討ちにしようとした場合、その救援に来た船もまた救援を呼ぶので、もう一度「襲
撃」の手順とレスポンス時間の判定を行うこと。また、「保険ブローカー」のヤラセ襲撃も、上記と同じ手順を踏まねばならない。当局者が海
賊行為を認知して、「被害者」の事情聴取を行い、捜査を開始しないかぎり、保険支払いの対象にはならないからである。

・通信妨害
 事実上、電波式通信機で無い限り妨害は不可能である。通信の妨害は軍事作戦では有効だが、海賊行為においては賢いやり方ではなく、
はっきり言ってバカがやることで、襲撃を始める前に偽の遭難信号を出して注意を惹きつけておく方が有効だろう。

 そもそも、
1.) 民間用の周波数帯が妨害された時点で異常事態であり、これだけでも犯罪。つまり、獲物の救難信号が当局者に届かなくても、当局者が
臨戦態勢になる結果は変わらない。
2.) 連続波を出すため、あっさり位置が特定される。
 という大問題がある。法執行機関に十分なTLと装備があれば、最悪の場合(2D6で12+)は対放射源ミサイルが飛んでくる(詳細はレフリーが決
定すること。命中率は高く、電波を止めても追尾してくることは忘れないように)。
 
 それでも通信を妨害したければ、相手の通信機よりも出力が同等か強力(有効通信範囲が同じかより大きい)である必要がある。そのうえで、
難(11) 探知機 通信 10秒 
の判定に成功すること。なお、無線方位探知による位置の特定には30秒もあれば十分であり、妨害に成功しようと失敗しようと、近くの軍艦や
惑星上の治安当局に発信源の正確な位置が特定される(レスポンスに+3DM)
 

例1) 義賊 ローガン・フェーン博士 in ガモフ
 さっきの例とはいささか矛盾がありますが、幽霊と空飛ぶ円盤との遭遇の翌日、レイブン号は400トン、J4/1Gの商船と遭遇しました。この商船「オシリス403」は、はっきりとガ
モフ船籍のトランスポンダー信号を出していたので、フェーン博士は襲撃を決行します。まずは通信で降伏を呼び掛けました。フェーン博士の社会身分度はC(+2)、<通信-4
>です。難ですから、11-(2+4) = 目標値5。フェーン博士は慎重に無線機の出力を設定し、オシリス403に停船を要求します。そして出目は11、+6の成功です。もともとガ
モフの宗教独裁政府にうんざりしていて、腐れ聖職者どもの財産を命がけで守る気のないオシリス403の船長は、要求に従ってただちにドライブを停止しました。なお、この時に
降伏する、と返信されると海賊行為がばれるので、普通はドライブの停止をもって回答とし、ターゲットからの一切の通信は敵対行為とみなすべきです。
 次にレスポンス表を振りましょう。通信による降伏の呼びかけが差+6で成功したので、DM-6があります。しかし、ガモフは規模0の世界なため+2、治安度7+で+1、
宇宙港Bにより+1、超大国(帝国)内のため+1のDMもあり、差し引き-1です。2D6の出目は5-1で結果は4、「反応なし、三時間にもう一度」。いきなり加速をやめた
オシリス403と、何の連絡もなくオシリス403に接近するレイブン号を怪しんで、管制センターは調査のために別の宇宙船を現場に向わせようとします。2D6 + 2の結果、8+2=10
で「偵察局」。偵察局の欄でもう一度2D6 +2 = 12で「巡洋艦」! たまたま近くにいたこの巡洋艦は、管制センターの要請を受けても、現在の任務が優先、必要があればまた2時
間後に連絡してくれ、と冷たい返事でした。

例2) 新米海賊 ルビィくんのフネ
 海賊王になると言う野望を抱いて故郷の田舎惑星を飛び出したルビィくん(18)。海賊王なんぞになることが何の名誉なのか、冷静になって考えればわかることですが、まあル
ビィくんくらいの年頃の男の子には、その冷静さが欠けているものです。さて、ルビィくんが新米船員として乗り組んだのは、200tの自由貿易船「キングフィッシャー」(J2、1G)で、
いわゆる「ジャンプ野郎」であり、海賊王になるには、この点で失敗しているような気もします(海賊王になりたいならなりたいで、勉強して海士に入学して、海軍でしばらく宇宙空
間での戦闘技術を習得するのが最上の道です)。
 ま、それはともかく、いささか商売の不振が続いたキングフィッシャーの船長は、「パートタイムのお仕事」を開始しました。キングフィッシャーが狩場に選んだのは、帝国辺境の
A686849-AS のUWPをもつ主星周辺です。遭遇修正は+9(A=+6、人口=+1、偵察局基地=+1、帝国領+1)。
 出くわしたのは同じく200tの商船であり、J2、1G、船長の戦術-1、武装ありの船でした。キングフィッシャーの船長は、通信で降伏を呼び掛けました。通信担当の腕は良
いのですが(通信-4)、いかんせん、社会的信用に欠けるフンイキがばりばりです(社会身分度4)。必要な出目は武装ありの至難(15)-通信4=11に対し、2D6は6。-5の失敗
で、この時点でレスポンス表に+5のDMがつきます(そして消費時間40秒)。ターゲットの「ふざけんなボケがっ」の返答に、キングフィッシャーの船長は方針を変え、火器管制レ
ーダーを追尾モードにするとともに、緊急加速で背後至近につけて威嚇しようとしました。
 では威嚇表を見てみましょう。標的の船の概略は前記の通りです。DMを整理すると、彼我の大きさによる修正はなし。目標は武装しているため-2、加速度の差はなし。実は
キングフィッシャーの宇宙船戦術技能は0で、技能差-1。降伏を呼び掛けて失敗して怒らせているため-5。計-8。ああ、諦めて逃げようよ…、と思うのは普通の人ですが、残念
なことにキングフィッシャーの船長は普通の人ではありませんでした。果敢に「威嚇表」にチャレンジして出目11。普通なら敵を降伏させることが出来るのですが、残念ながらDM
-8で結果は3。標的は商船ですが武装しているので、反撃してきました。「戦闘解決/宇宙戦闘」へ進む必要があります。そして威嚇表の使用で+20分。
 そして最後に「レスポンス表」を振ります。DMを整理しましょう。治安度9の主星周辺を狩場にしたので+1、帝国領内なので+1、宇宙港Aで+1、偵察局基地がある
ので+1、さらに降伏を呼び掛けた時の5差の失敗で+5の計+9(偵察局の通信所がキングフィッシャーの通信を傍受し、かなり早い段階で地元警察に通報していました)。
2D6の出目は3で、+9して12。「10-60分後に到着」です。そしてDM+2を適用して駆けつけて来る船の種類を調べたところ、「商船」で「政府指定客船(600 - 1000t)」というい
ささか頼りない結果に…。管制センターの指示で、現場まで30分(サイコロの出目は3)の距離にあったこの客船は、現場に向かって緊急加速を開始しました。キングフィッシャー
は既に20分40秒使っていますから、10分弱でカタをつける必要があります。離脱するのが賢い選択でしょう。


2.1.3 戦闘解決
2.1.3.1. 宇宙船戦闘
 降伏した船に乗り込むにせよ、戦闘になったにせよ、この先は、「レスポンス表」で決まった時間以内にカタをつける必要がある。宇宙船戦闘
を行うこと。一ターン毎に20分かかり、勝負がつくか諦めるかするまで戦い続けなければならない。撃破に成功すれば、「2.1.3.2. 接舷する」
に進み、次に戦闘解決/乗り込み表をふること。もし相手が降伏しているなら、戦闘解決表/宇宙戦闘は無視して「接舷する」まで進む。
 なお、敵側が降伏する機会は、通信の呼び掛けと威嚇のところで既にあるため、基本的にヒットポイントが0になる前の降伏は無い。

宇宙船戦闘の解決法
1. HP(ヒットポイント)の決定
 まず、戦闘に関与する敵味方双方の宇宙船全てについて「HP (ヒットポイント)」を決定する。このHPは必ずしも宇宙船の物理的強度だけを示すものではなく、乗員の宇宙船に対する信頼性からくる交戦意志も示しているため、船体は無傷であっても、「もう駄目だ、諦めよう」と思った時点で耐久力0にもなりえる。非武装船同士の壮絶な追撃戦も起こりえるわけで、それを解決しなくてはならないため、物理的強度だけを示していてはどうしようもないのである。表にもある通り、船体に大きな損傷を与えないようにする」不利を被りながら戦って勝てば、耐久力0でも相手の宇宙船には大きな損傷は無いだろう。

HPは、
(船のトン数/50) x (1 + 装甲/10) で求められ、小数点以下は四捨五入、1より小さい場合は1として扱う
装甲の値は宇宙船の設計基準で異なる。 CTハイガード規格(笑)の宇宙船の場合は装甲度の数値をそのまま使用
MT規格(笑)の宇宙船は、(装甲度-40)/3 端数切り捨て
 マングース規格(笑)宇宙船は、装甲度/2 + 船体と構造の強化ポイント/5 端数切り捨て
例えば、MT規格(笑)で設計された400トン、装甲46の宇宙船のHPは、
 400t/50 x (1 + 装甲2/10) = 8 x 1.2 = 9.6で、小数点下四捨五入で10となる。

2. 戦闘判定
 次に戦闘ターンに入る。1ターンは20分で、各ターンごとに、双方は先ず「逃走」するかどうか決定する(そして非武装対武装なら非武装側は大抵「逃走」する)。戦闘中はいつでも「逃走」の方針に転換することは可能だが、いちど「逃走」の方針を取れば、やられるか、逃げ切るかして勝負がつくまで方針転換が出来ない。また、多数目標と交戦する際の攻撃目標の設定も、この時に行う。
 次に実際の戦闘となり、双方は1回ずつ2D6を振り、出目の高かった方が低い方にダメージを与えられる。いわゆるところの「ファイティングファンタジー」方式であり、攻撃側、防御側の区別はなく、双方の出目は攻撃も防御も含む数値で、それを同時に比較することに注意。
 双方の出目は下の表の条件によってDMがある。トン数の比率はHPの違いによっても現れるが、「ラン●ェスターの法則」的に多重の影響が生じていると考えること。
  多数の敵と交戦する場合、参加する全ての宇宙船が1回ずつ2D6を振る。つまり、二隻を相手にしている1隻の船であっても、2回振ることは出来ない。基本的に数が少ない側は、2D6を振る前に攻撃目標を設定しておかねばならず、その目標に出目が勝った場合、その目標にのみダメージを与えられる。目標ではない方に出目が勝っても、それは相手の攻撃を回避したということにしかならない。
 ちなみに、宇宙船戦闘に不意打ちはない(降伏の呼び掛けや異常接近で不意打ちは成立しにくいから)。

DM
トン数の違い(*1):
二倍以上 大きい側に+2、
10倍以上 大きい側に+5 累積はしない
非武装vs武装ありの戦い:
非武装側に-5
船長の宇宙船戦術技能レベル:
+DM 宇宙船の扱いは知っているはずなので、技能は無くてもマイナスはない
船長が海軍士官として指揮任務につ
いたことがある:
+1 
加速度の差 :
大きい方に+DM
彼我の砲塔の数の差(*2):
多い方に+DM 攻撃兵器か防御兵器かは不問。
バーベットは砲塔2、50t副砲は砲塔5、100t副砲は砲塔10に相当。
差があまりにも大きいと感じた時は、(*2)の注記を参照。
ガスジャイアント軌道で低空側:
-2 
攻撃法による修正:
人員を殺傷しないようにする -2 
貨物を傷つけないようにする -2
 上記2つは、いずれも、戦闘の最初から最後まで続けなければ、損傷や死傷を低減する効果は得られない(後述 「戦闘による実際の損傷」を参照)。
体当たり時の非武装船も選択可
通常ドライブを破壊しようとする -2
 「逃走」を阻止する効果がある。損傷を低減させるには上二つと同じく戦闘の最初から最後まで続けなければならない。体当たりでは選択不可。
敵に全く損傷を与えない:
-12 威嚇射撃のみによって交戦意志を失わせる名人芸 プライスハンターは-11でよい
戦闘の最初から最後まで続けなければ、後述のような効果は得られない。
法執行機関や軍隊:
+1
法執行機関/軍隊 vs ジャンプ野郎:
ジャンプ野郎に-1
切り裂き魔:
2ターン目以降-1 抵抗が激しいと戦意が萎える
「逃走」:
非武装でも「非武装vs武装ありの戦い」の-DMは適用されないが、武装している船も非武装扱いになる。砲塔の数の差によるDMは受ける(武装船は防御的に砲塔を使っているとみなすのである)
体当たり:
+操縦担当者のパイロット技能レベル しかし、武装船も自動的に非武装扱いとなる
ソフト、ハードの二種類がある(後述)
武装を狙い撃ち(*3):
 -6 出目が勝てば通常のダメージに加えて敵の砲塔の数を1つ減らせる
多数の敵と交戦(*4):
数が少ない側は、その差1隻につき-1。ただし、小艇は合計100dtにつき1隻と数える
(*1)複数隻の宇宙船と交戦している場合は、目標としている宇宙船のトン数とのみ比較すること。例えば、400トンの商船を200tの海賊船2隻で攻撃する時は同じく400トンで1:1とはならず、400dt:200dtでどちらに対しても商船側に+2DMである。

(*2) 非武装でもハッタリをかますなら、トン数/100の砲塔があるとみなす。このハッタリは、非武装同士の戦いでは毎ターン50%の確率でばれ、武装対非武装では全く効果は無い。
 また、このDMが適用できるのは、せいぜいが1000t単位の宇宙船までであり、それ以上の大型武装船同士の戦いであれば、ちゃんとした宇宙戦闘を行うか、以下の基準に従って彼我の砲塔の数を割って調整すること。

大きい方の船の排水素トンが
5,000 - 9,999: 5
10,000 - 99,999: 10
100,000 + : 100
例えば、10,000トンで砲塔100個の巡洋艦に5,000tで砲塔50個の駆逐艦が無謀な戦いを挑んだ場合、-50とするのも良いが、砲塔の数を10で割り、巡洋艦10、駆逐艦5として-5も良い(なんとかなる差かも)。
(*3) 大型艦同士の戦闘で砲塔の数の比率を用いているなら、比率が1低下する(例えば砲塔の数5:1で優勢な方が勝てば5:0、劣勢な方が勝てば4:1となる)
(*4) DMの算出上は、小艇は合計100dtで1隻として扱うが、個々の小艇は別々の標的となる。例えば海賊船1隻が20t x10機と交戦する場合、10隻ではなく2隻扱いでDM-1。しかし、撃破すべきは最低HP1の20機!!である。 

3. ダメージ適用
 HPに与えられるダメージは、戦闘時の出目の差によって決定される。 基本は
  出目の差/2 最低1で端数切り捨て
 以下の条件で修正される。

 攻撃兵器の砲塔5以上: x2
  攻撃兵器の砲塔50以上: x5
 攻撃兵器の砲塔500以上: x10
  非武装または防御兵器のみの船が体当たり以外で与えるダメージ:最大2 精神的ダメージ 
  「人員を殺傷しないようにする」攻撃:最大6
  「敵に全く損傷を与えないようにする」:通常通りのダメージ まさに名人芸であるが、これで勝てるような海賊が、通信や威嚇で相手を降伏させられないのは不自然。
  6ゾロが出た:出目が相手に勝っていればダメージ+1。これは最大ダメージの制限の例外とする。
 
 体当たりによるダメージ:基本的に二種類の体当たり方法がある。
 ソフト体当たり = 相手に自船のトン数/100ダメージ、自船は1ダメージ 
 ハード体当たり = 相手に 出目の差 + 自船のトン数/50 x 加速度(G) ダメージ 自船には相手に与えた半分のダメージ
 さらにただちに乗り込み戦闘可能になる(逆に乗り込まれる可能性もあるので注意)
 
 相手方が「人員を殺傷しないようにする」を選んでいるか、体当たりしてこない非武装船に出目で負けたのでない限り、HPが10%失われるごとに2D6を振り、7-9が出るたびに乗員、乗客の誰か1人が負傷、10+が出れば死亡する(あまりに乗員乗客の数が多いなら、10%単位で判定しても良い)死傷するのが誰かはレフリーの裁量で判断してよい。しかし勝ったのが海賊側の場合、物語の都合上は必ず1人は死傷させること。
 HPが0になった側は、宇宙船が破壊されたり、逃走や追跡を諦めたと看做される。必ずしも降伏はしない(通信や威嚇のところで既に降伏の機会はあるので、ルール的にここでまた降伏云々は設定しないことにした)。HPが0になっていない側が望めば、接舷して乗りこみ戦闘に持ち込むことが可能。適切に処理すること。

4. 「逃走」の効果
 「逃走」を選択した宇宙船は、
 (1D6+3) x (追跡側の加速度/逃げる側の加速度)
の戦闘ターン分だけ耐久力が0にならずに生き延びれば、逃走することが出来る。
 例えば、200トン1Gの船が、2G加速の海賊船から逃げに徹した時、
 1D6+3=6, 6 x 2G/1G = 12で、12ターンの間、4しかないHPが0にならなければ逃げ切ることが出来る。ただ、1G同士だと6ターンでよい。
 逃走の成功は必ずしもジャンプしたことを意味しない。非恒星間宇宙船でも、敵から逃走可能である。
 「逃走」を選択した宇宙船に対して、「通常ドライブを破壊しようとする」攻撃が成功した(2d6の振りあいで勝った)場合は、逃走に必要なターン数が消費されない。

5. 選択ルール
  選択ルール参照

・戦闘による実際の損傷
 宇宙船戦闘が終わった時、基本的には、宇宙船は全HPに対してダメージとして失われたHPの比率分だけ、それぞれのトラベラール
ールで定められた宇宙船の耐久性能に損傷が発生している。装備機器にも同じ比率で損害が発生し、また貨物はほぼ同じ比率で失わ
れ、助かるのは(1D6-3) x 5%のみ。つまり、「貨物に損傷を与えないようにする」か、非武装の海賊でもない限り、普通に戦闘して勝っ
ても獲物の貨物は大半が失われる

例) とあるマングース規格設計の200tの商船は、HPの半分を失いながらも逃げ切った。この宇宙船はHull=4、Structure=4なので、その半分、2点ずつを失っている。この船の
貨物は、積載量の50% - (1D6 - 3)x5%が失われている。

 しかし、先述の通り、HPの減少と船体の損傷は必ずしもイコールではない。この場合、宇宙船の損傷は、相手の攻撃時の手段や戦闘姿勢に
よって決まる。
 当該の宇宙船のHPを減少させた側が下の条件を満たしていれば、戦闘後の宇宙船の損傷は以下のように修正される。
 
 貨物に損傷を与えないようにする」:宇宙船が実際に受ける損傷の比率は半分になり、貨物には損傷が無い。
  「人員を殺傷しないようにする」:宇宙船が実際に受ける損傷の比率は半分になり、人員に死傷は生じない。
 非武装/防御兵器のみ:体当たりが行われていない限り、実際の損傷は生じない 非武装同士の戦いでも同じ
 「敵に全く損傷を与えない」:全く損傷は生じないし、人命の損失も無い
 「通常ドライブを破壊しようとする」:宇宙船が実際に受ける損傷の比率は半分になるが、通常ドライブは全損。貨物は通常通りダメージを
受ける。

 修正は累積させても良いが、その累積は重複しない効果だけに限られる。「貨物に損傷を与えず」かつ「人員を殺傷しないように」して勝った
場合の結果は、「人員に死傷者なし、貨物に損傷なし、宇宙船の耐久性能には50%の損傷」ということになり、損傷比率が半分の効果が
二つあるからと言って25%損傷にはならない。
 なお、都合が良いことに、戦闘に勝った側は、どんなにひどい損害をこうむっていても航行不能にはならない(笑 しかし、負傷者くらい
は出そう)。また、全く無傷で勝つと言うのが非現実的と思うなら、戦闘1ターン毎に勝った側は宇宙船の耐久性能に1%の損傷を負う程度で良い
だろう。

・弾薬の消費
 さすがにここまで細かすぎて面倒見切れないが、戦闘1ターンにつき、最低でも散乱砂、ミサイル、魚雷は1発、レールガンは一連射分
の弾薬を消費する。それがいやなら、節約戦闘として、該当する砲塔は使わないとみなす(結果として非武装あつかいになることもある)。

戦闘の例

例1) 新米海賊 ルビィくんのフネ
 30分の持ち時間のうち既に20分40秒を使った海賊船キングフィッシャー。ですが彼らは、逃げずに戦いを挑みます。
 さて、ターゲットの200t商船は、先述のとおり1G加速、砲塔2、宇宙船戦術-1の船長が指揮しています。装甲はありません。200dtなのでHP=4です。
 一方のキングフィッシャーは性能と武装で対等ですが、船長に宇宙船戦術技能がありません。おなじくHP=4
 次にDMを整理してみましょう。
 大きさは対等、砲塔の数も加速度も同じ、ただ戦術技能の有無があります。
 ターゲット側は、船長の宇宙船戦術技能レベルでDM+1ですが、
 キングフィッシャー号は、 わざわざ「貨物に損傷を与えないようにする」-2を選択しました。

 で、戦闘開始。キングフィッシャー号は2D6=5 ですがDM-2で3。ターゲット側は2D6=5 + 1 = 6 その差3でターゲット側が勝ち、差3/2 = 1(端数切り捨て)で、キングフィ
ッシャー号はHPに1ダメージを受けました(残りHP=3)。ひとしきりのレーザーと散乱砂の応酬の後、キングフィッシャーは被弾します。さらに、ダメージ1はHPの25%に相当
するため、死亡判定2回。幸いにも死傷者は出ませんでした。そして1ターン経過で+20分
 持ち時間30分のところで既に40分40秒経過。救援の客船(600t、1G、非武装 HP12)が現場に到着しました ! ターゲットの船の船長は、この救援に力を得てさらに戦
闘を続行しました。

 2ターン目のDMは
 キングフィッシャー号の船長は、さすがにあわて始めました。普通に攻撃することにしますが、敵船が一隻増えたため、DM-1 残りHP=3
 ターゲット側の200t商船は、さっきと変わらずDM+1 HP=4
 新来の600t客船は、キングフィッシャーのトン数の3倍(+2)、非武装(-5)かつ砲塔の差-2。そして、「体当たり」のハードを選択します。パイロットはめっぽう腕が良
い5lvで、DM合計は、+2-5-2+5=+0です (この客船の船長は、新しい船を買うために保険金が欲しい思っているのです) HP=12

で、2ターン目の戦闘開始。キングフィッシャーは200t商船の方を攻撃目標としますが、出目は修正済み4、ターゲット200t商船の出目も4で引き分け、双方ダメージなし。
しかし、600t客船は出目7 ! ハード体当たり成功です。キングフィッシャーのダメージは、出目の差3 + 600t/50 x 1G=15で、残りHP=3のキングフィッシャーは撃
破され、全損となりました。HPに対する損害比率は100%なので、乗員の死傷判定は10回行う必要があります(ここで、+12点のオーバーキルも含めて400%で40人分死傷判
定するも自由です)。幸いにもルビィ君は無事でしたが、客船の保安要員にぶん殴られたあげく、地元警察に引き渡されるまでロッカーに押し込まれました。ちなみに、愚かなキ
ングフィッシャーの船長は、艦橋で頭を強く打って死にました。そして+20分。計60分40秒で戦闘は終了しました。
 一方、客船の方も15点の約半分、8点を喰らいます(全HP12の約70%のダメージ 残りHP=4)。貨物やら装備機器の70%が壊れたり、機能不全を起こしましたが、航行
に支障はありません。また、70%ダメージで7回の死傷判定が必要とされますが、ここは勝者特権とレフリーの裁量により、死者は出ていないと定めたので、特に判定は不要とし
ます(労災申請のロールプレイをしたいなら別ですが)。 

例2)短い服軍団の初陣

 ま、もろもろ面倒臭いのは省略して、ミニヨン号はとある星系で初めての獲物に遭遇し、持ち時間160分(2時間40分)の状態で戦闘?が始まります。

ターゲットは400t、1G、非武装で、HP=8。
海賊船ミニヨン号は100t、2G、非武装でHP=2。
DMは、
ターゲット側 トン数倍以上の+2
海賊船は 加速度の差で+1、A船長の宇宙船戦術技能レベル(!?)が1で+1、計+2です。
 双方とも非武装なので、武装/非武装や砲塔の数のDMはありません。

 ターゲットは恐れをなし、逃げに徹することにしました。しかし1D6+3の出目は8、しかも加速で負けているため、8 x 2G/1G = 16ターン=320分逃げ続ける必要がありま
す。もっとも、160分後に救援の船が来ますけど。

1ターン目
 2D6はターゲット4(ピンゾロ) 海賊船10 本来は差6/2=3点のダメージをターゲットに与えることが出来ますが、生憎と非武装海賊船なので2点分相手の戦意を
削るのが精一杯です。
 ターゲット残HP=6 海賊船は非武装なので、死傷判定は不要です。残り140分
2ターン目
 ターゲットは6 海賊船は6ゾロの14 6ゾロなので海賊船は2+1=3のダメージを与えます。
 ターゲット残HP=3 残り120分
3ターン目
 ターゲットは9 海賊船は10 ダメージは最低値の1で、ターゲットの残HP=2 残り100分
4ターン目
 ターゲットは8 海賊船は12 ダメージは2点で、ターゲットのHPは0になりました。彼女は乗り込み戦闘を選択します。逃げ回るターゲットの軌道に上手く同調し
て、海賊船は無理やり接舷することに成功しました!! 残り80分。

 ここで注意しなければならないのは、ターゲットの商船は逃げ回るのに疲れるか失敗したかしただけで、全く損傷を被っていないと言うことです。これは、獲物として無傷である
反面、相手の乗員には死傷がないし、乗り込み戦闘に備えて十分な準備を整えて待ち構えている可能性の問題もあります。

 
2.1.3.2 接舷する
 もし通信で相手を降伏させていたなら、接舷と突入に成功した時点で、「2.1.4. 獲物」へ進む。そうでなければ、接舷に成功した後、乗り込み
戦闘へ進む。

 接舷するには:難(11) パイロット+敏捷度 1d6分
 相手が停船しているか戦闘で「撃破」されていることが絶対条件(必ずしも降伏しているわけではないことに注意)

 接舷してから乗り込むには:難 様々 2d6分
 相手が素直に扉を開けてくれるなら、判定は不要(ただし、それは抵抗が無いと言うことを意味するものではない)。突入チューブを伸ばす場
合は 遠隔操作+敏捷度、ドアブリーチ爆薬を設置するには爆発物+敏捷度など。なお、突入チューブはマングース版の装備である

2.1.3.3. 乗り込み戦闘
 接舷に成功したり、撃破した宇宙船に乗りこむ事にした場合には、乗り込み戦闘表に移る。宇宙戦闘があった場合、生存者がいさえすれば、
乗り込み戦闘は自動的に発生し得るが、大型船に乗り込まれた小型船は抵抗しても勝ち目が無いと思うように、実際に発生するかどうかは適
切に判断すること。「威嚇表」で降伏させた場合は、最低50%の確率で乗り込み戦闘が発生する(相手が宇宙船同士の戦いは不利だと判断
しただけの話)。戦闘解決表を一回振る毎に20分かかり、結果が出るまで振り続けること。勝利すれば、「2.1.4 獲物」へ進む。

乗り込み戦闘の手順
1. パーティーヒットポイント(パーティーHP)

 まず「パーティーHP」を決定する。ぶっちゃけて言って、戦闘に参加する人数やロボットの数(*1)そのものが「パーティーHP」である。本的に多くて数十名までの交戦を想定しているが、敵味方それぞれが100人以上を繰り出す大戦闘となるならば、双方を1/10ずつするなどして調整すること。宇宙船の耐久力と同様に、これも必ずしも減少=生命の損失ではない。戦意の低下、弾薬切れや武器が壊れた、武器を落としたなどによる脱落も含めた数値である。

2. 戦闘開始
 まず双方は「戦闘姿勢」を選択する。「戦闘姿勢」には、「突撃」「バカ」、乗りこまれる側のみ可能な「立てこもり」、乗りこんだ側のみ可能な「退却」がある。その後、双方は2D6を振り、出目の高かった方が低い方にダメージを与えられる。攻撃側、防御側の区別はなく、双方の出目を同時に比較することに注意。1ターンは10分。
 双方の出目は下の表の条件によってDMがある。人数の差は耐久度の違いによっても現れるが、「ラン●ェスターの法則」的に何重にも影響が生じていると考えること。
 ちなみに、比較的狭い場所での少人数での戦闘であり、また人数比は考慮済みなので、「複数の部隊」との戦闘はルール化していない。

・不意打ち
 乗りこまれる側の宇宙船のクルーは、戦闘の1ターン目のみ不意打ちを行うことが出来る。乗りこむ側は、例えフェイントをかけようと、乗りこみ口は限られるだろうから、不意打ちは出来ない(乗客として紛れ込んでいるなら可)。
 乗りこまれる側の船長や保安長の戦術技能レベル(特に決まっていないなら、民間船1D6-4、偵察局/軍艦2D6-7で最低1)+1D6と、乗りこむ側の船長か切り込み隊長の戦術技能レベル+1D6を比較し、+3以上上回った場合、乗りこまれる側は不意打ちを行うことが出来る。

DM
リーダーの戦術技能レベル:
+技能レベル ここで言うリーダーとは必ずしも宇宙船船長と同一人物でなくてよい
リーダーが陸軍か海兵隊で指揮任務につ
いたことがある:
+1
リーダーに戦術技能が無い:
-2
倍以上の人数比(*2):
多い側にのみ+、小数点下切り捨て 例えば相手の三倍であれば3:1なので+3、
パーティーの構成が(*3):
特殊部隊員25%につき +1 最低でも一人、現役/元は問わない
海兵隊員50%につき +1 最低でも一人、現役/元は問わない
陸軍兵士/警官が50%以上である +1  最低でも一人、現役/元は問わない
自律型戦闘用ロボット50%につき +1
その他の武装ロボットが50%以上である +1
基本的な武器取り扱いが出来る人が50%以下 -1
武器を扱えない一般人ばかり -3 ただし、ならず者は武器を使えなくても一般人ではない
損害によって比率が変わることに注意。一般人が先に倒れれば、足手まといが無くなったプロの兵士は存分に戦えるのである。
不意打ち:
+5 1ターン目のみ、乗りこまれた側だけが可能
敵を殺傷しないように注意する:
-5 戦闘の最初から最後まで続けなければ、後述のような効果は得られない。
CQB技能:
+3 パーティー全員が持っていること
CQC技能:
「殺傷しないように注意する」のマイナスDMが無くなる。 パーティー全員が持っている
平均的に武器の性能が良い側:
+2  民間で手に入るレベルの武器では差が生じない。
平均的に防具の性能が良い側:
+2  注釈は同上
高重力にする/される:
0 双方に影響が出るから。しかし、1ターン40分になる。
無重力にする/される:
0 どちらかが一方的に有利になるものでもないから。
真空にする/される:
殺傷しないように注意している場合のDMが-10になる。
もし宇宙服を着ていないという間抜けな事をしている者は即死。
無線式の主部/従部式のロボットを投入:
相手の船の上では-8
宇宙船と言う金属の閉鎖空間で予想される通信の困難さに加えて、有線/無線関係なくデータの送受信にかかる時間によって致命的な遅延を招くこともありえるだろう。
有線式の主部/従部式ロボットを投入
(*4):
-8
法執行機関/軍隊 vs ジャンプ野郎:
ジャンプ野郎に-2
戦闘姿勢が「立てこもり」:
+6 出目が上回っても敵側に全くダメージは与えられない
戦闘姿勢が「退却」:
+2 出目が上回れば自船に逃げられるが、敵側に全くダメージは与えられない。
戦闘姿勢が「バカ」:
任意の+DMをこの姿勢を取る側に適用
戦闘姿勢が「突撃」:
自船上なら+1
宇宙船戦闘で船が全損:
全損している側は-4
爆発物技能の使用:
-3
爆薬などの適切な装備を持っている場合に限り、乗り込んだ側は宇宙船内の扉や隔壁を手早く突破する、乗り込まれた側はブービートラップを仕掛ける等が出来るので、出目が勝った時は技能レベル-1D6 だけ1戦闘ラウンドの時間(10分)を増減できる。また、出目が勝った場合、相手の「立てこもり」を無効にすることが出来る。
セキュリティ技能の使用:
-2  
爆発物/戦闘工兵技能と同様の効果だが、爆発物技能と違い、突入した側の遮蔽物ともなりえる隔壁や扉を壊さないので、-DMはやや少ない。マングース宇宙出身者以外の海賊には、諦めてもらうとしかない(*5)。
(*1)パーティー耐久力の算出に当たっては、主部/従部ロボットは「頭脳一個=人一人」の原則に従う必要はない。従部が10個ふれば、タマよけが10個あることになる。
(*2)間違ってはならないが、この人数比の算出では主部/ロボットの「頭脳一個=人一人」の原則に従わねばならない。戦場で役立たずは員数外なのと同様に、考えて行動する頭の数こそが重要だから。
(*3)と言っても、さすがに基本訓練だけではだめで、補給科ばかりで退役した軍人や、科学捜査専門の警官などは一般人の-1は受けないが+DMは無い。
(*4) 配線を引いているので、外壁が閉じられず危険。外壁を開いていれば、当然、船内は空気が抜けはじめるだろう。また、気密式の突入チューブで海賊船から乗り込んだとしても、主部が海賊船内にあれば気密式の意味は無い。相手が空気を抜き始めれば、海賊船側もそれにお付き合いして空気が抜けることになる。主部を獲物まで運びこんだとしても、有線式の脆弱さがある。敵の攻撃で切断され易い、互いの動きを制約する(喧嘩凧状態で互いに線を切り合わないような機能があるとしても、線が絡むような移動は制限されてしまう)、と言う誰にでも想像がつく問題はもちろん、例えばアイリスバルブの奥に入った場合、バルブが閉じて線が切れなかったとしても、尻尾を踏まれて(笑)動けなくなるかもしれない。動きやすさを考えて細い線が使われれば、通信の速度に影響が出る。しかし、通信容量が大きい太い線を使えば、ロボットが動きづらくなる。そう言う訳で、戦闘に関しては何も良いことは無いとみて厳しい-DMを課す。
(*5) どうしてもと言うなら、<コンピュータ>+<エレクトロニクス>+<侵入>の合計/6 端数切捨てを使おう。

3. ダメージ適用
 2D6の出目が低かった側は、ダメージを受ける。ダメージは基本的に戦闘時の出目の差に等しく、その点数分だけ負けた側のパーティーHPが減少するが、双方の戦闘姿勢や人数比によって調整される。
 
ダメージ修正
 人数比:5:1以上優勢な側は、出目が勝った場合、ダメージ+2。ランチェスター的にここでも人数比は効果を発揮
 戦闘姿勢が「突撃」: 出目が勝った場合、与えるダメージが倍になるが、同時に与えたダメージ/10点(端数切り上げ)のダメージも受ける。負けた場合のダメージは三倍
 戦闘姿勢が「立てこもり」か「退却」:出目が勝っても、相手のパーティーHPにはいっさいダメージを与えられない無い。
 戦闘姿勢が「バカ」:出目が勝った場合、端数切り上げで、この戦闘姿勢に用いた+DM/2点分だけ与えるダメージが増えるが、同時にDM/2点同じくダメージを受ける。負けた場合、受けるダメージは+DM/2倍になる。要するに、「骨を切らせて肉を断っている」

基本的に、敵が「敵を殺傷しないように注意する」を選択していない限り、失われたパーティーHP1点につき、一人の乗員が死傷するか、一台のロボットが破壊されるかする。死者:負傷者の比率は1:3程度が適切。
 「敵を殺傷しないように注意」している敵との戦闘で失われたパーティーHPについては、ロボットの場合は破壊されているが、生命体の乗員(番犬等も含む)は戦意喪失や、武器が破壊されたり弾薬切れに追いこまれて脱落を余儀なくされただけであり、死傷していないとみなす。どちらにせよ、パーティーHPの減少は戦闘に参加可能な人数の減少を招くので、人数比の再計算も忘れないこと。誰を脱落させるかは、適当に判断してよい(従部ロボットが脱落した場合は、HPの減少ほど人数比への影響は無いかもしれない)。

ダメージ適用が終わり、どちらかのパーティーHPが0になるか、降伏しなければ、再度2.に戻って出目を比べあう。
 この、出目の比べあい(戦闘)→ダメージ適用の流れを1ターンとし、1ターンは10分である

4. 撃破と降伏
 パーティーHPが0になった側は、撃破されたものと看做される。そして負傷の有無に拘わらず、生存者は降伏して、もう抵抗しない。
 一方、状況によっては、パーティーHPが0になる前に降伏することもある。海賊プレイヤーが降伏するのはいつでも可能だが、獲物側や海賊ハンター達がパーティーHPが0になる前に降伏するには、少なくとも1ターンの戦闘の後、出目で負けた側は、ダメージ適用後に 2D6/14+で降伏する。降伏判定には下のようなDMがある。
 
降伏判定DM
・「立てこもり」を選択している: -4
・人数比が1:5以下の劣勢: +2
・相手が殺傷を避けている: +1
・相手が切り裂き魔: -6
・相手が私掠船か義賊: +1
・3ターン以上連敗している: +2
・宇宙船戦闘で負けた側: +1

5. 選択ルール
 選択ルール参照


例1) 公安コマンドー出動
 低TLで宇宙空間の防衛力は皆無のとある星系は、海賊の跋扈に悩まされたので、近くのハイテク世界に協力を要請しました。しかし、なにぶん資金不足で戦闘艦は派遣して
もらえず、代わりに特殊部隊、公安コマンドーの分遣隊が送られてきました。
 公安コマンドーは、隊長ウー・フーチン警視以下二分隊10人+強行偵察ロボットのゲイツくんからなります。チャーターした偵察艦に乗り込み、過密状態に我慢すること一週間
(こういう時に限って海賊は現れない)、待望の海賊が現れました。もろもろ面倒くさいので、無抵抗を装って海賊船(440tの典型的なやつ)の接舷を待ちかまえるところからスター
トです。

公安コマンドーは10人(ゲイツくんは待機)、パーティーHP10。一方の海賊側は、悪名高き切り裂き魔、(自主規制でピー音)親分ことアンリ・カサール率いる20人 パーティ
ーHP20です。

1ターン目
DM
 ウー警視は戦術技能3で+3、軍人時代に指揮経験もあります(+1)。そして100%特殊部隊なので+4。公安コマンドーは警察系特殊部隊なので、全員CQC技能を持っていま
すから、「殺傷しないようにする」の-DMはなし。そして良質な防具を装備しているので+2。ただ、低致死性武器がメインのため武器の質による差はありません。DMは計+
10。
一方、切り裂き魔側は、元軍人ながらカサール親分の戦術技能(+1 性格的問題で指揮任務についたことはない)はウー警視に及ぶべくもなく、唯一勝っている要素は、そ
の数のみ(+2)です。DMは計+3 警察だっ!との警告に一瞬ひるんだ切り裂き魔達ですが、しかし、質の悪さを蛮勇(狂気)でおぎなうべく、戦闘姿勢は「突撃」です。

 公安コマンド:出目6+10=16 切り裂き魔:出目10 + 3 = 13 公安コマンドの勝ち。本来は出目差ダメージ3ですが、切り裂き魔は突撃したあげくに負けたので、
x3 ダメージ9です。公安コマンドご自慢の最新兵器、粘着ヒートショッカーの連射に切り裂き魔は次々となぎ倒されるか、あるいはへばりつく発熱体を振り落とそうと珍妙なダ
ンスを踊りました。公安コマンドのHP=10 切り裂き魔のHP=11

2ターン目
 公安コマンドのDMは変わらず+10
  一方、切り裂き魔側は数の優位が失われたのでDMは+1に減少。しかし、賢くも(自主規制でピー音)親分ことアンリ・カサールは、敵わじとみて退却を命じました(+2)。DMは計
+3
 公安コマンド:出目6+10=16 切り裂き魔:出目8+3=11 また公安コマンドの勝ち。切り裂き魔達は出目差分5人が倒れ(HP6)、退却することもかないませんでした。

3ターン目
 切り裂き魔はなおも海賊船に逃げ戻ろうとします。
 公安コマンドー:出目9+10=19 切り裂き魔:出目7+3=10 残りHP6(6人)の切り裂き魔は全員が倒れました。かくして、切り裂き魔達は次々と手錠をかけられたあげ
く、鎮静剤とファーストドラッグを投与されて抵抗できなくされました。抵抗が激しくてやむなく射殺した3名の切り裂き魔(オーバーキル分の3点)を除き、カサール親分も含む17名
を、公安コマンドーはかすり傷一つ負うことなく逮捕。30分の戦闘の後の大勝利です。

 ただ、ウー警視もその部下も、いかんせん陸上動物であり、宇宙船の操縦法が全く分かりません。海賊船を回航するため、支援を求める通信を送りました。

例2) 短い服軍団 乗り込み戦闘す
 A船長率いる短い服軍団の「ミニヨン号」は、非武装船同士のソーゼツな追撃戦を制して、首尾よくターゲットの400t商船に乗り込みました。接舷と乗り込みに13分使ってしま
い、救援が現れるまでの残り時間は67分です。

A船長以下短い服軍団は5人、HP=5。400トン商船は船長以下乗員4名、HP=4です。

1ターン目
 A船長は戦術技能も指揮経験もありません-2。また、武器の扱いを知らない素人集団で、かつならず者になるほどまだスレてはいませんので、一般人ばかり-3。殺傷する気
もありませんので-5DM計-10。
 一方の商船クルーは、とある平和的教義のメジャーな宗派を信仰しており、船長には戦術技能も指揮経験も無く(-2)、教義に従い暴力は良しとせず(一般人+殺傷する気な
しで-8)、ただ立てこもるのみでした(+6) 計-4

 短い服軍団:出目7-10 = -3 商船クルー:出目5-4=1 本来なら商船クルーが4差の勝利で短い服軍団はHP-4なのですが、商船側が「立てこもり」なので、一切
のダメージは与えられません。10分経過で残り57分

2ターン目
 1ターン目と同様の結果に。 また10分経過で残り47分

3ターン目
 ここで事態が動きました。短い服軍団は、A船長は戦闘姿勢「バカ」+4DMを選択。DM計-6
 一方、商船クルーは「立てこもり」を止めました。DM-10

短い服軍団:出目6-6=0 商船クルー出目3-10=-7 短い服軍団が7差で勝利、「バカ」効果DM+4/2も併せて商船クルーが受けたダメージは9HP4の商船クル
ーは撃破されます。
 ぶち切れたA船長が、なぜかマイクロスカートいえ短い服のまま、商船クルーが立てこもる部屋の扉に激しく蹴りを入れはじめたため、装甲ガラスの向こうのクルー達に、
おみ足その他が、短い服のちらちら効果とともに「キョーボーにロシュツ」されることになったのです。美少女の狂態にいたたまれなくなったクルー達はドアを開けたところ、
銃を突き付けられて降伏しました。一方の短い服軍団も、A船長が、分厚い金属扉への蹴りで、立てなくなるほど足首を痛めました。また一人が、銃で扉をぶったたいて銃の方
を壊しました(バカ効果の2ダメージで、2人が戦闘不能)。とはいえ、もう短い服軍団の勝利です。10分経過で残り37分
 なんとも低レベルかつ平和的な戦いの結果、短い服軍団は、商船クルーに自らの主張を記したパンフレットを押し付け、「運動に対する寄付」を要求して獲物を探しにかかりまし
た。 


・捕虜の監視:
拘束されている、いないにかかわらず、大雑把にいって捕虜10-20人に1人程度。 (かつて、テラの奴隷船では奴隷10に対し船員1だった)

2.1.4 獲物
 相手の宇宙船に乗り込み、その乗員乗客を制圧すれば、いよいよ獲物の確保である。獲物を確保するのにも時間がかかるということは忘れ
ないように。獲物の宇宙船を確保すると、先ず裕福さの度合いを調べること。裕福さによって獲物の中身が決まる。

獲物裕福度
商船400トン以下
非恒星間
実験船
商船800トン以下
ヨット以外の民間船
軍艦10,000トン未満
商船801 - 3,000トン以下
偵察局 
大型艦(10,000t以上)
商船3,001 -
10,000トン未満
ヨット
商船10,000トン以上
2D6
2-4:貧乏
5-10:普通
11:富裕
12:超富裕
2D6
2:貧乏
3-9:普通
9-11:富裕
12:超富裕
2D6
2-7:普通
8-10:富裕
11-12:超富裕

2D6
2-5:普通
6-10:富裕
11-12:超富裕
2D6
2-5:普通
6-9:富裕
10-11:超富裕
12:うざいくらい富裕

 獲物を集めるのにもやはり時間がかかるが、これは人手さえ十分ならば、同時並行で進めて良い。そして、クラシックトラベラー式の主部が
複数の従部をコントロールする形式のロボットは、貨物や艦載艇の運搬、獲物の捜索に関しては、脳一個=人一人の例外として、従部の
数を人数と換算して良い(しかし、「人間」と「宇宙船そのもの」には適用されない)。

・貨物
 宇宙船がどの世界から来たかを適宜決定すること。その世界に該当する条件で貿易表を振って決定しても良い。

 商船は通常、船倉の(2D6-2)x10% (DM 貧乏-2、富裕+2、超富裕+4、うざいくらい富裕+6)

の貨物を運んでいる。接舷して貨物を自船に移す作業には、4トンコンテナ一個あたり一人/一台で
 ゼロGで一人の人力: 6分固定/ 要<ゼロG>技能
 作業用の外骨格で一人の人力:6分固定
 貨物操作ロボット一台: 3分固定
 海賊船の作業アーム(一人で操作):2分固定 <遠隔操作 (コンピュータx0.5としよう)>の技能があれば1分固定

・現金
 船内を捜索してかき集めるのには、一人では60分かかる(つまり、2人で手分けすれば30分)。金銭は船長室かパーサーの事務室くらいにし
かないので、船の大きさで時間は変わらない。また、それ以外の場所から捜索しようとする海賊は、愚鈍としか言いようがない。

 裕福度が貧乏 2D6×船のトン数 Cr
  普通 (2D6×船のトン数×10)Cr
      富裕 (2D6×船のトン数×20)Cr
  超富裕(2D6×船のトン数×50)Cr
  うざいくらい富裕(2D6×船のトン数×100)Cr
 
 表が示すのは、あくまで船の現金であり、乗員乗客の私有財産は含んでいない。また、旅先なので個々人もそう多額の現金は持ち合わせて
いない(宇宙船内では持っていても仕方がない)はずで、船内全部を捜索して個々人から巻き上げようと言うのは、危険と余計な手間を増やす
だけの愚かな行為であるが、やりたいと言うなら止めない。

乗員/乗客の私物から足のつかない金品を巻き上げるには、一人では宇宙船のトン数100トンにつき30分かかる。そして、
 二等船客:なし
 一等船客/乗員:1,000Cr
  特等船客:3,000Cr
が一人当たりから得られる。私物の金品の捜索に際しては、2D6で12が出ると隙が生まれて反撃され、家探しに当たっていた海賊たちは戦闘
不能(殺されるか大けが)の上に武器が奪われて、再び乗り込み戦闘になる(狭い船室に入って分散したり、何かを隠していそうな場所に頭を突
っ込んだりするため、どうしても隙が生まれる)。ロボットにやらせていれば大丈夫。

・装備品
 船内ロッカーの小火器、宇宙服、道具箱や作業用外骨格など、雑多で故買屋でも値がつかないが、しかし海賊稼業には大いに必要欠くべか
らざるもの。火器については一人で60分、それ以外は20分で集められる。常識的な範囲で内容を決定すること。

・人間
 人身売買は重罪である(と言うか、裁判を受ける暇なく特殊部隊に殺される可能性もある)。それでも人身売買をやりたいなら、止めはしない。
 一人捕まえるためには、
 難 <格闘>+筋力 1d6分 何人でかかっても同じ。失敗すれば返り討ちにあったということで、その分、海賊の人数と武器が減る。恐らく、
自分を奴隷にしようとした海賊に対して誰も慈悲は持たないだろう。この場合、正当防衛ではなく殺人罪に問われかねないが、死んだ海賊が心
配することではない。

 また、船を拿捕するために降伏した乗員乗客を退去させるには、一人が誘導して
 2D6 - (社会身分度/5 or 説得)分 修正:客が居る客船 +2D6、5,000t以上の船 +2D6

 の時間がかかる。捕虜として海賊船に収容しても良いし(紳士的な態度をとること)、相手の船の艦載艇や救命設備で脱出させても良い。

・艦載艇
 格納庫に空きスペースがあれば確保出来る。また、艦載艇のトン数X10以上の容積の船倉を持つ船(=艦載艇がくぐれる貨物ドアを持つ)なら
ば、船倉に艦載艇を収納出来る。

 艦載艇のセキュリティを解除して移動させるには:難 <コンピュータ>+<大型救命艇> 1d6x10分

 荷物として人力で押していくにはゼロGの状態で、排水素トン4トンにつき一人もしくはロボット一台を使って60分かかる。つまり、20ト
ンボートでは、5人がかりでえんやこらと1時間も押していかねばならない。

・船の装備
 宇宙船の中で、取り外せそうでかつ一番高価なもの、それはコンピュータである。しかも、3台積んでいることが多いので、その内2台頂いた
ところで、決して非人道的と言うそしりは受けないだろう(笑)。以下の行為判定は、共同作業が可能で、作業に当たるメンバーの中の最高の技
能を組み合わせて良い。

 船のコンピュータを取り外すには、
 至難(15) <メカニクス>+<エレクトロニクス> 1d6時間 に加えて、運び出すのにゼロG環境の人力 or 作業用外骨格で20分/人
 この作業は、いわゆるハッキングや情報の窃取は何の関係もない。中古コンピュータとして、さっさとOSを再インストールして売り払うのが前
提である。中古品で「ホット」な盗品。

 さらに、悪ノリして、ジャンプドライブや通常ドライブ、武装等を外すには
 難(11) 外す機材によって<メカニクス> か <エレクトロニクス>のどちらか 1d6時間 の判定に成功した上で、
 運び出すのためには、4トン以下の物体ならば、ゼロG環境の人力 or 作業用外骨格で20分固定/人、
               4トンよりも大きい小分けにできない物体は、容積4トンにつきゼロG環境の人力 or 作業用外骨格の一人に
つき60分かかる。外した機材は、中古品で「ホット」な盗品として扱われる。保守点検が制限されてしまう海賊は、このような手段で予備部品を
確保しなくてはならないだろう。

・宇宙船そのもの
 運行可能な人数がいるなら、宇宙船そのものを拿捕出来る。50%の確率で宇宙船にジャンプ用燃料がある。その他の場合、星系に到着直後
でジャンプ用燃料が残っていない。宇宙船を確保するには、コンピュータのセキュリティを解除しなければならない。船員を拷問して聞き出すの
も良いが、そうでなければ高度な技術が必要である。
 コンピュータのセキュリティを解除して、宇宙船の運航権限を確保するには、まず最低でも一人の技術者が宇宙船に乗り込み、標的
のコンピュータと持参したノートパソコン等との物理的なアクセスを確保しなければならない(無線は不可)。その上で、下の判定に成功
する必要がある。人手を多く割いてもかかる時間は変化しない。
 
 不可能(19) <コンピュータ>+教育度 1D6時間 (この判定では、DMは±8までと言う制限は適用しない)
DM:軍艦/偵察局の船=-1 クラッキングソフト使用=レベルと同じ(+1〜+3) 標的のコンピュータ番号= レベル分-DM
   作動中のコンピュータ=難易度1段階低下(ただし、停船中の船と海賊に襲われて降伏した船は常にシャットダウン状態)     
   海賊船のコンピュータが使える=標的のコンピュータレベルとの差(-DMにはならない 後述の説明参照)
   時間をかける=3倍の時間(3d6時間)かければ+4DM。1D6日かければ+8DM(「拙速」「巧遅」のルールは適用しない)
   マングース版キャラクター = <セキュリティ>技能レベルを+DM セキュリティ技能はマングース版のみにあるが、ここで行われている判
定はマングース版のクラッキングルールよりもずっと難しいので、まあ、マングース出身者に対するサービスである。 
         
  成功した場合、 (出目-目標値)時間分だけ時間が節約できる。それで0時間以下でも良い(一瞬で出来たと言うこと)。この時間には、5,000t
以上の船 +1時間 10,000t以上の船+2時間の修正がある。ただし、「時間をかける」を選択した場合、成功の差による時間の短縮効果は
ない。もっとも、敵の接近に気がついた時点で作業を切り上げて良い。
 また海賊船のコンピュータを使うためには、持参したノートパソコン等のクラッキングソフトを介して、標的の船のコンピュータとデータのやり取
りも行う超高度なクラッキングツールがなくてはならない。これには高度なシステムと技術が必要である。

<通信>+<コンピュータ>+<エレクトロニクス>=13以上 で、少なくとも1MCr分の電子部品(貿易品として買おう)と、少なくとも惑星距離
以上の強力な送信機があれば、クラッキングツールが作れる。

 一人で作るときはいずれの技能も最低2レベル、かつ三つの技能のうち1つが5レベル以上である必要がある。共同で作るときは、い
ずれかの技能が最低6レベルをもつ専門家3人が必要(実質、技能合計18以上。特定分野の専門家の集まりなので、他の技術との組
み合わせが一人でやるほどうまくいかない)。また、この装置は闇ルートでも販売されておらず、自作以外に入手方法はない。何故なら、そう
した装置がもし出回れば、現実世界と同じくセキュリティ対策が即座に登場するからである。最強の立場を維持するためには、誰にでも入
手できるようなマシンでは間に合わず、常に改良と研究が必要(従って、対策が既にあるという前提のもとで適宜調節を行うなら、闇で
「市販」も良い)。情報機関で使っている暗号解読装置が決して一般には出回らず、出回ったときには対抗策ができているようなもの。
 また、航行中の宇宙船を無線通信だけでクラッキングするようなこは、基本的に絶対に出来ない。そもそも、通信を受信するのは通信機
であってコンピュータではないし、受信機が勝手にコンピュータのメインシステムを侵しかねない場所にデータを送ることもなければ、
何の障壁もなくデータが入ってくるコンピュータも無い。そんな脆弱で不用心なシステムが未来にあろうはずもない。航行中のクラッキン
グを可能とするには、事前にその宇宙船に実際に忍び込んで特殊な装置を仕掛けたり、上手いこと言って船員からパスワードを聞き出
したりと言う、「ソーシャル・エンジニアリング」が必要であり、キーボードを叩いているだけでは不可能。通信経由でマルウェアを仕込むにし
ても、(不用心さは時代を問わない厄介事だが)たいていはセキュリティソフトではじかれるだろう。マングース版「悪党」では、こうしたクラッキン
グが扱われており、ソーシャル・エンジニアリングまでプレイしたければそちらを参考にすること。

ロジックボム:誰でも思いつく極めて簡単な保安措置。襲撃の場で船員から「パスワード」を聞き出したりした場合には必ず発生する。しばら
く宇宙船は正常に動作しているように見えるが、ジャンプ用燃料の投棄、軍艦や偵察局のトランスポンダー信号に反応するシステムダウン、乗
員区画の空気を勝手に抜くなど、元の持ち主の権利を守るためにあらゆることが行われる。クラッキングによって「正規の」手段でコンピュータ
を起動すれば大丈夫。

・その他獲物
 追加獲物表を一回振って決定。時間はかからない。

2.1.5 露見と悪事値
 海賊行為は、乗組員を皆殺しにしない限り隠蔽することは困難で、かなりの確率で露見する。また、未遂に終わった場合は即座に無条件で
露見する。また、乗員が生きていようといまいと、奪った財物を売り払えばアシがつく(直ちに警察にチクらないとしても、故買屋は海賊行為があ
った事を知るのである)。厳密に言うと、被害届なり破壊された宇宙船が発見されるなりして、出発地で貨物の内容を確認し、同じ貨物が市場に
出たかどうかを捜査するのにはかなりの時間と手間がかかるが、ここでは無視する。はっきり言えば、単なる貨物ドロだけならば、法執行機関
もなかなかそこまで手間はかけないだろう。しかし、乗員が死傷した、さらに皆殺しにされるなどした場合には、そういう手間を厭わないのが普
通である。つまるところ、目撃者を残していようがいまいが、長期的には大差ない。

 乗組員が生存:必ず露見する。掠奪+1
 乗組員を捕虜にした:捕虜を釈放した時点、もしくは奪った貨物や財物を換金した時点で掠奪+1、釈放しない場合でも、毎月8+で露見して
掠奪+1。さらに、裁判で「拉致」修正がある。
 乗員を皆殺し:一件ごとに毎月8+で露見。また奪った貨物や財物を換金した時点で自動的に露見。掠奪+1掠奪+1、 殺人+2(人数ではない
ことに注意)。
 乗員を皆殺しにして船を拿捕:一件ごとに毎月8+で露見。また、奪った貨物や財物を換金した時点で自動的に露見。掠奪+1、殺人+2。露
見は拿捕された船が発見されなくても起こる。
 戦闘になった:攻撃された宇宙船は救援を求める通信を撒き散らすので、戦闘を伴った海賊行為は必ず露見する。掠奪+1。乗員を殺傷し
た場合はさらに殺人+1(負傷のみでも殺人未遂とされる)。
  乗員/乗客の私物を奪った:海賊行為が露見した際にさらに掠奪+1。宇宙船に対する強盗とは別に、個々人に対する強盗として扱われる
から。

なお、切り裂き魔タイプの海賊なら、必ず乗員を皆殺しにしてしまう。この場合、殺人に加わらなくても共犯として手配されるため、やはり殺
人+1(ただし、逮捕されても殺人では起訴されないだろう)。保険ブローカーのヤラセ襲撃であっても、捜査の対象となるのは掠奪となる(逮捕後
には詐欺罪で起訴される)。

・露見しない海賊行為
 実は海賊行為(に限ったことではないだろうが)の全てに被害届が出されているわけではない。海賊行為は保険料率アップ、船員組合に
よる危険手当要求、捜査のための宇宙港への留め置きと言った宇宙船側の負担を招く。そうした悪影響を嫌い、乗員や船体に損傷が
無ければ、最初から被害届を出さない船主もまた多い。海賊行為が無ければ保険料も上がらないのである(書割の裏側のマラッカ海峡では、
報告される海賊行為の5-10倍は報告されていないと推測されている)。もはや海賊と言うよりは慣れ合いか「保険ブローカー」の世界に近いも
のがあり、嘆かわしいと言うべきか、皮肉の意味で微笑ましいと言うべきなのか分からないが、賢明な海賊は覚えておくべきだろう。
 具体的には、海賊行為とその結果が、
 1.一般の客が乗っていない船に対して行われ
 2.海賊遭遇の信号を出さず(通信による降伏が該当するが、送信しまくった後で海賊船とともに逃げるのもあり)
 3.乗員に死傷者は無く、船体にも一切損害が無い(自社で修理施設を持つ大企業なら、多少の損傷も許容範囲)
 4.奪われたのは現金と宇宙船の備品、乗員の私物、もしくは船主が購入した貿易品としての貨物のみ
  の全てに該当する場合、船主が被害届を出さない可能性はかなり高いだろう。具体的にはレフリーが決めて良いが、「書割の裏側」を念頭
に置いておこう(笑)。「こらー、なんで被害者のあんたが逃げるんだっ!?」と言う通信は珍しいものではないのかもしれない。
 ただ、知らんぷりするのも良いが、被害届を出さないなら、損害に対する保険金は支払われない。海賊行為による急性の損失と、それに
よる慢性的で長期的な経済負担のどちらが重いかを判断するのも、経営者のウデだろう。

 また、海賊行為の結果、割増運賃、旅客や貨物の減少と言った宇宙船以外へも波及する悪影響もありえる。その場合、政府指定商船に補
助金を出している政府そのものが、海賊行為を隠ぺいするかも知れない…。

2.1.6 海賊行為の選択ルール
 選択ルール参照

例) 短い服軍団、獲物をあさる
 残り時間37分で、短い服軍団は獲物の400t商船を制圧しました。いよいよ、労働の対価を得る時です。
まず、裕福度は2d6=6で「普通」 貨物は満載でした(2d6=12 - 2 =100%)。ただ、短い服軍団のミニヨン号は偵察艦なので、貨物積載スペースが根本的に少ないため、
彼女らは貨物を奪う気はありません。
 
 まず、1人が捕虜の監視にあたり、足首を痛めたA船長と2人の部下計3人が、現金を回収しにかかります。60分/3=20分かけてカナテコで金庫をこじ開けて、富
裕度普通の2d6 x 400dt x 10Cr = 36,000Crを奪い取りました。残る1人は船内ロッカーや物置をあさり、道具箱1個と宇宙服4着を奪いました(20分)。この時点で最大
の消費時間はどちらも20分のため、残り時間は17分。A船長は撤退しました。 掠奪の悪事+1です。

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