007/リビング・デイライツ
ジョン・グレン監督

 00ナンバーが参加するジブラルタルでのNATOの演習訓練に暗殺者が侵入し、数名の死者が出た。
ボンドは暗殺者を始末するが、得られた手がかりは「スパイに死を」というメッセージだけだった。
 その後ボンドはチェコスロバキアのブラチスラヴァにて、KGBの重要人物であるコスコフ将軍の亡命を手助けする任務につく。
演奏会が終わって出てきたコスコフを狙撃しようとしていたのは演奏会でチェロを弾いていた若い女性だった。
ボンドは彼女が素人だと見抜いて命を助ける。
亡命に成功したコスコフは、イギリスのスパイ暗殺計画はKGBの新しいトップであるプーシキン将軍によるものだと明かす。
しかしそこに牛乳配達員に化けた殺し屋にコスコフを奪い返されてしまい・・・。

 10年ぶりくらいに観た。4回目くらいだろうか。
この作品はティモシー・ダルトンが初のボンド役をこなしたのが有名だが、それ以外でもいろいろとこれまでの作品とは趣が異なる部分がある。
第1はボンド・ガールのキャラクターで、マリアム・ダボが演じるチェリストのカーラはとにかくおぼこくて可愛らしく、ボンド・ガールというよりヒロインという方がふさわしい。
これはよいとも悪いとも判断のつきにくいところだが、マリアム・ダボはとにかく可愛いのでまあよしとする(笑)
第2は敵のボスがマンガみたいなしょうもないやつに描かれているところで、これはもうこの映画の汚点としか言いようがない。
ヒーローの凄さを伝えるのには敵の凄さを伝えるというのが最低限の条件だと思うのだが、なんでこんなキャラにしてしまったのか理解に苦しむ。
 それ以外では特に文句をつけるところもなく、007らしい007映画に仕上がっていると思う。
いつものように見せ場の連続なのは言うまでもなく、またプーシキンの暗殺任務を負った007の駆け引きなど、頭のいい見せ場もきちんと用意されている。
当時のスタント映像の壮絶さも相変わらずで、CGではないからこその迫力を満喫できる。
よかよか。

20250620(mixi日記より)
20250621


無敵鋼人ダイターン3 第28話 完成!超変型ロボ
富野善之監督

 
 コンクリートや鉄も食い尽くして破壊してしまうメカ羽アリの大群が都市を襲う。
コマンダー・ベルトリーはダイターン3の変形の瞬間にメカ羽アリを体内に侵入させて破壊する計画を立てていた。
嫌な予感を感じた万丈はあえてダイターンを使わずに現場に急行するが、ギャルソンに止められたトッポが無理やりダイファイターに乗ってついてきてしまう。
果たして羽アリに体内に侵入されたダイターンは内部メカニズムを食い荒らされてまともに動けなくなってしまい・・・。

 

 
 いつものノリで滅茶苦茶な話で、ダイターンもひたすら無様な姿をさらしまくり(笑)
しかしとりあえずビューティーの脱ぎっぷりがいいのでまあまあ満足した(笑)

20250621(mixi日記より)
20250622


決定版ゲゲゲの鬼太郎 猫町切符
水木しげる著

UFO宇宙突撃隊
 小惑星女王星の奇妙な宇宙船が東京を占領した。
鬼太郎をリーダーに妖怪軍団が立ち向かうが、宇宙人の秘密兵器幻覚バクダンによって鬼太郎が操られてしまい・・・。

 久しぶりの鬼太郎作品らしく、鬼太郎がいつもの格好ではなくてTシャツにジーパン(?)ですごしている描写が(笑)
ノリ的には「銀河遊撃隊」みたいな感じだが、こっちは別にパロディというつもりはなさそう(笑)
それにしてはタイトルも似てるし、もしかしてパクった???

タイムマシン
 前に読んだ「水木しげるコレクション4 ゲゲゲの森の鬼太郎」収録のものと同内容。

ロケットハウス
 できたばかりのマイホームから少し歩いたところに全く同じ家が建っているのを見つけて驚く男。
しかも中には妻と子も。
さらに自分と全く同じ見た目の男と出会い、襲われて車のトランクに入れられそうになるが、逆襲して逆にその男をトランクの中へ。
警察に相談したが取り合ってもらえず、困っているところに話しかけてきたのはねずみ男だった・・・。

 宇宙人の侵略計画だったわけだが、複製を作って入れ替わるというのはこれもなんか元ネタがありそう。

竹やぶの小人
 前に読んだ「ゲゲゲの鬼太郎(少年マガジン版)14」収録のものと同内容。

火星人現る
 アメリカが火星の石を持ち帰り、共同研究をしていた日本にもその一欠片が持ち込まれた。
これに偶然研究員の血が落ちたところ、欠片は巨大化して奇妙な姿の火星人が復活した。
火星人は食事の代わりに生き物のエネルギーを吸い取って生きており・・・。

 火星人の姿がいつもの適当な輪郭の中に詳細な点描というスタイルでなかなかかっこいい。
オチはいつもの鬼太郎は吸収できないというやつ。

エンバン実験
 前に読んだ「ゲゲゲの鬼太郎(少年マガジン版)14」収録のものと同内容。

不思議な家
 鬼太郎は見知らぬおやじに昔貸した1億円の取り立てを頼まれる。
目玉のおやじの忠告でねずみ男を連れて行ってみると、その屋敷の中には100年も前から閉じ込められている人々がいた。彼らは歳を取ることもなく、2階にいる何者かの研究が終わるまでは出られないが、出られたとしても一気に年月が過ぎ去って灰になってしまうだろうということだった。
果たして2階には姿を見せない宇宙人がおり・・・。

 鬼太郎はなんの役にもたっていない(笑)
ねずみ男が地球人を代表する脳みそであるという展開もよく意味がわからず(汗)

猫町切符
 前に読んだ「水木しげるコレクション2 ねずみ男とゲゲゲの鬼太郎」収録のものと同内容。

宇宙人落下
 前に読んだ「ゲゲゲの鬼太郎(少年マガジン版)14」収録のものと同内容。

ムーン大王
 古代の塚を掘っていた少年たちが奇妙な石棺を掘り当てる。
中に入っていたのはムー大陸の王、ムーン大王だった。
元々月は地球に接続されており、そこを統べていたのがムー一族だったのだが、人類が水爆のようなものを仕掛けて月を分離させたのだ。

 やはり鬼太郎は吸収できないパターンだが、その後さらに強力になって襲ってくるムーン大王はなかなかの強敵だが、ぬらりひょん的な手口で亡き者に(笑)

狸ばやし
 前に読んだ「ゲゲゲの鬼太郎(少年マガジン版)14」収録のものと同内容。

メキシコの石
 前に読んだ「水木しげるコレクション2 ねずみ男とゲゲゲの鬼太郎」収録のものと同内容。

かくれ蓑
 前に読んだ「水木しげるコレクション4 ゲゲゲの森の鬼太郎」収録のものと同内容。

終末株式会社
 前に読んだ「水木しげるコレクション2 ねずみ男とゲゲゲの鬼太郎」収録のものと同内容。

海坊主
 釣りをしていたねずみ男に話しかけてきたのは、海坊主の研究をしていた父親が行方不明になったという少年だった。
ねずみ男は調査に向かったがそれきり姿を消した。
今度は鬼太郎が捜索に向かうと、大ダコに襲われた上に奇妙な泡に捕まって海底の穴の中に連れ込まれ・・・。

 結局捕まっていた博士が犠牲になって鬼太郎とねずみ男を救うというなんとも微妙な展開に。
ちうかよくシケってなかったな(笑)

脱衣婆
 前に読んだ「ゲゲゲの鬼太郎(少年マガジン版)14」収録のものと同内容。

透明人間
 女子大の寮で奇妙なことが立て続けに起こり、依頼されて鬼太郎が調査をしてみると、そこには透明人間になったねずみ男が。
ねずみ男は7年前にやっつけたはずのベリアルと取引をしており・・・。

 ベリアルに体内に入られて乗っ取られそうになる鬼太郎だが、逆に鬼太郎の「霊魂四の字固め」またの名を「満腹殺し」によってベリアルを倒す・・・のだが、それがどういう技なのかは具体的には不明(笑)

悪魔博士
 前に読んだ「水木しげるコレクション2 ねずみ男とゲゲゲの鬼太郎」収録のものと同内容。

二人狸
 前に読んだ「水木しげるコレクション4 ゲゲゲの森の鬼太郎」収録のものと同内容。

わんたん妖怪
 山口百恵が夜寝ていると、なにかがベッドの中に入ってくるのだという。
話を聞いたねずみ男が調査に向かい、百恵の家に御札を貼ってそれが入ってこれないようにするが、それは酔っ払いを操って御札を剥がして入ってきてしまう。
鬼太郎が乗り出して対決するが・・・。

 対決の顛末がよくわからない(汗)
ちうか山口百恵を登場させても問題ないのか(笑)?

影くい猫
 真っ黒な猫がねずみ男の影を食べてしまい、それを皮切りに日本中から影が無くなってしまい、ついには夜の闇まで猫が食べてしまい、日本は白夜に包まれる。
その猫をエジプトの古墳から連れてきてしまったという博士は猫の体内からガスになっている影を取り出さなければならないと言い・・・。

 反省しているという博士が最後のコマで満足そうにしているのが印象深い(笑)
ちうかこのコマはもしかしてあとで追加されたのかも???

死人列車
 小学生の女の子が首吊り自殺しているのが見つかり、なんとかしてくれと言われた鬼太郎は困惑する。
仕方がないので死人列車に乗って探してみると・・・。

 それって助けたということになるのか(笑)?

つきもの
 前に読んだ「ゲゲゲの鬼太郎(少年マガジン版)14」収録のものと同内容。

 全て週刊実話に連載されたもので、大人向けということで他とは雰囲気の異なる話ばかりで構成されている。
だからといって普通に大人向けの内容かと言われれば首を傾げたくなるものばかりだが(笑) 

20250621(mixi日記より)
20250623


水木しげる厳選集 虚
水木しげる著/佐野史郎編

を昨日読んだ。
約束
 小雨の降る夜、締切を遅らせてしまった漫画家が徹夜で仕上げようとしていると、足音が近づいてきて自分の部屋の前で止まった。
それは小学校のときに共に漫画家になろうと誓いあった友人山本だった。
しかし山本の様子がどことなくおかしく・・・。

 オチが全然オチてなくてびっくりしたが、昔の怪奇物はだいたいこんな感じかも。

魔石(W・W・ジェイコブス「猿の手」より)
 奇妙な男が落とした3つの願いを叶えるという石を拾った次郎は、その石に30万円もらえるように願い、学校へ。
しかしその後家に天国交通の使者が現れ、次郎が交通事故で亡くなり、お詫びとして30万円持ってくる・・・。

 また丸パクリ(笑)
元作品のことも書いてあるのは、許可をもらっていると言うより版権が切れているのだろう(笑)
なんか他の水木作品でも猿の手をパクった話を読んだ気がするのだが見当たらない。
気のせいだろうか。

はかない夢
 留守番をしていたカン太の隣に、いつの間にか奇妙な男がいた。
実はそれは隣の神社の神様で、カン太は家を間違えたのを言いふらさないという条件で願い事を1つ叶えてもらうことにする。
カン太の願いは自分をもう一人出してもらい、それに勉強させて自分は山で遊んで暮らすというものだったが・・・。

 神様が例によってねずみ男そっくり(笑)
オチは呑気に描かれているがなかなか過酷である。

空想石
 貧乏な農家の息子である茂作は、奇妙な男が落としたと言って探していた石を拾った。
それは石というより卵のようで、茂作が懐に入れて温めると奇妙な生き物がかえった。
その生き物は不思議な能力を持っており、茂作の言うことを何でも聞いてくれたが・・・。

 相変わらずオチがオチてない(笑)が、そもそもあれで食べた気になっていたらそのうち死ぬのでは???
奇妙な男のデザインはもちろんねずみ男(笑)

空のサイフ
 江戸時代のスリの少年は余裕のありそうな奇妙な男(ねずみ男デザイン/笑)のサイフをすろうとするが、捕まってしまい男の奴隷にされることに。
そもそも男の持っていたサイフは空で、男はそれを捨てる。
その後そのサイフは持ち主を変えていくが、持ったものは例外なく不幸に・・・。

 拡大したらホコリに混じってあれが寝ているのが見えるというシーンを他でも見たことがある気がするのだが、思い出せない。

鳥かご
 東京の郊外の森の中の一軒家が部屋を貸し出すことにしたところ、大きな鳥かごのような荷物を背負った少年が気前のいい前金で借りることになった。
少年は部屋に鍵をかけ、その荷物を誰にも触られないようにしていたが・・・。

 少年の未来は暗い(笑)

河童膏
 江戸時代。打ち身切り傷に効く河童膏という評判の薬があったが、その材料は河童の皿だったので、薬屋は専門の「河童の皿とり」を何人か雇っていた。
その一人の鈍太は全然皿を取ることができず、今月中に取れなければクビだと言われる。
頑張って沼で河童を探す鈍太だったがおぼれてしまい・・・。

 切ない・・・。
人の業を思うのと、なんだか現状では日本人が河童になりつつあるとも思う(汗)

剣豪とぼたもち
 先に注文したはずのぼたもちを雲助たちに食べられてしまい、最初は我慢していた剣豪だがそれが繰り返されてとうとうぶち切れ・・・。

 ラストで語られる品位とか貫禄というものがなにによってそなわるものかというのが真理すぎる。

錬金術
 江戸時代。錬金術に熱中する一家。
息子だけはそれに懐疑的で、指導した丹角先生に疑問をぶつけると・・・。

 丹角先生のお言葉が重い。
そして丹角先生のデザインは例のあれである(笑)

宇宙虫
 宇宙飛行士の身体にくっついてきた宇宙虫の卵が流れ流れて日本の凡太のところに。
生まれた宇宙虫2匹を、親の指示に従って池の中の島に捨てる凡太だったが、その島で宇宙虫は目まぐるしく進歩し・・・。

 味わい深い。
凡太のお父さんがなかなか聡明で物わかりがよいのもいい感じ。


 昭和35年頃、水木しげるが持っていた古い机は、なぜか使う者に親愛の情を抱かせた。
水木しげるは部屋を貸していた男にその机にまつわる昔のできごとを話す。

 なんだかよくわからないが、水木しげるにとって愛着のある机だったらしい(笑)

古道具屋の怪
 古道具屋の主が倉庫になっている2階の大掃除をすることになり、そこで「ある怪物の日記」という古いが妙に活き活きとした本を見つける。
それは自由に姿を変化できる怪物が、古代から人を食ってきた記録だった・・・。

 滅茶滅茶かっこいいストーリー。ラブクラフトもびっくり。
絶対なにか元ネタがあると思う(笑)

不思議な手帖
 市役所に勤める山田は45になっても平だったが、なんとなく満ち足りた雰囲気を持っており、いつも古ぼけた手帖になにやら書き込んでいた。
そんな山田を気にかけていたオールドミスが山田のあとをつけると山田は神社で賽銭に1000円も払っていた。
その後不倫の仲になった2人だったが、彼女は山田をぐでんぐでんに酔っ払わせ、手帖の秘密を聞き出すことに成功する・・・。

 デスノート(笑)
もちろんパクリではないが、もっと前に誰かがそういうアイデアの作品を書いているのも間違いないだろう。
ちなみにオールドミスはなんとねずみ男の妹である(笑)

群衆の中に
 漫画家の花森は、同じく漫画家の長井に最近元気がないねと言われるがその理由を話そうとはしなかった。
そこで花森をぐでんぐでんに酔っ払わせて聞き出した秘密は、花森の妻が人間に見えるがそうではないということだった・・・。

 なかなか恐ろしいストーリー。
そのまま仲良くしたらどうなるのかは少し気になるが(笑)

不思議町三番地
 小さな製薬会社に勤める山田は、そこで不死の薬を開発しており、とりあえず10年は寿命を延ばせる段階に達していた。
帰りが遅くなり、タクシーに乗った山田は運転手と話をし、2人でその薬を飲む。
しかしタクシーは道に迷ってしまい・・・。

 もう一つの世界物だが、ある意味あの世でもある片方の世界はもう片方の世界を認識しているなど、工夫があって面白い。
しかしなにより山田だけではなくタクシーの運転手までまきこまれているところが楽しい(笑)

深夜のバス
 終電も無くなり、歩いて帰るしかないと思った男は、なぜか通りかかったバスに乗るが、そのバスには誰も乗っておらず、運転手さえいないのに走っていた。
やがてたどり着いた奇妙なコロッセオのような建物で・・・。

 入れ替わり。
皮を剥がされるのが恐ろしい。

目ひとつの神 新・春雨物語(上田秋成「春雨物語」より)
 病床に伏せる母が止めるのも聞かず、少年は都を目指して旅立った。
母は庭先の奇妙な一つ目の石地蔵に息子が帰ってくるようにお祈りし・・・。

 設定は少々異なるが、おおむね原作(?)通りの内容っぽい。
まとまりがよく、なんだか味わい深い。

丸い輪の世界
 久太の妹は肺炎になって死んでしまった。
久太は大雪の日には重いだろうと妹の墓の上に積もった雪をはらいに行った。
ある日久太が草原でれんげ草をつんでいると、奇妙な丸い輪が空中に浮かんでいるのを見つける。
輪の向こうには妹が・・・。

 あまりにもドラマツルギーからかけ離れており、なんだか実体験を語っているような雰囲気があってすごくいい感じ。

笠地蔵
 前に読んだ「ゲゲゲの鬼太郎(少年マガジン版)12」に収録のものと同内容。
この本で唯一の鬼太郎登場作品である。 
ねずみ男っぽいのはやたらと出てくるが(笑)

 佐野史郎が水木しげるを愛しているのが伝わってくる味わい深い作品が集まっている。
とてもよい。

20250624(mixi日記より)
20250625


タイム・トンネルの冒険
レスター・デル・リー著/白木茂訳

 ボブの自慢の物理学者で時間研究の権威である父親がタイム・マシンを完成させた。
しかしそれは乗り物のようなものではなく、過去につながる輪を発生させる装置だった。
数々の実験を終え、とうとう人間が過去に向かうことになり、名誉ある第1号に選ばれたのは父親の親友であり古生物学者のトムだった。
そうしてトム博士は8000万年の過去の世界へ旅立った。
ところが予定の時間が過ぎても帰ってこない。
ボブの父親は救出に向かいたかったが、現在の時間で機械を操作できるのは彼だけであり、最終的にはボブと、トム博士の息子であるピートの2人がトム博士の救出に向かう。
しかし2人が8000万年過去の世界に着いてみると、トム博士の姿が見当たらない代わりに巨大なティラノサウルスが・・・。

 SFジュブナイル。
その後なんとかトム博士と合流し、恐竜とドタバタしたあとは氷河期、新生代とちょこちょこと未来へ飛んで現代に戻ってくるわけだが、全編なんとも懐かしいジュブナイルならではの雰囲気に溢れていてなかなか面白かった。
もちろんツッコミどころは満載で、こんな古いSFジュブナイルにケチをつけるのは野暮だとはわかっているが、いくらなんでもそれはおかしいというのを指摘しておく。
それは実験中にボールを過去に放り込むと、しばらくしたら戻ってくるという描写である。
人間が過去に行き、そこから現代に向かうためには現れる場所さえ定かではなくしかも25秒しか保たない輪の中に走って飛び込まなければならないのである。
いったいボールは誰が投げ返したんだ(笑)?
 興味深かったのは途中で出てくるティラノサウルスとトリケラトプスの対決シーンで、ティラノサウルスは強力な顎を持っているが、ゴジラのように直立している姿勢なので腹が無防備になってトリケラトプスにやられてしまうのだ。
このティラノサウルスが現在考えられている前傾姿勢だったら負けてなかったのに(笑)
 またタイムトラベルがテーマの本書を読んでいると、その雰囲気からSFジュブナイルに子供の頃に触れた自分の記憶が呼び覚まされ、これまた一種のタイムトラベルのように楽しめたのも愉快だった。
メタ・タイムトラベル本でもある(笑)

20250626(mixi日記より)
20250627


マップス(全10巻)
長谷川裕一著

キンドル版を昨日読んだ。
 なんの変哲もない高校生の十鬼島ゲンの目の前に突然金髪の美女と巨大な宇宙船が現れ、一緒にいた星見とともに誘拐される。
彼女リプミラが言うには、ゲンは秘宝「風まく光」へ導く人間地図(マップマン)なのだ。
そこに突然新たな宇宙船が現れ、リプミラの宇宙船リプミラ号を拿捕し・・・。

 このあと地球でもう1話すごしたのち、3話目で宇宙に出るといきなりラスボス種族である伝承族と遭遇。
その後はまさにジェットコースター状態であまりにも巨大なスケールの一大宇宙活劇に突入していく。
 著者長谷川裕一は化夢宇留仁はマンガ力という点ではまさに日本を代表する存在だと思っている。
本作マップスもデビューから間もない作品だが、その圧倒的なストーリーテリングと立ちまくったキャラクター、それに本格SFマインドと、まさに著者の代表作と言える内容になっている。
また著者の作品の顕著な特徴が主人公の少年の成長ぶりで、本作でもまさに冴えない高校生だったゲンがスペースコブラもびっくりのスーパーヒーローに成長し、はじめはリプミラがリードしていた立場も逆転する。
キャラクターを使い捨てないというのも特徴で、大量の登場人物が出てくるが、そのどれも自分の意志を持っているかのように活き活きとしており、それが敵であっても同様。
そして超大風呂敷をきちんとたたむのもこの著者のすごいところで、これに関してはマジでこの著者に勝る人はいないと思う。
名作。
 1つ残念なのはキンドル版は紙の本からのスキャンで作られており、画質がよくないのと、見開きでは画が途切れてしまっているところ。
紙の本で買い直すか・・・(汗)
ちなみに全10巻は文庫版のもので、通常のコミックス版だと全19巻である。

20250629(mixi日記より)
20250629


マップス ネクストシート(全15巻)
長谷川裕一著

キンドル版を昨日読んだ。
 2007年初頭、何の変哲もない高校生麻生河七勇太、友人の金子、姉の京とともに下校中、奇妙な少女から自分と引き換えに水をくださいと言われる。少女の背後には得体のしれない怪物が・・・。
七勇太のものとなった少女ミュズは、銀河最強の宇宙船ネクシート号の舵輪であり、黄金の地図ネクストシートそのものであり、その地図は滅ぼされたはずのある存在につながるものだった・・・。

 マップスの続編。前作が1985〜1994年に執筆されているので、13年ぶりということになる。
この年月を経て著者の元々ものすごかったストーリーテリング能力が更に大きく進化しており、それがあらゆるところに行き届いている。
 まず本作は2007年のなんの変哲もない日本から始まるのだが、その時点で前作とつながっていない。なぜなら前作では世界はすでに銀河連合軍と伝承族との一大決戦を経験しており、2007年には宇宙人もうろうろしている世界になっているはずなのだ。
全然関係ない世界の話なのかと思わせるも、最初にミュズの背後にいた怪物は前作で龍の戦士ダード・ライ・ラグンを作り出したライ族だしで、確かに世界はつながっていると認識させる。
つまり冒頭の世界設定からすでにミステリーになっているのである。
 その後前作のキャラクターも続々と登場してくるのだが、これまた時間の経過をうまくとりこんでおり、泣かせる設定多数。
特にデニーの現在の船長である「有能社員A」が・・・これあの赤ちゃんやん(汗)
メチャ泣ける(汗)
 そして本作の白眉が、さまよえる狩人のリーダー「白銀の支配者」で、なにしろ身長200mを超える美女というぱっと見諸星大二郎作品みたいなビジュアルなのだが、この謎の存在の秘密がもう泣けて泣けて(汗)
 ほんとに長谷川裕一は底が知れない。

20250629(mixi日記より)
20250630


メデューサブレード
長谷川裕一著

キンドル版を読んだ。
 1990年代のある日、地球を長楕円軌道で周回していたカプセルが発見され、それにはコールドスリープ状態の1人の男が乗っており、カプセルには「ペルセウス」と書かれていた。
それはグランド・キャニオンの中にある政府所属の研究所で目を覚まし・・・。

 ギリシャ神話の英雄が軌道上を回っているという奇想天外なアイデアをベースに、人間の悪の組織と神話をなぞるような戦いを描いている。
連載の〆切10日前になって原作使用の許可が降りないとわかり、急遽オリジナル作品を描いたという無茶すぎる顛末で生まれた本作だが、そんな条件にしてはまあまあまとまっていてそこそこ面白くできているのはやはり著者の実力の成せる技である。

最終生命
 神を造ることにした3人の科学者は、20年後にその成果を確かめるという約束をしていた。
20年後、亡くなったハロウラン博士の代わりの娘のクリスと博士が作った遺伝子合成生物だが犬にしか見えないジンが場足生物工学研究所にやってくる。場足博士が出迎えるが、もう1人のクレメント博士は亡くなっていた・・・。

 とかやってるうちになぜか怪獣大激突マンガに(笑)
一応なんとかSFとして語れるだけのストーリーにはなっているが。

20250629(mixi日記より)
20250701


クロノアイズ(全6巻)
長谷川裕一著

キンドル版を読んだ。
 1999年7月7日、平凡な高校生である西郷大樹はクロノアイズ(要するにタイムパトロール)にスカウトされた。
様々な時代で冒険を繰り広げる大樹だったが、やがてクロノアイズの存在に疑問を感じはじめ・・・。

 またまた著者の壮絶なストーリーテリング能力が炸裂し、最初から最後まで滅茶苦茶に面白い。
単に時間SFとしてもよくできている。
また敵のキャラクターがいつものようにどいつもこいつも面白いのと、しれっと大筋に絡む存在が紛れ込んでいるのも相変わらず。
すっかり定番キャラとなった侵略大帝も登場(笑)
主人公がとにかくモテモテなのもこの著者の特徴(笑)
ラストのビッグバンの展開は泣ける。

20250630(mixi日記より)
20250702


クロノアイズ グランサー(全3巻)
長谷川裕一著

キンドル版を読んだ。
 クロノアイズを抜けたタイキとアナは、分岐してしまった時間軸の問題を解決する超法規的存在であるグランサーとして活動していた。
今回やってきた世界は未来からもたらされた科学力で第2次大戦が50年も続いている世界で、彼らはそこでサイボーグにされてしまった少女ヒルダと出会う。
なんとか解決して本人の希望によりヒルダを仲間に迎え入れた2人だったが、タイキとアナはグランサーとしての仕事とは別に探している人物が・・・。

 相変わらずものすごいプロット力で楽しませてくれるが、本作はコメディエピソードとシリアスエピソードがどっちも振り切っている感がある。
どっちもその完成度も高いのだが、全3巻の中に詰め込まれると少々しんどいかも。
化夢宇留仁が好きなのはもちろんコメディーエピソードの方で(笑)、気まずすぎるバック・トゥ・ザ・フューチャーが滅茶苦茶面白かった(笑)
侵略大帝の素顔がこれまた(笑)
そして主人公が彼女とイチャイチャしつづけるのもこの著者の特徴だと思った(笑)

20250630(mixi日記より)
20250703


轟世剣ダイ・ソード(全4巻)
長谷川裕一著

キンドルで読んだ。
 百地王太が空に人を乗せた巨大な鳥を見た日、九江州中学は全校生徒550名とともに校舎ごと「泡の中央界」に飛ばされる。
学校はファンタジーから抜け出てきたような怪物の群れに襲われ、その混乱の最中、王太は巨大な剣の封印を解き、ダイソード(ダ・イスォウド)を蘇らせて学校を守る。
テルテ・ウィタスの魔法使い、ユーリナ・タ・カラから事情を聞いた一行は、元の世界に帰るためテルテ・ウィタスを目指すが・・・。

 長谷川裕一といえばSFというイメージだが、ファンタジーもバッチリいけることを証明した。とはいえいつものロボットバトルではあるのだが(笑)
やはりいつもの通りプロットの組み立ては完璧で、風呂敷をば〜〜〜っと広げてビシッとたたむのはお見事。
ダイ・ソードがかっこいいんだこれまた。
掲載誌の関係か、毎度のエロ要素も少々強め(笑)
そしていつもの通り金子も大活躍(笑)
 しかし本作も本からのスキャンで、画質が悪く見開きが途切れているのが残念。
なんでこんな巨匠の作品をこんな状態でほっておくのだ(汗)
・・・と、思ったら長谷川裕一セレクションというシリーズでコミックス版がちゃんとしたスキャンで発売されていた。
なんてこったい(汗)

20250702(mixi日記より)
20250704


鋼鉄の狩人
長谷川裕一著

キンドル版を読んだ。
 世界が高度と密度の両方に長けた樹の中に沈んだ超未来の地球で、コールドスリープカプセルの中から発見されたキッド(仮名)は記憶を失っていたが、この略奪が通常運転の世界を生き抜くために、野生化した戦闘マシン「鋼鉄の狩人」を我が物にしようとする。
一方彼が世話になっていた街が誘拐商人に襲われ・・・。

 というような設定で始まり、その後鋼鉄の狩人のオーナーになったキッドがこの世界で活躍する様を書くが、これからというところで終わってしまって非常に残念。
この著者のことだから完結までにすごい奥行きのあるプロットを用意していたと思うのだが・・・。

侵略妖精(前後編)
 高校生の葉様飛宇児は空手をやっていたが、対戦相手の動きがスローに見えてしまい、もはや自分だけが違うルールで戦っていることを認識して空手を辞めることにする。
そんな飛宇児に接触してきたのは生物部の美女の麻紗で、彼女は本物の妖精を彼に見せ・・・。

 これはもう一つすっきり終わっていないし、いろいろと残念な作品。
なんか事情があったのだろう。

20250702(mixi日記より)
20250705


機動戦士ガンダムMSV戦記 ジョニー・ライデン
長谷川裕一著

キンドル版を読んだ。
 ジオンのエースパイロットであるジョニー・ライデンはザビ家嫌いで、戦争にも関わりたくなかったが、親が志願書を出してしまっており、仕方なくジオン軍に入隊した。
ザクのパイロットとして初陣を飾るときも、目立って撃墜されてすぐに除隊できるように機体を赤くペイントするほどだったが、腕がよすぎて次々に戦功を挙げてしまい・・・。

 ちうような感じの連作短編集で、いったいジョニー・ライデンという人は何人いたんだと思うほど手垢のついた主人公だが、著者のプロット力の確かさは相変わらずで、しっかりまとめて面白く読めるようには仕上がっている。
またア・バオア・クー戦で行方不明になった後のエピソードも収録されており、世界に広がりを持たせているのもいい感じ。
また設定を活かしたメカのアイデアも冴えていて、ラスボスにIフィールではなくあえてビーム撹乱膜をまとわせるのが面白い。
 巻末にはもう1つのジョニー・ライデンの物語である「ジョニー・ライデンの帰還」とのクロスオーバーのジョークエピソードも収録されていてオトクな感じ(笑)

20250702(mixi日記より)
20250706


機動戦士ゼータガンダム1/2
長谷川裕一著

キンドル版を読んだ。
機動戦士ガンダム1/2vsガンダムMk2
 ガンダムMk2の開発の最終段階に、初代ガンダムの交換用パーツを約50%使用した通称1/2ガンダムとの模擬戦が行われたが、何度やってもMk2が敗北する。
Mk2にはジャブローでパイロット技術でAAAの評価を受けた若きエドガー・エドモンド・スミスが搭乗し、1/2ガンダムには古株のカン・ウーが乗り込んでいた・・・。

 Mk2開発秘話であり、テレビに出てきたキャラクターもほいほいと登場するが、やはり著者ならではのオリジナルキャラクターが活きているのであまり外伝っぽい印象を感じない。
そしてきっちり読ませる作品になっている。

アムロとKiss
 東南アジアのティターンズの基地に囚われていたアムロを救出に来たのは、ティターンズを抜けてカラバに入っていたエドガーだった。
彼が乗るのはZガンダムの開発経過で生み出されたと思われる実験機の通称1/2Z。
ところが救出されたアムロの正体は・・・。

 Zガンダムでカラバに残ってからのアムロの様子がほとんど描かれなかったことを利用して、面白い展開を創作している。
しかしこの話自体はこの著者にしてはもう一つ。
とりあえずおっぱいなのはまあいいのだが(笑)

エドガー・エドモンド・スミスの日記
 グリプス戦役の末期に、ティターンズの輸送部隊を襲撃する任務を受けたエドガーは、そこで戦局に大きな変化を与える可能性のあるティターンズの新兵器と遭遇し・・・。

 確かにあの機体は謎が多いので、完成形の1つの提案としては説得力が無いとは言えないと思う。あるとも言えないが(笑)

番外編 宇宙一の無責任ティターンズ〜ウモン・サモンの日記〜
 グリプス戦役中に、エゥーゴの略奪部隊が街を襲い、そこに残っていたティターンズ兵たちが民間人を助け、街からの脱出を試みるが・・・。

 上の説明のほとんどは嘘である(笑)
ところでウモン・サモンというのはクロスボーン・ガンダムの登場人物で、向こうではエリ8でいうところのマッコイ爺さんみたいなキャラなのだが、こちらでは時代を遡っているので若き傭兵という立場である。
このエピソードで最も重要な要素は、これまでのエドガーの物語で謎の存在だったエドガーの奥さんの秘密が明かされるところだったりする(笑)

 やはりこの著者が描いちゃうと、外伝のはずなのに本道っぽい物語になってしまうのである。
この人に外伝らしい外伝を描くのは無理である(笑)

20250702(mixi日記より)
20250707


機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス
長谷川裕一著

キンドル版を読んだ。
 ザンスカール帝国によってサイド6の外れで発見されたのは、コロニーを2つつないだ長大な構造物だった。
これをコロニーレーザーの進化系と判断した帝国はその奪取に動き出す。
 一方Vガンダムとゾロアットがジュピトリスに流れ着き、それらのパイロットを救出したのはグレイ・ストークという謎の男だった。
彼が導いたツインコロニーの内部は森が生い茂っており、ウッソはこれが単なるコロニーではないことを知るが、そこにはザンスカール帝国が開発したジオングの発展型のモビルアーマーが進攻を開始していた・・・。

 ちうわけで外伝Vガンダム編だが、なにしろグレイ・ストークは設定上どう考えても歳を取ったジュドーだし、乗っているMSもどう見てもZZの改修型だしで、相変わらずのオリジナリティ炸裂という塩梅になっている。
こんな滅茶苦茶な設定で最後はきっちりと優良SF的なエンディングに持ち込んで感動させてしまうのだからほんとにすごすぎる。

逆襲のギガンティス
 木星に行ったものがニュータプとして覚醒する確率が高いのはなぜなのか。
その解答を探すべく、ジュドーの乗るジュピトリスに乗り込んできたのはなんとアムロ・レイだった。
そしてネオ・ジオン軍が確保している小惑星には、その原因である伝説の巨神が・・・。

 このエピソードは「逆襲のシャア」の少し前の設定で、ジュドーもまだ若い(笑)
そして伝説の巨神というのはもちろんあれである(笑)
これまたこんな滅茶苦茶な設定の物語をこれまたしっかりとまあまあ真面目にまとめあげてしまう著者の頭は明らかにおかしい(笑)
更に大元のあの人が生み出した「死者の力」を全力で否定する著者の謀反的な展開も心地よい(笑)

20250702(mixi日記より)
20250708


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