コナン・シリーズ1
コナンと髑髏の都
ロバート・E・ハワード著/宇野利泰訳

 ハワードのコナンシリーズ第1巻。
元々の発表順とは違い、作中の時間の流れ通りに並べ替えたもの。

洞窟の怪異
 ヴァニール人とヒューペルボリア人との戦争に参加していた16歳のコナンだったが、敗戦の末捕虜に。
なんとか脱走に成功したものの、荒野を逃走する彼の後を狼の群が。
洞窟に逃げ込んだコナンは、そこで太古の王の剣を手に入れるが、王のミイラに襲われる。

 剣を手に入れた時の喜びようがいかにも野蛮人で面白い。
映画版でも同様のシーンがあったなあ。

象の塔
 「盗賊の町」として名高いザモラ王国のアレンジャンにたどり着いたコナンは、盗賊達が恐れて近寄ろうとしない奇妙な塔に潜入を試みる。

 RPGっぽい。ちうか逆(笑)。
コナンの行き当りばったりの行動が楽しい。

死の広間
 ザモラ王国の首都シャディザール近郊の古代の廃墟へ向かうコナン。
そこには噂に聞くラルシャの秘宝が眠っているという。

 追いかけてきた兵士達の隊長と協力して財宝奪取という件がわくわくする。
その後の2人の顛末も面白い。

石棺のなかの神
 ヌマリアの博物館で、その所有者プブリコの死体が夜警によって発見された。
しかもその直後、盗人と思われる大男が姿を見せる。コナンである。
憲兵隊が到着し、犯人探しが進む中、更なる怪異が一行を襲う。

 いきなりミステリー(笑)
実に面白いが、ラストのオチが挿絵で先に提示されてしまうのは実に惜しい。

館のうちの凶漢たち
 コリンティアの王宮もて、赤い神官ナボニドウスがムリロ公子に渡した物は、裏切り者の切り落とされた耳だった。
身の危険を感じた公子は、機先を制してナボニドウスを暗殺する決意を固め、収監されている野蛮人コナンを雇い入れる。
しかしコナンの脱走が失敗したという情報を聞き、公子自らナボニドウスの神殿へ向かう。
一方コナンも自力で脱出し、約束を果たすために神殿に向かった・・・。

 これまたRPGっぽい展開。
公子の変化する展開に対する心労が面白い(笑)。
またナボニドウスの神殿での罠と怪物との戦いも盛り上がる。

ネルガルの手
 戦場でコナンの参加していた部隊は怪異に襲われ、全滅する。
なんとか生き延びたコナンは年若い女性が倒れているのを発見する。
少女ヒルディコは、預言者の命によってキンメリアのコナンという野蛮人を捜しに来たのだと言う。
少女に連れられてたどり着いたのは、敵軍である城都ヤラレトだった。
ヤラレトの太守ムンタセム汗は、ある時から人格が豹変し、妖術を操るようになったのだと言う・・・。

 ちょうど1本の映画に収まりそうな内容。
情景や展開も変化があって面白い。

髑髏の都
 トゥラン国の王女の一行が、奇妙な小人の集団に襲われる。
生き残ったのは護衛についていたコナンと黒人の戦士ユマ、それに王女だけだった。
小人達に連れられて髑髏の都にたどり着く一行だが、コナンとユマは奴隷としてガレー船に売り飛ばされてしまう。
ガレー船での苦難の旅の終わり、とうとう脱走に成功したコナンとユマは、王女の救出に向かう。

 これまた1本の映画としていい感じにまとまりそうな作品。
挿絵の裸の王女が色っぽくて嬉しい(笑)

 ヒロイックファンタジーの古典だが、存外に面白かった。
まさに正統派という内容で、どの話も冒険に満ちていて、次はどうなるのかとページをめくるのがもどかしくなる。
ロバート・E・ハワードといえばクトゥルフ神話関連の作家というイメージだったが、やはりコナンシリーズが問答無用で代表作と言えるだろう。
次巻も読みたいけど、見つかるかな(汗)

※読んだ当時はよく知らなかったのだが、コナンシリーズの出版は色々とややこしいことになっていて、特にこの旧創元版はハワード以外の著者が加筆した作品も混じっているらしい。

20111015(mixi日記より)
20230104


∀ガンダム 3
富野由悠季監督

第9話 コレン、ガンダムと叫ぶ
第10話 墓参り
第11話 ノックス崩壊
第12話 地下回廊

 ムーンレイスと地球人の交渉は、軍の暴走によって決定的な打撃を受け、町は焦土と化す。
一方人違いのお嬢様と地下洞窟に隠れたロランだったが、暴漢コレン・ナンダーに見つかって襲われる。
 相変わらずマイペースな感じで物語が進む。
ナンダーの乗るMSイーゲルとかは、シドミードデザインじゃなさそう。
この世界ではシドミードじゃないMSには違和感がある。

20111015(mixi日記より)
20230106


機動戦士ガンダム 第08MS小隊 Vol.1&2
神田武幸監督(6話のみ飯田馬之介監督)


第1話 二人だけの戦争
第2話 密林のガンダム
第3話 信頼への限界時間(タイムリミット)
第4話 頭上の悪魔
第5話 破られた待機命令
第6話 熱砂戦線

 宇宙世紀0079。先行量産型の陸戦用ガンダムを擁する08小隊に新しい隊長が着任。
しかし彼は見るからに頼りない甘チャンだった。
一方ジオン軍は地球上でミノフスキークラフトを利用した新兵器の開発を進めており、そこに08小隊が・・・。

 昔前半を少し観たのだが、ほとんど記憶無し。
見直してみると、どうもあんまり美味しくない。
そもそも先行量産型ガンダムというのが世界設定をぶち壊しているのも気にくわない。
時期的に見れば、冒頭ジムとボールが出てくるのだけでもおかしい。
 それにアプラサスの飛行システムも納得いかない。
どう見てもミノフスキークラフト(ホワイトベースやサイコガンダム)とは違うし、V2ガンダム時代のミノフスキードライブと同等の技術としたら時代を先取りしすぎ(約70年/汗!?)だし。
なんだか変な衝撃派みたいなので周囲を吹き飛ばしたりもしているし、謎すぎ。
防御力も、至近距離でカノン砲を喰らい、更にビーム砲で蜂の巣になりながらも飛んで逃げるし(汗)。
一応SFなんだから、その辺の設定も整合性を持ってほしい。
あれじゃ怪獣だよ(笑)
 しかしそれよりもなんだか安易な感じの脚本がどーも。
変にメロドラマだったり、利用しやすいゲリラだったり。
唯一自分の力だけで隊を率いていく隊長は、今までの主人公キャラにはなかったもので、その辺はなかなかいい感じ。
しかし次回はまたメロドラマか・・・・・・・・(汗)

20111022(mixi日記より)
20230106


時間触
神林長平著

渇眠
 ウラシマ効果を利用して逃げ続ける犯罪者と、追い続ける刑事。
とうとう捕まった犯罪者だったが、彼らが便乗したヨットが救難信号を受信。
駆けつけてみると、そこには大昔の船が・・・・・

 永久逃亡者と永久刑事のウラシマ効果にまつわるストーリーが展開するのかと思ったら、全く違う異質な存在とのコンタクトになり、更には時間の概念を覆すような流れに。
ちょっと肩すかし感はあるものの、なかなか面白かった。
後半もう少し詳しく書いてくれてもいいような気がするが。

酸性雨
 強い酸性雨の降る未来。
人々は都市部に集まり、グートVIというコンピュータが支配する世界で暮らしていた。
そこで刑事をしている聡は、フクロウ型ロボット、セエーネとともに、グートVIの指示に従って犯罪を追う。

 コンピュータはなんでも知っているが、必要な情報しか与えない。例えば犯罪の発生は知らせるが、犯人は知らせないなど、世界設定が面白く、相棒のロボットの描写もいい感じで、シリーズ物として読んでみたい。
逆に本作のみの感想としては、もう少し物足りないような気も。

兎の夢
 全ての人がパソコンの中に疑似人格を作り、社会生活を営んでいる未来。
慈明はパソコンの中の情報や人格を読みとれる特殊能力者で、自分のそれとは異なる疑似人格を作って社会を欺いている反社会分子を追っていた。
しかし慈明自身が疑似人格と自分の間に乖離を感じ始め・・・・・

 これまた実に面白い世界設定。今ならスマートフォンが疑似人格ということになるだろう。ちうかもう半分そうなっているような気も。
物語は予測のつかない展開を見せ、最後まで楽しめた。
しかしオチはなんだかよく分からなかった(汗)
これもシリーズ物としても読んでみたい。

ここにいるよ
 時間の感覚が他の子と異なる少年。彼は目覚めの時を待っていた。
 遙かな過去、太陽の爆発によって滅んだある惑星には、3種類の知的生命体が住んでいた。
彼らは力を合わせて脱出し、地球を復活の場所に定めた。
やがて目覚める太古の知性・・・・・。

 異種族達の設定が実に面白い。
彼らが目覚めた後、地球はどんな世界になるのか、想像するのも楽しい。

 やっぱり神林長平は海外SFとはひと味違いつつ、シャープで独自のアイデアにあふれていて面白い。
1983〜87年頃に発表された作品だが、全然古びた感じがしないのもすごい。
 最近はあんまり活動して無さそうな感じだけど、長編執筆中かな???

20111023(mixi日記より)
20230107


ポスリーン・ウォー1 大戦前夜
ジョン・リンゴー著/月岡小穂訳

 2001年の地球。なんと異星人の連合政府から、共同で侵略者と戦って欲しいという要望が。
異星人の連合政府は高度な科学力を有していたが、攻撃性に乏しく、敵の凶悪な軍団に圧倒されていたのだ。
地球各国は急遽軍を統合し、異星人連合の科学力を取り入れ、侵略者ポスリーンに立ち向かう。

 とりあえず2000年に発表した作品内で、2001年3月にこんなイベントを発生させる作者の度胸に敬意を表する(笑)
 物語は前半は突然宇宙規模の危機に見舞われた地球の反応と、後半はポスリーンに侵略された連合の植民惑星城での戦闘が描かれる。
主人公はミニゴリラのような容姿だが頭がよく、普段はWebデザイナーとして働いている(笑)元軍人。
 感想としては、ご都合主義的な部分も多々あるが、なかなか盛り上がって楽しかった。
また著者はSF&ファンタジーマニアらしく、スタートレックやD&Dについての記述が出てきたりするのも面白い。
とりあえず味方であるはずの連合の方の胡散臭さが魅力的だし、次巻以降も読んでみたい。

20111030(mixi日記より)
20230108


フルメタル・ジャケット
スタンリー・キューブリック監督

を観た。3回目くらい?
 サウス・カロライナ州パリス・アイランドのアメリカ合衆国海兵隊新兵訓練基地で、8週間の訓練が行われる。
ジョーカーは班長に任命され、足手まといのレナードを必死でフォローするが、レナードのヘマはみんなの迷惑となり・・・。
 訓練が終わり、軍報道員としてベトナムに配属されたジョーカーは、海兵隊基地への襲撃を機に、最前線に駆り出され・・・。

 原作を読んだら映像を観るパターン。
あらためて思ったが、この映画は原作に輪をかけてバランスがメチャクチャである。
なにしろ訓練基地のキャラクターとシチュエーションが印象的すぎて、その後のベトナムのシーンが蛇足にしか見えない(汗)
女スナイパーのシーンはそれなりに盛り上がるのだが、原作ではあれはまだ中継ぎで、その後真のスナイパーの恐ろしさを思い知る展開になるので、原作を読んだあとだとより蛇足に見える(汗)
カウボーイの死に様とかも、原作の方がベトナムの地獄感をよく描けていると思った。
しかし面白くないかと言えば、メチャメチャ面白いんだから困ったものである(笑)
なにしろテンポがよすぎて観始めた途端に終わる。
そして今回化夢宇留仁が一番印象的だったのは途中で出てきた娼婦ねーちゃんが可愛くて色っぽかったことだった(笑)

20230109(mixi日記より)
20230110


機動戦士ガンダム 第08MS小隊 Vol.3&4
飯田馬之介監督


第7話 再会
第8話 軍務と理想
第9話 最前線
第10話 震える山(前編)
第11話 震える山(後編)
ラスト・リゾート

 最終話までと、おまけの「ラスト・リゾート」入り。
前作までなかなかいい感じだった主人公だが、いきなり恋愛沙汰で任務もなにも投げ出してしまい、化夢宇留仁的には幻滅。
またラスト近くのノリスの活躍は見物だったが、いかんせん全体的にテンポが悪すぎてもう1つ盛り上がらない。
最終決戦もどうも脚本家がおかしいのかわざとなのか、全然軍事活動になっていなくて、些末な事情ばかり取り上げ、そのくせ秘密兵器は超強力という、シロウトが考えそうな展開そのまま。
ちうわけで残念な感じだった。
 意外に面白かったのは「ラスト・リゾート」で、こっちはなかなか独創的な脚本で興味深かった。
しかし・・・・・なんにしろそういう人生は、第08MS小隊隊長としては大失敗の落伍者だと思う。
 ラスト近くで愛についての実に明確で分かりやすいセリフには大爆笑してしまった。
そこは大満足(笑)

20111030(mixi日記より)
20230111


銀河辺境シリーズ外伝2
銀河傭兵部隊
A・バートラム・チャンドラー著/関口幸男訳

 退役宇宙軍士官のベンジャミン・トラフォードの妻アイリーンは、先日までこの銀河帝国を統べる女帝だった。
彼らは高度な武装が施された高速宇宙船ワンダラーを所有し、自由貿易商人としての人生をスタートしたところだった。
最初の取引はワンダラーを売却して経済的な貿易船を購入する費用を作るというものだったが、アイリーンは売却先が海賊とつながっていることを知っており、これを拒否。
船の武装を活かして傭兵として活動することに。
彼らの最初の任務は抗生物質を疫病に苦しんでいる植民星に届けるというものだったが、その惑星の領有を狙う鳥型の異星人ハリチェク人が臨検して積荷を奪い取ろうと待ち構えていた・・・。

 この世界の銀河帝国は世襲制ではない女帝が治めていたらしい。
と言っても周りの連中の操り人形みたいなものらしいが。
正直なところあんまりキャラクターに感情移入できなくて盛り上がりに欠ける・・・と思っていたのだが、後半ハリチェク人と敵対する男性優位の社会を作る鳥型異星人コクレルが出てきてからは俄然面白くなった。
なにしろコクレル人の性格が超過激かつ典型的軍人というもので、名誉のため、また仲間のためであれば自分の命などなんとも思わないやつらばかり(笑)
こいつらが「フルメタル・ジャケット」のスナイパーに出会ったら間違いなく全滅する(笑)
また彼らの国歌は彼ら以外にはとにかくイライラさせられる音であり、それを全帯域に流し続けて通信妨害を行うなど、とにかく面白い。
というわけでコクレル人のおかげで楽しく読み終えることができた(笑)
 しかしこの本には大きな不満がある。
それは解説が無いことで、本編の方ではしょうもない解説を載せまくっていたくせに(笑)、こういうグライムズの世界との関係性など、興味深い点が多い作品に限って解説が無いのは怠慢としか言いようがない。
まあ著者も亡くなっているしわからないことが多かったのだとは思うが、それでもなにか書くことはあったんじゃなかろうか。

20230112(mixi日記より)
20230113


∀ガンダム 4
富野由悠季監督

第13話 年上のひと
第14話 別離、再び
第15話 思い出は消えて
第16話 ターンAのすべて

 「I・フィールドとかいうのをを使ってみるか」とか、しびれるセリフが出てくるが、結局どう使ったのかよく分からず(汗)
物語としては起承転結の承という感じで、少々おとなしい展開が続く。
なんだか色っぽいねーさんが出てきたのは単純に嬉しい(笑)
 16話は早くも総集編だし、やっぱり1年のシリーズは長いな。

20111106(mixi日記より)
20230116


∀ガンダム 5
富野由悠季監督

第17話 建国のダストブロー
第18話 キエルとディアナ
第19話 ソシエの戦争
第20話 アニス・パワー

観た。実は昨日だが。
  とうとう明かされる入れ替わりの秘密。
普通そういうのはばれてしまってどうのこうのという展開があるのと違うの?
突然打ち明けてしまうとは。
こういうところも流石ターンA(笑)
一方「おじょうさま」は、すでに身も心も「じょおうさま」になっていた(笑)
 関係ないけど、シールドは前に掘り出してたけど、ビームライフルはなんでいきなり復活してるんだ???なおしたのかな???
いつまで頭へこんでヒゲ曲がってるのかと思ったら、いきなりナノマシンで治っちゃうというのもすごかった。

20111107(mixi日記より)
20230117


∀ガンダム 6
富野由悠季監督

第21話 ディアナ奮戦
第22話 ハリーの災難
第23話 テテスの遺言
第24話 ローラの遠吠え

 交渉も戦争もうやむやな感じになってきて、キャラクター各々のドラマが展開される。
しかし・・・・・・・ハリー中尉ええわ〜〜〜〜(笑)
そしてシリーズでも屈指の名シーン、お洗濯ターンAは素晴らしい。
数え切れないくらい存在しているモビルスーツだが、洗濯したのはターンAが初だろう。
ウォーカーマシンだったらいくらでもいそうだが(笑)
しかし面白いなターンA。

20111113(mixi日記より)
20230118


∀ガンダム 7
富野由悠季監督

第25話 ウィルゲム離陸
第26話 悟りの戦い
第27話 夜中の夜明け
第28話 託されたもの

 動き出す展開。
事情が分かっても頭を使って忠義を尽くすハリー大尉。昇進おめでとう(笑)
コレルはどうなってしまったのか(笑)?

20111114(mixi日記より)
20230119


∀ガンダム 8
富野由悠季監督

第29話 ソレイユのふたり
第30話 胸に抱えて
第31話 追撃! 泣き虫ポゥ
第32話 神話の王

 宇宙へ向けて進む。
ロランはお嬢様妹と次第にいい雰囲気に。
ハリー中尉は相変わらず男っぷりがいかす。
ターンAとカプルは楽しく水遊び。
・・・・・・・・・・・・
それにしても自由な作品だ(笑)

20111116(mixi日記より)
20230120


∀ガンダム 9
富野由悠季監督

第33話 マニューピチ攻略
第34話 飛べ! 成層圏
第35話 ザックトレーガー
第36話 ミリシャ宇宙決戦

 宇宙に飛び出したウィルゲム。
スカイフックを使うというなかなか渋いSF設定が楽しいが、もうちょっと分かりやすく表現されていればもっとよかったのだが。
宇宙に出てからはなんとなくぐだぐだになってきたが、それはそれでよし(笑)
そしてヒロイン姉妹のおしりが拝めるのもまたよし(笑)

20111117(mixi日記より)
20230122


仮想空間計画
ジェイムズ・P・ホーガン著/大島豊訳

 主人公コリガンは、精神病を患って医者の指示に従って生きていた。
しかしコリガン本人には、自分は正常で、おかしいのは自分以外の世界全てだと思えてならなかった。
思えば12年前、彼はコンピュータが作り出した仮想空間に人間を送り込み、その行動を反映することで、完全なAIを作るという計画に参加していたのだった・・・。

 上の文章から思い浮かぶ想像通りの内容。
いつも大風呂敷が楽しいホーガン先生だが、今回もなかなか魅力的な計画を披露してくれている。
しかし設定や構成が複雑になったせいか、物語や演出面では少々物足りない結果になっているように思う。
特に読者(つまり私)には分かっているのに、主人公には分からず右往左往しているという状況があまりにも多かったのは残念。
本人も作中で苦しい言い訳のような説明をしているが、普通気付くと思う。
展開にもう一工夫欲しかった。

20111119(mixi日記より)
20230122


中性子星
ラリイ・ニーヴン著/小隅黎訳

 ノウンスペース・シリーズの短編集

中性子星
 所属していたナカムラ宙航が倒産したが、変に節約をすれば借金取りの目に留まるだろうと散財を続けていたパイロットのベーオウルフ・シェイファーだったが、それを見透かしていたパペッティア人に仕事を持ちかけられる。
それは史上初めて発見された中性子星の調査・・・を行った船に乗っていた乗員がなんらかの衝撃で死亡した原因の調査だった。
というのもパペッティア人が経営するジェネラル・プロダクツが製造する船殻は可視光線以外のあらゆるものの通過を防ぐはずだったのだ・・・。

 パペッティア人の設定が実に面白くて魅力的。
ゼネラル・プロダクツ製の絶対壊れない透明金属船殻という描写も魅力的。ちなみに表紙のイラストがその本作に出てくる宇宙船である。
また化夢宇留仁は円筒形スペースコロニーの遠心力を利用した人工重力のことを考えるとすぐにわけがわからなくなるのだが、本作もそこがポイントなので納得したようなしないような微妙な感じだった(汗)
 ちなみに本作はだいたい26世紀くらいが舞台なのだが書かれたのは1960年代で、現時点で中性子星は2つ発見されている。

帝国の遺物
 無人の惑星で1人で植物の調査を行っていたリチャード・シュルツ=マン博士のそばに海賊船が降り立つ。
海賊の自称キャプテン・キッドは逃走中の身であり、なんとパペッティア人の星系を知っているという・・・。

 古代種族の遺したものの設定が星野之宣作品っぽさもあって素敵。
それにしてもパペッティア人は面白い(笑)

銀河の<核>へ
 中性子星への遠征の結果パペッティア人から多額の報酬を得ていたベーオウルフ・シェイファーだったが、その金もそろそろ尽きようとしていたところに再びパペッティア人からの依頼が。
パペッティア人は常識はずれの超高速船を開発していたが、それは巨大な上に1人乗りで調査目的くらいにしか使い道がなかったが、パペッティア人は未知の調査というものには興味がなかった。
そこでそういうものに興味がある種族に買ってもらうための宣伝として、銀河の核を調査するというイベントが提出され、そのパイロットとしてベーオウルフが指名されたわけだった・・・。

 なかなか斬新で美しい銀河の核の描写が楽しい。
超光速と亜光速を繰り返した結果、見えるものが過去から現在へどんどん移り変わってゆくのも実にストレートなSFっぽくて楽しい。
そしてこの話はパペッティア人のほとんどがノウンスペースから姿を消した理由を明かす話でもある。

ソフト・ウェポン
 アウトサイダー人との取引の結果停滞ボックスを手に入れたカート・ジェスター号の船長ジェイスン・パパンドローは、妻と船客である「気が狂った」パペッティア人のネサスに、琴座ベータ星の景観をプレゼントしようと寄り道をする。
ところがそこにはクジン人の罠が待ち構えていた・・・。

 スタートレック・ジ・アニメーションのエピソード14「過去から来た新兵器」とほぼ同内容。
スタートレックの方が本書より数年あとなので、著者がスタートレックの脚本に流用したらしい。
ちなみにパペッティア人の役はスポックになっている(笑)

フラットランダー
 客船に乗っていた可愛い女性に手を出したベーオウルフ・シェイファーがその旦那に片腕をへし折られて凹んでいるところに、エレファントという名のフラットランダー(地球人の俗称)が話しかけてくる。
彼と意気投合したベーオウルフだったが、地球を案内するという申し出は断り、1人で歩いてみたらたちまち財布をすられる。
結局エレファントのところにやっかいになることになり、更には2人でアウトサイダー人から珍しい惑星という条件で教えてもらった原始恒星の調査に乗り出すことになるが・・・。

 情報屋アウトサイダー人が面白い。
ちうかこのシリーズに出てくる異星人はどいつもこいつも面白すぎる。

狂気の倫理
 パラノイアの遺伝子を持つダグラス・フッカーは正規の継続治療を続けながらスカイフック・エンタープライズの社長として長く勤めていた。
しかしある日オートドックが故障し、彼のパラノイア傾向が強まり・・・。

 なかなか先の読めない展開に、ラストのまさにSFという落ちにはびっくりした。
こういうのはすごく久しぶりに読んだなあ。

恵まれざる者
 知的生命体でいながら「手」が無く道具を使えない種族に「手」を売っているガーヴェイは、惑星ダウンに生息するグロッグという生物が知的生命体だと聞いて見に来たが、それはあまりにも知性とはかけはなれた存在で、円錐形で移動さえできないそれは滑稽だった。
しかしある日彼の中にある確信が・・・。

 種明かしが予想通りだったのでがっかりしたが、それで終わりではなくて続きがあったので安心した。
著者は異星の知的生物を面白く描くのがほんとにうまい。

グレンデル
 ベーオウルフ・シェイファーが乗っていた客船でクダトリノ人の彫刻家が誘拐される事件が発生。
ベーオウルフは乗り気ではなかったが事件の捜査を行うことになり・・・。

 本書3本目「銀河の<核>へ」で名前と作品だけが出てきたクダトリノ人はよくあるバリエーション描写の1つでこれっきりだと思っていたのだががまさかの本人登場。
こういうところがこの著者の油断のならないところである(笑)
そして物語はタイトルをうまくカバーしていい感じに。

 ちうわけで本書はどの話も粒選りで面白かった。
それにしても天体物理、異星生物進化、SFガジェット、未来の文化、異星の知的生物など、このシリーズはまさに闇鍋みたいに非常に多様なテーマを扱うので、今度はなにが飛び出してくるのかと全く予測ができないのが面白い。
そしてその中でも異星人がどいつもこいつも興味深くて面白い点では他の追従を許さないだろう。
またシリーズでは最初の作品集らしいが、作中年代にこだわらずにこの本から読むのがシリーズ入門にもよさそう。
リングワールドの2作を除いてなるべく作中年代順に読んできた化夢宇留仁的には、これまでの積み重ねもあって世界に深みを感じて楽しめたが、読みやすい順番というわけではなかったらしい。
この調子で世界の奥行きを知った上でリングワールドを再読するのが今から楽しみ♪

20230122(mixi日記より)
20230123


∀ガンダム 10
富野由悠季監督

第37話 月世界の門
第38話 戦闘神ギンガナム
第39話 小惑星爆烈
第40話 月面の海戦

 レッド隊の活躍のおかげで月にたどり着いた一行。
月に衝突しそうになった小惑星を核で吹き飛ばし、いよいよ月の首都へ向かう。

 レッド隊の退場があまりにも切なくかっこいい。
テレビアニメではほんとに珍しい憧憬を感じさせた。

20111120(mixi日記より)
20230124


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