3人プレイのゲーム開始時の例。
いつの間にかクトゥルフテーマの協力型ゲームはたくさん出ているが、その中でもクリア難易度は本ゲームが最も高いのではと思う。
それもあって化夢宇留仁はこのゲームを楽しむのはソロプレイがベストだと思っている。
みんなで集まってプレイしていると、途中でどう見てもクリア不可能だと思われる状況になったときにだれやすいのが理由の1つ。
もう1つは後述する。
ゲームはまずエンシェントワンを選ぶところから始まる。
エンシェントワンはクトゥルフ、アザトース、ヨグ=ソトース、シュブ=ニグラスの4種類。
このどれを選ぶかによって物語的に大きく異るゲームになる。
ゲームが始まったら、プレイヤーキャラクターが順番に2回のアクションを行い、次はそれぞれが遭遇判定を行う。それが終わったら1枚の「神話カード」が引かれる。もちろん「神話カード」の殆どには怖いことが書かれている(笑)
そして条件がそろうとエンシェントワンの復活の日が迫ってくる。
キャラクター全員の行動が終了してから神話カードを1枚めくるということで、パンデミックのようにそれぞれのキャラクターが全ての手順を踏むわけではないので、基本的に人数が多いほうが有利になるシステム。
なのでそのへんはミッションクリア条件で調整されている。
勝利条件はエンシェントワンごとに用意されたクエストを3つクリアすること。
もしその前にエンシェントワンが目覚めてしまうと、3つのクエストをクリアした上でラストクエスト(多くはエンシェントワンの封印)に挑まなければならない。
しかし基本的にはエンシェントワンが目覚めてしまったら、よほど運がよくなければほぼ敗北すると思われる。
それだけエンシェントワンは致命的なのだ。
ちなみにアザトースだけは、目覚めた瞬間にプレイヤーの敗北でゲームが終了する。なにしろこの宇宙を創造したお方なので、納得の行く処理(笑)
エンシェントワンをクトゥルフにした場合のクエストカード。
この中から1枚ずつ合計3枚が使用されるのだが、クエストごとの難易度にはけっこう差があり、高難度のクエストを引いてしまうとそれだけでクリアが大きく遠のく(汗)
メインのシステムは異界への門がどんどん開いてくるのを片っ端から閉めていくというアーカムホラーをベースにしているが、上記の3つのミッションを始め、それ以外にもやることが多すぎてプレイ感は全然違う。
そして扱う時代もクトゥルフ神話の王道たる1920年代なのもアーカムホラーと同じなのだが、こちらは世界が舞台とあって、当時の事件や人物などが関わってよりその時代を味わうことができるのが嬉しい。
移動アクションでも通常だと隣りのエリアにしか進めないが、汽車や船に乗ることで移動距離を伸ばせる。しかしどちらにしても全然足りなくてもどかしい思いを味あわされるのも1920年代っぽい(笑)
ゲートを閉めるにはその場所に行って、画像の「異世界遭遇カード」というのを引いて判定する。
判定は2段階になっており、最初の判定の成否または選択で分岐する。
それでまたいろいろなところに飛ばされたりするのだが、飛ばされた先の描写がまた雰囲気があってよい。
通常の遭遇時に引くカードも凝っている。
その時いる場所に応じたカードを引いてその内容を解決するのだが、これがいちいちその街で起きそうなイベントをがっつり文章で表してあり、雰囲気満点なのだ。
例えばサンフランシスコでは死体を調べるように依頼されたかと思うとハメットに会ったり、ローマではムッソリーニの暗殺未遂犯を尋問したり、シドニーで森林火災に巻き込まれたかと思えば、上海の棋士である呉清源と碁を打ったり、東京では江戸川乱歩が協力してくれたり(笑)
画像は遭遇カードの例。ちなみにこの後に出てくる画像もそうだが、拡張セットのカードも混じっている。
また「探検場所トークン」というのが世界のどこかに置かれており、その場所は特殊な探検が行えるとして「探検遭遇カード」を引くことができる。
探検遭遇カードでは、もちろんその場所に応じた冒険が繰り広げられる。
神話カードも情報量が多い。
まずカードの上端にあるアイコンの処理を行う。
その種類は大きく分けて予兆の進展、同時発生効果、ゲートの出現、モンスターの出現、クルートークンの出現、噂の出現の6種類で、一部を除いて基本的に嫌なことである(笑)
予兆が進むと、進んだ先の星座シンボルに対応したゲートの数分破滅トラックが進む。勿論破滅トラックが最後まで進むとエンシェントワンが覚醒する。
同時発生効果というのは赤い星と矢印のマークで、状態カード(キャラクターの状態を表すカード)や一部の神話カードの効果が発動するトリガーで、神話カードの場合は多くの場合破滅トラックが進み、状態カードは裏面の効果が現れる。
例えば画像右の神話カードの場合は同時発生効果が発動するとカード上の超自然トークンが1つ取り除かれ、全部無くなったらキャラクターの人数+2個のゲートが開く。
3人でプレイしていたら5個。このゲームで5個のゲートが同時に開いたらゲームオーバーも同然である(汗)
噂の出現というのはこういう継続効果の記された青い神話カードのことである。
状態カード。
プレイヤーキャラクターの状態を表すカードで、負傷や狂気は当然として、あらゆる判定の成功率が下がる「呪縛」や逆に成功率が上がる「祝福」、文字通りの内容の「監禁」、借金を負ってしまった状態の「債務」、そして恐ろしすぎる「闇との盟約」とバラエティー豊か。
闇との盟約はほんとにやばすぎるので、極力もらわないようにしないといけない。
この状態カードがまたすごい凝りようで、どれも表裏2段階になっていて裏面は全て内容が異なり(汗)、中には状態から事件に発展するものも。
画像は記憶喪失カードの例。
主に道具や仲間を表す助力カード。
ボード上に常時4枚公開されており、助力カードの入手アクションでの成功数を使用してコスト(左上に記載)を支払い入手する。このとき「銀行からの融資」を受ければ成功数を+2できるが、「債務」状態になる。
債務は油断していると銀行が委託したのかいつの間にか「闇との盟約」にすり替わったりするので要注意(汗)
アーティファクトカード。
その名の通りのアイテムで、もちろん上記の一般市場では手に入らない。
ゲーム中に運が良ければ手に入るかも。
キャラクターが覚えてしまった(笑)呪文を表す「呪文カード」も、状態と同じく表は同じでも使用したときに裏返して様々な効果が現れるようになっている。
もちろんファンタジー世界の呪文よりも使用する場合のリスクが高い。
クルートークンというのはいわゆる情報で、これを一定数集めることがミッションのクリア条件になることもあるし、消費してダイスを振り直すこともできる。
これがマップ上に点在しているのを拾いに行くわけだが、このときはエンシェント・ワンごとに異なるカード(リサーチイベントカード)を引くので、これまたテキストがそれっぽくできていてクルートークンが単なる得点みたいにならないように配慮されているのが素晴らしい。
エンシェント・ワンをクトゥルフを選んだ場合のリサーチイベントカードの例。
通常の遭遇のように環境によって異なる欄を読む。
こんな感じでクルートークンをさっさと集めたりして3つのミッションを片付けたいのは山々だが、ゲートや噂も解決していかないと破滅トラックがどんどん進むので、非常に忙しいことになるのだ。
キャラクターカードの例。
いつもの体力、正気度に加えて5つの技能と特殊能力が書かれている。
すごいのは裏面で、キャラクターの設定などが書かれているのは普通だが、右側に書かれているのはそのキャラクターがリタイヤしたあとの展開なのだ。
キャラクターがリタイヤした最も近い都市にそのコマを倒して配置し、そこに他のキャラクターが来ればリタイヤしたキャラクターとの遭遇を行える。
その場合体力が0になってのリタイヤなら上を。正気度だったら下の展開になり、場合によってはリタイヤしたキャラクターの装備品などを引き継ぐこともできる。
こんな感じで過剰なまでのディテール&物語描写にあふれているので、それらをつなぎ合わせてゲームの大筋と組み合わせて足りないところを想像力で補ってやれば、あっという間に小説風リプレイもできてしまう。
2015年10月3日 エルドリッチホラーをソロプレイ3
2015年10月4日 エルドリッチホラーをソロプレイ5
2015年10月4〜6日 エルドリッチホラーをソロプレイ7
上記特徴から、ソロプレイだと非常に凝ったゲームブックをプレイしているような感覚で楽しめるのだ。
これが上記理由のもう1つである。
このゲームの欠点は上記クリア難易度以外は占有スペースがでかいことで、基本セットだけでもでっかいリビングテーブル一杯で、拡張セットを入れようものなら追加のテーブルが必要になる。
しかしそこがまたなんだかいい感じ(笑)
これはアザトースが復活して世界が滅んだところ(笑)
こちらはシュブ・ニグラスが復活し、世界中がモンスターまみれになったところ(笑)
気楽さ 2
言語依存 5
鬼のようなテキスト量。日本語版でないとプレイは難しいと思う。
ソロプレイのしやすさ 5
化夢宇留仁の好き度 5
20230321 |