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        TITAN | 
 
  
死神の首飾り
   S・ジャクソン&I・リビングストン監修/J・トムソン&M・スミス著 
  
  
   ファンタジー世界が舞台なのだが、タイタン以外の世界に設定されている珍しい作品。
 ファンタジー世界が舞台なのだが、タイタン以外の世界に設定されている珍しい作品。 
  
  タイタンの設定を作るときに、訳の分からない場所は全てクール大陸に詰め込んだ感じだったのだが、それでも外されてしまう理由は何処にあるのだろうか? 
  
  そんなことを思いながら久しぶりにページをめくってみて、その原因がなんとなく想像できた。 
  
  この作品の舞台である「オーブの世界」は危険だけど、清潔で、整然としているのだ。 
  
  タイタンの説明のコーナーで書いたが、タイタン世界の特徴は「危険で汚くて混沌としている」のだが、オーブの世界はどうもそれにそぐわない雰囲気なのだ。 
  
  登場する敵も味方も道理の分かった人間キャラクターが多く、タイタンらしくない。
  なんかタイトルも「オリーブの首飾り」みたいでタイタンにそぐわない気がする(笑)。 
  
  八幡国まで取り込んでしまうクール大陸の懐の広さも、清潔感漂うオーブ世界だけは相容れなかったと考えるとなんか笑える。 
 で、「死神の首飾り」だが、主人公はどうも読者自身ということになっているようだ。 
  突然現代の地球に住む主人公がオーブの世界に連れ込まれ、そこの時と運命の神様にオーブの世界を救うように強要されるのだ。 
  
  ウルティマのようでもあるな。 
  主人公にされてしまった身としては、さっさと押しつけられた任務をこなして自分の世界に戻りたいところだが、それにしても冒頭からなんだか腹立たしい展開である。 
  
  更に主人公の任務が、やがては死神を呼び出してしまう能力をもった「死神の首飾り」をもって自分の世界に行くことでオーブの世界を救うというものだが、普通
  に考えたらそんなことしたらオーブの世界は助かっても自分の世界が危ないではないか。 
  
  やはりどうも心情的に納得いかない点が多い。 
 また本書の特徴として、基本的に戦闘以外で死んだ場合以外はゲームオーバーにならないという点があげられる。 
  
  時の神に見守られている主人公は、死んだら過去に戻され、冒険を最初からやりなおすことになるのだ。 
  
  死ななくてすんでラッキー・・・かと思うが、結局最初からやらされているわけだし、でもストーリー的には繋がっているので気分転換する間も無く、余計にしんどく感じるのだった(汗)。
宇宙の暗殺者
  S・ジャクソン&I・リビングストン監修/A・チャップマン著 
 またもやタイタンではないのは見ての通
  り。看板に偽りありである(汗)。
 またもやタイタンではないのは見ての通
  り。看板に偽りありである(汗)。 
 悪魔の科学者サイラスは、巨大宇宙船ヴァンダーベッケンで惑星を訪れては人々を誘拐していた。誘拐された人々は生体実験に使われているという噂だった。
  ある日主人公の住む惑星上にヴァンダーベッケンが現れ、惑星全体に放射性同位元素をまきちらし、更に恐るべきウィルスをばらまくと宣言した。
  当局はサイラスの逮捕のため、暗殺者ギルドの精鋭である主人公を指名した・・・。
冒頭からなんだかよく分からない設定である。 
  生体実験を行う科学者なのはいいが、なんでいきなり惑星全体を狙う?
  しかもなぜわざわざ宣言する?
  向こうが宇宙船で来てるんだし、こっちも防衛艦隊を出して迎え撃てばいいのでは?
  暗殺者ギルドってなに(汗)?
  ま、細かいことをつっこんでも仕方がないが、どうもSFなのにファンタジーのルールで書かれているという感が否めない。
ルールには結構修正が加えられている。
   まずお馴染みの技術点、体力点、運点に加えて、装甲点という設定が加えられている。主人公の着ている装甲宇宙服を表しているのだが、これも1D6+6で決定されるのが納得いかない。
  主人公はその日の気分によってコーディネイトしているのか?
  それとも主人公は死ぬ毎に別人が再チャレンジしており、中には裕福なやつや貧乏なやつがいて、装備に差が出るのだろうか(汗)?
   装甲点は追加することも出来る。 
  これもまた1D6で購入点を決め、それを使って武器や追加装甲点を購入するということになっている。
  やっぱり貧乏なのか(汗)?
  そもそも惑星の危機を救うために選ばれた暗殺者なのに、なんで自腹なんだ(汗)!?
   で、装甲点はどう使うかと言うと、敵の攻撃が命中すると、あらたに2D6を振って、装甲点以下ならダメージ無しということになるのだが、どちらにしても装甲点は1減らされてしまう。
  すぐに役に立たなくなるのは目に見えている(汗)。
  購入できる武器にもいくつかの種類がある。
   戦闘ルールにも修正がある。
  素手での戦闘は今まで通りなのだが、銃撃戦では2D6で自分の技術点以下が出れば命中。それを敵と交互に繰り返すようになっている。
   確かにそれっぽさを再現してはいるが、やはりルールが増えるのは少し煩雑な感じがする。 
 主人公は補給艇に乗り込み、ドッキングの隙を見てヴァンダーベッケンに潜入し、サイラスを探すことになる。
補給艇? 誰が補給してるんだ(汗)???
  ま、考えないでおくか(笑)。
   化夢宇留仁が前にクリアしたときは、多分真の道を選んだのだろう。すごく簡単に終わってしまった。
  しかしその時はキャラクターシートに意味ありげに書かれている市街戦マップとかスコア・シートを使わなかった。
  大きなイベントも、真の道を通るとオミットされてしまうらしい。
  クリアできるのはいいのだが、なんか終わった気がしないのも困ったものである(汗)。
 「宇宙の暗殺者」はギミック満載のアクションSF作品だが、化夢宇留仁はもう一つ楽しめなかった。 
  
  SF作品に多いのだが、なんか全体的に冷たくて殺伐としているのだ。やはりTRAVELLER好きの化夢宇留仁からすると、例え宇宙船が舞台でも生活感が欲しい。 
  
 もちろんタイタンが舞台ではありません(笑)。
 もちろんタイタンが舞台ではありません(笑)。
  いわゆるマッドマックス世界をゲームブックで表現した作品である。
  リビングストン初のタイタン以外の作品と言うことになるが、その出来は・・・・・
  実は意外なことにすごくよく出来ている。ゲームブックとしてはリビングストンの最高傑作だと思う。もちろん「盗賊都市」が代表作なのは間違いないのだが、世界の表現だけでなく、ゲームという部分も考慮すれば本作に軍配が上がると思う。
  ニューヨークで始まった原因不明の疫病により、文明が崩壊した未来世界が舞台。
  主人公は重武装の改造車ダッジ・インターセプター(本編イラストからすると、どうもカウンタックLP-400の改造らしい/笑)でサン・アングロの街まで穀物の種を運び、交換に1万リットルの石油を受け取ってくるのが任務である。
   本作は車が第2の主人公とも言える。
  主人公の能力値は今までと同じだが、更に愛車ダッッジ・インターセプターの火力点、装甲点も決定する。
  火力点は搭載された機関銃の威力を示しているが、それ以外にもロケットランチャーが積み込まれており、いざという時にその破壊力を発揮してくれる。
  武器以外にも鉄びし投射機とオイル噴霧機が搭載されている。 
  このボンドカーかカー・ウォーズばりの設定が本編でもうまく表現されており、戦闘シーンはワクワクすること請け合いである。
   またこれまでは主人公の体力点が生命線だったが、本作はそれ以外にももちろん車の装甲点と、更に燃料の問題がある。
  長旅である本作では何度かガソリンを補給する必要があるのだ。ガス欠になる前にガソリンを見つけることが出来なかったら、その場で立ち往生になってしまい、ゲームオーバーである。本作で一番情けない終わり方だろう(笑)。 
  マップが綺麗に描けるのと、パラグラフが珍しく380までしか無いことを考えると、内容が薄そうに思えるがそんなこともなく、実にバリエーション豊かなシーンが待ち受けている。
  やはりゲームブックでは初めての世界の上に、映画などでイメージがつかめていてアイデアのストックがあったのが成功の理由だろう。
  比較的簡単にクリアできるのも爽快感があっていい。このような設定で謎に詰まって考え込むのは雰囲気にそぐわないだろう。
  またやり直してみたい作品の1つである。 
 なんと魔術師ヤズトロモがストーンブリッジに息をはずませてやってきた!
 なんと魔術師ヤズトロモがストーンブリッジに息をはずませてやってきた!
  あまり人との接触を持たない彼をここまで焦らせたのは、一刻も猶予のならない情報を手に入れたからだった。
   呪われし子マルボルダスは母親に捨てられた後、ダークウッドの森の闇エルフに育てられた。
  闇エルフ達は彼への最後の試練にして世界を手中に収める計画を告げた。それはどくろ砂漠の失われた都ヴァトスにある5つの龍の飾りを手に入れて邪悪な龍を復活させ、その力と闇の軍団によって全世界への奇襲を開始するというものだった。
  なんとかこの危機的状況に立ち上がる者はいないかという問いかけに、主人公は苦笑しながら手をあげた・・・。 
   
 
 リビングストンお得意の世界をまたにかけた大冒険(笑)。
  主人公はヤズトロモの塔で10つの内の4つの呪文を選んで覚えた後、どくろ砂漠へ南下する旅に出て、ヴァトスにたどり着いたら地下迷宮をさまよいながら龍の飾りを探し、最終的にはマルボルダスと対決することになる。
   表紙で頑張っているのはヴァトスを外敵から守っている蛇衛兵さん。しかし選択によっては出会わないのだった(笑)。 
  
   実に様々なシチュエーションが出てくるのだが、なんとなく平坦な印象を受けるのはパラグラフトリックが無きに等しいからだろう。
  一応面白い仕掛けが無いわけではない。
  主人公はヴァトスについてからは、5つの龍の飾りを探さなければならない。だから怪しいところは片っ端から調べたいところなのだが、そこに死の死者というやつが現れ、呪いをかけてゆくのだ。
  その呪いというのが、これから様々な場所に隠してあるD・E・A・T・Hの文字全てを見つけてしまうと、その時点で死んでしまうというもの。
  つまり任務を達成するためには色々探して回らなければならないのだが、下手なところを探してしまうと死が迫ってくるというわけ。
  なかなか面白い仕掛けと思うのだが、残念ながらあまり効果的に機能しているとは言い難い。
  なぜなら結局行き当たりばったりで行くしかないわけで、ゲーム性に乏しいのだ。
  探す回数に制限を付けるとか、どちらかが必ず入っていると分かっている箱を出してみるとか、もっとその仕掛けをうまく使って欲しかったところである。 
  
  しかしポート・ブラックサンドを訪れたり、砂漠ならではのイベントが山ほどあったりと相変わらず旅行気分は満喫できる。 
宇宙の連邦捜査官
  S・ジャクソン&I・リビングストン監修/A・チャップマン著 
 数百の文明世界から構成される銀河連邦が存在する未来世界。
 数百の文明世界から構成される銀河連邦が存在する未来世界。
  連邦警察はアレフ・シグニ星系から不法な麻薬セイトフィル-Dが大量に流出していることに気がついた。
  連邦犯罪局は、麻薬の源をつきとめ、組織を発見して叩きつぶすために、上級捜査官を送り込んだ。
  捜査官(君)は星々を巡回するセールスマンのふりをして件の星系に侵入した! 
 またまた全然TITANじゃない(汗)。
  「宇宙の暗殺者」と同じA・チャップマン作で、どうもこの人はSF好きらしいけどその割にゲーム内容は結局ファンタジーになりがちなようで、今回もどうかとは思ったのだが、設定を見ると今度はミステリーっぽいので少し期待してページをめくる。 
 ルールは通常のものに加えて、銃撃戦のルールと、宇宙船のルールが加わる。
  宇宙船には通常兵器の他にスマートミサイルという強力な武器が2基搭載されており、これを使うと敵1機を無条件で破壊できる。
  ちょっと戦略性がありそうで面白そうでないの。 
  しかし宇宙船の防御力点をサイコロ1個のみで決定するのに少し不安を覚える。
  不安は的中し、やはり原防御力点が低いと突破が非常に困難なところがあった。どうも絶対通
  過しなければならない場所のようだし、これはきつい(汗)。 
 さて内容だが、アレフ・シグニ星系に進入した主人公は怪しいところを調べてまわり、麻薬密輸の証拠を掴んでその本拠地へ乗り込むという展開。
  キモは前半の捜査部分。ここがうまくできているとワクワクすること請け合いなのだが・・・・
  むう(汗)。
  どうも入手した情報と、それに対する主人公の行動とがチグハグに感じることがある。
  聞き込みしたり、図書館やコンピューター・センターで情報収集したりといい感じの展開なのだが、推理するところが無く、結局パラグラフの順番次第で勝手に密輸組織に迫ってゆくようになっている。 
  
  結果有力な情報を手に入れて、それを重点的に調べたくても関係のないところに行かされてしまったりとストレスがたまることになってしまっているのだ。
  せめて主人公の思考を明示してくれればそんなに変だと思わなかったと思うのだが、それをやるとこのシリーズの雰囲気から外れてしまうか。 
  
  ただこれもパラグラフの選び方によっては雰囲気のある展開になり、楽しめる場合もある。
  やはりこれはパラグラフシステムの根本的問題点か。フラグチェックなどの操作を行えば解決するが、それだとパラグラフが増加してしまうし・・・ 
  。 
 という感じでもう一つな感じなのだが、面白いシチュエーションはいくつかあるし、前の「宇宙の暗殺者」と比べたらだいぶ進歩していると思う。 
  
  まだまだ工夫は必要だが。 
 ところで一通りやったのだが、表紙の映画版デューンみたいな服を着た太った人は誰なのだろうか。もしかして本編に出てくる太ったおばさんなのだろうか。
  それ以外考えられないのだが、本編のイラストとあまりに違う。 
  なんとかしてほしいところだ。
  そうだとしても、表紙が太ったおばさんがにらんでいるというSFゲームブックというのもどうかと思う・・・(笑)。 
あれ?スマートミサイルをルール通りに使う機会がなかったぞ(汗)!?