地中の男
ロス・マクドナルド著/菊池光一訳

 ある朝かけすにピーナッツをやっていたリュウ・アーチャーは、そこにやってきた少年が自分もピーナッツをやりたいと言うのでピーナッツを渡す。
やがて少年は自分にも食べさせろと言うので食べさせる。
そこに少年の父親と母親も姿を現すが、父親は母親を残して少年を連れて出ていった。
アーチャーはその車にブロンドの若い女も乗っているのを見た。
その後アーチャーは母親ジーンから息子を取り戻す手伝いをしてほしいと依頼される。
父親スタンリイは自分の母親のところに向かっていると突き止めるが、母親エリザベスの住む家は山上にあり、そこはつい最近山火事が発生して大騒ぎになっていた。
そんな中、地中に埋められたスタンリイの死体が見つかり・・・。

 ホームページの掲示板でポール・ブリッツさんにお勧めされたので読んでみた。
面白かったが、最高のコンディションで読めなかったのが少し残念だった。
というのも、まず化夢宇留仁はこの作品があの「動く標的」のリュウ・アーチャー(ルー・ハーパー)のシリーズとは気づいておらず、普通の現代ミステリだと思っていた。
それで読み始めて初めてその事実に気づき、そうかハードボイルドかと認識を改めて読み進めたのだが、途中からどうも化夢宇留仁の思うハードボイルドとは異なる内容だと気づき始めた。
とりあえず登場人物が多い(汗)
しかもそれぞれが縦軸(親子)でも横軸(関わり合い)でも絡み合い、そこに更に時間軸(過去の出来事とそれによる変化)までが複雑に絡み合っており、これは化夢宇留仁の認識的にはヘビィ系ミステリとして読むべき作品だったと気づいた次第(汗)
というわけで物語を追うのはいいとして、登場人物の関係を理解するのに苦労して、そっちに意識を持って行かれた感があったのが残念だった。
しかし確かにそれら複雑な人間関係が織りなすドラマと、結果的にタイトルにも絡んでくるトリック(?)もあって最初から最後まで楽しめた。
 ところでこの作品で気になったのは、「〜のような」とか「〜に似た」というような比喩表現が非常に多く、かつそれがバラエティに富んでいるところだった。
比喩による雰囲気の描写が巧みだと思わされるところもあれば、化夢宇留仁の知識の足りなさもあって意味不明になるところも(笑)
 それと主人公アーチャーの主体性の無さも興味深かった。
冒頭のあらすじでも書いているが、かけすにピーナッツをやろうと思った以外は基本的にひたすら流れのまま言われるままで全然主張が無い(笑)
こんな枯れたハードボイルドもあるんだなあと新鮮だった(笑)

20220406(mixi日記より)
20220412


2061年宇宙の旅
アーサー・C・クラーク著/山高昭訳

 2061年、ヘイウッド・フロイド博士はまだ生きていた(汗)
地球に帰還してすぐに事故によって重症を負い、冷凍睡眠に入った結果で、その後も低重力下で療養を続けた結果、最早地球の重力には耐えられない体になっていたが、その頭脳は健在だった。
彼は最新の低温核融合エンジンを備えた旅客宇宙船ユニバース号によるハレー彗星観光ツアーに招待されて嬉々として出発する。
 一方彼の孫クリス・ヘイウッドは、ユニバース号の姉妹船であるギャラクシー号に乗って今やミニ太陽ルシファーと化した木星の衛星の調査についていたが、船内には裏切り者が存在し・・・。

 2001年、2010年と比べると、盛り上がりに欠けるのは確かで、山場と言えるところがない。
しかしとても面白かった(汗)。
ちうか今回痛感したのだが、化夢宇留仁はクラークの小説はどんなしょうもないシーンも常時面白い(汗)
なぜかず〜〜〜っと興味が尽きないのだ。
これはクラークの超絶技巧によるものなのか、ちょうど化夢宇留仁が興味を持つポイントを突き続けているのかは判断がつかないが、とにかくひたすら面白いのだから困ったものである(笑)
そうそう。ラスト近くで語られる意識のある存在に「あれ」も含まれているのが痛快だった(笑)
 今回タイミング的に気になった箇所がある。
地球の国家間での戦争がいかに無くなっていったかの説明の部分で、こうならどんなによかっただろうと涙が出た。
ちうかここに限らず、クラークの語る未来の歴史はあまりにも理性的で、いつも切なくなる。

20220412(mixi日記より)
20220415


キャプテン・フューチャー 彗星王の陰謀
エドモンド・ハミルトン著/野田昌宏訳

 太陽系を木星から外縁部に少し進んだあたりで、多くの宇宙船が行方不明なっていた。
調査に向かったエズラ・ガーニーとジョオン・ランドールを乗せた警備宇宙艇まで行方不明となってしまい、最後の手段と呼び出されたのは勿論キャプテン・フューチャーである。
フューチャーは行方不明事件がハレー彗星と関わりがあると突き止め、彗星に接近するが、突然強力な磁力に囚われ、コメット号も彗星に・・・。

 まずびっくりしたのは、「2061年宇宙の旅」に続いてハレー彗星が関わる話だったことだった。こういう偶然によく出くわす。
もしかしてこっちも2061年の出来事なのだろうか・・・。
 次にびっくりしたのは、登場人物紹介のところにドナルド・クルーというおじさんがいて、太陽系政府二代目主席と書かれているのだが、本編には一切登場せず(汗)、二代目主席は先代主席ジェイムズ・カシューの秘書だったノース・ボネルが務めていたこと。
一体何が起こったのやら???
 そしてもう一つ。本作のタイトル悪役「彗星王」だが、なんとこんな名前の登場人物も登場しなかった(汗)
代わりと言ってはなんだが、本作の敵はこれまでの敵とは桁違いの強力な存在で、クトゥルフ神話関係者をも彷彿とさせるほどで非常に盛り上がった。
 あとはいきなりカーティスとジョオンの仲が急進展し、ラブラブ状態になったのにも驚いた(笑)
 ちうわけで珍しいオットーとグラッグ2人だけの活躍シーンもあったり、色々と見どころが多く、楽しめた。
それにしてもここまで強力な敵を出してしまって、この後どうするんだろうと余計な心配をしてしまう・・・(笑)

20220414(mixi日記より)
20220416


マーダーボット・ダイアリー 逃亡テレメトリー
マーサ・ウェルズ著/中原尚哉訳

逃亡テレメトリー
 他殺死体と遭遇した警備ユニット。
メンサーの要望もあって警備局とともに捜査を手伝うことになるが、上級警備局員インダーは彼をステーションから追い出したいと思っており、協力する気は無さそうだった。
警備ユニットが被害者が外部の人間の可能性が高いとして港湾区画で宇宙船を片っ端から調べてゆくと、その中に明らかに操船ボットがエラーを起こしている奇妙な船を見つける。
果たして船内では殺人が行われた形跡があった・・・。

 弊機こと警備ユニットが探偵役というのは設定や能力からしてぴったりなのはわかりきっているので、安心して楽しめた。
相変わらず物語を追うのよりも文章自体を楽しむのがメインという感じで、そこかしこで笑わせられた。
 今回はまさに理想郷と言えるプリザベーション・ステーションと、カイジの世界を大規模にしたような(笑)企業リムの中でも生まれた時から奴隷として設計されていた警備ユニットが感じるカルチャーギャップもクローズアップされている。
例えばある逮捕された犯罪者グループに警備局員が彼らの持つ権利を説明しているのを聞いた警備ユニットの感想は「ずいぶん権利があります。企業リムでステーション警備局に逮捕されていない人間よりも権利が多そうです」である(笑)
 ところで前巻でプリザベーションにやってきたもう1人の警備ユニットはどうなったんだっけ?

義務
 まだメンサーと出会ってなかった頃の警備ユニットが、採掘場での事故に遭遇する。
基幹システムは動くなと指示しているが、このままだと数十秒後には作業員の1人が黒焦げに・・・。

 6ページのみの超短編。
こんなことを長い間やってきたんだろうなあと感慨深い。

ホーム-それは居住施設、有効範囲、生態的地位、あるいは陣地
 メンサーは警備ユニットがプリザベーションで暮らせるように前惑星指導者であるイフレイムを説得する。
その間にも警備ユニットは彼女の安全確保に余念がなかった・・・。

 シリーズ初めて3人称で語られるエピソード。
なんかすごい違和感(笑)

20220416(mixi日記より)
20220418


ワンダーウーマン1984
パティ・ジェンキンス監督

 1984年のアメリカで、ダイアナ・プリンスはスミソニアン博物館で働いていた。
そこに新たに着任した鉱物学者のバーバラ・ミネルヴァは不器用で人付き合いが苦手だったが、ダイアナとは打ち解ける。
 バーバラはFBIに摘発された密輸業者の盗品の調査を依頼されるが、その中に奇妙な石を見つける。ダイアナはその台座にラテン語で「何でも一つだけ願いを叶える」と彫られているのに気づく。
ダイアナにとって願いといえば1つだけ。
そしてバーバラはダイアナに憧れていた。
 マックス・ロードは石油の採掘に関する権利を販売していたが、石油が全く出ずに行き詰まっていた。
しかしスミソニアン博物館に訪問したおり、奇妙な石に目をつけ・・・。

 とりあえず前作には敵わないまでも、なかなか面白かった。
1984年という時代設定は面白かったが、活かしきれているとは言えず、もっともっと面白く出来たと思う。
例えばストレンジャー・シングスはもっとこの時代の面白さを表現できていると思う。
 またアクションシーンの出来が全体的にもう1つで、特にワンダーウーマンが飛んだり跳ねたりしたあとの着地が不自然に感じた。
軽やかさを出したいのはわかるが、高所からの着地で膝も曲げずに軟着地は変だ。
 問題の彼氏復活は予想よりもストレートな復活だったが、最終的な決断に至るところはなかなか感動的だった。
少々唐突に感じるところもあったが・・・。
 しかし要するにガル・デュカットガドットを観る映画なので、彼女がいい感じに映せていればだいたいOKだのだが(笑)、これもまだ完璧とは言い難い。
なぜなら特典映像ではしゃいでいる彼女の方が魅力的なのだ(汗)

20220417(mixi日記より)
20220421


カウンター・ストライク
チャールズ・D・テイラー著/沢万里子訳

 1980年代。スペツナズの訓練も最優秀でパスしたファン・デュランはフィデル・カストロの側近だったが、クーデターを起こしてカストロとその支持者を暗殺し、キューバの支配者となった。
カダフィの教えを受けた彼の統治は恐怖政治そのもので、反体制の女子学生を捉えて公衆の面前で裸同然の姿にして自ら鞭打ちを行うような異常性をも発揮していた。
アメリカを敵視するデュランはアメリカ本土へのテロ攻撃をも決行。
合衆国政府はそれに対してSEAL最優秀の男バーニー・リングを送り込む。
一方これまで散々キューバに投資してきたソ連も黙ってはいなかった。
デュランは共産主義をも否定し、完全に独自の道を歩もうとしていたのだ。
ソ連がキューバに送ったのはスペツナズと、ソビエト海軍ブラック・ベレーの大佐であるポール・ボロノフで、彼らはキューバに潜入してキューバ兵に化け、手始めに農民を虐待して新政権への不満をつのらせる。
こうしてキューバの精鋭スコーピオン部隊、ソ連のスペツナズ、そしてアメリカのSEALの三つ巴の血みどろの戦いの幕が切って降ろされた・・・。

 とても面白く読めた。
まず意外に思ったのが、非常に読みやすい本だったということだった。
簡潔な文章で登場人物の誰も彼もが何を考えているかがわかりやすく、テンポもよくて状況と物語に集中できる。
まあ登場人物の多くが軍関係者で、軍関係者ということは目的がはっきりしているのでわかりやすいのが当然とも言えるのだが。
 特に盛り上がるのはやはりスペツナズ対SEALの超エリート特殊部隊同士の駆け引きで、特に本作ではスペツナズがキューバ軍に対して圧倒的な力を発揮したのちにSEALとの戦いに突入するので、敵を強く描くことで主人公との戦いを盛り上がらせるという王道の演出が効いている。
ハバナでリングとボロノフがばったりと出くわすところとか、スペツナズのスコーピオン部隊に対する待ち伏せなど、見どころも多い。
 残念だったところもある。
非常にわかりやすいと書いたが、実は化夢宇留仁は途中からアメリカ勢の目的がよくわからなくなった(汗)
ソ連の方ははっきりと目的が示されているのだが、アメリカの方はそうではなく、スペツナズと敵対する理由が薄いように感じてしまった。
ラストの展開を見ればなんとなくわかるのだが、そのへんは途中でももっとはっきりと示しておいてほしかった。
 またとにかく人が死にまくるのだが、これが最初は独裁者デュランによる反体制分子への粛清とみせしめということで納得しやすかったのだが、後半はキューバに入り込んだソ連軍とアメリカ軍が殺して殺して殺した上に殺し合ったり(笑)するので、むしろ一方的に殺されまくるキューバ勢が気の毒に思えてくる(汗)
 ちうわけでなかなか血みどろな内容ではあるが、上記の通り読み味は非常に軽く、サクッと戦争っぽい冒険小説を楽しみたいというときにはうってつけな本だった。
とにかく死にまくるけど(笑)

20220420(mixi日記より)
20220422


火星の合成人間
E・R・バローズ著/厚木淳訳

 を読んだ。昨日(2022.4.23)ゲームマーケットに行くための新幹線で。

 デジャー・ソリスが飛行艇の事故で背骨を折る大怪我を負い、意識不明の重体に。
ヘリウムの医師たちはさじを投げ、カーターはヘリウムきっての天才医学者であるラス・サヴァスを探し出すことに。
ところがラス・サヴァスは行方不明となっており、まずは彼の足跡をたどるため、ヴァド・ヴァロのいるデュホールに向かう。
ラス・サラヴァスの弟子であるヴァド・ヴァロであれば手がかりを知っている可能性がある。
ところが飛行艇の自動航法装置に問題があり、気づいた時には航路を大きくずれていた。
カーターと1人だけ同行を許されたヴォル・ダーは最初の目的地をファンダルに変更し、パンサンになりすまして街に入るために飛行艇をかくして徒歩で進んでいるところを、奇妙な怪物に乗った奇怪な人間もどきの集団に襲われる。
彼らは首を切り落とされてさえ死なず、最後は空から網を落とされて2人は捕まってしまう。
彼らが連れてこられた都市には予想していなかった人物が・・・。

 バロウズの魅力の1つはクリーチャーが刹那的&能天気&ほがらかな性格(笑)なところで、本作のメインクリーチャー「ホーマッド」はラス・サラヴァスによって決して死なない細胞を操作して生み出されたホムンクルスみたいな奴らで、その姿は人間の形を適当に崩したような感じで、最も気色悪く感じるものなのだが、上記の通り彼らが能天気なのでなんだか全体的に愉快な雰囲気に(笑)
そして勿論仲間になる(笑)
ラス・サラヴァスが出てくるということは彼お得意の脳移植が活用されるわけだが、本作の主人公ヴォル・ダーは一目惚れした女のために思い切った決断を下し、奇妙な冒険を繰り広げる。
このストーリーテリングの冴えもバロウズの特徴の1つで、ほんとに展開が読めないが、主人公は一途な性格というバランス感覚でハラハラさせられる冒険譚に仕上げているのは流石。
前作がもう1つだったので少々心配だったのだが、それを吹き飛ばす快作だった♪

20220424(mixi日記より)
20220425


わたしはロボット
アイザック・アシモフ著/伊藤哲訳

 USロボット・アンド・機械人間社のロボット心理学者だったスーザン・カルヴィン博士が、インタビュアーに思い出話を話して聞かせる。

ロビー
 グロリアは子守ロボットのロビーが大好きだった。
しかし彼女の母親はグロリアが機械に夢中なのをよく思わず、夫を説得し続け、とうとうロビーを追い出すことに成功する。
ところが彼女の予想に反してグロリアはロビーのことを忘れたりはしなかった・・・。

 ほろりとさせられる好編。

堂々めぐり
 グレゴリー・パウエルとマイク・ドノヴァンは、最新型のロボットのテストのために水星基地にいた。
ところがセレニウムを取りに行ったロボット「スピーディー」が戻ってこない。
セレニウムが無いと光電池が破損してしまい、基地内の環境制御が動かなくなり、2人は干物になる。
なんとかスピーディーの居場所を突き止め、旧型ロボットに乗って行ってみると、スピーディーはセレニウムの貯蔵所のまわりをぐるぐると回り続けていた・・・。

 この話より本格的に「ロボット三原則」が絡んでくる。
面白いが、よく考えてみるとこのループは非常に簡単に発生するので、こんな状況になるまで発見されないというのは考えにくい。
それはさておきスピーディーもいい感じだが、この話ではむしろ旧型ロボットの方が面白く描かれていると思う。

理性
 宇宙ステーションの管理用ロボットのテストにやってきたパウエルとドノヴァン。
彼らが組み立てたロボットQT1号はこれまでにない高度の知性を備えていたが、宇宙ステーションという環境しか知らない彼は、2人の人間が彼を組み立てたとは信じず、やがてステーションのエネルギー変換機を創造主だと言い出し・・・。

 これまた面白いが、なぜキューティーがロボット三原則の第2原則を無視できたのかわからない。

あの兎をつかまえろ
 今度は小惑星で鉱石採掘ロボットのテストを行う2人。
ロボットDV5号、通称デイヴはサブロボット6台を操る監督ロボットだったが、なぜか2人が見ている間はちゃんと仕事をするのに、見ていないと全然鉱石を発掘せず、その間の記憶を失うということが頻発した。
原因を探るため遠隔カメラでその様子を監視するが、全然原因がつかめない。
なんらかの緊急事態が起きるのがそのきっかけらしいということでロボットの近くで爆発を起こそうとするが・・・。

 ちょっと落ちがしっくりこなかった。
人間が見ていると異常動作に陥らないということは第2原則が生きているわけだが、そのへんの説明は見当たらなかったし。

嘘つき!
 偶然できてしまった読心ロボットRB34号。
スーザンは彼と話をする内、彼女が想いを寄せていた年下の男性も彼女のことを愛しているとRB34号に聞かされ、有頂天になる。
またロボット工場の副所長のピーター・ボガートは、現所長ラニング博士がすでに退職しており、現在の状況が完了次第ボガートにその座を譲る気だと聞いてこれまた有頂天になる。
しかし・・・。

 非常に面白い。
アシモフはこういう奇妙な現象が、大本をたどれば起こるべくして起こった通常の流れにすぎないという理屈をトリックに使うのがうまい。

迷子の小さなロボット
 ハイパー基地から1台のロボットが逃げ出した。逃走先はわかっていたが、そこには同じNS2号ロボットが62台もいて、どれがどれだかわからない。
しかし逃走ロボットは早急に発見する必要があった。なぜなら彼はロボット三原則の第1原則の一部を解除されていたのだ・・・。

 ウルトラマンのスカイドンの回みたいに、チャレンジしては失敗し、調整して再チャレンジしてまた失敗を繰り返す実験が面白い。
でも途中で思いついたのだが、「ガンマ線が50%の確率で発生する」と言えばよかったのでは・・・。

逃避!
 今や超原子力駆動の研究が最先端の研究であり、それが成し遂げられれば人類は他の恒星系まで旅立つことが可能になるはずだった。
ある日USロボット社にライバル会社であるコンソリデーテド社からある提案がなされた。
それは超原子力駆動のあらゆる研究データを渡すので、それに解が無いか、あるかを証明すれば莫大な報酬を渡すというものだった。
先日コンソリデーテド社の最高の電子計算機シンカーが破壊されたということを知っていたUSロボット社の面々は、データには第1原則に関わるジレンマが含まれていると確信する。
シンカーはそのジレンマによって破壊されたのだ。
しかしUSロボット社の「ブレーン」には特許である感情回路によるパーソナリティが備わっている分柔軟性があり、ジレンマに遭遇しても直ちに破壊されることはない。
挑戦を受けることにしてブレーンに少しずつデータを与えてみると、なんと超光速宇宙船が完成した。
しかしブレーンの様子がおかしい。
そして宇宙船のテストには、例の2人が召喚され・・・。

 死後の世界の描写が(笑)

証拠
 政治家フランシス・クインから次の市長選挙の彼のライバルであるスティーブン・バイアーリーはロボットだと聞かされたUSロボット社の名誉研究所長であるアルフレッド・ラニングは面食らった。
USロボット社では勿論バイアーリーを作っていないし、そんなことはあり得ないと思ったのだ。
スーザン・カルヴィンは冷静な目でバイアーリー氏を観察し・・・。

 なかなか趣のある話。

避けられた抗争
 世界は膨大なデータを処理して最適の選択を下す「マシーン」によって、平和で幸福な時代を迎えていた。
それらを管理するコーディネーターとなっていたスティーブン・バイアーリーは、最近マシーンの判断にミスが連続していることを心配し、年老いたスーザン・カルヴィンに相談していた。
データの入力、マシーンの判断に間違いが起こり得ないとすれば、人間がマシーンの判断通りにしないのが原因だと考え、それがマシーンによる統治をよしとしない「人間性協会」によるもので、彼らを粛清するしかないと言うバイアーリーだったが・・・。

 完全なデータ入力というのは無理がありすぎる。
しかし非常に面白いストーリーで、これにも上記の「起こるべくして起こる」トリックが使われている。
それにしてもアシモに毛が生えたようなロビーから、人類を完全統治するマシーンまで、よくもまあ大幅な進歩を1冊の本の中に封じ込めたものである。

 読了したのはこれで多分4〜5回目くらい?
何度読んでも面白い(笑)
ただし流石に中学生の頃に読んだのと今では少々感想は異なってきた。
まずは年代記としての面白さは、昔はあまり感じなかった。
そしてアシモフの言う「ロボット」は要するに人工知能のことを指しているというのも昔はあまり考えなかったが、今となるとなぜそういう解釈になったのかは少々不思議に感じる。
問題としては最近気づいた「ロボットは人間をどうやって人間と認めているのか」というもので、これには一切触れられておらず、「究極のSF」に収録された「心にかけられたる者」で初めて遠回しに触れられるのだが、本書を書いていたときのアシモフはその点を考えていたのだろうか?
なにしろロボット三原則はこれができる前提でないと成立しようがないので、わかっていたけど無視していた可能性が高い。
それにしてもどうやったら見分けられるんだ(笑)?

20220426(mixi日記より)
20220427


ローダンシリーズ13
超ミュータント出現!
松谷健二訳

オーヴァヘッド
クルト・マール著
 第3勢力の首都であるテラニアの工場で爆発が発生。続いて3隻の新鋭駆逐艦が何者かに奪取されて飛び立った。
ローダンはこれが敵性ミュータントの仕業だと推測し、まずは通常人だけの顔ぶれで調査を開始した。
一方ニューヨークでは、GCCの代表であるホーマー・G・アダムスが奇妙な若者と知り合っていた・・・。

 アルコン戦艦が出てきたとき以来のローダンにまともに対抗できる強敵が登場し、バビル二世みたいな超能力バトルが繰り広げられるとあっては盛り上がるに決まっている。
そして気になるトーラたんの軟化状況(笑)

超ミュータント出現!
クラーク・ダールトン著
 訓練中の宇宙アカデミーの駆逐艦が所属不明の同型駆逐艦と遭遇し、攻撃される。
しかし候補生ジュリアン・ティフラーの見事な判断で返り討ちに成功。
それはテラニアから盗まれた3隻の内の1隻で、操縦していたのはミュータントだった。
しかし操縦者は尋問が始まるやオーヴァヘッドの指示で死んでしまう。
さらにテラニアでは守備隊が反乱を起こし、これもオーヴァヘッドによるものだった。
ローダンはなんとかオーヴァヘッドの正体を探ろうとするも、なかなか尻尾を掴ませない。しかし意外なところで敵の正体を知っている者と邂逅することに・・・。

 アメリカの農村地帯にあるヨミオーヴァヘッドの本拠地にロデムロボット兵、ロプロス駆逐艦隊、更にはポセイドンスターダスト2まで駆り出して殴り込みをかけるローダン艦隊。
燃える(笑)
ローダンは強力な敵がいた方が盛り上がるのだとよくわかった。
 ところで今回のタイトルは前の話が「超ミュータント出現!」、あとの方が「オーヴァヘッド」の方が絶対しっくりくる。
なんでこうなったのやら。

20220428(mixi日記より)
20220430


日本細末端真実紀行
椎名誠著

 あやしい探検隊シリーズとは違い、主に著者が1人ないし少人数で旅した様子を描いたエッセイ。

美女同伴逆上キリキリ温泉旅
 長野県の上田で怪あやしい探検隊のグループ講演という怪しい企画が実施され、そのついでに美女をたくさんはべらせて宴会をしようということになるが、田舎の旅館は遅くまで対応するのが嫌でさっさと終わらせようとするという話。

神戸異人館をわっせわっせと駆けめぐる
 売れない版画家関口大作氏と著者がタイトル通りのことをする。
化夢宇留仁も行った時に同じことを感じた(笑)

札幌のキャバレーで突発的な愛をみた
 沢野ひとし氏とタイトル通りの店に行くのだが、2人共そういうのが苦手で先に何軒かの店で酒を入れる。
沢野氏は気に入るが、椎名は手持ち無沙汰に。

あてもなく北に湯煙りまどろみ旅
 東北の温泉に1人で向かう椎名。
サンマの寿司を初めて食べたが最高だったと書いてある。まだ当時は一般的ではなかったようだ。

倉敷は今日もウスラバカだった
 倉敷への1人旅。
化夢宇留仁も前に行ったのだが、全く同じ感想。
ホテルまで同じだったのには笑ってしまった。

八丈島ヤキニク酒宴の夜は更けて
 八丈島に綺麗どころも引き連れて20人の大所帯で向かうが、飛行機のチケットがなかなか取れずに3グループに分かれて旅立つ。
砂浜で最高の宴会をするも、帰りのチケットは行きよりも取りにくく、船だと10時間。船が嫌だった3人は3日目に帰れたそうな(汗)

飛騨高山随筆紀行ブンガク旅
 1人旅を随筆紀行文学風に。
人生を勝手に創作された青山さなえ(名前も仮名/笑)が面白い。

日本列島ばか食いジグザグ三人旅
 本が出たのでその売り込みに、東京、京都、札幌で講演&宴会を。
東京ではウイスキーとラーメン。
京都ではニシンソバと梁山泊でうまい魚。
札幌ではビール園に行った後、憩でいくら弁当。その後ナイトクラブに行くも落ち着かない。
 京都のカワハギの刺身がうまそう。

瀬戸内ぶらぶらヒルネ旅
 岡山から瀬戸内海へ向けての赤穂線で食べた備前米弁当というのがうまそう。
瀬戸内海の小島に化夢宇留仁も行きたい。

渋谷スペイン通りはハズカシ通り
 タイトル通り。
椎名はこういう観光のための観光地の悪口をまともに書くので気持ちがいい(笑)

団体大宴会潜伏大作戦
 全国書店協会の伊豆への研修旅行の大宴会に紛れ込む。
その後タクシーで観光名所を巡るが、もちろん盛り上がりようがない。

陸前江の島は夏の演歌のかえり船
 沢野副隊長とともに江の島へ。
新鮮なホヤがうまそう。化夢宇留仁も食べてみたい。
しかし蚊が大発生しており、大変なことに。化夢宇留仁は体験したくない。

雨降りだから高層ビルに登った
 池袋サンシャインシティをうろつく。
展望台、プラネタリウム、水族館。そしてミスコン。
思った以上にいろいろあって長時間すごせそうだった。

八丈島フシギホテル物語
 原稿を書くために島のホテルに缶詰に。しかしそのホテルが超高級ホテルで、設備にびっくりするも、夕食は厳しい状況に。
オフシーズンの広大なホテルのレストランで客は自分と見知らぬ女性1人というのは確かに気まずい(笑)

幕張へ人工海岸をみにゆく
 椎名が小学校から高校の頃に住んでいた幕張の海の、当時の様子と現代(執筆当時)の様子。
昔の砂浜のアサリ取り放題ハマグリ(7〜8cm級)ひろい放題が楽しそうすぎる。
作中ではいくらでもとれるアサリは無視していたそうだが、アサリだけでもいいので近くにこんな浜がほしい。
ちうか化夢宇留仁は潮干狩りが大好きだ(笑)

網走は今日もさむかった
 タイトル通り(笑)

千葉のダム湖で焚火の宴
 ダム湖の中にある小島のてっぺんに住んでいるカヌー野郎のところで焚火料理をごちそうになる。
これが何でもアルミホイルで包んで放り込むというものだが、中には牛肉やラムの塊なんかもあって実にうまそう。

 ちうわけで超行き当たりばったりなエッセイに超行き当たりばったりなあらすじ(?)ちうか感想(?)みたいなものを書いてみたが、自分でもなにをしているのかよくわからなかった(笑)

20220430(mixi日記より)
20220501


ストレンジャー・シングス 未知の世界
シーズン2 第7〜9話

第7話 姉妹の契り The Lost Sister
 母親からのメッセージの中で見た少女を探してシカゴに向かうエル。
果たして人に幻を見せる能力を持つ「姉」カリと出会い、意気投合する。
カリは彼女たちを苦しませた関係者を追跡して始末していた・・・。

 

第8話 マインド・フレイヤー The Mind Flayer
 研究所の地下からは次々と「デモドッグ」が這い上がり、所員たちを惨殺していた。
ウィルが「マインド・スレイヤー」のスパイとなっていると知った一行は彼を麻酔薬で眠らせる。
脱出するためには地下3階のブレーカーを戻し、更にベーシック言語で管理されているコンピューターを再起動して操作しなければならず、それができるのはボブだけだった・・・。

 

第9話 ゲート The Gate
 ウィルのメッセージに従い、エルとホッパーはゲートを閉じるために研究所へ。
ジョナサン、ナンシー、ジョイスはウィルの体を熱してマインド・スレイヤーを追い払う。
スティーブはマイク、ダスティン、ルーカス、マックスを守っていたが、そこにマックスを探してビリーが現れ、乱闘に・・・。

 
 これでシーズン2完結。
この3話は非常に盛り上がって実に面白かった。
「姉」との邂逅もあとあとに絡んできそうだし、裏がありそうだったボブや所長の意外な顛末とか、西部劇のヒーローみたいなエルの登場シーンに、とうとう再会するエルとマイクとか。
しかしなによりよかったのはスティーブ(笑)
へなちょこながら実はいいところは全て彼が持っていっているような気がする。
シーズン1のあの登場からまさかこんなに重要キャラになろうとは想像もしなかった。
スティーブ最高(笑)

20220501(mixi日記より)
20220502


東京残酷警察
西村喜廣監督

 近未来の東京では「エンジニア」と呼ばれるミュータントによる無差別殺人事件が多発していた。
通称、東京残酷警察と呼ばれる民営化された警察組織のルカは最強の抜刀術を駆使し、エンジニア狩りに乗り出す。
事件の背後には「キーマン」と呼ばれる存在が・・・。

 アメリカ資本で作られた和製スプラッター。
とりあえず血しぶきの量では世界一かもしれない(汗)
エログロ度もただ事ではなく、初心者(笑)にはお勧めできない内容。
脚本はまあまあ。和製のこの手の映画の中ではマシな方。
化夢宇留仁的には見所が多くてそこそこ楽しめた。

20101010(mixi日記より)
20220503


あやしい探検隊 北へ
椎名誠著

 あやしい探検隊シリーズ2作目にして書き下ろし大作(?)。
ところでこのシリーズは「怪しい探検隊」なのか「あやしい探検隊」なのか、はっきりしない。
そのへんも怪しい(汗)
 極寒の粟島でのドキュメンタリー撮影。その後の天候不良とゼネストによる数日に渡る帰宅遅延(笑)、再び赴いた粟島での乱闘騒ぎ、雑誌ビーパル提供のでっかいフライパン料理、2代目炊事班長長谷川による火炎放射、三度の粟島での焚火音頭、そして嵐。
八丈島での大宴会、深夜の天然温泉への酔っぱらい運転、スキューバでの溺死未遂・・・のあと、方針撤回して椎名が南シナ海のエルニド諸島へ。南の島とダイビングに惚れ込んでしまい、次はセブ島へ。そして更にパラオに行き、その日本文化が染み込んだ奇妙な世界を堪能し、サワラやシャコ貝などを捕獲して食いまくり。
冬が来て正気に戻った椎名は隊を引き連れ車でなんとなく北へ向かい、海が見えたらそこにテントを張るといういきあたりばったりな計画を発動。道中トランシーバーで遊びまくりつつ、福島の海に到着し、現地の婆さんと犬2匹に見守られながらちゃんこ鍋とうどんを食う。
・・・と言った内容である。
落ちもクソもない(笑)
 今回印象的だったのは、新炊事班長の頼もしさと、やはりそれまで南の島なんてチャラチャラしたところは行かないと言っていた椎名が行ったら結局魅せられてしまった展開あたりか。
どっちにしてもどうでもいいのは確かだが(笑)
こういうどうでもいい本はそんなに集中しなくてもどうでもいい感じに読めるので気楽でいい(笑)

20220503(mixi日記より)
20220504


ロボット物語
スタニスワフ・レム著/深見弾訳

 アシモフのロボット物を読んだらこれを読むようにと言うポール・ブリッツさんのお達しに従って読んだ(笑)。2022年5月3日。実家にて。

三人の電騎士
 宇宙創造士が氷晶人を創り出し、氷晶人は極低温の氷晶星を作った。
氷晶星の美しさは宇宙に轟き、その宝を強奪せんとする電騎士真鍮氏、電騎士鉄氏、電騎士石英氏を呼び寄せた。
極低温の世界で激しい戦いが繰り広げられたが・・・。

 落ちが冷静すぎる(笑)
それは言わないお約束だったんじゃないのか(笑)

ウラニウムの耳当
 宇宙創造士が星々に明かりを点じ、その後の監視を弟子に命じて出かけていった。
弟子は2000年待ったがなんの変化もなく、しびれを切らして星をいじくりまわし、燃え尽きさせてしまい、師匠に怒られるのを恐れて逃亡。
戻ってきた宇宙創造士は残った材料で星を作り直し、その1つであるアクチヌリア星には白金人の大王国が興り、支配者摩天王が圧政を敷いていた。
若き発明家炎火は摩天王の支配を覆すために暗号を使って仲間と連絡を取るが、ミスによって投獄される。
そこに戻ってきた宇宙創造士は・・・。

 「血のめぐりの悪い連中」の件とか、変に現実的なところもあったりして、スケールが大きいのか小さいのかよくわからないところが面白い。

自雷也エルグが青瓢箪を打ち負かす話
 コレクターであるボリダル大王は究極的に珍しい生物ホモス・ヒトを手に入れるが、それは王の娘を騙して彼女の知性を捲く鍵を奪って逃走する。
翌朝娘が目を覚まさないので異変に気づいた王は嘆き悲しみ、ホモス・ヒトを探し出して娘の鍵を取り戻した者に娘を后として娶らせ、王位を譲ると宣言。
それに応えて世界中から英雄豪傑が集結。
彼らはホモス・ヒトを探す旅に出るが・・・。

 英雄豪傑たちの失敗しまくる探索の旅がどれもこれも面白い。

ビスカラル王の財宝
 財宝自慢の王の前に宇宙創造士が現れ、財宝の目録を見せてもらえばただちに宝物殿にない宝石をお目にかけましょうと言う。
目録を見た彼は王に生きている宝石を披露するが、それが土塊に戻ったのを見て王は激怒し、宇宙創造士に3つの試練を切り抜けなければ死刑にすると宣言する。
その試練は宇宙創造士をもってしても困難なものだったが・・・。

 最後の試練がターミネーターの世界っぽくなって、それまでの試練と趣が違いすぎて面白い。

二匹の妖怪
 銀人の都エテルナを中心としたエネルグ王朝は惑星を覆う磁気渦流と重力濠に守られて繁栄していたが、代々王が受け継ぐ銀の笏には「妖怪が不滅なれば、即ちそれは存在しないか、もしくは二匹存在することなり、為す術なかりせば、これを打ち砕くべし」と刻まれていた。
果たしてそこに強大な妖怪が現れ・・・。

 3体の対妖怪用ロボットと妖怪との戦いが見どころで面白いが、オチが・・・(汗)
その忠告いる(笑)?

白い死
 惑星を覆う体節王に護られているアラゲナだったが、地表に人間のものと思われる宇宙船の残骸を発見し・・・。

 「二匹の妖怪」でもそうだったが、この世界の「人間」が恐ろしすぎる。
執筆当時、レムはこの「人間」をどんな思いで創り出したのだろうか・・・。

星雲が逃げだすにいたったいきさつ
 2人の宇宙創造士の知性ロボット対決がやがて・・・。

 超巨大ロボットと超微小ロボットの対決の様子が面白い。

電竜と闘った電算機の話
 サイベラの君主ポレアンデル・パルトボンは国中を思考機械だらけにし、それ以上に軍備に力を入れていたが敵がいないので仕方なく敵も作って戦争に明け暮れていた。
ある時月に電算機を送ってそこに敵の軍事基地を作れば面白いと思いついて実行するが、月の電算機は「電子飛翔をやれ」という命令を「電子飛龍を作れ」と聞き間違い、かくして月に最強の電竜が生み出され・・・。

 電算機からとにかく電竜が増えるアイデアばかり出てくるのが面白く、そうじゃないいけてそうなアイデアは言いかけたところで故障するとかほとんどコント(笑)

治水帝の御意見番
 水中に活路を見出した珍しい星界種族アルゴナウチス人の王は側近に跡継ぎを創造するように命を出すが、側近たちはお互いに跡継ぎを自分の思い通りにコントロールして実権を握ることしか考えていなかった。
結局協合して跡継ぎが小さいものを愛するようにプログラムし、側近の1人であるプログラミストのジオプトリクは、他の者に比べて身体が大きかったので、鋳掛屋のフロトンに身体を小さくする改造を命じるが・・・。

 ドタバタ(笑)

自動馬太(オートマタイ)の盟友
 危険な旅に出かけるロボット、オートマタイは、発明家から旅の道連れとなるエレクトロフレンドを購入し、耳に詰めて旅立つ。
エレクトロフレンドは発明家の言う通りいつも励ましてくれたり意見を言ったりして力になってくれたが、オートマタイの乗った船が沈没してしまい、なんとか孤島に辿り着くも、脱出の手段が無くなり・・・。

 いつも冷静な友達というのも考えものという話(笑)

乾坤王と賢者たち
 退屈していたエパリダの乾坤王は、彼を楽しませられなかった道化師たちを全員処刑し、次は有徳の聞こえ高い3人の賢者を呼び出した。
賢者たちはなんとか王を満足させようと話を聞かせるが・・・。

 宇宙は落書き。
そうかもしれない(笑)

殲滅王物語
 臆病な殲滅王は恐れていた未来の予言を見てしまい不安の塊と化し、血の繋がりのあるものは全て処刑し、更に国と自分を同化させることで全てを見ることができるようになって一安心するが、悪夢に悩まされ始め・・・。

 この一言を執拗に書き出している。
疑心暗鬼はキリがない(笑)。

 全編予想よりも御伽噺感が強い上に描写が想像できる範囲を超えまくっており、アメリカの執念で作った昔のアニメ映画みたいな画面で観てみたいと思った。
またやたらと変な漢字が出てくるのだが、これはポーランド語の単語合成で作られた名詞を英語で並べるわけにもいかず、苦労の末に生み出されたのだろうと想像でき、趣があっていい。
ちうかこの世界の住人はロボットと言えるのか???
少なくともアシモフと比べる内容ではないと思った(笑)

20220504(mixi日記より)
20220504


涼宮ハルヒの動揺
谷川流著

を読んだ。2022年5月3日。実家にて。

ライブアライブ
 文化祭の日、朝比奈ミクルのいる焼きそば喫茶を堪能した後、なんとなく軽音楽部と一般参加のバンド演奏大会に来てみたキョンは、ステージにバニー姿のハルヒと魔法使い姿でギターを持った長門が現れたのを目撃し・・・。

 長門のギターがすごそうなのが目に浮かぶ(笑)
来年はバンド編もあるのだろうか。

朝比奈ミクルの冒険 Episode00
 第2作「涼宮ハルヒの溜息」で制作された映画の内容。
予想通り酷い(笑)

ヒトメボレLOVER
 キョンの家に中学の同級生から電話が入る。それは長門に一目惚れしたので結婚できるまで10年待ってほしいというメッセージを彼女に伝えてほしいという無茶苦茶なものだったが、一応メモして長門に見せると・・・。

 なかなか興味深い展開。
最後のセリフが綾波っぽい(笑)

猫はどこに行った?
 謎の空間に入り込んでしまって大変なことになった翌日の大晦日に、実はちゃんと行われていた推理ゲームの顛末(笑)

 問題編を冊子にすればという意見が出ていたが、そうではないと思う。
ちうか死体役の人はちゃんと死体役に徹するとか、演出をちゃんとしないと(笑)
トリックについてはなんとなく予想できた。

朝比奈ミクルの憂鬱
 朝比奈ミクルに呼び出されたキョンは幸せだったが、ミクルの様子がおかしい。
さてはまた未来からの任務かと構えるキョンだったが・・・。

 ちうかあれじゃあ話しているのと同じでは(笑)?
そしてオチがそれっぽい(笑)

 幕間劇と番外編のみという感じの構成。
こういう本が出せるのは著者にとって非常に贅沢かつ、読む方にとってもなんだか嬉しいという、なんだか羨ましく感じる1冊だった。

20220504(mixi日記より)
20220506


銀河辺境シリーズ13
惑星総督グライムズ
A・バートラム・チャンドラー著/野田昌宏訳

 私掠船行為が観察宇宙軍の任務だと公には出来ないので、船長資格を停止されたグライムズに、ダミヤン少将から持ちかけられた任務はリベリアという惑星の総督だった。
リベリアは近隣の惑星で住めなくなった人たちを暖かく迎え入れている移民の星ということになっていたが、実際は彼らを奴隷として労働力にしているのだ。
グライムズの任務はその実情を探り出して公にすることだった・・・。

 今回のグライムズは、侍女にチヤホヤしてもらい、色々なところに視察に行ってチヤホヤしてもらい、飛行船旅行を楽しみ、侍女とイチャイチャしていたら任務を完遂していたといういつものパターン(笑)
いやいつもに輪をかけて今回はほんとに全然なんにもしてないな(笑)
こういうところがこのシリーズのいいところである(笑)
他では得難い内容なのは間違いない(笑)
 全然関係ないが、このシリーズで最も古くから所有していたのが本書で、多分中学生くらいの頃に購入していたと思うのだが、今回初めて読んだ。
まさかこんな内容だとは夢にも思っていなかった(笑)

20220506(mixi日記より)
20220508


神野推理氏の華麗な冒険
小林信彦著

 テレビのコント作家であり、名探偵でもある神野推理氏の活躍を描いた連作短編集。
一言で言えばミステリパロディコメディ。

ハムレットには早過ぎる
 第2次大戦中にホタルイカ漁で財を成した神野家。
1人息子の推理がタイマイの秘密を解いたことで、母親のトメは息子を探偵にすることを決意し、息子にバイオリンを買い与える。
そんな神野のところに、だれかが自分を殺そうとしていると訴える青年がやって来る・・・。

 冒頭のタイマイのトリックが素晴らしすぎる(笑)
で、本編の方は・・・掟破りすぎる(笑)
凶器(笑)

さらば愛しきヒモよ
 マンションの工事現場でやくざ者が殺されていた。
被害者の言うなりにされていた赤松かな子に動機があったが、彼女にはアリバイがあり・・・。

 ものすごくしょうもない話(笑)
推理の母親トメのキャラクターは面白い。

コザのいざこざ
 沖縄で音楽祭に参加していた歌手の山西エミが刺殺体で発見された。
しかし関係者には皆アリバイがあり・・・。

 事件そのものに介入しまくる神野推理(汗)

<降りられんと急行>の殺人
 鬼面警部に招待され、銚子に向かう特急に乗り込んだ一行。
ところが途中で乗客の1人が絞殺されているのが発見され・・・。

 昔の列車の垂れ流しトイレが恐ろしい(汗)

災厄の島
 人気絶頂のナンシー・ウォンのグラビア撮影のためにグアム島に来ていた一行だったが、広告代理店の社員1人の溺死体が発見されて騒然となる。
自殺と思われたが・・・。

 やはり電話が絡むと古臭い感じが強いが、そういうところは好き(笑)

粗忽な<恍惚>
 映画評論家志望でタレントの篠崎れい子が青酸カリの入った水を飲んで死んだ。
彼女のハンドバッグには遺書もあり、警察は自殺と断定したが、神野推理の意見は異なっていた・・・。

 翻訳していておかしいと気づくと思う(笑)
ところで200字詰め原稿用紙は学生の頃に映画のシナリオ用に使った覚えがあるが、今もまだあるのだろうか?

抗争の死角
 大阪にやってきた推理と「わたし」こと星川夏彦は、東西のヤクザの抗争に巻き込まれることに。
関西の吉川組の組長が、2人が見ているモニターの中で射殺されたのだ・・・。

 色々と無理があるのはいいとして(笑)、暴力団の存在感も今とは全然違うのが感慨深い。

幻影の城で
 今や斜陽となった名門TV局RTVで女優花田京子を待っていた2人だったが、彼女は多量の睡眠薬を飲んで死んでしまった。
どう考えても自殺としか思えなかったが・・・。

 それは禁じ手(笑)
盗聴者にも影響するのは面白い。

殺意の片道切符
 箱根の名門ホテルで作曲家が殺された。
神野が見事な推理で事件のあらましを語るが、彼に先んじた者が・・・。

 ロッキード事件のすぐあとで書かれているのである。
僅かだが当時の空気が感じられるのが興味深い。

はなれわざ
 歌手の杉田久美がカフェインの入ったコーラを飲んで死にかけた。
自殺未遂にしては奇妙な点が多く、殺人未遂としてもその方法がわからない・・・。

 神野に事件解決のヒントを与えたのがペタンクというゲームだが、聞いた覚えがなかった。
調べてみたら今でもまだ存在しているらしい。

超B級の事件
 小説家の丸尾昌彦が、私は殺されると鬼面警部に相談していた。
しかし警部は忙しく、対応は旦那刑事に任され、旦那刑事はいつものように神野を呼んだのだった・・・。

 なんかすごいゲストが3人も出てくるが、どれも古すぎてもはやよくわからない(笑)

神野推理最後の事件
 香港に静養に来ていた神野だったが、そこには犯罪界のナポレオンと呼ばれる男が・・・。

 もちろんホームズのパロディなのだが、犯罪界のナポレオンがやることがドイルというよりも江戸川乱歩っぽい(汗)

 ちうわけで非常に軽い1冊だった。
ただし当時の時事ネタ満載なので、今若い人が呼んでもほとんど意味不明かも(笑)
全体としては残念ながらイマイチだった。
最初のタイマイのトリックが一番おもしろかった(笑)

20220508(mixi日記より)
20220510


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