機動戦士クロスボーン・ガンダム(全6巻)
富野由悠季原作/長谷川裕一著
キンドル版を読んだ。
宇宙世紀0133年。ガンダムを擁した宇宙海賊が暴れまわっていた。
交換留学生を乗せた宇宙船が木星軌道上のコロニーに到着したが、そこに海賊が襲撃する。
混乱の中、留学生の1人であるトビア・アロナクスは、モビルスーツに乗り込んで迎撃するが、海賊のガンダムに手玉に取られてしまう。
脱出して船に戻ったトビアが見たのは、木星コロニーで積み込まれた船倉に並ぶ毒ガスのタンクだった・・・。
ちうわけで宇宙海賊に合流したトビアの冒険が描かれるわけだが、とりあえず本シリーズは全てのガンダムコミックの中で間違いなく一番マンガとしての完成度が高く面白い。
渋いのがF91の続編になっているというところで、非常に消化不良だったあの映画の後日談としてはまさに胸のすく展開で、映画の登場人物たちも活き活きと描かれている。
また富野由悠季が原作なのだが、著者のマンガ力に押されてほとんどその気配を感じさせないのも面白い。
見どころはいろいろあるが、結局著者のオリジナルキャラクターが活躍しているところが印象深く面白いのだから困ったもの。
特に敵のデス・ゲイルズ隊の3人がいかす上に、続編でも超重要キャラとして大活躍してしまう。
そしてもちろん本編の主人公トビアも、その後の長大な物語の中でも中心人物として存在し続けてしまうのだ。
縛りの厳しい宇宙世紀ガンダムという世界の上に、こんなオリジナルシリーズを構築できてしまうのはほんとにこの著者にしかできないことだと思う。
しかも続編は富野原作という縛りからも開放され、ますます面白くなっていくのだから最早人間業とは思えない(汗)
20250703(mixi日記より)
20250709
機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート
長谷川裕一著
をキンドル版で昨日読んだ。
バカがボオルでやってくる!
キンケドゥとベラがクロスボーン・バンガードから抜け、今やトビアがリーダーとして運輸会社ブラックロー運送を経営しており、新たなメンバーも加入していた。
その新メンバーにウモン・サモンが他のメンバーは聞き飽きている1年戦争時にボールでドムを6機撃墜した顛末を語る。
それはボールへの奇妙な偽装から始まった・・・。
ボールの本体全体を覆うガンダム顔の偽装を施すのである(笑)
というわけで完全にコメディエピソードだが、普通に面白い。
なんか最初と最後で違う時間になっているのが奇妙だが、加筆したのかしら?
星の王女様
ドゥガチが地球に向かったのを追っていたマザー・バンガードが、補給に寄った小惑星は木星帝国の罠だった。
トビアの乗ったペズ・バタラは撃墜され、小惑星の表面に墜落する。
トビアが目を覚ますと、目の前に1人の少女が。
彼女トゥインク・ステラ・ラベラドゥは、この小惑星で10年近くも1人ですごしていた・・・。
ほんとに可哀想過ぎる(汗)
そして最後にカラス先生が乗っていたモビルアーマー(オウムガイっぽいやつ)の簡易版みたいなのが出てきてなんだか可愛い(笑)
海賊の宝
連絡荷物船が木星軍残党に拿捕され、連邦軍のハリソン・マディン大尉が奪還に向かった。
ところが現場近くで遭遇したのはかつて戦った宇宙海賊たちだった・・・。
トビアの成長ぶりがかっこよくていい感じ。
また木星軍残党のリーダーがオカマっぽくてまたいい感じ(笑)
最終兵士(前後編)
ブラックロー運送のところに訪ねてきたのは、木星じいさんことグレイ・ストークだった。
その依頼はなんとさらわれたアムロ・レイを奪還してほしいというもので、そのアムロ・レイは1年戦争終結時に回収されたアムロの乗っていたコアファイターの教育型コンピューターのことだった。
というわけでアムロのデータが入った木星帝国のモビルスーツ「アマクサ」と、トビアのX-1、それにグレイ・ストークのなんだかZZっぽい変なモビルスーツの戦いが始まるのだ(笑)
アマクサがガンダムハンマーみたいな武器を装備しているのが流石わかっている感じ(笑)
猿の惑星
サイド2近辺の暗礁宙域で、なんと猿が乗ったモビルスーツが暴れているという信じられないような事件の調査をすることになったハリソン・マディン大尉。
その調査にはブラックロー運送という民間会社が協力することに・・・。
博士の異常な愛情に出てきたようなじいさんが面白く、ラスト近くでジオンのニュータイプ構想が粉々になる展開も愉快。
短編集なのでどれも小粒だが、どれも一定以上のポテンシャルは持っていて面白い。
化夢宇留仁のお気に入りは「海賊の宝」
20250704(mixi日記より)
20250710
機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人(全3巻)
長谷川裕一著
キンドル版を読んだ。
宇宙世紀0136年。木星圏から脱走してきた女性を救出したトビア。
なんとその女性エウロペはテテニスの育ての親だった。
エウロペは木星帝国がコロニーレーザーで地球を狙撃するという恐るべき計画を進めていることを告げる。
トビアたちはそれを阻止する決意をするも、そのためには人員も時間も圧倒的に足らなかった。
更に木星帝国の尖兵による攻撃が・・・。
クロスボーン・ガンダムに登場したキャラクターたちもどんどん出てきて前に輪をかけて活き活きと描かれ、相変わらずの大風呂敷を広げてキチッとたたむプロットも見事の一言。
新たな敵がこれまた印象的でかっこよく、その乗機の鳥っぽいモビルスーツもかっこいいんだこれが。
最後の「両手」もまあ悪くない(笑)
化夢宇留仁の特にお気に入りは元デス・ゲイルズのギリーで、超かっこよく味のある見せ場ばかりでクラクラした(笑)
著者の本領が発揮された超名作である。
20250704(mixi日記より)
20250711
機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト(全12巻)
長谷川裕一著
キンドル版を読んだ。
宇宙世紀0153年。サイド3で自作のAIに起こされたフォント・ボーは学校に行き、昨夜ネットで見つけた奇妙すぎるザンスカール帝国の新兵器のデータについて話していた。
その後廊下でウサギのぬいぐるみを抱いた少女と出会い、彼女に導かれるままに体育館に行くと、怪しい男が待っていた。
彼は木星から来たカーティス・ロスコと名乗り、フォントがザンスカール帝国に狙われていると告げる。
その直後にモビルスーツが現れ・・・。
ちうわけで木星のテテニス派と行動を共にすることになるフォントだったが、それは人類滅亡を回避するための巨大な戦いの始まりだった。
現時点では本シリーズで化夢宇留仁が一番好きなのが本作である。
相変わらずキャラが活きているのと、プロットが見事なのももちろんなのだが、本作ではまず主人公が今までにないパターンのコンピューターに強いMSオタクというところが活きていて、戦闘時もAIの意見を聞きながらとか、ニュータイプよりも親近感が持てるということは間違いなく影響していると思う。
またこのAIの描写が、今読み直してみると実際のAIと全然変わらないのがまたすごい。
敵キャラの活かし方も相変わらずで、本作では特に敵傭兵のジャックが実にいい味を出している。
SF的な展開ではザンスカール帝国の核ミサイルを撃墜するというシチュエーションがあるのだが、これがもうその軌道から加速の描写といい、まさに真に迫っていて感動的。
再登場キャラがどいつもこいつもいい感じなのも相変わらずで、本作ではデス・ゲイルズ最後の1人のローズマリーが滅茶苦茶かっこいい。
強い敵を描くのも本作ではミダスという名の最強のモビルスーツが登場し、まさに悪夢のような強さを発揮するのだが、ミダスに搭載された新兵器がほんとにそれをやられてはどんな相手もどうしようもないという類の能力で、これまた盛り上がる。
そしてなんといっても途中から登場するファントム(ゴーストガンダム)のかっこよさたるや。
現状あらゆるガンダムの中で化夢宇留仁の最も好きなガンダムはファントムである(設定上は全然ガンダムでは無いのだが/笑)。
ちうわけで「鋼鉄の7人」を完結編として超名作に仕上げた著者が、予定していなかった続編を描くことになり、結果更に面白いものを描いてしまったというほんとに人間業とは思えない作家能力を発揮したのが本作である。
大丈夫かこの人(汗)
20250705(mixi日記より)
20250712
機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST(全13巻)
長谷川裕一著
キンドル版を読んだ。
ザンスカール建国戦争終結後、地球連邦が力を失っていることが周知となり、世界は戦国時代の様相を呈した。
それは継続的な生産と流通の途絶を生み、世界の工業技術さえ退行が始まっていた。
宇宙世紀0169年。
アッシュ・キングは武装輸送団「無敵運送」を率いて僅かなりとも流通の手助けをしていた。もちろん邪魔をするものはモビルスーツで排除しながら。
ある日アッシュは意志の強そうな目をした少女を救い、無敵運送に入社させた。
その日からアッシュは単なる運送業から新たな世界を作る第一歩を踏み出すのだった・・・。
ゴーストの16年後の世界が舞台だが、フォントは昔のままの姿で再登場。他にもにくいところを突く再登場キャラクターがいるが、流石に年月が経っているのでこれまでの作品ほどではない。
そして本作ではまさに「世界」そのものも主役のようなもので、なにしろ荒廃が進んで技術の退行まで起こってしまっているので、全然これまでのようにはいかないのだ。
そして中盤からはおそるべきラスボス「首切り王」が登場し、その後本作の目玉である大仕掛けが展開し、鬼のように盛り上がる。
ちうわけで非常に面白いのだが、化夢宇留仁的にはいくつか気になるところもあった。
まずは登場するモビルスーツのほとんどがミキシング・ビルド機なのだが、あまりにもそればかりなのが変なのと、そこにあまりにもレアな機体のパーツが使用されすぎているのも気になった。
やはり量産機がそのまま使用されているケースのほうが多いと思うし、レア機体のパーツはやはり基本ありえないと思うので、特別な理由が無ければ量産機のパーツだけにしてほしかった。
アッシュとフォントのぶつかり合いが少し微妙とも思った。
というのもフォントが世界の安定のために連邦軍に地位を得ていくのに利用する男があまりにも嫌な奴で、結果的にフォントも少し嫌なやつに見えてしまうというか。
そして上記の「首切り王」があまりにも世界の終末を体現していて、ちょっとつらい。
そもそも世界の退行が始まっているという設定だけできついのに、それをものすごく強調する設定のキャラなのだ。
あとは最後の大仕掛けが、頑張ってはいるのだが少し説明不足になっている感も。
ちうわけで滅茶苦茶面白いのだがなかなかクセの強い作品でもあると思う。
20250706(mixi日記より)
20250713
機動戦士クロスボーン・ガンダム X-11(全2巻)
長谷川裕一著
キンドル版を読んだ。
宇宙世紀0170年。地球圏でダスト計画が行われていた最中に、木星軌道上の葬儀船でカーティス・ロスコの葬儀が執り行われていた。
ところがそこに女殺し屋が乱入し・・・。
もちそんそれは殺し屋をおびき出すためで、その後カーティスと殺し屋イオの2人だけになり、船を木星から脱出させることになる。
実は彼女とカーティスは過去に何度か会っているというのが物語のキーで、なかなかいい感じだが、その後木星から脱出してからの展開は少々蛇足感がある。
むしろその後の展開はオミットするか、もう1巻くらい使ってもよかったと思う。
とりあえずイオはなんかエロいのでよい(笑)
20250706(mixi日記より)
20250714
機動戦士クロスボーン・ガンダム LOVE&PIECE(全2巻)
長谷川裕一著
キンドル版を読んだ。
KA・RR・AS@A
宇宙世紀0103年。連邦のニュータイプ研究所から子どもたちが3機の脱出艇で脱走した。
追撃がかかり、絶体絶命というところで助けの手を伸ばしたのは若き日のカラスだった・・・。
若きカラスの助手を、これまた若き日のクォ・グレーが務めているのが楽しい。
そんでやっぱりカラス先生は若い頃からかっこいい(笑)
そして更にそこに絡んでくるのがなんとグレイ・ストークで、実質ジュドーvsカラスという展開になって燃える(笑)
キュプロープスの花嫁@AB
宇宙世紀0169年。首切り王との決戦までの100日間の間に、フォントとアーノルドはネオ・コスモバビロニアで王の花婿になる権利を賭けてのモビルスーツが対戦するトーナメントに参加していた。
ところがそこにはアッシュの姿も・・・。
ネオ・コスモバビロニアのニル国王は引退したがっているのだが、実は娘のノール・ニル姫が只者ではないという展開が面白い。
またアッシュはダスト本編で語られたことをやっているだけの通行人という扱いも(笑)
クレッセント・ムーン&ペイル・ルージュ@AB
宇宙世紀0159年、18歳のカグヤ・シラトリの前に現れた女スパイであるイオは、カグヤに同行させてくれと言う。
目的地であるコロニー、レムは住民全員が洗脳されている可能性があるという・・・。
先生イオのキャラクターが気に入ったのでまた使いたいと言っていたが、まさかカグヤの初恋の相手になるとは(笑)
新婚旅行中のタガナス夫婦もちらっと登場(笑)
イオの住民洗脳のカラクリは、実は現代社会と全然変わらないというのが興味深い。
ラストのじいが詳しい話は後で教えてやると言ったあとがどうなったのかが気になる。
直線の迷宮@A
宇宙世紀0171年。ニコルとイオは、光の翼の加速実験機グランパスによる木星軌道周回実験を行っていた。
しかしそこに襲撃者が。襲撃者も光の翼を装備しており、一定間隔で追いついては攻撃してくるのをなんとかかわしていた2人だが、イオはかつて会ったトビアとそっくりのニコルに期待していた分落胆しており・・・。
超高速実験中だから救援の来ようもない状況で1対1の定期的な戦闘というSFらしいシチュエーションが著者らしくいい感じ。
またイオのキャラクターもいい感じに馴染んできて、ニコルとの組み合わせも面白い。
春が来る@A
宇宙世紀0171年。北米のロッキー・シティに派遣されていたマック・ストームから救援要請が入る。
なんとその内容は美女に求婚されているというものだった・・・。
マックに求婚しているのはKA・RR・ASで救出されたアプリコットのひ孫らしい(笑)
ラストのマックの記憶が泣けるいい感じの物語に仕上がっている。
フォントやナオミ、レアも再登場。
ちうかこのエピソードはダストのあとの地球圏の歴史を語る初のエピソードという意味でも貴重かも。
それは要するに宇宙世紀全体の一番未来のエピソードということになるのだ。
ちうわけで粒選りの連作短編集になっている。
どれも面白く、世界の広がりを増している。
20250706(mixi日記より)
20250715
ターザン
ケヴィン・リマ/クリス・バック監督
をDVDで観た。
アフリカに流れ着いて樹上に家を築いて暮らしていたクレイトン夫妻と幼い赤ん坊。
しかし夫婦は豹に殺され、残った赤ん坊は最近息子を失ったばかりの雌ゴリラのカーラが助け出した。
カーラはその子をターザンと名づけて大切に育てるが、やがてターザンは他のゴリラと自分が違うことに気づき・・・。
ディズニーの超大作で、1本のアニメーション作品としてはまさに文句のつけようのない名作。
影に執拗にグラデーションがついていたり、アフリカのジャングルの奥行きのある描写と、ターザンの樹上のアクションシーンの素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。
しかし原作を読んだ身としては、さすがに気になるところも多い。
一番の乖離は類猿人がゴリラに変更されているところだが、流石にもはやアフリカは暗黒大陸ではないのでこれは致し方ないところだろう。
もう1つの大きな変更点はあの不器用だがいいやつだったクレイトンが純粋な悪役にされてしまっているところで、これはなんとも切ないところがある。
しかし本作がアニメーションとしてある意味究極の作品であるのは間違いない。
化夢宇留仁的には特にジェーンがエロエロすぎるのが素晴らしかった(笑)
20250706(mixi日記より)
20250716