TRAVELLERシリーズ紹介
Series

TRAVELLERのスタートセット日本語版がHOBBYJAPAN社から出版されたのは、1984年のことでした。
その後次々とシリーズが発売され、1990年には続編に当たるMEGATRAVELLERが発売されました。
MEGATRAVELLERはその後3冊のサプリメント&シナリオが出版されましたが、それ以降はHOBBYJAPAN社からTRAVELLERは発売されていません。
何しろオリジナルを作っていた米GDW社が倒産してしまったのですから、どうしようもないですが何とも残念です。

 そんなことを考えていたら、株式会社雷鳴が日本で新たにトラベラーシリーズを翻訳出版を始めました。今後の展開に期待大です♪

ここでは当時のシリーズと、まだアメリカで会社が変わっても頑張ってる英語版も少しだけ紹介します。



スタートセット

全ての始まり。
日本ではツクダホビーのクラッシャー・ジョウに続いて2つめのSFRPGだったと記憶している。

化夢宇留仁のTRPG歴も同じ道を歩んでいた。もっともその前にオリジナルの妙なファンタジーを作ったことがあったが。
確かあれは妹に無理矢理プレイヤーをやらせたが、両者ともよく分からずにすぐ終わってしまった・・・。

内容はルールブックが1冊と、チャートブック、シナリオ、あとシナリオ用のイラストマップ。そしてスピンワードマーチ宙域図がついていた。

ルールは今思えば簡単なものだったが、逆に表現力に乏しく、RPGのなんたるかも分かっていなかった化夢宇留仁には謎めいたものに思えた。

化夢宇留仁はもっぱら年をとりながら成長させてゆくキャラクター作成システムにはまって、徹夜で作り続けたりした。このシステムは本当にTRAVELLERの肝の一つだと思う。

シナリオは謎のピラミッドを捜索する「シャドウ」と、氷の惑星をATVでうろつく「ミスリルの使命」。どちらも形は違えどダンジョン探索型の域を出ていなかった。それでも当時の化夢宇留仁にはどうしてよいか分からず、右往左往するばかりだった。


研究基地ガンマ

初のサプリメント&シナリオ集。
当時化夢宇留仁にはサプリメントという概念も今一つよく分かっておらず、何かすごくいいものが入っているような気がしてわくわくしながら買った。(これに限らず当時高校生だった化夢宇留仁には高かった。)加藤直之大先生のパッケージにもゾクゾクしていた。

開けてみたら冊子が3冊と、白黒のイラストカード、潜水艦ご利用のしおり、それに無味乾燥な球形の建物の構造図が入っていた。

冊子の中身はシナリオ「研究基地ガンマ」と、サプリメント「スピンワードマーチ宙域」「1001人のキャラクター」

シナリオは謎の研究が進められているという研究基地のある星を突き止め、そこで更に基地を探し(ここで潜水艦登場)、見つけたら上記の建物内を、強力な警備ロボットの脅威におびえつつやっぱりうろうろするという、読んでいると先の見えない迷宮にはまりこんだ気になるものだった。
TRAVELLERのシナリオに多いのが、大筋だけを用意して、あとの細かいところはレフリーが作るタイプで、「研究基地ガンマ」は特にそんな要素が強かった。
シャドウさえろくに出来なかった化夢宇留仁には荷の重いものだったのは言うまでもない。

「スピンワードマーチ宙域」は今でも愛用している。要するに同宙域のデータが並んでいるだけなのだが、数値から世界を想像する楽しさをこれで覚えた。
買った当時はなんかピンと来なかったが。

「1001人のキャラクター」にはまいった。上と同じくデータの集まりだが、こっちはほんとに単なるデータでしかなく、想像も働きづらかった。
能力値の技能だけ書かれてもキャラクターは浮かんでこない。せめて1行でいいから、描写か台詞でも載っていれば面白いサプリメントだったのに・・・。


MAYDAY

GDW社は昔から一つの宇宙史を展開しており、TRAVELLERもその中に含まれている。古くはシミュレーション・ウォーゲームしか出していなかった頃からその歴史の1ページを再現するいくつものゲームが発売されていた。
MAYDAYはそんな頃の雰囲気を感じさせるセットだった。

まず基本的にMAYDAYはRPGではない。
内容はルールブック、ユニットシート、ゲームマップ、チャート、サイコロ、それに付録の体でTRAVELLERのサプリメント、「商船と砲艦」が続く。
要するにウォーゲームなのだ。
ただ普通のウォーゲームと違うところは、そのシステムとデータがTRAVELLERとリンクしており、サプリメントとしても使用できるということだった。

GDW社はこういう商品展開が好きらしく、あとにも次々と同じ様な構成のセットが発売された。
化夢宇留仁も世界がいろいろな形で広がってゆくのに、ワクワクしたくちだった。

ゲームシステムも斬新だった。
宇宙船やミサイルなどのユニットは、マップ上でその位置を示すのに、そのもの以外に過去と未来の位置を示すマーカーを加えて、1機あたり計3つのユニットを使用する。それらの相対位置をコントロールすることで、目で見て分かり易い、慣性の法則の効いた宇宙空間での移動と雰囲気を再現していた。
後にツクダホビーのサンライズロボットもののウォーゲームで、このシステムの簡易版が使われていた。化夢宇留仁はこっちもよくやっていた。

サプリメント「商船と砲艦」も、おまけかと思いきや実はよいサプリメントの見本のような、楽しく役に立つものだった。
スタートセットで軽く触れられていた宇宙船が、船内構造図までついて詳しく解説されていた。
設定も充実しており、読み物としても楽しめた。
化夢宇留仁の今も愛用するサプリメントの1つ。


宇宙海軍

化夢宇留仁はタイトルだけでメロメロ。
内容は追加ルール&サプリメント「宇宙海軍」、キャンペーンシナリオ「キンニール」、セミソリテアゲーム「1兆クレジット艦隊」。

「宇宙海軍」はキャラクター職業の一つ、海軍(TRAVELLERでは海軍といえば宇宙海軍を指す。海上での本来の海軍は区別するため水兵と呼ぶ)の、組織の詳しい説明と、キャラクター作成ルールのスタートセットよりも詳細な上級ルールと、同じく宇宙船作成の上級ルールからなる。巻末には「戦闘宇宙艦」という、「商船と砲艦」では触れられなかった大規模な戦闘艦のデータと設定などサプリメントがついていた。

化夢宇留仁はやっぱりキャラクター作成にはまっていた。スタートセットの4年に比べ、1年ずつ年をとりながら成長させてゆくシステムは描写力が高まりやっぱり面白く、何人もの海軍兵士や士官を作った。

「キンニール」は初の本格的キャンペーンということだったが、なかなか変わった構成のシナリオだった。
大きな4つのイベントがあるが、それぞれにストーリー的な関連はない。関連づけているのはキンニール級の宇宙巡洋艦そのもので、それぞれのイベントにいろいろ変わった姿や状況で登場する。中には囚人収容所になっているものまである。
巻末にはキンニール級の巡洋艦の詳しい設定が解説されていた。

化夢宇留仁には「キンニール」は「ガンマ」に比べるとずいぶん取っつきやすかった。キャンペーンとはいえ、4つのイベントは結構詳しく設定されており、描写も多く、キャンペーンだと思わずショートシナリオ集だと思うと、なかなか使いやすいシナリオがそろっていたのだ。

「1兆クレジット艦隊」は実にGDWらしいゲームだと思う。
元々TRAVELLERシリーズは、キャラクター作成をはじめ、惑星、生物、貿易などそれ自体ソリテアゲームとして楽しめるシステムがふんだんに盛り込まれている。
「1兆クレジット艦隊」はその中でもソリテアゲーム面が一人歩きしだした特殊な例だと思う。
プレイヤーは一定の予算を与えられる。タイトルの1兆クレジットは日本円にして約100兆円である。その予算で宇宙船を設計し、艦隊を作る。どんどん作る。ひたすら作る。
作り終えたら終了。
ただ作る。そういうゲームなのだ。
一応作った艦隊同士を戦わせたりも出来るのだが、やはりこのゲームの一番面白く、メインになるのは作る作業自体。作っている間に頭に浮かぶ自分だけの大艦隊の雄志。それで十分ではなかろうか。



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TRAVELLER

化夢宇留仁の異常な愛情